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オスグッド・シュラッター病とは?症状や治し方を解説

中学生や高校生などの成長期において、日常的にハードな運動・トレーニングを行っていると膝の痛みを感じることがあります。

特に成長期にこのような症状が現れる場合、オスグッド・シュラッター病という疾患の可能性があり、膝関節の一部が隆起してくることも少なくありません。

本記事では、オスグッド・シュラッター病とはどういった病気なのか、症状の特徴や症状を緩和するための方法もご紹介します。

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オスグッド・シュラッター病とは

オスグッド・シュラッター病とは、成長期の子どもに多く見られる膝の疾患です。

主に激しい動きをするスポーツを日常的に行っている場合に発症しやすいです。

たとえばジャンプと着地を頻繁に繰り返すバスケットボールやバレーボール、急なダッシュや方向転換を繰り返すサッカーやテニスなど

膝へ大きな負担がかかるスポーツにおいて発症リスクが高まります

ジャンプやダッシュ、急な方向転換の際には太ももの筋肉が収縮します。

この部位は脛骨に繋がっており、上記のような動きを繰り返すと脛骨(膝下のすねの骨)の膝蓋腱の付着部が繰り返し引っ張られ、強度の弱い成長軟骨の部分で炎症を起こします。

すると、徐々に脛骨自体が隆起していき、膝下の部分に痛みを感じるようになります

成長期の子どもは骨の新陳代謝が活発に行われており、大人に比べて安定度が低い状態にあります。

特に育ち盛りの子どもは、骨の成長スピードに筋肉の伸びが間に合わず、体が固くなり、筋肉の先である腱が付いている骨の部分はより引っ張られるストレスを受けやすくなります。

そのような状態でハードな運動やトレーニングを行うと、膝に大きな負荷がかかり痛みを発症しやすくなるのです。

関連記事:膝の痛みの場所別原因まとめ|突然ズキズキ痛むのは危険?

オスグッドの症状

オスグッド・シュラッター病を発症すると、どのような症状が現れるのでしょうか。代表的な2つの疾患の特徴をご紹介します。

膝の皿の下が盛り上がってくる

上記でも解説したように、オスグッド・シュラッター病の初期症状としては脛骨の膝の近くが膝蓋腱に繰り返し引っ張られ炎症を起こします。

これが重症化していくと、やがて脛骨そのものが隆起または乖離し、膝の皿の下あたりの部分が盛り上がってきます。

膝蓋腱の根本にあたる大腿四頭筋は、ヒトの身体のなかでも特に筋肉量が多く、牽引力が非常に強い特徴があります。

一方、成長期の膝蓋腱の脛骨の付着部は牽引力に弱い成長軟骨が近く、大腿四頭筋の強い牽引力によって炎症が発症しやすい部位でもあるのです。

盛り上がっている部分の圧痛

オスグッド・シュラッター病を発症すると、膝の皿の下の盛り上がった部分に痛みが生じます。

指で押したときに痛みを感じることが多く、それと同時に患部の熱感や腫れも見られることがあります。

安静時には痛みや違和感を感じないことがほとんどですが、運動を始めると再び痛みを覚えるようになります。

オスグッドの治し方

オスグッド・シュラッター病は、成長期が終わり成長軟骨が骨に変わると痛みは生じなくなります

しかし、基本的にスポーツをやっている学生は痛みが強く、成長期が終わるまで待つのが難しい場合も多い為、痛みを和らげたり悪化を防止する方法があります。

ストレッチによる柔軟性の改善

オスグッド・シュラッター病を発症する学生の多くは、柔軟性の低下が顕著に認める場合が多く、大きな原因となっている可能性が高いです。

その為、大腿四頭筋のストレッチは必須であり、それ以外にも全身的に柔軟性を改善する必要があることも少なくありません。

特にスポーツをする前後やスポーツの休憩時間、寝る前なども1日のうちでも繰り返し行うことが大事です

正しく柔軟性を改善していくためにも、理学療法士が多く在籍し、スポーツのリハビリも受けられる整形外科を受診してみることを強くお勧めします。

サポーターでの固定

サポーターを使用して、脛骨に掛かる大腿四頭筋の牽引力をサポーターに分散させることにより、運動時の負担を軽減し痛みを緩和できる場合があります。

但しテーピングよりも効果は劣りやすくなります。

オスグッドに特化したサポーターも販売されており、特に膝関節全体をカバーしてくれる大きめのものがおすすめです

膝の可動を考え、中央部分に穴が開いているものを選ぶと動きやすいでしょう。

但し、装着しても痛みが改善しない場合は漫然と使用せず中止しましょう。

テーピングによる固定

サポーター以外にも、テーピングを使用して、脛骨の根本一点に牽引力を集中させずに分散させる方法があります

テーピングの貼り方はさまざまですが、一例として以下の方法がおすすめです。

 

  1. 膝を曲げた状態をキープする
  2. 膝の上部から痛みを感じる患部にかけて、皿の骨の内側を通すようにテープを貼る
  3. 2と同様に、膝の上部から患部にかけて、皿の骨の外側を通すようにテープを貼る

 

膝関節(皿の骨)部分にはテープを貼らず、2枚のテープで皿の骨を包むように貼ります。

痛みが強い場合には、さらにもう1枚ずつテープを貼ってください。

テーピングをした後に立ち上がり、膝を伸ばした状態のときに皿の部分の皮膚が上部に持ち上がるように動けば成功です

皮膚が弱くかぶれてしまうような場合は、直ちに中止し皮膚が治るまで使用は控えましょう。

適度に休息する

膝の痛みが現れた場合、無理に運動を続けると症状が悪化するため、こまめに休息をとるようにしてください。

休憩の際や、スポーツの前後で以下で紹介するストレッチも行ってみましょう。

関連記事:スポーツ整形外科に多い疾患は?名医の特徴や整形外科との違いを解説

オスグッドは予防できる?

オスグッド・シュラッター病は、ハードなトレーニングを繰り返した結果、脛骨粗面が大腿四頭筋に引っ張られることで炎症や痛みが生じますが、予防法はあるのでしょうか。

オスグッド予防のストレッチ

オスグッド・シュラッター病の予防には大腿四頭筋のストレッチも有効です。

 

  1. 立った状態で左右いずれかの足を手で持つ(右足の場合は右手で持つ)
  2. 太ももの筋肉を伸ばすことを意識しながら、ゆっくりと引き上げ、10秒程度キープする
  3. 左右の足を入れ替え同様に行う

 

立った状態でバランスを崩すおそれがある場合には、座った状態で片足を折り曲げても問題ありません。

ストレッチのポイントは、あくまでも気持ちが良いと感じる範囲内で曲げることと、反動をつけずにゆっくりと曲げた後にキープすることです

練習メニューや頻度を見直す

あまりにもハードなトレーニングをこなしている場合には、膝に大きな負担がかかり重症化することもあります。

膝の痛みや違和感を感じた場合には、練習メニューや練習の頻度を考慮することも大切なケアであり、オスグッド・シュラッター病の予防につながります。

オスグッドで身長は伸びる?

オスグッド・シュラッター病は、成長期に見られることの多い疾患ということもあり、身長の伸びとの関連性が気になる方も多いのではないでしょうか。

成長期に見られる成長痛とは、骨の成長に合わせて筋肉や腱が引っ張られることで生じる痛みのことです。

激しい運動によって発症するオスグッド・シュラッター病とは根本的にメカニズムが異なります。

成長期のオスグッド・シュラッター病を発症している期間に、身長が伸び続けることはありますが、それはこの疾患によるものではありません

関連記事:膝の下が痛い人必見!原因や痛みやすい人の特徴や治療法を解説

大人になっても出っ張りが治らないことがある?

オスグッド・シュラッター病は成長軟骨があるからこそ発症する疾患のため、成長期が終わって成長軟骨が骨に変わると痛みは出なくなります。

しかし、膝の痛みは取れても骨の隆起は残ってしまうことがほとんどです

▶その他膝の疾患一覧はこちら

オスグッドのご相談はイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックまで

激しいスポーツによって膝を痛めてしまい、オスグッド・シュラッター病のような症状が見られる場合には、イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックへご相談ください。

院長の渡邉 順哉医師は現役の空手選手でもあり、スポーツによって生じたケガや故障について、数多くの知見をもっています。

また、全国各地で開催される空手道の大会では、救護ドクターとしても熱心に活動しており、アスリートのパフォーマンスを最大限まで引き出す治療とサポートを心がけています

また、アスリートならではの身体の悩みや不調、故障に対応するために、当院ではスポーツ整形外科も開設しています。

これまでプロサッカー選手やオリンピック選手などのトップレベルのスポーツ選手から、アマチュアや部活・趣味レベルのスポーツ愛好家まで幅広いスポーツ障害の治療実績があります。

膝の痛みはオスグッド・シュラッター病以外にもさまざまな原因が考えられ、早期回復を図るためには正確な診断と適切な治療が不可欠です

スポーツに起因した不調や故障に対し、信頼性の高い治療を受けたいという方はぜひ一度イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックへご来院ください。

 

まとめ

成長期の子どもがスポーツ中の膝の前側の痛みを訴えた場合、オスグッド・シュラッター病を発症していることが、可能性の一つとして考えられます。

骨や筋肉の成長に伴い、骨長期には膝の成長軟骨への負担によって痛みが生じやすく、さらに悪化すると膝の下部分が隆起してくることもあります。

スポーツで痛みなく高いパフォーマンスを発揮するためにも、膝やスポーツを詳しく検査・診断・治療のできる整形外科をまず受診してみることが大切です。

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この記事の監修医師


藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック  院長 渡邉 順哉

■詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長

膝の痛みの場所別原因まとめ|突然ズキズキ痛むのは危険?

