圧迫骨折の治療法とは?保存療法と手術の違いと選び方を解説
※本記事は、整形外科専門医・イノルト整形外科 統括院長 渡邉順哉医師の監修のもと執筆しています。

背中や腰に強い痛みを感じて受診した結果、「圧迫骨折」といわれたとき、「どんな治療をするんだろう」「手術しなければいけないのかな」と不安に感じていませんか?
圧迫骨折は高齢の方に多い怪我であり、ご本人はもちろんご家族の方が治療方針に迷うことも少なくありません。
この記事では、圧迫骨折の治療法と、保存療法や手術の違いについて解説します。
なお、症状や適した治療法には個人差があり、治療方針の判断には医師の診察が必要となるため、あくまでも参考としてご覧ください。
Contents
「圧迫骨折」とはどんな状態?
圧迫骨折は、背骨を構成する「椎体(ついたい)」が押しつぶされるように変形する骨折で、正式には「脊椎椎体骨折」と呼ばれます。
圧迫骨折で起こりやすい症状
圧迫骨折では、受傷直後に強い背部痛や腰痛が現れることが多く、寝返りや起き上がりなどの動作時に痛みが強くなる傾向があります。
骨がもろい状態では、強い衝撃がなくても椎体が変形することがあるほか、変形が進むと背中が丸くなる「円背」や身長の低下につながる可能性もあります。
圧迫骨折が起こる主な原因
圧迫骨折の主な原因には、骨粗鬆症による骨の脆弱化(ぜいじゃくか)が挙げられます。
骨密度が低下すると、転倒や尻もちなどの軽い衝撃でも椎体が変形しやすくなってしまいます。
なかには、くしゃみや荷物を持ち上げる動作でも負荷が生じる場合があるとされており、骨折そのものへの対応だけでなく、骨粗鬆症への対策もあわせて考えることが大切です。
原因や状態には個人差があるため、背中や腰の痛みが続く場合には、自己判断せず整形外科へご相談ください。
関連記事:骨粗鬆症の症状|前兆となる症状や予防のためにできること
圧迫骨折を治療せずに放置するとどうなる?
痛みが和らぐと「治った」と感じてしまいがちですが、適切な対応をしないまま経過してしまうと、さまざまなリスクが生じる可能性があります。
なお、経過には個人差があるため、すべての方に同じ影響が出るわけではありません。
偽関節になる
偽関節とは、骨がうまく癒合せず、不安定な状態が続くことをいいます。
圧迫骨折の一部では、数ヶ月経っても骨が固まらないことがあり、痛みの長期化や動作時の痛みの原因になり得ます。
骨折の連鎖が起きる
骨折の連鎖とは、骨粗鬆症が背景にあることで周囲の椎体にも負担がかかり続け、次々と骨折しやすくなることを指します。
連鎖を防ぐうえでは、一つの骨折を治すだけでなく、骨粗鬆症そのものへの対策を並行して行うことが重要です。
円背や身長の低下につながる
椎体の変形が進むと、背中が丸くなる「円背」や、身長の低下を引き起こすことがあります。
姿勢が変化することで、立ち座りや歩行がしにくくなるなど、日常生活への影響が生じる場合もあります。
こうした変化は一度進むと元に戻すことが難しいため、痛みが続く場合は様子を見続けず、整形外科で状態を確認することが大切です。
圧迫骨折の治療法
圧迫骨折の治療は、保存療法・手術療法・骨粗鬆症治療の3つに分類されます。
どの治療が適しているかは、痛みの程度や骨折の状態、年齢、全身状態などによって異なり、医師の診察にもとづいて判断されます。
保存療法
保存療法は、手術を行わずに骨の回復を目指す治療で、圧迫骨折で最初に検討される方法です。
安静を保ちながら、体幹装具(コルセット)による固定と、痛みに対する鎮痛薬の使用が中心になります。
コルセットの着用は一般的に3~4ヶ月が目安とされますが、個人差があるため、痛みが和らいだ段階で少しずつ動作範囲を広げていくのが一般的な流れです。
ただし、安静にする期間が長すぎると筋力低下につながる可能性があるため、進め方は医師と相談しながら決めることが大切です。
手術療法
手術療法は、保存療法で痛みが十分に改善しない場合などに検討されます。
