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【整形外科医監修】膝の上が痛い原因は?痛む場所と動作で分かるセルフチェックと受診の目安

※本記事は、整形外科専門医・イノルト整形外科 統括院長 渡邉順哉医師の監修のもと執筆しています。

階段の上り下りや椅子から立ち上がるとき、膝のお皿の上あたりがズキッと痛むことはありませんか?

スポーツをしている人だけでなく、運動習慣のない人にも起こりうる症状で、原因が分からないまま様子を見ている方も少なくありません。

膝の上の痛みは、腱や筋肉への負担、関節や滑液包の炎症、股関節や腰からの関連痛など、いくつかの仕組みで起こるとされています。

そこで本記事では、痛む場所と動作から原因の見当をつける方法と、整形外科を受診する目安を、整形外科医の監修のもと解説します。

Contents

膝の上が痛いのはどこの痛み?

膝の上の痛みを考えるうえでは、まず「どこが」痛んでいるのかを把握することが手がかりになります。はじめに、膝の上の範囲と関わる組織、そして痛みが起こる仕組みを解説します。

「膝の上」の範囲と痛みに関わる組織

一般的に「膝の上」と呼ばれるのは、お皿(膝蓋骨)の上縁から太もも前面の下部にかけての範囲です。痛む場所がお皿のすぐ上なのか、太ももに近い位置なのかによって、考えられる原因が異なります。

この範囲には、太もも前面の大きな筋肉である大腿四頭筋と、その筋肉をお皿につなぐ大腿四頭筋腱があります。お皿の裏側には太ももの骨と接する膝蓋大腿関節があり、お皿の上には摩擦をやわらげる袋状の組織である膝蓋上包(滑液包)が位置しています。

膝の上の痛みに関わる組織
  • 大腿四頭筋太もも前面の大きな筋肉
  • 大腿四頭筋腱大腿四頭筋をお皿につなぐ腱
  • 膝蓋大腿関節お皿の裏側で、太ももの骨と接する関節
  • 膝蓋上包(滑液包)お皿の上にある、摩擦をやわらげる袋状の組織

膝の上の痛みは、これらの組織のいずれかに負担や炎症が生じることで起こると考えられます。

なお、膝の裏側の痛みについては、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:膝の裏が歩くと痛いのはなぜ?痛みの目安やストレッチ方法も紹介

膝の上の痛みが起こる3つの仕組み

膝の上の痛みは、主に以下の3つの仕組みで起こるとされています。

  • 腱や筋肉への負担
    膝の曲げ伸ばしによって大腿四頭筋や腱が繰り返し引っ張られることで生じる痛み
  • 関節や滑液包の炎症
    軟骨のすり減りや滑液包の炎症によって生じる痛み
  • 股関節や腰からの関連痛
    膝以外の部位の不調が、膝の上の痛みとして感じられるもの

これらはひとつだけが原因とは限らず、複数が重なっている場合もあります。たとえば、年齢とともに関節への負担が増えているところに筋力の低下が加わり、痛みが出やすくなるケースも考えられます。

痛みが長引いている場合や、原因に心当たりがない場合は、自己判断で済ませずに整形外科で相談してみてください。

膝の上が痛い主な原因

膝の上の痛みは、腱や筋肉、関節や滑液包、そして膝以外の部位という3つの方向から原因を考えることができます。ここでは、それぞれの代表的な疾患と痛み方の特徴をご紹介します。

腱や筋肉への負担による痛み

膝を曲げ伸ばしするたびに、太もも前面の大腿四頭筋は膝を支えるために強く働きます。ジャンプや着地、階段の上り下り、しゃがむ動作が繰り返されると、筋肉やお皿につながる腱に負担が蓄積し、痛みにつながることがあります。

スポーツをする人に多い一方で、急に運動量が増えたときや、筋力・柔軟性が低下しているときにも起こりうる点が特徴です。

大腿四頭筋腱炎(大腿四頭筋腱付着部炎)

大腿四頭筋腱がお皿に付着する部分に炎症が起こる疾患です。お皿の上縁を指で押すとピンポイントで痛む、しゃがむ・ジャンプする・階段を上るときに痛むといった症状が見られることがあります。