膝の痛みはさまざまで、ズキズキした強烈な痛みや押しつぶされるような圧迫感がある痛み、さらには膝の外側や内側など特定の部分だけに症状が現れることもあります。

なぜこのような痛みが現れるのか、それぞれの部位に応じた考えられる疾患について詳しく解説します。

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膝の痛みの原因とは

膝に痛みを覚えたとき、考えられる原因は主に以下の5つがあります。

半月板や軟骨の損傷

まず第一に疑わないといけなく、膝の痛みとしてとても頻度が高いものになります。

半月板とは、膝関節の中を一周取り巻いているクッションであり、膝にかかる体重を分散させ軟骨を守ると同時に、膝を安定的に固定する役割も果たしています。

半月板と膝関節の軟骨は、加齢や体重増加、外傷、激しい運動などによって損傷することが多いです

特にバスケットボールやバレーボールなどジャンプをするスポーツ、サッカーやテニスなど急なターンやストップを繰り返すスポーツなども発症リスクが高い傾向があります。

関節組織の炎症

膝関節の内部が炎症することで痛みを覚えるケースもとても多いです。

炎症の原因はさまざまですが、特に多いのが変形性膝関節症です。

半月板損傷や膝の軟骨がすり減ることで関節液が大量に分泌され、これに含まれる物質によって炎症が悪化します。

関節組織の炎症を放置しておくと関節の曲げ伸ばし時に痛みが生じ、やがて関節そのものが変形するなどの後遺症が残るケースもあります

関連記事:【膝の違和感】膝を伸ばしたときに出る痛み以外の症状と原因について解説

骨の損傷(骨折・亀裂など)

怪我をした際に、強烈な痛みや腫れを伴うときは骨折の可能性があり、治療をせず放置しておくと膝関節が変形するなどの後遺症が残るおそれもあります

そのため、膝に強烈な痛みがある場合には医療機関を受診し、骨に異常がないか検査を受けることが大切です。

また、中年以降の場合、骨粗鬆症が原因で骨折しやすくなってしまっている場合もあります。

筋肉や腱の損傷・断裂または付着部炎

骨に異常が認められなくても、筋肉や腱などが損傷したり断裂したりすることで強烈な痛みを覚えることがあります。

いわゆる「肉離れ」は筋断裂の一種で、激しいスポーツをしたときや、膝に大きな負荷がかかったときなどに発症しやすいです。

ときには歩行が困難になるほどの痛みが生じることもあります。

また、スポーツなどで同じ動作を繰り返すことで、筋肉や腱が骨に付く付着部で炎症を起こす場合もあります。

靭帯の損傷または断裂

靭帯とは関節部分の骨をつなぐ役割を果たしている組織です。

スポーツ中の損傷がほとんどですが、内側側副靭帯や前十字靱帯の損傷が頻度的には多い靱帯損傷です。

靭帯が損傷すると「ブツッ」という大きな音がした後、強烈な痛みが走り競技続行が不能になったり、患部が腫れ上がってくることも少なくありません

骨折にも似た症状が見られるため、早期にMRIなど精密検査と治療が必要です。

膝の痛みの場所から考えられる原因

一口に膝の痛みといっても部位に応じて痛みの特徴は異なります。

部位ごとに発症しやすい疾患と、どのような痛みが出るのかを解説しましょう。

膝の内側

膝を正面から見たとき、左右の内側部分のみに痛みが生じる場合に考えられるのが以下の疾患です。

内側半月板損傷

内側の半月板を損傷したときも、膝の内側に痛みが生じることがあります。

はじめのうちは違和感や突っ掛かり感、軽い痛みが現れ、放置すると徐々に半月板や軟骨が傷み、変形性関節症へと進行していくことも少なくありません。

変形性膝関節症

膝の関節内部にある半月板や軟骨が損傷し、痛みや腫れを引き起こす疾患を変形性膝関節症とよびます。

初期症状は膝の違和感や軽い痛みが続きますが、進行し重症化すると膝の関節そのものが変形することもあります

加齢や体重の増加、スポーツなどによる怪我など、関節への長期間の負担により引き起こされるケースが多いです。

膝の内側のみに痛みを感じることが多いのは、もともと日本人はO脚が多く、膝の内側に負担が集中しやすいためです。

▶変形性膝関節症の詳細はこちら

鵞足炎

鵞足とは、膝の内側で関節の隙間よりやや下側に位置する三つの筋肉(半腱様筋、半膜様筋、半腱様筋)の腱が付着する部位です。

鵞足炎は、この鵞足部での腱の付着部が炎症を起こす疾患であり、筋肉の柔軟性の低下やスポーツでの使い過ぎによって発生することがあります

内側側副靭帯損傷

内側側副靭帯は膝の内側にある靭帯で、膝の安定性を維持する役割があります。

膝が外に曲げられるような強力な外力がかかった際に靭帯が損傷するケースが多く、膝の内側を押したときに痛みを感じたり、腫れ、熱感が現れることもあります

膝の上

膝の上部(太ももに近い部分)に痛みが見られる場合、以下の疾患が考えられます。

大腿四頭筋の腱炎もしくは肉離れ

大腿四頭筋とは太ももの前面にある4つの筋肉で構成された部位であり、これらと関節部分をつなぐ腱が炎症を引き起こす疾患を大腿四頭筋腱炎とよびます。

痛みの特徴としては、強力な力で抑え込まれたような圧痛が見られることが多いです

大腿四頭筋腱炎は「ジャンパー膝」ともよばれ、その名の通りバスケットボールやバレーボールなどジャンプをすることの多いアスリートが発症しやすい傾向が見られます。

また、着地などで急激に強力な外力が大腿四頭筋に加わった場合、肉離れを起こす場合があります。

膝の外側

膝を正面から見たとき、左右の外側部分のみに痛みが生じる場合に考えられるのが以下の疾患です。

外側半月板損傷

半月板は膝の内側と外側にそれぞれ1枚ずつ存在します。

このうち、外側の半月板は急激な回転運動や膝への外部からの圧力がかかった際に損傷することが多く、痛みや腫れ、関節の不安定感などが症状として現れます

日本人の場合は内側の半月板損傷が多く外側半月板損傷の頻度は比較的少ないです。

外側半月板のみが単独で損傷することは少なく、前十字靭帯なども一緒に損傷するケースが多いです。

腸脛靭帯炎

腸脛靭帯とは、大腿骨から脛骨にかけて伸びる帯状の組織であり、この部分に炎症が起こる疾患を腸脛靭帯炎とよびます。

腸脛靭帯が膝の外側で脛骨に接触を繰り返すことで発症しやすく、特に長距離ランナーや自転車競技の選手などによく見られるため「ランナー膝」ともよばれます。

外側側副靭帯損傷

外側側副靭帯は、膝の外側に位置する靭帯で、膝の安定性を維持する役割があります。

膝外側側副靭帯損傷は、スポーツ中の怪我や膝に対する外部からの強い衝撃によって膝が内側に曲がる力がかかった際に発症しやすく、膝の外側の痛みや腫れが現れます

膝の下

膝の下(脛に近い部位)に痛みを感じる場合、考えられる疾患は以下の通りです。

膝蓋腱炎

膝蓋腱は膝蓋骨(膝の骨の前面にある骨)から下脚に続く腱で、この部分に炎症を起こす疾患を膝蓋腱炎とよびます。

ジャンパー膝ともよばれ、膝の頻繁な曲げ伸ばしやジャンプなど過度な負荷がかかると炎症を起こしやすく、痛みや腫れが現れることがあります。

オスグッド・シュラッター病

オスグッド・シュラッター病は、膝蓋腱が膝蓋骨に結合する筋肉の柔軟性が失われ起こり、炎症が生じることによって引き起こる疾患です。

成長期の子どもに多く見られ、膝の皿のすぐ下部分に痛みや腫れが生じるケースがほとんどです

膝蓋下脂肪帯炎

膝蓋下脂肪帯は膝蓋骨の下にある組織で、関節にかかる衝撃を吸収する役割を果たしています。

膝蓋下脂肪体炎を発症すると、膝を左右から押したときに痛みを感じたり腫れが見られ、膝への過度な圧力や急激な動きが原因となり組織に炎症を起こすことで発症します

関連記事:膝の内側が痛い原因を解説|考えられる疾患や病院での治療法は?

膝の内部

膝関節組織の内部に痛みを感じる場合には以下の疾患が考えられます。

膝蓋大腿関節炎

膝関節の中で、いわゆる”膝の皿”とよばれる膝蓋骨と大腿骨とが接する部分を膝蓋大腿関節とよびます。

この部分の軟骨がすり減り炎症が起きる疾患が膝蓋大腿関節炎で、変形性膝関節症の一種です。

初期症状は軽い痛みや膝に引っかかりを感じたり、曲げ伸ばしの際に音が鳴ったりと違和感を覚えることが多いですが、重症化すると水が溜まり腫れてくることがあります

立ったりしゃがんだり、高い段差を昇り降りするときに特に痛みを生じるのが特徴です。

前十字靭帯損傷

前十字靭帯は膝関節内にある靭帯で、大腿骨と脛骨を結び膝の安定性を維持する役割を果たしています。

多くの場合スポーツ中に、急激な方向転換や膝への衝撃が原因で発症し、直後から競技続行は不能になります。

主な症状として膝の腫れや痛み、膝が抜けるような不安定感があります。

ほとんどの場合、手術が必要になるため、整形外科でMRIの精密検査と治療が必要になります。

▶前十字靭帯損傷の詳細はこちら

関節リウマチ

関節リウマチは、自己免疫性の炎症性関節疾患であり、免疫系の異常によって本来正常な組織が攻撃される疾患です。

体内のさまざまな関節に痛みや腫れが起こり、放置しておくと関節が徐々に炎症によって破壊されていく場合があります

膝関節に現れるリウマチは、関節内部が痛むケースが多いです。

膝の後ろ

膝関節の後ろ側に痛みを感じる場合には以下の疾患が考えられます。

滑液包炎

滑液包とは関節の衝撃を緩和する特殊な液体を包んでいる袋であり、この部分に炎症を引き起こす疾患を滑液包炎といいます。

痛みのほかに腫れが見られることが特徴で、熱をもつケースも少なくありません。

滑液包炎は膝の酷使や外傷、膝に負担のかかる姿勢を繰り返すことで発症する場合がほとんどです。

ガングリオン

ガングリオンとは、関節包という関節を包んでいる膜の一部が、関節に加わった強い圧などによって風船状に膨らんでできます

多くの場合は膝の後ろ側にできますが、違和感や腫れている感覚で気付き、まれに神経や血管を圧迫し痛みを生じる場合もあります。

後十字靭帯損傷

後十字靭帯も膝関節内に位置する靭帯で、前十字靭帯と同様に膝の安定性をサポートしています。

後十字靭帯損傷は、膝前方からの強打や強い直接の衝撃によって発症しやすいです。

発症頻度そのものは前十字靭帯損傷に比べると少なく、交通事故などスポーツ以上のかなり強い衝撃により発症します。

主な症状としては、膝の腫れや痛み、不安定感などがありますが、重度の場合は手術が必要となります

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膝が痛いときの対処法

膝に痛みを感じたとき、少しでも症状を軽減するにはどういった対処が有効なのでしょうか。

腫れや熱を持っていたらアイシング

膝の痛みと同時に腫れや熱感が見られる場合には、アイスパックや冷却パッドを患部に当て、十分冷やします。

患部を冷却することで血管が収縮し、炎症や痛みが軽減されることがあります

特に急激に痛みや炎症が現れた場合には、できるだけ早くアイシングをすることが重要です。

痛みが出る肢位にならないよう固定

痛みが続く場合は膝を安静に保ち、患部を固定することも大切です。

その際には、膝を心臓よりも高い位置に保つと腫れにくくなります

また、膝を安定的に固定するには一時的に膝に包帯を巻くことも有効です。

痛みが出る方に体重をかけない

患部に負荷をかけてしまうと、さらに症状が悪化するおそれがあります。

特に、痛みが出ている膝にはなるべく体重をかけないように心がけましょう

痛みや症状の程度によっては、歩行時に松葉杖や歩行補助具を利用することもおすすめです。

関連記事:膝を曲げると突然痛い!原因と治し方を外側・内側別に徹底解説

まずは整形外科に受診

あくまでも、こちらで書いたことは一般的なお話しで、本当に何をすべきで何をしてはいけないかは、疾患によっても全く異なってきます。

従って、実際は膝に詳しい整形外科専門医が診察・検査することで正しく診断でき、結果として何をすべきかがはっきりしてきます。

痛みがそれほど強くなくても、膝に詳しい整形外科を受診することを強くお勧めします

まとめ

膝の痛みの原因は加齢や体重増加、運動などさまざまで、部位によっても考えられる疾患は異なります。

また、最初は膝の関節に引っ掛かり感や違和感、軽い痛み程度が見られていたものの、治療せず放置しておくと重症化につながるケースもあります。

少しでも膝がおかしいと感じたら、できるだけ早めに膝に詳しい整形外科を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。

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この記事の監修医師


藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック  院長 渡邉 順哉

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経歴

●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長

股関節の痛みに効くストレッチ|片方だけ痛い場合はどうする?

