圧迫骨折の代表的な症状5つ|背中が痛い・身長が縮むは危険信号?
※本記事は、整形外科専門医・イノルト整形外科 統括院長 渡邉順哉医師の監修のもと執筆しています。

「最近、背中や腰の痛みが続いていて心配」
「しりもちを突いたわけでもないのに、急に起き上がりがつらくなった」
「家族から背中が曲がってきたと指摘された」
このような背中や腰の違和感や姿勢の変化に不安を感じてはいませんか?
高齢の方や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)をお持ちの方の場合、転倒や大きな事故などのあきらかな原因がなくても、日常生活の中の小さな負担で背骨が押しつぶされる「圧迫骨折」を起こしてしまうことがあります。
この記事では、圧迫骨折の代表的な症状をはじめ、痛みをあまり感じないまま進行する「いつの間にか骨折」の特徴、注意したい受診のタイミングについて詳しく紹介します。
Contents
圧迫骨折はどのような状態?
圧迫骨折とは、主に背骨(脊椎)を構成する筒状の骨(椎体)が、縦方向からの力によって押しつぶされるように変形・骨折した状態を指します。
医学的には「脊椎圧迫骨折」などと呼ばれます。
背骨のなかでも、胸の骨(胸椎)と腰の骨(腰椎)のつなぎ目にあたる「胸腰椎移行部(きょうようついいこうぶ)」は構造上負担がかかりやすく、骨折が特に起こりやすい部位とされています。
通常、健常な骨であれば、交通事故や高所からの転落など大きな衝撃が加わらなければ骨折しません。
しかし、骨粗鬆症によって骨の密度が低下して脆くなっている場合、以下のような非常に軽微な力でも骨折を生じることがあります。
- 咳やくしゃみをした
- 重い荷物を持ち上げた
- 軽くしりもちを突いた
- 自分の体重による日常的な負荷(座る・立つなどの自重)
このように、圧迫骨折は特別な事故でなくても日常のちょっとした動作で起こりうる身近な病気です。
症状の特徴を知っておくことが、早期発見・早期治療につながります。
圧迫骨折の代表的な症状5つ
圧迫骨折の症状は、単なる「腰の痛み」だけではありません。
骨の変形に伴う姿勢の変化など、多様なサインがあらわれることがあります。
体を動かすときに強まる背中や腰の痛み
代表的な症状の一つが、体を動かした瞬間に背中や腰へ生じる激しい痛み(体動時痛)です。
- 寝返りを打つとき
- 布団から起き上がるとき、椅子から立ち上がるとき
- 前かがみの姿勢をとるとき
- 歩き始めの瞬間
こうした動作の際に強い痛みが走ることが多く、安静に横になっていると痛みが和らぐ傾向があります。
また、折れている骨の周囲を軽く叩くと響くような痛み(叩打痛)を感じるのも急性期の特徴です。
ただし、一般的な「ぎっくり腰」や「筋・筋膜性腰痛」と症状が似ているため、痛みの感じ方だけでご自身が圧迫骨折かどうかを区別するのは難しいケースも少なくありません。
背中や腰の曲がり・猫背
背骨(椎体)が押しつぶされて前側が薄く変形すると、背骨全体が前に傾くようになります。
その結果、背中や腰が丸くなり、「円背(えんぱい)」と呼ばれる強い猫背のような姿勢になることがあります。
ご本人は急な姿勢の変化に気づきにくいことも多く、同居するご家族が「最近背中が丸くなってきた」「姿勢が悪くなった」と先に変化に気づくケースも珍しくありません。
身長が縮む
潰れた椎体が元の高さに戻らないことや、複数の椎体が連鎖的に骨折を起こすことで、身長が以前より低くなる(数cm単位で縮む)ことがあります。
「若い頃と比べて身長が2cm以上縮んだ」「健康診断で身長の低下を指摘された」という場合は、自覚症状がなくても背骨の圧迫骨折が隠れている可能性があります。
下肢のしびれや痛み
潰れた背骨の一部が後ろ側に飛び出したり、周囲の神経を刺激・圧迫したりすると、お尻から太もも、足先にかけて「ピリピリとしたしびれ」や「引きつるような痛み(放散痛)」を生じることがあります。
この症状は、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の症状と非常に極似しているため、背骨の骨折が原因であると気づかれにくい側面があります。
慢性的な鈍い痛みや動きにくさ
骨折した直後の強い痛みが落ち着いた後も、壊れた骨がうまくくっつかない状態(偽関節)になると、背中や腰に重苦しい鈍痛や動作のしづらさが慢性的に残ることがあります。
痛みのために体を動かす機会が減り、筋肉量が落ちてさらに動きにくくなるといった悪循環に陥り、日常生活の質(QOL)低下につながってしまう恐れがあります。
痛みを感じない「いつの間にか骨折」とは?