ジャンプ動作の多いスポーツで起こりやすいことから、お皿の下側の腱に起こる膝蓋腱炎とあわせて「ジャンパー膝」と呼ばれることもあります。スポーツをする若い世代に多いとされますが、中高年で発症する場合もあります。

痛みを我慢して運動を続けると炎症が長引くことがあり、まれに腱が切れる(断裂する)可能性もあります。転倒や着地のあとに膝を自力で伸ばせない場合は、早めに医療機関を受診してください。

太もも前面の筋肉の張りや肉離れ

運動後に太もも前面から膝の上にかけて重だるさや痛みが出る場合は、筋肉の疲労や張りが関係していることがあります。

一般的な筋肉痛であれば、数日で軽くなることが多いですが、ダッシュや踏み込みの瞬間に「ブチッ」とした感覚とともに痛みが出た場合は、肉離れの可能性があります。

内出血や筋肉のへこみ、力が入りにくいといった症状がある場合は、筋肉痛と自己判断せずに受診をおすすめします。

関節や滑液包の炎症による痛み

膝の上の痛みは、筋肉や腱だけでなく、関節の内部や周囲の組織に原因があることもあります。お皿と太ももの骨の間にある軟骨のすり減りや、摩擦をやわらげる滑液包の炎症によって、痛みや腫れが生じる場合があります。

運動をしていないのに痛む、動き始めにこわばる、膝が腫れているといった場合は、こうした関節や滑液包の問題が関わっていると考えられます。

膝蓋大腿関節症

お皿(膝蓋骨)と太ももの骨(大腿骨)が接する膝蓋大腿関節で、軟骨がすり減って炎症が起こる疾患です。膝の上からお皿の周囲にかけての痛みとして感じられることがあります。

立ち上がりや階段の上り下り、しゃがむ動作で痛みが出やすく、動き始めにこわばりを感じることもあります。中高年の女性に多いとされますが、お皿の動き方の癖や筋力の低下によって、若い世代でも起こる場合もあります。

膝蓋上包炎(滑液包炎)

お皿の上にある滑液包(膝蓋上包)に炎症が起こり、痛みや腫れが生じる状態です。お皿の上がぷっくりと腫れる、押すと痛む、膝に水がたまったような感覚があるといった症状が見られることがあります。

膝の使いすぎや打撲などがきっかけになるとされています。まれに滑液包が細菌に感染することがあり、その場合は赤みや熱感、発熱を伴うことがあるため、速やかに医療機関を受診してください。

膝に水がたまる状態については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:膝に水が溜まるとはどういう状態?原因や症状について解説

変形性膝関節症や関節リウマチなどの関節疾患

膝関節全体の軟骨がすり減る変形性膝関節症では、膝全体の痛みの一部として、膝の上に痛みを感じる場合があります。

また、両膝が痛む、朝に関節がこわばる、手指などほかの関節にも腫れがあるといった場合は、関節リウマチなど免疫の異常による病気が隠れている可能性もあります。これらは血液検査や画像検査で確認するため、気になる症状があれば医師に相談してください。

関節リウマチと膝の症状については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:関節リウマチの症状は膝に出ることもある?変形性膝関節症との違いとは

股関節や腰からの関連痛

膝の上の痛みは、膝そのものではなく、股関節や腰の不調が原因になっている場合もあります。このように、原因となる部位から離れた場所に感じる痛みを関連痛(放散痛)といいます。

たとえば、変形性股関節症の初期には、股関節よりも太もも前面や膝の上に痛みを感じることがあるとされています。また、腰の骨や神経の病気によって、太もも前面に痛みやしびれが出る場合もあります。

膝以外を疑うヒント膝を押しても痛くない、膝を曲げ伸ばししても痛みが変わらないといった場合は、膝以外に原因がある可能性も考えられます。

股関節と膝の痛みの関係については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:股関節の不調で膝が痛む?痛みの連動メカニズムとセルフケア