加齢によって身体機能が衰えたり、仕事柄長時間座った姿勢をキープすることが多いと、股関節の柔軟性が失われ痛みを感じることがあります。

このような場合、適度な運動やストレッチをすることで、痛みの緩和や予防に役立つ可能性があります。

しかし、ストレッチは方法を間違うとさらに症状を悪化させるリスクもあることから、正しい方法を理解しておくことが大切です。

本記事では、股関節の痛みに有効なストレッチを詳しく解説します。

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股関節の痛みの主な原因

股関節の痛みはさまざまな原因によって発症します。

激しい運動や股関節に高い負荷がかかったときなどは、一時的に痛みが発症しますが、数日程度で収まることもあるでしょう。

痛みの程度や症状の期間によっても原因は異なりますが、特に多いのが以下の2つです。

変形性股関節症

変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減った結果、関節の骨同士が接触し炎症や痛みを生じさせる疾患です

股関節に限らず、肘や膝、首などさまざまな部位の関節には軟骨があり、スムーズな曲げ伸ばしをサポートしています。

しかし、軟骨がすり減ると関節の骨同士をつなぐクッションの役割を果たすものがなくなり、骨同士の摩擦によって痛みを感じるようになるのです。

軟骨がすり減る原因は、主に肥満やケガ、過度な運動、加齢などが考えられます。

初期の変形性股関節症であれば違和感や軽い痛みなどを覚える程度ですが、治療をしないまま症状が進行していくと股関節そのものが変形することもあります。

関連記事:股関節の左や右だけが痛むのはなぜ?痛みがおこる場所と原因を解説

筋肉や靭帯の損傷

股関節周辺には恥骨筋や腸骨筋、縫工筋などさまざまな筋肉、靭帯が折り重なるように構成されています。

激しい運動や過度な負荷が急激に股関節にかかってしまうと、筋肉や靭帯が損傷し痛みを感じることがあります。

特にスポーツを楽しむ前には、十分なトレーニングをして筋肉を柔らかくしておかないと肉離れを起こし、回復まで長い時間を要する可能性もあるでしょう

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股関節の痛みに効くストレッチ

デスクワークで長時間座った姿勢を維持することが多いと、股関節の柔軟性が失われ、立ち上がったときや運動をしたときに筋肉や靭帯を損傷しやすくなります

そこで、股関節に痛みを感じたとき、あるいは股関節の痛みを予防するためには、日頃からストレッチを習慣づけておくことがおすすめです。

職場や自宅で手軽にできるストレッチの方法を、股関節の前側・内側に分けてご紹介します。

股関節の前側に効くストレッチ

  1. 左右いずれかのお尻を椅子に置く姿勢をとり、横向きになるように椅子に座ります。
  2. 椅子に掛けていない片方の足を軽く後ろに伸ばし、つま先を立てます。
  3. その状態から、股関節の前側から太ももにかけての筋肉を伸ばすイメージで、椅子に腰掛けていないほうの足を後方に伸ばします。
  4. 1〜3は1セットあたり40秒を目安に、2〜3回繰り返し、さらに左右の足を替えて行います。

 

椅子に半分腰掛けた上体で行うため、椅子の形状や大きさによってはバランスを崩しやすく、ケガをするおそれもあります。

たとえば、キャスター付きの椅子を使用する際にはキャスター部分を固定したり、背もたれを手で固定した状態で行うなどの工夫をしてみましょう

関連記事:股関節の痛みで悩んでいる人必見|変形性股関節症の注意点を解説

股関節の内側に効くストレッチ

  1. 椅子に座った状態で、左右いずれかの足を片方の膝の上に乗せます。
  2. 乗せたほうの足の膝を下方向から外側にかけて押し下げます。
  3. その状態で股関節の内側からお尻の筋肉を伸ばしながら、上半身を前にゆっくりと倒します。
  4. 1〜3は1セットあたり40秒を目安に、2〜3回繰り返し、さらに左右の足を替えて行います。

 

上記のストレッチは上体を前に倒すため、重心が移動しバランスを崩す可能性もあります。

椅子に浅く腰掛けるのではなく、座面にしっかりとお尻を置き安定した状態でストレッチを行ってください

寝ながらできる股関節のストレッチはある?

職種によっては仕事の合間に気軽にストレッチができる環境ではなかったり、忙しく時間がとれないという方も多いでしょう。

そのような方のために、ベッドに入った後で寝ながらできる股関節のストレッチをご紹介します。

股関節の後側(お尻)に効くストレッチ

  1. 仰向けの状態になり、左右いずれかの膝を両手で抱えた状態で胴体側に引き寄せます。
  2. 約15秒間、1の姿勢をキープし、これを2セット繰り返した後、左右の足を替えます。

 

膝を抱えてキープするときには、反対側の足は伸ばした状態で膝が浮かないようにすることと、痛みを感じない範囲内で無理なく行うようにしてください

右だけあるいは左だけ痛いときはどうする?

  1. 座った状態で片足を前に、もう一方の足は軽く折り曲げた状態で後ろに置きます。
  2. ゆっくりと上体を前に傾け、気持ち良いと感じる程度まで股関節・太ももを伸ばします。

 

股関節をさらに痛めるリスクがあるため、痛い部位のストレッチはくれぐれも無理をしないようにしてください

関連記事:股関節が外れるような感覚やずれる原因は?|直し方や治療法を解説

股関節の痛みはストレッチのしすぎかも?対処法とは

毎日のようにストレッチをしているにもかかわらず、痛みが悪化している気がするという場合には、ストレッチのし過ぎにより痛みが悪化している可能性も考えられます。

また、ストレッチのやり方が間違っている場合も股関節に過度な負荷がかかりすぎて、痛みを発症することがあります

特に、以下のようなストレッチを行っている場合は要注意です。

 

  • 反動をつけてストレッチをしている
  • 痛みを我慢してストレッチをしている
  • 可動域を超えて動かそうとしている

 

ストレッチの基本は、「気持ち良い・心地良い」と感じられる範囲で行うことです

多少の痛みや刺激があったとしても、気持ち良いと感じられる範囲内であれば適切なストレッチといえます。

しかし、それ以上に強烈な痛みを感じたり、限界を超えた範囲を動かそうとすると筋肉や関節に過大な負荷がかかり、ストレッチを終えた後も痛みが残り続けることもあるのです。

まとめ

股関節は加齢によって可動域が狭くなる傾向があるほか、デスクワークで長時間同じ姿勢で座っている方も関節の柔軟性が失われ、痛みを感じやすくなります。

これを解消するためには、こまめにストレッチを行い関節の柔軟性をキープすることが重要です。

ただし、間違った方法でストレッチを行うと筋肉に大きな負荷がかかり痛みを悪化させることもあります。

今回の記事でも紹介しましたが、ストレッチの基本は「気持ち良い・心地良い」と感じる範囲内でキープすることです。

くれぐれも痛みを我慢したり、可動域を超えて無理に動かしたりしないよう注意してください。

また、ストレッチの際以外にも股関節の痛みを感じる場合は、信頼のおける整形外科に受診しましょう。

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この記事の監修医師


藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック  院長 渡邉 順哉

■詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長

カルシウム

藤沢のイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックの院長渡邉順哉です。

今回はカルシウムの話です。

藤沢のイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは骨粗しょう症の検査を受けると血液検査でカルシウムの値を測ります。

しかし、骨粗しょう症のかなり進んだ方でも実はほとんどの方は正常だったりします。

これは、血液中のカルシウムは一定に維持する機能が体には備わっているからです。

血液中のカルシウムが減ってくると、身体が感知してホルモンを調整して、血液中のカルシウムが減らないようにしています。

血液中のカルシウムは身体のあらゆる細胞を動かすのに必要不可欠な存在なため、一定以上減ると低カルシウム血症として様々な不調を起こします。

そうならないための調整機能が身体には備わっているのです。

では、血液中のカルシウムは足りているのに、なぜ骨粗しょう症でカルシウムのことが良く話題になるのでしょうか?

それは、血液中のカルシウムを一定に保つために、実は骨にあるカルシウムが消費されていることがあるのです。

骨はカルシウムの銀行のようなもので、身体は骨(銀行)にカルシウムを貯金していますが、血液(財布)の中が減りそうになったら貯金を崩して血液の中にあるカルシウムが減らないようにしています。

そして骨密度は骨の中のカルシウムの量の目安になります。

骨密度が低い方は、血液中のカルシウムが足りていても、カルシウムは積極的に摂る必要があります。
特に牛乳、それ以外には小魚や乳製品にカルシウムは豊富に含まれています。

ただこれらを食べるだけではなくビタミンDが不足している場合が日本人には圧倒的に多いです。

院長である私もそうでした。

ビタミンDが枯渇した状態にカルシウムを摂ってもなかなか身体に吸収されません。

藤沢のイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは骨粗しょう症検査の際にビタミンDをしっかり測っています。

是非、45歳を超えたら一度しっかり測ってみることをお勧めします。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ

 

 

テニス肘の治し方!自分で治す方法は?整形外科での治療法を解説

テニスプレーヤーが多く発症するテニス肘は、肘の内側または外側に痛みが生じ、ひどい場合には日常生活に支障をきたすこともあります。

症状の程度は人によって異なりますが、少しでも痛みを改善するために個人でできる対処法も存在します

そこで本記事では、テニス肘を自分で治す方法や、整形外科ではどのような治療法が選択できるのかを詳しく解説します。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは

テニス肘とはその名の通りテニスプレイヤーが多く発症する疾患のひとつで、正式には「上腕骨外側上顆炎」とよばれます。

テニスラケットを振る利き手に発症し、プレイ中はもちろんのこと重いものを持ち上げるときや雑巾を絞るときなどに肘の外側部分に痛みを感じるのが特徴です。

中高年のテニス経験者が発症しやすい傾向があり、長年にわたって手首を酷使することで腱にストレスが加わり発症すると考えられています。

また、必ずしもテニス経験者のみが発症するものではなく、加齢や仕事による身体の酷使など、さまざまな要因によってテニス経験者以外にもテニス肘が発症することがあります

肘の痛みはテニス肘以外にもさまざまな疾患が考えられますが、以下の3つの検査でいずれも肘の外側から前腕にわたって痛みが現れた場合、テニス肘と診断されます。

  1. Thomsenテスト:検者は患者の手首を曲げて固定した状態で、患者は検者の力に抵抗し手首を伸ばす
  2. Chairテスト:肘を伸ばした状態で椅子を持ち上げる
  3. 中指屈伸テスト:検者は患者の中指を上から押さえた状態で、患者は検者の力に抵抗し中指を伸ばす

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は自然治癒するの?

テニス肘を発症すると腱が脆くなり、一時的に痛みを伴います。しかし、時間の経過とともに痛みは徐々に引いていき、1年後には痛みを感じなくなる場合もあります

しかし、痛みがなくなるとは断言できないのと、基本的に脆くなった腱が再生することはありません。また、なかには時間が経過しても痛みが引かないケースも見られ、これを放置しておくと慢性的な痛みに発展し治りにくくなることがあります。

そのため、テニス肘が疑われる場合には自然治癒を待つのではなく、できるだけ早めに治療することが大切です。

▶テニス肘の詳細はこちら

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)を自分で治す方法はある?

