圧迫骨折の原因を整形外科医が解説|主な原因と注意したい人の特徴は?
※本記事は、整形外科専門医・イノルト整形外科 統括院長 渡邉順哉医師の監修のもと執筆しています。

「転倒したあとに腰や背中が激しく痛み始めた」
「特に激しい運動をしたわけではないのに、背中が痛くて起き上がるのがつらい」
このように、腰や背中の痛みに直面し、なぜ骨折が起きてしまったのか不安を感じていませんか?
圧迫骨折(背骨の圧迫骨折)は、背骨(椎骨)が上下からの圧力によって押し潰されるように折れてしまう状態です。
高齢の方や閉経後の女性に多く見られる症状ですが、「特別な怪我をしていないのに折れる理由がわからない」「これからさらに骨折が増えるのではないか」と心配される方も少なくありません。
圧迫骨折を引き起こす要因は、単一のものではなく、「骨の強度の低下」と「背骨にかかる外力・負荷」が重なり合って生じるケースが一般的です。
この記事では、圧迫骨折が生じる主な原因をはじめ、特に注意したい方の特徴や見逃しやすい症状、早期受診の目安について分かりやすく解説します。
Contents
圧迫骨折の主な原因
圧迫骨折が起こる背景には、大きく分けて「骨密度の低下によるもの」と「交通事故や転落などの強い衝撃によるもの」の2つの要因が存在します。
骨密度の低下(骨粗鬆症)
圧迫骨折の原因としてもっとも大きな割合を占めるのが、骨の密度が低下して脆くなる「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」です。
骨粗鬆症によって骨の強度が低下すると、背骨が自らの体重や日常生活の軽微な負担に耐えにくくなります。
その結果、以下のような「ごく普通の日常動作」がきっかけとなって圧迫骨折を生じる可能性があります。
- くしゃみ・咳をする
- 転倒・尻もちをつく
- 重いものを持つ
- ベッドからの起き上がり
骨粗鬆症の背景には、加齢に伴う変化や閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)の減少、運動不足、カルシウム・ビタミンD等の栄養不足、喫煙や過度な飲酒習慣など、さまざまな要因が複雑に関与しています。
ただし、「骨粗鬆症であるからといって、必ずしも全員が圧迫骨折を起こす」というわけではありません。
適切な予防と管理を行うことで、骨折のリスクを抑えることが期待できます。
交通事故や転落など強い衝撃
骨密度に問題がない健康な若い世代であっても、骨の強度を超える非常に強い外力が加わることで圧迫骨折を発症することがあります。
- 高所からの転落・落車
- 交通事故による激しい衝撃
- スポーツにおける激しい衝突や着地の失敗
また、すでに骨密度が低下している方の場合は、こうした強い衝撃を受けるとより高度に骨が潰れてしまったり、一度に複数の背骨(椎骨)へ骨折が及んでしまったりする可能性が高まります。
圧迫骨折に注意したい人の特徴
圧迫骨折は誰にでも起こり得るものですが、骨の状態や生活習慣によっては、より発症のリスクが高まる場合があります。
ご自身やご家族に当てはまる項目がないか確認してみましょう。
【骨や体の状態にかかわること】
- 骨粗鬆症と診断されている人
- 閉経後の女性や高齢の男性
- 過去に骨折をしたことがある人(特に背骨の圧迫骨折)
- 持病の治療でステロイド薬(※)を使用している人
※ステロイド薬の副作用によって骨の強度が低下しやすくなることがあります。自己判断で薬の服用を中止せず、骨への影響が気になる場合は、まずは主治医や整形外科にご相談ください。
【生活習慣にかかわること】
- やせ型の人や栄養が偏りがちな人
- 運動不足の人
- 喫煙や過度な飲酒の習慣がある人
上記の特徴に該当するからといって必ず圧迫骨折が起きるわけではありませんが、リスク要因を把握しておくことは早期発見や予防に役立ちます。
不安を感じる場合は、事前に整形外科で骨の状態をチェックしておくことが大切です。
関連記事:圧迫骨折の代表的な症状5つ|背中が痛い・身長が縮むは危険信号?