痛む場所と動作で分かるセルフチェック

ここまでご紹介した原因には、痛む場所や痛みが出やすい動作にそれぞれ特徴があります。ご自身の症状に近いものを、以下の表で確認してみてください。

表は横にスクロールできます →
考えられる原因痛む場所痛みが出やすい動作押したときの痛み腫れ・熱感多いとされる人
大腿四頭筋腱炎お皿の上縁ジャンプ・しゃがむ・階段を上るお皿の上縁にピンポイントの痛みある場合もあるスポーツをする人
筋肉の張り・肉離れ太もも前面から膝の上運動後・ダッシュ・踏み込み筋肉に沿った痛み肉離れでは内出血を伴うことがある運動習慣がある人・急に運動量が増えた人
膝蓋大腿関節症お皿の周囲から膝の上立ち上がり・階段・しゃがむ・動き始めはっきりしないことが多い目立たないことが多い中高年・女性
膝蓋上包炎お皿の上(腫れを伴う)曲げ伸ばし・膝をつく腫れている部分が痛む腫れを伴いやすい年齢を問わない
股関節・腰からの関連痛太もも前面から膝の上歩く・立ち続ける・腰を反らす膝を押しても痛くないことが多い膝には目立たないことが多い中高年・股関節や腰に不調がある人

表に当てはまる項目は、あくまで原因の見当をつけるための目安です。複数の原因が重なっていることもあり、症状だけで原因を特定することはできないため、正確な判断には医師の診察による確認が必要になります。

痛みが続いている場合や、表のどれに当てはまるか分からない場合は、整形外科で一度相談してみてください。

膝の上の痛みを放置するリスクと受診の目安

膝の上の痛みは、軽いうちは休むと引くことも多いため、そのまま様子を見てしまいがちです。ここでは、放置した場合に起こりうることと、受診を考えるべきタイミングを解説します。

放置した場合に起こりうること

膝の上の痛みを我慢して同じ動作を続けると、炎症が長引き、痛みが慢性化する場合があります。初めは運動後だけだった痛みが、階段や立ち上がりなどの日常動作でも出るようになるケースも見られます。

また、痛む膝をかばって歩くことで、反対側の膝や股関節、腰に負担がかかり、別の部位の痛みにつながる可能性もあります。膝蓋大腿関節症や変形性膝関節症のように軟骨がすり減る病気では、負担のかかる生活が続くことで症状が進む場合があります。

頻度は高くないものの、腱の炎症を繰り返している状態で強い力が加わると、腱の断裂につながることもあります。痛みの段階で原因を確認しておくことが、悪化を防ぐ手がかりになると考えられます。

痛みを我慢して続けたときの流れ
  1. はじめ運動後だけ膝の上が痛む
  2. 我慢して続ける炎症が長引き、痛みが慢性化する
  3. 日常でも階段や立ち上がりでも痛むようになる
  4. 広がるかばう歩き方で、反対側の膝・股関節・腰にも負担がかかる

すぐに受診したほうがよい危険サイン

以下のような症状がある場合は、セルフケアで様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診してください。

早めの受診をおすすめする症状6項目開く閉じる
  • 膝の上が赤く腫れて熱をもっている、または発熱がある
  • 転倒やジャンプの着地のあと、膝を自力で伸ばせない
  • 痛みで体重をかけられない、歩くことが難しい
  • 安静にしていても痛む、夜間に痛みで目が覚める
  • 膝が引っかかったように動かなくなることがある
  • 太ももにしびれや力の入りにくさがある

赤みや熱感、発熱を伴う場合は、滑液包や関節に細菌が感染している可能性があります。膝を伸ばせない場合は腱の断裂、しびれや脱力がある場合は腰の神経の病気が関わっていることも考えられます。

これらは早い段階での診断と治療が望ましいとされる状態のため、我慢せずに受診をご検討ください。

様子を見てもよい目安と受診のタイミング

危険サインがなく、運動後にだけ軽い痛みが出て、休むと引くような場合は、負担を減らしながら自宅でのケアで様子を見ることも選択肢になります。

ただし、目安として1〜2週間ほどセルフケアを続けても痛みが改善しない場合や、日常の動作でも痛むようになった場合、良くなっては痛むことを繰り返している場合は、整形外科の受診をおすすめします。