テニス肘が疑われる場合でも、痛みが軽度であったり頻繁に症状が現れない場合には病院を受診するか迷う方も多いでしょう。また、痛みがあってもすぐに病院に行けない場合も少なくありません。

そのような場合に、ぜひ試していただきたいのが以下の方法です。

ストレッチ

テニス肘に有効なストレッチの方法は以下の通りです。

  1. 左右いずれかの腕を前方へ伸ばし、手首を下方向に曲げる
  2. 反対の手で人差し指と中指を引っ張る
  3. 手首を横方向に向け、同様に人差し指と中指を引っ張る

上記のストレッチを1回あたり30秒ずつ、1日3回を目安に行ってください。

マッサージ

ストレッチと同様に正しい方法でマッサージを行うこともテニス肘の症状緩和につながります。

  1. 前腕部の内側を指で揉みほぐす
  2. 親指と薬指に輪ゴムをかけ、2本の指をくっつけた後に離す動作を繰り返す

腕の内側に痛みがある場合には前腕部の内側を、外側が痛む場合には前腕部の外側を揉みほぐしてください。

また、2の輪ゴムを使用した動作は1日1分程度を繰り返すと徐々に効果が現れてくる場合が多いようです。

テーピング

日常生活でテニス肘を悪化させないためには、テーピングも効果的です。

  1. 親指の付け根部分から肘までテープを貼る
  2. 手首を一周するようにテープを巻く
  3. 肘関節にかからないよう、前腕部の付け根を一周するようにテープを巻く

テーピングは関節や腱に大きな負担がかからないように固定する必要がありますが、手首や前腕部を一周する際に圧迫が強すぎると血流が悪くなる可能性もあるため注意してください。

整形外科でのテニス肘(上腕骨外側上顆炎)の治療法

テニス肘は整形外科での治療が可能で、アスリートはもちろん一般の方が治療を受けるケースも珍しくありません。

整形外科におけるテニス肘の治療法は、基本的に保存療法が選択されます。保存療法とは外科手術のようにメスを入れるのではなく、薬の投与や理学療法などによって身体を傷つけることなく行われる治療法全般を指します。

代表的な保存療法の種類と、それぞれの治療の概要を紹介しましょう。

リハビリテーション

リハビリテーションとは、いわゆる”リハビリ”のことで、身体に負担がかからない程度にトレーニングを繰り返し、本来の機能を取り戻す治療法のことです。

上記で紹介したストレッチやマッサージもリハビリの一種であり、テニス肘に限らず整形外科における基本的な治療法といえます。

理学療法士の指導やサポートを受けることで正しいリハビリができ、ケガのリスクや症状の悪化を防止します。

体外衝撃波

体外衝撃波とは、音波よりも高い周波数の圧力波(衝撃波)を皮膚の外側から照射する治療法です。

衝撃波を照射することにより、痛みを伝える物質を減少させたり、新生血管の再生を促す効果が期待でき、結果として痛みを軽減でき可能性があります。

もともとは腎臓結石や尿管結石などの治療に用いられてきましたが、それよりも低いエネルギー量の衝撃波を照射することで疼痛治療にも効果が認められています。

関連記事:体外衝撃波は治療効果がない人はいる?|適切な治療回数や痛みについて

PRP治療

PRPとは多血小板血漿(Platelet Rich Plasma)ともよばれ、自身の血液から血小板とよばれる成分を抽出した後、それを再び体内に注入する治療法のことです。

血液中に含まれる血小板には体内の細胞や組織を修復する働きがあり、テニス肘をはじめとして腱や関節の損傷部位を再生する効果が期待できます。

また、患者自身の血液から血小板を抽出するため、安全性も高く副作用などのリスクも低いメリットがあります。

関連記事:PRP療法の注射が膝や股関節に効果的な理由とは?副作用はある?

物理療法

昔からリハビリといえば物理療法という時代がありました。マイクロ波などの温熱療法は効果が乏しい場合が多いですが、超音波治療器や低周波治療器は一定の効果を得られる場合が多いです。

薬物療法

薬物療法は、主に痛み止め(鎮痛剤)や炎症を抑えるための薬を処方し、症状を緩和する治療法です。特に痛みが強い場合に薬物療法は欠かせません

一般的には錠剤などの飲み薬や湿布が処方されますが、特に痛みが酷く日常生活に支障をきたすような強い炎症を伴っている場合にはステロイド注射が選択されることもあります。

しかし、ステロイド注射は組織を脆くしてしまう副作用があり長期的には再発することも少なくないため、ステロイド以外の治療法も最近では用いられるようになってきています。

装具療法

装具とは、いわゆるサポーターのことであり、筋肉を適度な力で圧迫することで関節の動きを助ける役割があります

テニス肘を発症し痛みが続くと、日常生活のなかで腕の曲げ伸ばしに負荷がかかったり、曲げた際に痛みが再発しないかと心配になり本来の動作に恐怖心を覚えたりするようになります。

そこで、装具を装着することで肘のスムーズな曲げ伸ばしをサポートし、リハビリの大きな助けにもなるでしょう。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)が治らないときは


テニス肘は自然治癒する場合もありますが、我慢できないほどの強烈な痛みを伴う場合や2~4週間経過しても症状が改善するどころか悪化する方もいます。

そのような場合には、できるだけ早めに整形外科を受診してください。

また、整形外科によっても対応可能な治療法は異なります。上記で紹介した治療法のうち、リハビリテーションや薬物療法、装具療法などはほとんどの整形外科で対応していますが、体外衝撃波やPRP治療などは自費診療ということもあり、対応できる整形外科が限られています

そのため、たとえば「リハビリを続けているものの症状が緩和されない」、「ほかの治療法を試してみたい」と考える方は、現在通院中の整形外科からほかのクリニックへの変更も検討してみましょう。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)でお悩みの方はイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックへご相談ください

テニス肘に悩まされている方は、ぜひ一度イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックを受診ください。

当院では上記で紹介した体外衝撃波やPRP治療といった最新の治療法にも対応しており、リハビリや薬物療法との組み合わせも可能です。

また、院長の渡邉順哉医師は現役の空手選手でもあり、世界大会などの救護ドクターとして活躍しています。

さまざまなアスリートが当院のスポーツ整形外科を受診しており、テニス肘以外にも頚椎椎間板ヘルニアや半月板損傷、ジャンパー膝、肉離れ、前十字靭帯損傷など多様な疾患の治療実績があります。

まとめ

テニス肘はアスリートを悩ませる代表的な疾患のひとつですが、自然治癒するケースも多く、気づいたら痛みがなくなっていたという方も少なくありません。

しかし、治療をせず放置しておくと症状が悪化したり、再発するケースもあることから、できるだけ早期の治療が求められます。

一般的にはリハビリテーションや薬物療法、装具療法などの治療法が一般的ですが、これらの治療を行っても改善が見られない場合、体外衝撃波やPRP治療といった治療法も視野に入れてみましょう。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、テニス肘を改善するためのさまざまな治療法に対応しています。ぜひ一度ご相談ください。

関連記事:トミージョン手術について

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ

 

この記事の監修医師


藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック  院長 渡邉 順哉

■詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長

 

関節リウマチは治るの?検査から診断基準、治療までの流れをご紹介

年齢を重ねていくと身体のさまざまな部位に痛みや異常が見られ、不調を感じることが増えてきます。なかでも、特に中年期の女性に多いのが「関節リウマチ」という病気です。

本記事では、関節リウマチとはどういった病気なのか、治療によって完治させることは可能なのか、具体的な検査や治療の方法なども含めて詳しく解説します。

関節リウマチってどんな病気?

リウマチの正式な疾患名称は「関節リウマチ」と言います。英語表記ではrheumatoid arthritis、略してRAと表記します。では関節リウマチはどのような病気なのでしょうか。

関節リウマチをひとことで言うと、主に全身の関節に炎症が起きて痛みや腫れを生じ、進行すると関節の変形や機能障害をきたしうる病気ということになります。最近までの研究により様々なことが解明されてきました。しかしながら明確な病因はいまだに不明で、慢性、進行性、全身性の炎症疾患です。そのため、早期に診断し適切な治療を開始することが大切です。近年の関節リウマチの治療は飛躍的に進歩し、薬物治療により病気の症状がなくなり治ったような状態、「寛解」を多くの患者さんで目指すことが出来るようになりました。

また、長年の関節リウマチを患っている患者さんにおいても、適切な治療を受けることで、寛解または病気の炎症が低い状態で落ち着く低疾患活動性という状態を維持することが出来るとともに、関節リウマチに伴う合併症を少なくすることが可能です。

関節リウマチの原因

関節リウマチは、何らかの要因で免疫機能に異常をきたし、手や足の関節に痛みや腫れが起こる病気です。

私たちの体内には本来、細菌やウイルスが侵入してきたときに外敵から身を守る免疫とよばれる機能がありますが、免疫機能に異常が発生すると正常な組織まで外敵とみなし、自分で自分の体内組織を破壊してしまいます。

なぜ免疫機能の異常が発生するのか、明確な理由や原因はわかっていません

また、関節リウマチは比較的遺伝性は強くなく、家族や親族に病歴のある人がいたとしても必ず発症するものではありません。

▶︎肩腱板断裂の症状とは?原因や痛みを和らげる方法についても解説!

関節リウマチになりやすい人の特徴

詳しい発症原因がわかっていない関節リウマチですが、発症した人の共通項を探ってみると、一定の傾向や特徴が見えてくることがあります。

どういった人が関節リウマチになりやすいのでしょうか。

中年期の女性

関節リウマチの一番の特徴は、男性よりも女性のほうが圧倒的に発症リスクが高いということです。日本リウマチ友の会が公開している「2020年リウマチ白書」によると、人口1,000人あたりの発症者は男性が1.1人であったのに対し、女性は5.4人と約5倍の発症率となっています。

また、患者の年代別では30代から50代で発症する割合が高い傾向も見られました。

これはあくまでも統計上のデータであり、10代や20代といった若い世代でも稀に発症するケースがあります。

喫煙者

喫煙も関節リウマチに大きく影響していると考えられます。喫煙者と非喫煙者を比較した場合、喫煙者のほうが関節リウマチを発症する割合が高いことがさまざまな研究で明らかになっています。

さらに、喫煙は関節リウマチ以外にも、間質性肺炎といった深刻な合併症を引き起こすリスクもあります。

▶︎ぎっくり腰になる原因とは?症状のチェック項目と合わせて解説!