「骨折=激痛が走る」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、圧迫骨折は必ずしも強い痛みを伴うとは限りません。
実際には、明らかな強い痛みを感じないまま骨折が進行するタイプのほうが多く存在します。
このように、本人が骨折したことに気づかないまま背骨が潰れていく状態は、一般に「いつの間にか骨折」と呼ばれています。
- なんだか背中が丸くなってきた気がする
- 身長が縮んだように感じる
- 腰のあたりにすっきりしない重苦しさがある
こうした症状は単なる「加齢によるもの」として見過ごされがちですが、実は「いつの間にか骨折」が進行しているサインである場合があります。
「いつの間にか骨折」は、別の理由で撮影したレントゲン検査で偶然発見されることも多くあります。
骨粗鬆症と診断されている方やご高齢の方は、「激しい痛みがないから安全」と自己判断せず、定期的な画像検査やチェックを受けることが大切です。
圧迫骨折になりやすい人の特徴
圧迫骨折を起こしやすい方には、いくつかの共通した特徴があります。
ご自身やご家族が当てはまるかどうかを確認してみましょう。
- 骨粗鬆症で骨がもろくなっている方
- 閉経後の女性(ホルモンバランスの変化で骨密度が低下しやすい)
- 糖尿病などの骨を弱くする内科疾患をお持ちの方
- 高齢の方
- 普段運動しない方
- 飲酒・喫煙習慣のある方
- 過去に骨折を経験したことがある方
上記に該当する方は、わずかな衝撃(くしゃみ、重い荷物の持ち上げ、軽い尻もちなど)でも骨折を引き起こす可能性が高まります。
また、先述の通り痛みが出ないまま骨折が多発してしまうリスクも高いため、該当する項目が多い場合は日頃から十分な注意が必要です。
こんな症状があれば受診を検討したいタイミング
症状の程度やあらわれ方によって、受診を検討すべきタイミングが異なります。
放置すると重症化するリスクもあるため、以下の基準を参考にしてください。
早めに受診したほうがよい症状
以下のような症状が見られる場合は、無理をせずできるだけ早めに整形外科を受診することをおすすめします。
- 寝返りや起き上がりが難しいほどの背中や腰の痛み
- 急な身長低下や姿勢の変化
- 足のしびれや力が入りにくい感覚
- 尿が出にくい、尿や便が漏れるなどの排泄のトラブルをともなう強い痛みやしびれ
特に「排泄トラブル(排尿障害・排便障害)」や「足に力が入らない状態」を伴う強い痛み・しびれがある場合は、背骨の中を通る重要な神経(脊髄や馬尾神経)が深刻な圧迫を受けている可能性があります。
これは翌日まで様子を見たりせず、直ちに救急あるいは整形外科を受診する必要がある危険なサインです。
自己判断が難しい理由
ご自身の症状だけで「圧迫骨折かどうか」を正しく見極めるのは極めて困難です。
痛みを感じないタイプが存在することに加え、単なる腰痛や加齢による筋力低下の症状と非常によく似ているためです。
骨折の有無や骨の状態を正しく把握するためには、医療機関でのレントゲンやMRIといった画像検査をうけることが欠かせません。
関連記事:圧迫骨折の治療法とは?保存療法と手術の違いと選び方を解説
圧迫骨折の症状にお悩みの方はイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックへご相談ください
「この腰の痛みは様子を見ていいのだろうか」「痛くはないけれど、姿勢が急に変わって不安」など、背中や腰の不調をご自身だけで判断するのは難しいものです。
特に骨粗鬆症が原因になっている場合、知らず知らずのうちに症状が進行してしまうことも少なくありません。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックは、「痛みの治療」と「骨粗鬆症の専門診療」に特化した整形外科クリニックです。
当院では、問診や視診に加え、高精度な骨密度測定器(DEXA法)やレントゲン、MRIなどの画像検査を駆使し、症状の原因がどこにあるのかを的確に見極めます。
痛みの原因を早期に発見し、適切なアプローチにつなげることで、骨折の進行や再発を防ぐ体制を整えております。
また、単に痛みを抑えるだけでなく、お一人おひとりの骨の状態やライフスタイルに合わせた治療プランをご提案し、患者様が「何歳になっても自分の足で動き続けられること」を目指して親身にサポートいたします。
背中や腰の痛み、姿勢や身長の変化でお悩みの方、あるいは「骨粗鬆症かもしれない」と不安をお持ちの方は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
まとめ
圧迫骨折の症状や注意点について、改めて重要なポイントを整理します。
- 主な症状:
動作時の激しい背中・腰の痛み、猫背などの姿勢の変化、身長低下、足のしびれ、慢性的な鈍痛など様々。 - 痛みのない骨折に注意:
あまり痛みを感じないまま進行する「いつの間にか骨折」もあり、「痛くない=骨折していない」とは限らない。 - 自覚症状での判断は危険:
通常の腰痛や加齢の症状と見分けがつきにくいため、確定診断にはレントゲンやMRIなどの画像検査が必須。
「ただの腰痛だろう」と放置してしまうと、骨の変形が進んだり、別の部位の骨折を引き起こしたりするリスクが高まります。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、痛みと骨粗鬆症の専門診療を行っており、精密な骨密度検査や画像診断による早期発見と、一人ひとりに寄り添った治療のご提案を行っております。
「いつまでも元気に動き続けたい」とお考えの方は、ぜひ当院までお気軽にご受診・ご相談ください。
この記事の監修医師
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
渡邉 順哉
経歴
- 平成16年 鎌倉学園高等学校卒
- 平成23年 東邦大学 医学部卒
- 平成23年 横浜医療センター 初期臨床研修
- 平成25年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
- 平成26年 神奈川県立汐見台病院 整形外科
- 平成28年 平成横浜病院 整形外科医長
- 平成30年 渡辺整形外科 副院長
- 令和元年 藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
- 令和6年 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 統括院長