自宅のケアで様子を見る目安
危険サインがない
運動後にだけ軽い痛みが出る
休むと痛みが引く
整形外科の受診をおすすめするとき
1〜2週間ほどセルフケアを続けても改善しない
日常の動作でも痛むようになった
良くなっては痛むことを繰り返している

「この程度で受診してよいのか」と迷う段階でも、原因を確認しておくことで、セルフケアを続けてよいかどうかの判断がしやすくなります。気になる痛みがある場合は、まずは整形外科で相談してみてください。

自宅でできる膝の上の痛みへの対処法

危険サインがなく、痛みが軽い段階であれば、自宅でのケアで膝への負担を減らすことが期待できます。痛みを悪化させないための基本的な対処法と、行う際の注意点をご紹介します。

  • 活動量の調整
    痛みが出る動作を控え、痛みのない範囲で動く
  • 冷やす・温める
    腫れや熱感の有無で使い分ける
  • ストレッチ
    太もも前面の柔軟性を保つ
  • サポーター・テーピング
    日常動作やスポーツ時の負担を減らす

負担を減らすための安静と活動量の調整

膝の上が痛むときは、まず痛みが出る動作を控えることが基本になります。ジャンプや深いしゃがみ込み、正座、長い階段の上り下りなど、膝を大きく曲げた状態で体重がかかる動作は、腱や関節への負担が大きくなりやすいです。

負担が大きくなりやすい動作
  • ジャンプ
  • 深いしゃがみ込み
  • 正座
  • 長い階段の上り下り
いずれも、膝を大きく曲げた状態で体重がかかる動作です。

ただし、膝をまったく動かさない状態が続くと、筋力や関節の柔軟性が低下し、かえって痛みが出やすくなる場合があります。痛みのない範囲で日常生活を送り、スポーツをしている場合は練習量や強度を一時的に落とすなど、活動量を調整することをおすすめします。

安静にすれば痛みが引くとは限らないため、休んでも改善しない場合は医療機関で原因を確認してください。

冷やす場合と温める場合の使い分け

膝の上を冷やすか温めるかは、痛みの状態によって使い分けます。

運動直後に痛みが出た場合や、膝の上に腫れや熱感がある場合は、炎症が起きている可能性があるため冷やすことが勧められています。

直接肌に当て続けると凍傷の原因となることがあるため、氷や保冷剤はタオルなどで包み、目安として15〜20分程度を当てるようにしてください。

一方、腫れや熱感がなく、慢性的なこわばりや重だるさがある場合は、入浴や蒸しタオルなどで温めると血流が促され、動かしやすくなることがあります。低温やけどには注意が必要です。

冷やす
こんなとき
運動直後に痛みが出た/膝の上に腫れや熱感がある
方法
氷や保冷剤をタオルなどで包み、15〜20分程度当てる
注意
直接肌に当て続けると凍傷の原因になる
温める
こんなとき
腫れや熱感がなく、慢性的なこわばりや重だるさがある
方法
入浴や蒸しタオルなどで温め、血流を促す
注意
低温やけどに注意する

どちらが合うか判断に迷う場合や、冷やしても温めても痛みが変わらない場合は、医師に相談してください。

太もも前面のストレッチ

太もも前面の大腿四頭筋が硬くなると、膝の上の腱や関節にかかる負担が大きくなると考えられています。腫れや熱感がない時期であれば、以下の手順でストレッチを行うことで、筋肉の柔軟性を保つことが期待できます。

  1. 転倒を防ぐため、壁や椅子の背もたれなどに片手をついて立つ
  2. ストレッチする側の膝を曲げ、同じ側の手で足の甲を持つ
  3. かかとをお尻にゆっくり近づけ、太もも前面が伸びている感覚を確認する
  4. 腰を反らさないように注意し、20〜30秒ほど呼吸を止めずに保つ