関節リウマチの初期症状から重症化について

関節リウマチは発症初期から重症化に至るまで、主に4つのステージに分けることができます。

ステージⅠ

初期段階のステージⅠでは、レントゲン画像で骨や軟骨の破壊は見られないものの、関節の潤滑油である滑液を作り出す滑膜が増殖している状態です。

ステージⅡ

中等期にあたるステージⅡでは、軟骨組織が徐々に破壊されていき、骨同士の隙間が狭くなってきます。

骨そのものにダメージはなく破壊もされていないため、強烈な痛みを感じることは少ないですが、これを放置しておくと症状の悪化を招きます。

ステージⅢ

高度進行期にあたるステージⅢでは、軟骨組織だけでなく骨も徐々に破壊されていきます。

レントゲン画像でも軟骨や骨の破損がわかるほどで、この頃から強烈な痛みを伴うようになります。

また、日常生活にも徐々に支障をきたすため、外出時などには介助が必要になります。

ステージⅣ

末期にあたるステージⅣでは、軟骨が完全になくなり、関節としての機能が果たせなくなります。膝や肘、足首など、関節を動かすことが難しく、外出時はもちろんのこと身の回りのことも一人ではできなくなり、日常生活においてつねに介助が必要になります。

関節リウマチかもしれないチェック項目

関節リウマチを発症すると、初期段階では多少の違和感があるだけで気づかないことも多いです。早期治療につなげ重症化を防ぐために、以下の項目をチェックしてみましょう。

  1. 手に”こわばり”が感じられる
  2. 日常生活に不可欠な動作がスムーズに
  3. 眠れないほど強い関節が痛みがある
  4. 関節に突っ張り感や腫れが現れている
  5. 重いものを持ったときや階段の上り下りで関節が痛む
  6. 手首を回す動作がつらく感じる
  7. 全身に倦怠感があり力が入らない
  8. 強い眠気がある

たとえば「倦怠感」や「眠気」のように、関節とは関係性が低いと思われることも、関節リウマチの初期症状として見られることがあります。

少しでも体調の違和感や異変を感じたら、まずは病院で診察を受けることが大切です。

関節リウマチは治る病気なの?

関節リウマチは基本的に完治が難しい病気とされています。「完治」とは、病気の治療を終えても症状が完全になくなった状態を指します。

関節リウマチの完治が難しい理由は、冒頭でも紹介した通り発症の原因が完全にわかっていないためです。原因がわからない以上、治療によって症状が緩和されたとしても再発の可能性があるのです。

関節リウマチの治療にあたっては、完治ではなく「寛解」を目指すのが一般的です。すなわち、病気の治療を続け症状を消失・緩和することで、それ以上の進行を抑え重症化を防ぐことができます。

▶︎骨粗鬆症の診断基準について|どんな検査をする?費用についても解説

関節リウマチの検査と診断基準について

関節の痛みや腫れを伴う病気は、関節リウマチ以外にもさまざまなものがあります。では、関節リウマチであるかを診断するにはどういった検査を行い、どのような基準で判断されるのでしょうか。

関節リウマチの検査方法

関節リウマチの検査は、主に触診や血液検査、急性炎症反応などの方法が用いられます。

関節に痛みや腫れなどの異常が認められる場合、さまざまな病気の可能性を探っても説明がつかない場合、上記の検査結果をもとに診断を行います。

関節リウマチの診断基準

腫れ・押したときに痛みを感じる関節の数(触診)

大きな関節 1カ所以下 0点
大きな関節 2〜10カ所 1点
小さな関節 1〜3カ所 2点
小さな関節 4〜10カ所 3点
1カ所以上の小さな関節を含む関節 11カ所以上 5点

血液検査

リウマトイド因子、抗CCP抗体どちらも陰性 0点
どちらかが陽性で、基準値の3倍以下 2点
どちらかが陽性で、基準値の3倍以上 3点

急性炎症反応

CRPと赤沈がともに正常 0点
CRPまたは赤沈が異常値 2点

滑膜炎の期間

6週未満 0点
6週以上 1点

関節リウマチの治療方法

関節リウマチの治療にはどういった方法があるのでしょうか。代表的なものをいくつかご紹介します。

薬物療法

薬物療法は、主に痛みや炎症の軽減を目的に用いられる治療法です。

抗リウマチ薬やステロイド、非ステロイド性抗炎症薬などの内服薬や、生物学的製剤(バイオ医薬品)を注射によって投与するケースもあります。

それぞれの治療薬には腎障害や肝障害、発疹、感染症といった副作用のリスクもつきまとうため、検査を受けながら最適な治療法を選択します。

リハビリ

運動療法や作業療法、理学療法などのリハビリテーションも関節リウマチの効果的な治療法です。

たとえば、手を握ったり開いたりする運動や、手首を上下左右に曲げる運動、膝関節を交互に曲げ伸ばす運動、首や方を上下に伸ばしたり左右に曲げたりする運動もあります。

手術

骨が破壊されるステージⅢ以上の関節リウマチに対しては、関節機能を回復させるために手術療法が用いられることがあります。

専用の特殊な器具を装着する人工関節置換術が代表的ですが、それ以外にも頚椎の変形を防ぐための関節固定術などもあります。

手術療法は長期の入院が必要なほか、リハビリにも長い時間を要するため、主治医と相談のうえ慎重に判断する必要があるでしょう。

関節リウマチでお悩みの方はイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックへご相談ください

生活習慣に気を配っていたとしても、加齢やストレス、ケガなどが原因で関節リウマチを発症するケースは少なくありません。

リウマチという病名はよく耳にする言葉ですが、発症する明確な原因はわかっておらず、完治が難しい病気でもあります。

そのため、関節リウマチが疑われる場合には、治療実績や経験・ノウハウが豊富で信頼できる医療機関を受診することが大切です。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、関節リウマチに悩む多くの患者さんの治療にあたっており、それぞれの症状や進行度に合わせた治療法に対応しています。

特に、高度進行期以上の場合は手術療法が選択されるケースも多いですが、整形外科クリニックによっては手術に対応できず、ほかの医療機関を紹介される場合もあります。イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、薬物療法から手術療法まで幅広い治療法に対応できるため安心です。

まとめ

今回紹介してきたように、手足の関節に痛みや腫れ、違和感、全身の倦怠感などがある場合、関節リウマチを発症している可能性があります。

現段階において関節リウマチの完治は難しいですが、初期段階に病気が発見できれば早期の治療によって症状の進行を遅らせ、寛解することも十分可能です。

膝や肘などさまざまな部位の関節に痛みや腫れ、違和感がある場合には、できるだけ早めにイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックまでご来院ください。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ

 

この記事の監修医師


藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック  院長 渡邉 順哉

■詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長

 

膝に水がたまったら自然治癒するの?放置するリスクや対処法を解説

太り過ぎや激しいスポーツなどが原因で、膝に水がたまり激しい痛みをともなうことがあります。このような症状は珍しいものではなく、一度は耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

膝に水がたまった場合、放置せずに医療機関で診察を受けることが基本といえますが、なかには自然治癒するケースも存在します。

どのような場合に自然治癒するのか、治療をせずに放置しておくことでリスクはないのか、正しい対処法なども含めて詳しく解説します。

膝に水がたまる身体の仕組み

太り過ぎや激しいスポーツなどは膝の関節に大きな負担を与え、激しい痛みを伴うことがあります。また、加齢によって長年膝を酷使し続けていると、徐々に負担が蓄積していき膝の痛みを生じさせるケースも少なくありません。

膝関節に激しい痛みを伴う場合、関節液とよばれる液体がたまっていることが多くあります。関節液とは、関節部分がスムーズに動くよう潤滑油のような役割を果たしており、滑膜とよばれる薄い膜から少量分泌されています。

しかし、関節に大きな負担が生じ軟骨や半月板などが炎症を起こすと、滑膜から関節液が過剰に分泌されることがあります。通常、関節液の分泌量は3ml程度ですが、炎症を起こすと最大60ml以上まで増加します。

これがいわゆる「膝に水がたまった」状態であり、膝の突っ張り感や痛みを感じる原因に直結するのです。

関連記事:膝を曲げると突然痛い!原因と治し方を外側・内側別に徹底解説

膝に水がたまったら自然治癒する?

膝に水がたまった場合、整形外科を受診し注射器で水を抜いてもらうことで痛みや腫れぼったさが大幅に緩和されます。

しかし、膝関節の状態によっては自然治癒するケースがありますが、ある期間放置したからといって治るとも限りません

上記でも紹介したように、膝に水がたまるのは炎症によって関節液が過剰に分泌されることが原因になります。そのため、膝関節の炎症が鎮火すれば、自然と関節液の過剰分泌は治まり、徐々に関節液は関節外へ移動するため、関節液の減っていきます。

反対に考えれば、根本原因である炎症を抑えない限りは自然治癒が見込めないほか、水を抜いて一時的に症状が緩和されたとしても、再び関節液が過剰に分泌されることになります。

たとえば、ダイエットをして体重が減ったものの、膝の痛みが治らないという場合には、自然治癒が見込めない可能性もあるため整形外科を受診し炎症を抑える治療が必要です。

膝に水がたまった時に放置するリスクについて

膝に水がたまったとしても、自然治癒する可能性があるということは、しばらく様子を見ておいても良いのではないか?と考える人もいるかもしれません。

しかし、1週間以上にわたって長引いていると、炎症が慢性化し、その炎症により炎症性サイトカインとよばれる物質が大量に関節内に放出され、それに伴い関節内の軟骨や半月板を傷めていきやすくなります。

このように、膝に水がたまった場合には治るか治らないのか分からない状態で、自然治癒に任せるのではなく、まずは整形外科を受診し水を抜いてもらったり、炎症を改善することが理想的な治療法といえます。

関連記事:膝の上が痛い人必見!原因や対処法・効果的なストレッチ方法を解説

膝に水がたまっているかもしれないサイン

日常生活で膝を酷使したり、激しい運動をしたりする機会が多かったり、膝に水が溜まったことが多い方にとっては、膝に水が溜まっていないか不安に感じることもあるでしょう。

膝に水が溜まっているかどうかは医療機関で検査を受けなければ正確な診断はできませんが、膝に水がたまっている可能性がある兆候や症状などをセルフチェックすることは可能です。

  1. 膝が腫れているような感覚がある
  2. 膝に圧迫感があり曲げづらい
  3. 正座ができない・しづらい

上記の自覚症状がある場合には、膝に水がたまっている可能性が高いため、医療機関を受診し検査を受けてみましょう。

膝に水がたまっているときはどんな検査・治療をするべき?

膝に水がたまった場合、まずは水を抜くことで膝関節の痛みや違和感が軽減され、楽になります。しかし、単に水を抜いただけでは症状が繰り返されてしまうため、根本原因である関節の炎症を治療し改善することが何よりも重要です。

膝に水がたまっている場合、どのような検査・治療法が有効なのでしょうか。

検査

レントゲン検査

レントゲン検査は整形外科で一般的にほぼ必ず行われている検査で、関節液が溜まる原因となるような変形性関節症がある程度進行している場合はレントゲン検査でも分かる場合があります。かなり関節液が溜まっているケースではレントゲンでも分かる場合がありますが、基本的には関節液の溜まりを判断するための情報は少ないのが弱点です。

エコー検査

最近普及してきた検査で、レントゲン検査に続いて行われることが増えてきました。MRIを取らずとも関節液の溜まりを明確に判断することができます。さらに注射器で抜くときにもできる限りエコー検査機を用いて抜くと確実に抜くことができます。欠点としては、膝の深い内部の状態を検査することができません。

MRI検査

膝の深部まで鮮明に診断することができる検査であり、関節液の溜まる原因となる変形性膝関節症や半月板損傷、靭帯損傷などの診断をするために必須の検査となります。

治療

リハビリ

膝に水がたまり痛みや違和感を覚えるようになると、自然と膝に負担がかからないような姿勢・動きになり、結果として膝の筋力が低下していくことがあります。

筋力が低下すると膝関節を支える力も弱くなり、安定して支えることが難しくなるケースもあるでしょう。

そこで、リハビリによって適切な負荷をかけ、膝関節を支える力を取り戻すことが大切です。正しい姿勢によって膝にかかる負担を均一化できれば、炎症が再発するリスクもなく本来の日常生活を取り戻すことができます。