痛みが出る場合と痛みが出ない「いつの間にか骨折」
圧迫骨折の痛み方は、骨が潰れるスピードや発生の過程によって大きく異なります。
痛みの有無や強さだけで「軽症か重症か」を判断することは困難なため、最終的な決定は医師の判断を仰ぐことが必要です。
急に潰れて強い痛みが出るタイプ
転倒や尻もち、重い荷物を持ち上げた際など、急激に負荷がかかって骨が潰れた場合は、直後から激しい痛みが出現するケースが多く見られます。
特に、「ベッドから起き上がる」「寝返りを打つ」「腰を前後屈させる」といった動作の瞬間に強い痛みが走るのが特徴です。
急激な痛みが生じた際は無理に動かず、ただちに整形外科を受診してください。
関連記事:圧迫骨折をほっとくとどうなる?放置リスクと病院へ行くべきサイン
徐々に潰れて気づきにくい「いつの間にか骨折」
一方で、骨粗鬆症が進行していると、明確なきっかけがないまま自分の体重に耐えかねて骨が少しずつ変形・圧迫されていくことがあります。
これを「いつの間にか骨折」と呼ぶことがあり、痛みが全くないか、あっても「なんとなく腰が重い」程度で経過するケースが少なくありません。
しかし、「痛みがないから放置してよい」というわけではありません。
1箇所の背骨が潰れて変形すると背骨全体のバランスが崩れ、隣接する別の背骨にかかる負担が増加します。
その結果、ドミノ倒しのように2箇所目、3箇所目と次々に骨折が連鎖(骨折連鎖)してしまうリスクが高まります。
「最近背中や腰が丸くなってきた」「以前より身長が2〜3cm縮んだ」と感じる方は、痛みがなくても過去に圧迫骨折を起こしている可能性があるため、一度専門医の診察を受けることが望ましいといえます。
圧迫骨折が疑われるときの受診の目安
圧迫骨折は、放置してしまうと潰れた状態で骨が固まり、頑固な慢性腰痛や逆流性食道炎などの内臓疾患、歩行障害へと繋がるおそれがあります。
以下のようなサインが見られる場合は、できるだけ早めに整形外科を受診しましょう。
- 転倒や尻もちのあとに腰や背中が痛む
- 急に強い腰の痛みが出た
- 寝返りや起き上がりのときに痛みが強くなる
- 痛みはないが背中や腰の丸まり・身長の縮みが気になる
圧迫骨折の初期段階では、ご自身で単なる「腰痛」と区別することは容易ではありません。
気づかないうちに変形が進行するのを防ぐためにも、早めに検査を受けてください。
関連記事:圧迫骨折の治療法とは?保存療法と手術の違いと選び方を解説
腰や背中の痛み骨粗鬆症の不安はイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックへ
「ただの腰痛だと思っていたら骨折していた」「骨粗鬆症の検査を一度も受けたことがない」という方は、ご自身の骨の健康状態を正しく把握しておくことが重要です。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、腰や背中の痛みに対する精密な診察と、骨粗鬆症の早期発見・専門治療に注力しております。
- 詳細な画像診断による原因の把握:
レントゲン検査だけでなく、必要に応じて骨密度測定装置(DEXA法)やMRI検査、超音波検査を組み合わせ、痛みの本当の原因や骨の状態を詳しくお調べいたします。 - 二度目の骨折を防ぐ骨粗鬆症治療:
骨粗鬆症の治療における中心は、専門医による「骨吸収抑制薬」や「骨形成促進薬」などの注射や内服を中心とした薬物治療です。お一人おひとりの骨密度や代謝の状態に合わせ、適切な薬物療法をご提案します。 - 日常生活を支える総合的なアプローチ:
痛みの軽減に向けたサポートはもちろん、再発を防ぐための体幹筋力トレーニングや日常生活での姿勢指導など、「何歳になっても自分の足で快適に動ける身体づくり」を目指した医療を提供しています。
背中や腰の痛み、姿勢の変化や身長の縮みが気になる患者様・ご家族様は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
まとめ
圧迫骨折の原因について、重要なポイントを整理します。
- 主な原因:
もっとも頻度が高いのは「骨粗鬆症による骨密度の低下」であり、そこへ日常の小さな負荷や転倒などが加わることで発症する。 - 強い衝撃も要因:
交通事故や高所からの転落などでは、骨密度に問題がない世代でも発症する可能性がある。 - 痛みの出方はさまざま:
激しい痛みが出るタイプだけでなく、痛みが乏しいまま進行する「いつの間にか骨折」も存在する。 - 放置のリスク:
気づかないまま放置すると、変形が進行したり次の骨折(骨折連鎖)を引き起こしたりするリスクが高まる。
「年齢のせいだから」「痛みがそこまで強くないから」と様子を見続けず、一度ご自身の骨の状態を正確に確認しておくことが、将来の健康な生活を守る大きな一歩となります。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、背骨の状態や骨密度の精密な評価を行い、患者様一人ひとりに合わせた最適な予防・治療プランをご提供いたします。
腰や背中の違和感、転倒後の不安をお持ちの方は、ぜひ当院へご相談ください。
この記事の監修医師
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
渡邉 順哉
経歴
- 平成16年 鎌倉学園高等学校卒
- 平成23年 東邦大学 医学部卒
- 平成23年 横浜医療センター 初期臨床研修
- 平成25年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
- 平成26年 神奈川県立汐見台病院 整形外科
- 平成28年 平成横浜病院 整形外科医長
- 平成30年 渡辺整形外科 副院長
- 令和元年 藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
- 令和6年 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 統括院長