足の甲を手で持つ姿勢がつらい場合は、足首にタオルを引っかけ、タオルを引き上げる方法でも行えます。

ストレッチを中止する目安ストレッチ中に膝の上の痛みが強くなる場合は、すぐに中止してください。腫れや熱感がある時期に無理に伸ばすと、炎症を悪化させるおそれがあります。

サポーターやテーピング

サポーターやテーピングは、膝の動きを補助したり、お皿周囲の安定性を高めたりすることで、日常動作やスポーツ時の負担を減らす目的で使われます。

ただし、痛みの原因そのものを解消するものではないため、ほかのケアと組み合わせて活用することが大切です。

サポーターは、締め付けが強すぎると血流が悪くなったり、しびれが出たりすることがあります。長時間の着用で皮膚がかぶれる場合もあるため、肌の状態を確認しながら使用してください。

テーピングは、貼り方によって支え方が変わり、誤った方法ではかえって膝の動きを妨げることもあります。自己流で貼るよりも、医療機関で痛みの原因を確認したうえで、理学療法士などから症状に合った貼り方の指導を受けることをおすすめします。

自宅でのケアを続けても痛みが改善しない場合は、整形外科で痛みの原因を確認し、ケアの方法が合っているかどうかを相談してみてください。

整形外科での検査と治療の流れ

自宅でのケアで改善しない痛みや、原因がはっきりしない痛みは、医療機関で原因を確認することが解決への近道になります。整形外科で受けられる検査と治療の流れをご紹介します。

整形外科で行う主な検査

整形外科では、症状に応じて以下のような検査を組み合わせ、痛みの原因を確認していきます。

整形外科で行う主な検査5項目開く閉じる
  • 問診・触診いつから、どの動作で、どこが痛むかを確認し、押したときの痛みや腫れの有無を調べる
  • X線(レントゲン)検査骨の変形や関節のすき間の状態、お皿の位置などを確認する
  • 超音波(エコー)検査腱や滑液包の炎症、膝に水がたまっているかどうかを確認する
  • MRI検査X線では写らない腱や軟骨、筋肉の状態を詳しく確認する
  • 血液検査・関節液の検査関節リウマチなどの病気や、感染の有無を確認する

すべての検査を必ず行うわけではなく、症状や診察の結果によって必要な検査は異なります。股関節や腰からの関連痛が疑われる場合は、膝以外の部位を調べることもあります。

症状に合わせた主な治療法

膝の上の痛みに対する治療は、手術をしない保存療法が基本となります。多くは保険診療で行われ、痛みや炎症を抑えながら、膝に負担がかかりにくい状態を整えていく流れが一般的です。

どの治療が適しているかは、痛みの原因や程度、年齢、生活スタイルによって異なるため、医師と相談しながら決めていきます。

  • 薬物療法
    飲み薬・湿布・塗り薬で痛みや炎症を抑える
  • 注射療法
    関節液を抜く処置や、炎症を抑える薬・ヒアルロン酸の注射
  • リハビリテーション
    筋力強化やストレッチ、体の使い方の見直しで負担を減らす

薬物療法

痛みや炎症を抑えるために、消炎鎮痛薬の飲み薬や湿布、塗り薬が処方されます。痛みが強い時期の負担を軽くし、リハビリや日常生活を送りやすくすることが主な目的です。

飲み薬では胃の不快感や胃腸障害などの副作用が出ることがあり、持病がある方や、ほかに薬を服用している方は注意が必要です。湿布では、貼った部分のかぶれが起こることがあり、種類によっては貼った部位に日光が当たることで皮膚炎が起こる場合もあります。

なお、服用中の薬や持病がある場合、また副作用と思われる症状が出た場合は、医師や薬剤師に相談してください。

注射療法

膝に水がたまって腫れている場合は、注射器で関節液を抜く処置(穿刺)が行われることがあります。抜いた液の状態を調べることで、炎症や感染の有無を確認する手がかりにもなります。

炎症が強い場合には、炎症を抑える薬を注射することがあり、変形性膝関節症ではヒアルロン酸を関節内に注射する治療も行われます。通院回数や間隔は、注射の種類や症状によって異なります。