ロコアテープ

ロコアテープとは消炎鎮痛剤であり、特に炎症によって関節の痛みを伴う場合に用いられます。湿布の一種で、内服薬や注射とは異なり、皮膚の上から貼ることで鎮痛成分が膝関節内部にまで浸透し、痛みを和らげてくれます。通常の湿布よりも炎症を強く抑える効果を持っています

集束型体外衝撃波治療

集束型体外衝撃波治療とは、超音波の10倍以上にあたる強力な振動エネルギーを当てることにより、痛みの伝達物質を減少させるとともに、組織修復作用も得られる治療法です。

体外衝撃波治療は特殊な医療機器が用いられ、専門の医療機関でしか治療を受けることができません。

1回あたりの治療時間はわずか数分から10分程度と短く、3〜5回程度の通院で1クールの治療が完了します

体外衝撃波治療には集束型と拡散型がありますが、集束型は痛みの原因となっている患部にピンポイントで精密に照射できより、膝の関節内の治療には高い効果が期待できます。

再生医療

再生医療とは、人が本来もっている修復機能に着目し、自己修復によって細胞や組織の再生を促す治療法を指します。

膝に水がたまっている場合に有効な再生医療としては、血液から血小板とよばれる組織を抽出し、患部へ注入することで組織の再生を促すPRP治療や、培養した幹細胞を使った幹細胞治療など、さまざまな治療法があります。

膝関節の状態や患者本人の希望なども考慮したうえで、複数の選択肢のなかから最適な治療法が検討されます。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックは膝の痛みに特化した治療が可能

膝に水がたまり激しい痛みがあるとき、単に水を抜くだけではなく根本原因である炎症の治療が求められます。その際に重要なのは、信頼性が高く治療実績が豊富な整形外科を選ぶことです。

膝の痛みを緩和するための治療法は、ダイエットやリハビリなどが基本となることが多いですが、症状が進行している場合には上記で紹介した再生医療や集束型体外衝撃波治療なども検討する必要があります。

対応できる治療法が豊富な整形外科は、さまざまな患者のニーズや要望に応えることができます。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、膝の痛みに特化したさまざまな治療法が選択でき、再生医療や集束型体外衝撃波治療といった最新の治療にも対応しています。

また、理学療法士によるリハビリ指導や生活習慣の改善指導・アドバイスなども行っており、症状の再発を防ぐための対策も可能です。

まとめ

膝に水がたまるという症状は決して珍しいものではなく、特に太り過ぎや激しいスポーツ、加齢などによって起こるケースが典型的です。

自然治癒をするケースもありますが、長期間にわたって放置しておくと症状が悪化していくリスクもあります。

そのため、膝が腫れた感覚や圧迫感がある、膝の曲げ伸ばしが窮屈に感じるようになってきた場合には、一度膝に詳しい整形外科で検査を受け、必要に応じて水を抜いてもらうことで症状が緩和されるはずです。

ただし、膝関節の炎症を防ぐための対策や治療を行っていないと、一定期間が経過した後に再発する可能性もあるため、適切な治療をしてくれる信頼性の高い整形外科を受診しましょう。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ

 

この記事の監修医師


藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック  院長 渡邉 順哉

■詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長

 

 

半月板損傷でやってはいけないこととは?早く治す方法も解説!

膝に強い痛みを感じたり、違和感を覚える場合には半月板損傷である可能性があります。

スポーツ選手などが発症するイメージの多い半月板損傷ですが、一般の人であってもリスクは潜んでいます。

半月板損傷が疑われる場合には、早急に医療機関で診てもらうことが大切ですが、悪化を防ぐためにも治療中やリハビリ中にやってはいけないことがあります。

どのような点に注意すべきなのか、詳しく解説しましょう。

半月板損傷になったらやってはいけないこと

 

膝の痛みや違和感を覚え医療機関を受診すると、さまざまな検査が行われた後に「半月板損傷」と診断されることがあります。

また、膝に圧迫感を覚え曲げ伸ばしがしにくいなど、半月板損傷が疑われる症状が現れる場合もあるでしょう。

このようなとき、半月板損傷を悪化させないためにも、やってはいけないNG行動があります。

膝への過度な負荷

1つ目は、膝に過度な負荷をかけることです。たとえば、痛みを我慢して激しい運動をする、重いものを持ち運ぶ、階段の登り降りを繰り返すなどの行為が挙げられます。

このような強い衝撃や圧力が加わると、半月板損傷がさらに悪化し歩行や膝の曲げ伸ばしそのものが困難になることもあります。

膝を無理に曲げる・伸ばす

膝に違和感を覚えると、少しでも症状を緩和しようとストレッチをする人もいます。しかし、あまりにも強い力で無理に曲げたり伸ばしてしまうと、こちらも重症化することがあるのです。

関連記事:膝を曲げると突然痛い!原因と治し方を外側・内側別に徹底解説

半月板損傷は自然治癒する?

すり傷や軽度の外傷などは特別な治療をしなくても自然治癒することがあります。しかし、半月板損傷の場合は自然治癒することはなく、適切な治療をしない限り一生治らない病気です。

しかも、治療をせずに長期間放置していると、変形性膝関節症とよばれる病気を発症し、状態がさらに悪化していくことも多いのです。

変形性膝関節症とは、膝関節にある軟骨が徐々にすり減っていき、関節そのものが変形する病気のことです。一般的には肥満や激しい運動のしすぎ、加齢にともなう軟骨の老化などが原因となることが多いのですが、半月板損傷が引き金となって発症するケースも少なくありません

さらに症状が進行していくと激しい痛みを伴うようになり、やがては歩行そのものが困難になることも考えられるでしょう。最悪の場合、人工関節置換術といった手術をしなければならなくなります。

関連記事:膝の裏が歩くと痛いのはなぜ?痛みの目安やストレッチ方法も紹介

半月板損傷を放置する危険性

半月板損傷から変形性膝関節症へと進行しなかったとしても、治療をせずに放置しておくと症状は悪化していき、やがて重篤な状態に陥ります

はじめのうちは軽い膝の痛みや腫れ、膝関節なズレるような感覚を覚えることが多く、日常生活に支障をきたすほどではありません。

しかし、徐々に痛みは強くなっていき、長時間の歩行やランニング、階段の登り降りができなくなります。また、人によっては歩行そのものが難しくなり、やがては膝の曲げ伸ばしが不能になる「ロッキング」とよばれる状態に陥る場合もあります。

ここまで重症化すると手術のほかに治療手段が選択できなくなり、将来的に変形性膝関節症と同様に人工関節置換術の手術を受けなければならなくなることもあるのです。

そのため、少しでも膝に違和感や痛みを覚えたら、我慢したり整体や整骨院に行かず、まずは早めに整形外科で検査を受け、必要に応じて治療を始めることが大切です。

半月板損傷になったらサポーターをつけたほうが良い?

半月板損傷の治療にあたっては、症状が軽度の場合保存療法が用いられることがあります。保存療法とは、患部に大きな負荷を与えずに安静を保つ治療法であり、これと並行して適切な理学療法士とのマンツーマンのリハビリテーションや投薬などが行われます。

日常生活で気をつけているつもりでも、何らかの拍子で膝関節に無理な力が加わってしまったり、関節を捻ったりすることもあると思います。それらが原因で症状を悪化させないために、膝関節用のサポーターの装着を勧められる場合がありますが、基本的にはお勧めしていません。

強い伸縮性のバンドや金属が入っているような関節を固定する力が強いサポーターは一見安心感があり、靭帯損傷などの怪我の初期は必要ですが、慢性化した半月板損傷の痛みに対してサポーターを長期間使えば使うほど、人間自身が持っている自然のサポーターである膝周囲の筋肉が必要なくなり衰えていってしまいます

結果的に、サポーターを外すと膝が不安定になり一生サポーターが外せない膝になってしまう状態に繋がりかねません。

固定力の弱いサポーターは、長期間使用しても筋力低下を起こす危険性は少ないですが、そもそも温熱効果程度しかなく、半月板損傷の痛みについては気休め程度にしかならないため、急性期にも慢性期にも効果が乏しいため、お金を掛けるだけ無駄ということになります。

接骨院などでサポーターを勧められても安易に買わず、膝に詳しい整形外科専門医に相談してから買うか決めましょう。

関連記事:膝の痛みの場所別原因まとめ|突然ズキズキ痛むのは危険?

半月板損傷を早く治す方法

半月板損傷は基本的にMRI検査で確定診断をします。しかし、一般的に自然治癒が難しいことから、正式な診断を受けた場合には速やかに適切な治療を始める必要があります。

軽度の場合は保存療法が基本となることを紹介しましたが、これ以外にも有効な治療法は存在します。

再生医療

再生医療には、様々な治療法がありますが、最近徐々に認知度が高まっている2つの再生医療を紹介します。

患者自身の血液から組織を修復する物質を取り出し膝関節に注射する多血小板血漿療法という治療法と、脂肪などの一部の組織を取り出しそこに含まれる幹細胞を数千万倍に培養し、その幹細胞を膝関節に注射するというより効果的な再生医療です。

多血小板血漿や幹細胞治療によって損傷した半月板が修復されていき、痛みも緩和されます。

従来、半月板損傷の治療においてはリハビリやヒアルロン酸注射といった保存療法か手術の二択というケースが多かったのですが、再生医療の進歩によって、本来手術が必要であった状態であっても手術をしない治療法も選択できるようになりました。

集束型体外衝撃波治療

再生医療のほかにメスを入れない治療法として、集束型体外衝撃波治療があります。

これは超音波よりも強い振動エネルギーを膝関節に当てることで、痛みの伝達物質を減少させ症状を緩和するという治療法です。

一部の国では広く採用されていますが、新しい治療法ということもあり日本では対応できる医療機関が限られています。

日本では集束型体外衝撃波治療と似た、拡散型体外衝撃波治療というものがあり、機器の値段から拡散型の方がより普及していますが、拡散型は正しくは体外衝撃波ではなく圧力波と言われる衝撃波より弱い治療法になります。

当院では、体外衝撃波治療を集束型だけでなく拡散型の治療機器の両方とも治療の選択肢として選ぶことができますが、半月板損傷の痛みには拡散型ではなく集束型体外衝撃波でないと痛みを取る効果としては不十分です。

治療時間は3〜10分程度と短く、3〜5回程度の通院で治療は完了します。あくまでも物理的な振動エネルギーを照射するため、放射線のように人体へ悪影響を及ぼす心配は無くとても安全性の高い治療法になります。

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手術療法

保存療法や再生医療、体外衝撃波治療などの治療法は万能ではなく、半月板損傷の状態や進行状況によっては改善が難しいケースもあります。

そのような場合、最終手段として用いられるのが外科手術です。半月板損傷が著しい場合には、膝に小さな穴を開けて細い内視鏡を入れて行う関節鏡手術により半月板を縫合したり切除する手術が必要になります。

リハビリ

ご紹介した半月板損傷のいくつかの治療法を受けた終えただけでは完全に回復したとはいえず、痛みによる運動不足からくる筋力の低下やこれまでの半月板損傷の原因になるような悪い動きの癖などが残り、膝関節に負担が生じて再び同様の症状を発症したり、痛みの改善が乏しくなることもあります。

これを防ぐために重要なのがリハビリテーションです。

半月板損傷に詳しい理学療法士の指導のもとで行われるマンツーマンのリハビリでは、筋力の回復や正しいの膝の使い方の習慣付けによって膝への負担を軽減し、より痛みが改善したり、痛みが再発する可能性を減らすことができます。

また、リハビリは基本的に保存療法の一環として行われますが、手術後にも行うのが一般的です。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックは膝の痛みに特化した治療が可能

膝の痛みや違和感などの疑われる症状が見られたら半月板損傷を起こしていることは決して珍しいことではありません。そのため、レントゲンや超音波検査だけでなく、MRI検査まで行って診断をしてくれる膝の専門外来のある整形外科に、痛みを我慢せず早めに受診することが大切です。

また、万が一半月板損傷と診断された場合には、即座に治療を開始する必要があるため、信頼性が高くさまざまな治療法に対応できるを選ぶ必要があるでしょう。

たとえば、今回紹介した集束型体外衝撃波治療再生医療など、より幅広い治療選択肢を提案できる整形外科は国内を探してもまだまだかなり希少なのが現状です。また、保存治療を提案できる選択肢が少ないだけに、すぐに手術を勧められ総合病院などを紹介せざるを得ない整形外科も少なくありません。

手術以外の方法で、少しでも早く膝の痛みを緩和したい方は、イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックに一度ご相談ください。上記で紹介した幅広い治療法を個々の膝の状態に応じて適切にご提案させて頂いており、膝の痛みに特化した治療が可能です。

もちろん、検査・治療の結果、手術が必要な場合は技術・実績ともに信頼のできる提携病院を紹介させて頂くこともできます。

まとめ

半月板損傷は治療を放置しておいても自然治癒が見込めず、適切な治療を受けない限り一生治ることはありません。

そのため、過去に半月板損傷と診断された経験がある方はもちろん、少しでも膝に痛みや違和感がある方は、できるだけ早く膝専門外来のある整形外科を受診してMRI検査を受けたり、多角的な治療法を親身に提案してもらい、治療を実際に開始していくことが大切です。

半月板損傷の状態によっても最適な治療法は異なり、状態次第では手術をせずとも再生医療や集束型体外衝撃波治療などで十分痛みは取り除ける可能性が高くなります。

ただし、整形外科によっては治療法の選択肢がかなり限られてくる場合もあり、どのような治療法に対応しているのかを事前にホームページなどで調べておきましょう。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ

 

この記事の監修医師


藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック  院長 渡邉 順哉

■詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長

 

 

体外衝撃波は治療効果がない人はいる?適切な治療回数や痛みについて

整形外科の分野において、痛みや炎症の緩和を目的とした新たな治療法「体外衝撃波」が注目されています。しかし、体外衝撃波治療を受けた患者さんのなかには、「あまり効果が感じられなかった」という人も少なくありません。

体外衝撃波はどういった疾患・症状に適した治療法なのか、適切な治療回数や頻度、治療中の痛みや副作用なども詳しく解説します。

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体外衝撃波の治療効果について

体外衝撃波とは、その名の通り体の外側から衝撃波を与える治療法です。

日本国内ではもともと、腎臓・尿管結石の破砕のために用いられてきた治療法ですが、海外では腱板炎や腱付着部炎といった整形外科の分野でも採用されています。

日本でも体外衝撃波の効果が注目されるようになり、昨今では海外と同様に整形外科の分野でも採用するクリニックが増えてきています。

整形外科における体外衝撃波治療では、主に以下のような効果が期待できるとされています。

  • 痛み・炎症の緩和
  • 成長因子による修復
  • 骨・筋肉・腱・靱帯・皮膚の損傷の治癒を促進
  • 血流の改善
  • 筋肉の緊張緩和
  • 再生医療の効果向上

ちなみに、体外衝撃波による効果が期待できる体内の組織には、主に筋肉や骨、軟骨、靭帯、腱などが挙げられます

関連記事:体外衝撃波治療の効果とデメリットは?|適応疾患や頻度についても解説

体外衝撃波の対象となる疾患

体外衝撃波は具体的にどういった疾患の治療に用いられることが多いのでしょうか。整形外科で対象となる主な疾患を部位別に紹介します。

膝の疾患

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◆変形性膝関節症

膝の軟骨が損傷しすり減り関節内で炎症を起こし立ち上がり歩行で痛みを生じる病気です

◆半月板損傷

軟骨を守るために膝関節を内側外側それぞれ間に挟まっている三日月型のクッションが半月板で、損傷すると徐々に軟骨が傷み変形性膝関節症へと進行していきます

◆大腿骨内顆骨壊死

膝の内側の骨が腐って壊死してしまう病気で、骨粗鬆症やステロイド注射も原因の一つです。骨粗鬆症の治療の他、骨切りや人工膝単顆置換術の手術を行うのが一般的です。

◆膝蓋下脂肪体炎

膝蓋骨の下にある脂肪組織が炎症を起こすことで膝の曲げ伸ばしで膝の前側に痛みが生じる病気です

◆鵞足炎

膝を曲げる縫工筋、薄筋、半腱様筋が膝の内側やや下の脛骨の付着部で炎症を起こし痛みを生じる病気です

◆膝蓋腱炎・大腿四頭筋腱炎

ジャンパー膝とよばれることもありますが、膝の下部分に痛みや炎症が生じ、立ち上がる際に痛みを生じる病気です。

股関節の疾患

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◆変形性股関節症

多くが股関節臼蓋形成不全が原因で、股関節の軟骨がすり減り骨が変形し、炎症を起こし歩行などで痛みが生じる病気です。痛み止めやリハビリを行うのが一般的ですが、改善しない場合は人工関節置換術を行います。

◆股関節唇損傷

骨の形の異常で股関節のパッキンに当たる関節唇が損傷してしまう病気です。進行していくと変形性股関節症に進んでいきます。リハビリで改善しない場合は手術を行います。

◆大腿骨頭壊死

大酒飲みに多い病気で、大腿骨頭と言われる大腿骨の股関節部分の骨が腐ってしまう病気です。人工関節置換術が必要になることがあります。

足の疾患

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◆足底筋膜炎

足の裏にある足底筋膜とよばれる部分が炎症を起こす病気です

◆アキレス腱炎・アキレス腱付着部炎

アキレス腱が酷使されることで炎症や痛みを起こす病気です

◆モートン病

足の指の間を走っている神経が腫れて歩くと痛みが出る病気です

◆外反母趾・内反小趾

女性にとても多く、ハイヒールや扁平足や遺伝性が原因で足の趾が曲がって痛みを生じる病気です。

◆変形性足関節症

比較的珍しいですが、足首の軟骨がすり減って炎症を起こす病気で、足首の骨折などのあとに一部変形したまま治ったりすると長期的に起こりやすくなってきます。

いずれの病気もインソールや靴選びがとても大事になりますが、体外衝撃波治療もとても有効な治療法となります。

肘の疾患

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◆テニス肘(上腕骨外側上顆炎)・ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)

手首を動かすための筋腱の肘の上腕骨付着部に炎症を起こします。テニスやゴルフをする方の方がむしろ少なく、中年の男女ともとても多い病気です。

◆野球肘(外側離断性骨軟骨炎・内側側副靭帯損傷)

野球を本格的にやっている学生に多いスポーツ傷害です。外側と内側で全く違うタイプの傷害を起こします。

◆変形性肘関節症

比較的珍しいですが、骨折後に変形したまま治ると、徐々に軟骨がすり減って肘関節に炎症を起こし痛みが生じる病気です。基本的には薬物療法を行い、手術を行うことは稀です。

肩の疾患

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◆石灰沈着性腱板炎

中年女性に多く、原因不明で肩の腱に石灰が沈着することで炎症や強い痛みを引き起こす病気です。体外衝撃波治療や洗浄吸引療法、ステロイド注射などによって劇的に痛みは改善されます。

◆五十肩(肩関節周囲炎)

これも原因不明で中年以降の男女にとても多く、肩の動かした際の痛みや夜間痛を認めますが、石灰沈着性腱板炎よりは多少動かせるのが特徴です。痛み止めの内服や外用薬・注射・リハビリを行うのが一般的です。

◆肩こり(頚肩腕症候群)

成人以降の女性にとても多い病気で、悪い姿勢の習慣、筋力不足が原因になっていることが多く、外用薬・物理療法・リハビリを行うことが一般的です。

◆変形性肩関節症

比較的珍しいですが、加齢に伴い肩の関節の軟骨がすり減り炎症を起こす場合があります。薬物療法で痛みが取れない場合、人工関節置換術を行うことがあります。

◆肩腱板損傷

加齢に伴って肩を動かすための腱が部分的もしくは完全に断裂しやすくなります。断裂した場合、動かした時の痛みや夜間痛に悩まされることがあります。完全断裂の場合は手術を要する場合がありますが、部分断裂に関してはリハビリなどで治療を行うことが多いです。

手の疾患

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◆へバーデン結節・ブシャール結節

指の第1関節や第2関節の軟骨がすり減って炎症を起こして痛みを生じる、中年以降の女性にとても多い病気で、外用薬や物理療法で治療を行う場合が多いです。

◆ばね指・ドケルバン病(腱鞘炎)

色々な指を曲げる時に動かす腱の鞘の炎症で痛みを生じるのがばね指です。親指を伸ばす腱の腱鞘炎をドケルバン病と呼びます。注射や外用薬や物理療法で治療を行い改善しない場合は手術を行います。

◆CM関節症

親指のつけ根にあるCM関節の軟骨がすり減り炎症を起こして痛みが出る病気です。注射や外用薬や物理療法で治療を行い改善しない場合は手術を行います。

腰の疾患

◆筋筋膜性腰痛症

成人以降にとても多い病気で、姿勢の悪さや体幹の筋力不足や運動不足など様々な要因で起こります。痛み止めの内服や外用、注射、物理療法、理学療法士のリハビリを行うのが一般的です。

◆腰椎分離症

多くは学生時代にスポーツが原因で腰椎の一部が疲労骨折してしまう病気で、なかなか自然治癒しにくいことが多く、長年に渡り腰痛の原因となります。

骨折

骨折部位が正常にくっ付かず、痛みがいつまで経っても良くならないものが「偽関節」と呼ばれます。繰り返し外力が骨が徐々にダメージを与え起こる「疲労骨折」にも体外衝撃波治療が有効です。

肉離れ・筋・腱・靱帯損傷

スポーツで起こした肉離れや筋損傷は自然と治癒しますが、瘢痕や痛みが残る場合があります。

以上、体外衝撃波治療の適応の病気をたくさん紹介しましたが、多くは保険適応の保存治療を行いますが、なかなか良くならない場合は体外衝撃波治療も検討してみるのはお勧めできる病気になります。

2種類の体外衝撃波治療

体外衝撃波治療には集束型と拡散型の2タイプがあります。一般的に多く普及しているのは拡散型体外衝撃波治療で、厳密には体外衝撃波ではないため、圧力波治療器と呼ぶように体外衝撃波学会から通達が出されています。集束型が本来の体外衝撃波治療ですが、機器が高額で保険適応も「難治性足底筋膜炎」のみとなるため、なかなか普及していません。

拡散型体外衝撃波は集束型体外衝撃波と比べるとパワーが弱くエネルギーも拡散して深部ほど弱くなってしまいます。組織修復能力は低く、深い部位の損傷に対しては向いていませんが、他の治療法と比べて痛みを大きく緩和することが可能な治療法です。

集束型体外衝撃波はより高エネルギー波で一点集中で損傷部位に当てることが可能で、関節内の病変など深部の損傷に対して痛みの改善に特に有効です。

体外衝撃波の適切な治療回数は?