注射後は、刺した部分の痛みや内出血が出ることがあり、まれに感染が起こる可能性もあります。

また、炎症を抑える注射の一部は、繰り返し行うことで腱や組織に影響が出る場合があるとされ、回数や間隔には医師の判断が必要になります。

リハビリテーション

理学療法士の指導のもと、太もも前面や裏側、お尻の筋肉の筋力強化やストレッチ、立ち上がりや階段での体の使い方の見直しなどを行います。痛みを和らげるだけでなく、膝にかかる負担を減らし、再発を防ぐことを目的とした治療です。

通院の頻度や期間は症状によって異なりますが、目安として週1〜2回程度、数週間から数か月にわたって続けることが多いとされています。効果の現れ方や期間には個人差があります。

運動中に痛みが強くなることがあるため、無理のない負荷から始め、症状に合わせて内容を調整していきます。

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保存療法で改善しにくい場合の選択肢

薬物療法やリハビリなどを続けても痛みが改善しにくい場合は、保険診療以外の治療が検討されることがあります。

イノルト整形外科では、痛みの原因や症状に応じて、体外衝撃波治療、ハイドロリリース、再生医療といった治療を行っております。

体外衝撃波治療

体外衝撃波治療は、痛みのある腱や関節の周囲に衝撃波を当て、痛みの軽減や組織の修復を促すことを目的とした治療です。

狭い範囲にピンポイントで当てる集束型と、広い範囲に当てる拡散型があり、1回の照射時間は拡散型で約2分、集束型で約10分が目安で、日常生活への大きな制限は少ないとされますが、症状に応じて間隔をあけて複数回行うことが一般的です。

拡散型
当てる範囲
広い範囲に当てる
1回の照射時間
約2分が目安
集束型
当てる範囲
狭い範囲にピンポイントで当てる
1回の照射時間
約10分が目安

膝周囲の腱の炎症や変形性膝関節症など、長引く痛みに対して検討されることがあり、メスを使わず注射も行わない治療を希望する方の選択肢になります。

一方、妊娠中の方や照射部位に感染や腫瘍がある場合など、体の状態によっては受けられないことがあります。

また、照射中に痛みを感じることがあり、照射後に赤みや腫れ、内出血が出たり、一時的に痛みが強まったりする場合があります。

ハイドロリリース治療

ハイドロリリースは、エコー(超音波)で確認しながら、生理食塩水などを筋膜などの組織の間に注射し、組織の硬さや癒着をほぐすことで痛みの緩和を目指す治療で、ワクチン接種などで使われる比較的細い針を使用します。

膝の上の痛みでは、大腿四頭筋腱や膝蓋腱の周囲、太もも前面の筋肉の張りなど、筋肉や筋膜が関わる痛みに対して検討されることがあります。

注射の直後に痛みが軽くなる場合もあれば、1週間ほどたってから変化を感じる場合もあり、効果の現れ方には個人差があります。なお、関節内の炎症や感染が原因の痛みなど、原因によっては適応とならないこともあります。

注射部位の痛みや出血、内出血のほか、まれに神経の損傷などが起こる可能性があります。症状の改善が落ち着くまでは、1週間ごと程度に繰り返し行うことがあり、理学療法士によるリハビリとあわせて行うことをおすすめしています。

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再生医療

再生医療は、患者さん自身の血液や脂肪組織などを加工・培養したものを関節内に注射し、組織の修復や炎症の抑制を目指す治療です。

イノルト整形外科では、血液から成長因子を抽出・濃縮して用いる成長因子療法や、脂肪から採取した幹細胞を培養して用いる幹細胞治療などを行っています。

主な対象は、変形性膝関節症や半月板損傷など関節内の損傷です。膝の上の痛みでは、膝蓋大腿関節症や変形性膝関節症が背景にある場合に検討されることがあります。

治療は、採血または脂肪の採取を行い、専用の施設で1〜4週間程度かけて加工・培養したあと、エコーで確認しながら関節内に注射する流れです。

再生医療の流れ
  1. 採取採血、または脂肪の採取を行う
  2. 加工・培養専用の施設で1〜4週間程度かけて加工・培養する
  3. 注射エコーで確認しながら関節内に注射する