整形外科における体外衝撃波治療は、一度の治療である程度の効果が実感できるケースもあれば、複数回にわたって通院が必要なケースもあります。

1回あたりの施術時間は拡散型は2~3分程度集束型は10分程度で、1~2週間程度の間隔を空けて3〜5回程度の治療を行うケースが多いです。

ただし、1回目で十分出力を上げて受けたのにも関わらず効果が認めない場合は、2回目以降で大幅に改善することは比較的少ないです。拡散型体外衝撃波で効果を実感できなかった場合は集束型体外衝撃波治療を受けることをお勧めします。

体外衝撃波に痛みや副作用はあるの?

どのような治療法であっても、患者さん本人にとっては治療中の痛みや副作用などのリスクが気になるものです。

拡散型体外衝撃波治療の場合、治療後に一時的に内出血や赤みが出る場合がありますが、短期間で消えるので心配ありません。

治療中は部位によっては、出力を上げるにつれて当てている部位に痛みが生じますが、麻酔なしでも十分に耐えられる程度の痛みで行います。

治療直後から生活動作に特に制限はなく、すぐに日常生活に戻ることができますが、治療当日や翌日以降に当てた部位に一時的に痛みが生じることがあります。

体外衝撃波治療で治療効果がない人とは

体外衝撃波治療は、痛みや炎症が広範囲にわたっているケースや、骨折の治癒不良や筋肉の凝りなどに効果が期待できます。

また、もともと体外衝撃波治療の治癒効果には個人差があり、同じような症状・病気であっても高い効果が出る人もいれば、たまにあまり効果が実感できない方もいらっしゃいます。

そのため、自分にとってどの治療法が適しているのかを医師に相談しながら、最適な治療法を選択することが大切です。

体外衝撃波治療で効果が得られなかった場合の治療方法

体外衝撃波治療を試みたものの、思うような効果が得られなかった、または治療適応外と診断された場合、どういった治療法が考えられるのでしょうか。代表的な2つの方法を紹介します。

ハイドロリリース

ハイドロリリースとは、別名「筋膜リリース注射」ともよばれる治療法です。肩こり、五十肩、腰痛などに効果を発揮します。初回は保険適応になっており、効果もかなり期待できるため、上記の病気と診断された場合は先にハイドロリリースを試してみるのもお勧めです。

▶︎ハイドロリリース専門外来(筋膜リリース注射、ファシア)の詳細はこちら

再生医療

再生医療とは、患者さん本人の血液や細胞を抽出・培養し、ふたたび体内に注入する治療法です。PRP療法や脂肪幹細胞治療といった治療法があり、いずれも副作用のリスクが低く安全性に優れているのが特徴です。

▶︎PRP療法の注射が膝や股関節に効果的な理由とは?副作用はある?

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックの体外衝撃波治療外来の特徴

体外衝撃波治療は整形外科の分野でも比較的新しい治療法であり、対応できる医療機関は限られています。近所に体外衝撃波治療を提供しているクリニックや病院が見つからない方は、イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックへご相談ください。

体外衝撃波治療専門外来はもちろんのこと、ハイドロリリース専門外来や再生医療専門外来なども設置しており、患者さんの状態や疾患に合わせてオーダーメイドでの治療を提供します。

これまでさまざまな治療を受けてきたものの、症状が一向に改善しないという方にも、整形外科専門医が診察のうえ最適な治療法を提案させていただきます。

▶︎イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックの体外衝撃波治療外来はこちら

まとめ

体外衝撃波治療は体のさまざまな部位の痛みなどに効果的で、痛みや炎症の緩和効果が期待できる革新的な治療法です。

副作用も少なく安全性にも優れていますが、自費の治療になってしまうというデメリットもあります。

最適な治療法を選択するためには、ハイドロリリースや再生医療などさまざまな選択肢も視野に入れながら、整形外科専門医の診察を受けることが大切といえるでしょう。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ

 

この記事の監修医師


藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック  院長 渡邉 順哉

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経歴

●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長

 

 

PRP療法の注射が膝や股関節に効果的な理由とは?副作用はある?

スポーツで身体に大きな負担がかかったり、加齢によって関節の機能が衰えたりすることで、膝や肩、股関節などに痛みが生じるケースがあります。

マッサージや投薬などの治療でも緩和できない場合には、再生医療の一種であるPRP療法がおすすめです。本記事では、PRP療法を行うことでどのような効果が得られるのか、気になる副作用や治療費なども詳しく解説します。

▶︎イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックの再生医療PRP療法はこちら

PRP療法とはどんな治療法?

PRPとは「Platelet-Rich Plasma」の略称で、「多血小板血漿(血小板が豊富な血漿)」のことを指します。

血小板は血液中に存在し、負傷によって身体の一部に傷などが生じると、血液の凝固と組織の修復によって自然治癒を促進する働きをもっています。

PRP療法は血小板の自然治癒力を利用する治療法であり、特に整形外科において多く用いられています。

PRP療法は患者自身の血液を使用し、以下の手順で行われます。

  1. 患者から少量の血液を採取
  2. 血液を遠心分離機にかけ、血小板が豊富な成分(PRP)とそれ以外に分離
  3. 抽出したPRPを患部に注射

PRP療法の注射を受ける効果やメリット

私たちの体内にはもともと自己治癒力が備わっていますが、そのような中でPRP療法を受けることでどのような効果・メリットがあるのでしょうか。

ケガからの早期回復

PRP療法は、患者自身の血液から血小板を抽出し治療を行います。血小板は自然治癒を促進するため、この治療法によって体内の治癒力が強化され、ケガや損傷からの早期回復につながる可能性があります。

高い安全性

PRP療法は患者自身の血液を使用することから、ステロイド注射などと比べると副作用がかなり低いとされています。

治療適用範囲が広い

血小板は全身の治癒プロセスをサポートする能力を持っていることから、PRP療法は関節痛や腱の損傷、筋肉の損傷など、さまざまな症状・疾患に対して使用されます。

関連記事:膝の再生医療にかかる費用や名医の探し方|保険適用はされる?

PRP療法の注射が効果的な疾患

さまざまな部位や症状に効果が期待できるPRP療法ですが、整形外科では具体的にどういった疾患に用いられることが多いのでしょうか。各部位の代表的な疾患の例を紹介します。

肩の疾患

加齢や肩のケガなどが原因となって生じる「変形性肩関節症」、腕の動きを支える肩腱板が損傷し、痛みや可動域の制限などの症状が現れる「肩腱板損傷」や、肩の軟骨が裂けたり、剥がれたりする「肩関節唇損傷」などにPRP療法が用いられます。

肘の疾患

肘の靭帯が伸びすぎたり、断裂したりした状態になる「肘靭帯損傷」や、肘の外側部分に痛みを生じる「テニス肘」、内側に痛みを伴う「ゴルフ肘」などの症状に対し、PRP療法を用いることで組織の修復を促進し、痛みや炎症の軽減につながることがあります。

股関節の疾患

股関節の軟骨がすり減り、炎症を起こすことで痛みが生じる「変形性股関節症」や、股関節の周囲のパッキンのような関節唇が損傷する「股関節唇損傷」、大腿骨の一部が腐ってしまう「大腿骨頭壊死」については、PRP療法が効果的です。

膝の疾患

膝関節の軟骨がすり減り炎症を起こすことで痛みを生じる「変形性膝関節症」や、軟骨を守るクッションにあたる半月板が裂けることで痛みや不安定感を生じさせる「半月板損傷」、膝の靭帯が伸びすぎて断裂する「膝靭帯損傷」などにPRP療法は効果的です。

足の疾患

スポーツなどでアキレス腱が酷使され、炎症を起こす「アキレス腱炎」や、立ち仕事や過体重、ランニングなどで足の裏面が炎症を起こす「足底筋膜炎」などにもPRP療法は効果を期待できます。

その他の疾患

筋肉の急激な伸縮によって筋繊維が断裂する「肉離れ」や「筋断裂」などに対しても、PRP療法を用いることによって筋繊維の早期修復を促し回復が見込めます。

関連記事:膝を曲げると突然痛い!原因と治し方を外側・内側別に徹底解説

PRP療法の注射に副作用やデメリットはある?

PRP療法は患者自身の血液から血小板を取り出し注射をするため、一般的には副作用やデメリットが少ないとされています。

ただし、完全に副作用がないとも限らず、以下の点に注意しなければなりません。

注射による痛み・腫れ

PRP治療は細胞成分を含むため、注射部位に一時的な痛みや腫れが発生することがあります。但し、当院で使用しているPRPは血小板などの細胞成分を除去して作っているため、注射後の腫れや痛みはほとんどありません。

治療費が自費

PRP療法は保険適用外のため、治療費は全額自己負担となります。PRPを製造する過程は特殊な設備と技術を必要とするため、治療費用は保険診療の数十倍以上の費用が掛かります。

PRP療法の注射をした後の経過について

通常PRP療法はヒアルロン酸注射に比べて注射後の痛みが長く持続しますが、日常生活へどの程度の支障が出るのか気になる方も多いでしょう。

PRP療法の場合、注射後の経過については個人差があるものの、一般的には1〜2日間程度は痛みや腫れが起こる場合があります。当院で提供させて頂いているものは、痛みや腫れははほとんど伴わないためご安心下さい。

PRP療法の注射をする頻度の目安

PRP療法を1回受けただけで、十分に痛みが消失する場合もありますが、必ずしも1回の治療で十分効くとは限りませんそのような場合、2回、3回と繰り返し注射を打って回復を目指す必要があるのですが、どの程度の頻度で注射が可能なのでしょうか。

PRPの種類によって大きく変わってきますが、当院で行う場合は1ヶ月から3ケ月間を空けて2回目、3回目の注射を行うことをお勧めしています。

関連記事:股関節の痛みで悩んでいる人必見|変形性股関節症の注意点を解説

PRP療法の注射にかかる費用

デメリットの部分でも紹介した通り、PRP療法は保険適用外の自由診療のため、注射にかかる費用は完全自費になります。

費用はPRPの種類によってバラバラで、1回あたり30万円、50万円といったところもあれば、投与する部位に応じて3万円や5万円と費用を抑えているところも存在します。

種類が全く違うため、安ければ良いというものでは全くないので気を付けなければいけません。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックの再生医療専門外来の特徴

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、再生医療専門外来を設置しており、「関節回復APS-FSW療法」を提供しています。これは当院独自の再生医療であり、独自の高濃度の成長因子を含んだ再生療法に加えて、集束型体外衝撃波を用いることにより、より強力な除痛効果と長期持続効果を得られやすくしたものです。さらには、注射後の痛みはほとんどないのはPRP療法にはないメリットがあります。

但し、採血から注射まで2~3週間の加工期間を要するため、その間は集束型体外衝撃波治療や消炎鎮痛薬やヒアルロン酸注射といった保存療法と組み合わせて行うことをお勧めしております。

▶︎イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックの再生医療PRP療法はこちら

まとめ

患者自身の血液から血小板を抽出した後、患部に注射をすることで自然治癒を促進するPRP療法は、副作用が極めて少なく安全性の高い治療法として注目されています。

一方で、注射後は一定期間にわたって痛みや腫れが続くほか、自由診療のため保険診療と比べると高級な治療法になります。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、独自の再生医療を提供しているため、早期回復を目指す方はぜひ一度ご相談ください。

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この記事の監修医師


藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック  院長 渡邉 順哉

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●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長