なお、採血や脂肪採取の部位に痛みや内出血が出ることがあり、注射後に一時的な関節の痛みや腫れ、まれに感染が起こる可能性もあります。

また、効果が現れるまでに数か月かかる場合や、複数回の治療を行う場合があり、効果の程度や持続期間には個人差があります。

膝の皿の上の痛みに対する治療法については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:膝の皿の上が痛い原因とは?突然の痛みや、疾患や治し方について解説

膝の上の痛みはイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックにご相談ください

膝の上の痛みは、原因によって適したケアや治療が異なるため、まず原因を確かめることが出発点になります。イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックの関節外来で受けられる診察と治療、相談の方法をご紹介します。

膝の上の痛みの原因を見極める診察

当院の関節外来では、整形外科専門医が問診と触診で、痛む場所や痛みが出る動作、腫れや熱感の有無を確認します。そのうえで、レントゲン検査やエコー検査を行い、必要に応じてMRI検査なども組み合わせて、痛みの原因を確認していきます。

関節外来での診察の流れ
  1. 問診・触診痛む場所、痛みが出る動作、腫れや熱感の有無を確認
  2. 画像検査レントゲン検査・エコー検査。必要に応じてMRI検査など
  3. 原因の確認膝だけでなく、股関節や腰の状態も含めて確認する

膝の上の痛みは、腱や筋肉、関節や滑液包だけでなく、股関節や腰が関わっている場合もあります。膝だけに目を向けるのではなく、股関節や腰の状態も含めて確認することで、セルフケアで様子を見てよいのか、治療が必要なのかを判断しやすくなります。

症状に合わせて選べる治療の選択肢

診察の結果をもとに、薬物療法や注射、理学療法士によるリハビリテーションといった保険診療を中心に、治療方針を検討します。

保存療法で改善しにくい場合には、体外衝撃波治療やハイドロリリース、再生医療などの自由診療も選択肢としてご提案いたします。

保険診療(中心)
薬物療法
注射
理学療法士によるリハビリテーション
自由診療を希望しない場合は、保険診療の範囲で治療を進められます。
自由診療(選択肢)
体外衝撃波治療
ハイドロリリース
再生医療
保存療法で改善しにくい場合にご提案します。

どの治療を選ぶかは、痛みの原因や程度だけでなく、仕事やスポーツへの復帰時期、通院のしやすさ、費用面の希望によっても変わります。

それぞれの治療で期待できること、リスクや副作用、費用、通院回数について説明を受けたうえで、医師と相談しながら治療方針を決めていただけます。また、自由診療を希望しない場合は、保険診療の範囲で治療を進めることも可能です。

膝の上の痛みが続いているものの、「この程度で受診してよいのか」「整形外科で何をされるのか分からない」と迷っている方も少なくありません。

当院では、受診を迷っている段階のご相談もお受けしておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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まとめ

膝の上の痛みは、主に腱や筋肉への負担、関節や滑液包の炎症、股関節や腰からの関連痛という3つの仕組みで起こると考えられますが、原因によって適したケアや治療が異なるため、痛みの正体を知ることが改善への第一歩といえます。

痛みの感じ方や回復のスピードには個人差があり、同じ膝の上の痛みでも、適した対処法は人によって異なります。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、整形外科専門医が膝だけでなく股関節や腰の状態も含めて痛みの原因を確認し、保険診療から自由診療まで、それぞれの治療のメリットやリスク、費用を説明したうえで治療方針を一緒に検討しています。

膝の上の痛みが気になっている方は、まずはLINE相談やWEB予約から、当院までお気軽にご相談ください。

この記事の監修医師

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
渡邉 順哉

経歴

  • 平成16年 鎌倉学園高等学校卒
  • 平成23年 東邦大学 医学部卒
  • 平成23年 横浜医療センター 初期臨床研修
  • 平成25年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
  • 平成26年 神奈川県立汐見台病院 整形外科
  • 平成28年 平成横浜病院 整形外科医長
  • 平成30年 渡辺整形外科 副院長
  • 令和元年 藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
  • 令和6年  イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 統括院長