代表的な施術として「経皮的椎体形成術」と呼ばれる低侵襲の手術があります。
低侵襲とは、手術や検査に伴う痛み、出血、身体へのダメージを比較的少なく抑えられる治療のことです。
| 手術名 | 概要 |
| PVP(Percutaneous Vertebroplasty) | つぶれた椎体に細い針を通して骨セメントを注入し、椎体を安定させて痛みの軽減を図る方法 |
| BKP(Balloon Kyphoplasty) | 骨セメントを注入する前に、まずは丈夫な風船を挿入して、潰れた椎体内を整えてから骨セメントを注入する方法 |
椎体の形を整えられる時期には限りがあるため、手術を検討する際は早めに医師へ相談する必要があります。
骨粗鬆症治療
圧迫骨折は骨粗鬆症が背景にあることが多く、骨折の治療と並行した対策が必要です。
骨粗鬆症の治療では、骨密度や骨の状態を検査したうえで、骨粗鬆症治療薬が用いられます。
あわせて、転倒予防や筋力維持を目的とした運動療法、栄養面への配慮なども組み合わせて検討されます。
効果の現れ方や進め方には個人差があるため、医師と相談しながら継続的に取り組みましょう。
関連記事:骨粗鬆症の治療は何をする?注射や薬の種類や治療期間を解説
保存療法と手術療法の違いと選び方
保存療法と手術療法は、目的や身体への負担によって検討されるケースが異なります。
保存療法と手術療法の違い
保存療法と手術療法の主な違いは以下のとおりです。
| 項目 | 保存療法 | 手術療法(経皮的椎体形成術など) |
| 治療内容 | ・安静にする ・コルセットで固定する ・鎮痛薬などの薬物療法 | 椎体への骨セメント注入による安定化 |
| 身体への負担 | 手術を伴わない | 低侵襲だが手術による負担を伴う |
| 検討されるケース | 多くの圧迫骨折で最初に検討される治療法 | ・痛みが長引く場合 ・偽関節が疑われる場合など |
| 回復・通院の目安 | 骨癒合まで数か月程度(個人差あり) | 入院や術後経過に個人差あり |
| 主なリスク | 長期安静による筋力低下など | ・骨セメント漏出 ・まれな合併症など |
どちらが適しているかは、骨折の程度や全身の状態によって異なり、最終的には医師への相談が必須です。
治療を選ぶときのポイント
治療方針を考えるうえでは、痛みの程度や経過、骨折や椎体の状態、年齢や全身の状態、これまでの治療歴、生活背景といったさまざまな要素が関わってきます。
特に、保存療法での痛みの和らぎ具合や日常生活への支障の程度、再骨折のリスクの程度などが判断材料になります。
ご本人やご家族の希望も含め、医師と相談しながら進めましょう。
圧迫骨折の治療で気をつけたいこと
ここでは、治療中に骨折の回復を妨げないために、意識して過ごしたいポイントを整理します。
動きすぎと安静のとりすぎに注意する
治療中は、自己判断で動きすぎたり、必要以上に安静を続けたりしないことが大切です。
痛みが和らいでくると活動を増やしたくなりますが、骨が十分に癒合する前に負担をかけると、椎体の変形が進む可能性があります。
一方で、長期間動かない状態が続くと、筋力が低下しさらなる怪我を生んでしまいます。
負担を抑えつつ、適切な時期に身体を動かすことが重要です。
医師や理学療法士の指導に沿って進める
どの程度であれば動いて良いのか、いつからリハビリを始めるのかといった判断は、骨折の状態によって異なります。
コルセットの着用方法や日常生活の注意点も含め、整形外科医や理学療法士の指導に沿って進めていきましょう。
骨粗鬆症の検査および治療を開始する
圧迫骨折の背景に骨粗鬆症がある場合、その検査と治療を始めることで再骨折の予防につながります。
たとえば、テリパラチド製剤などの骨形成促進薬を使うことで、骨折の連鎖を抑え、骨折部の骨癒合を促す効果が期待できる場合があります。
どのような治療が適しているかは、検査の結果や状態によって異なるため、医師に相談することが大切です。
新たな症状が出たときは早めに医師に相談する
痛みが強まったり、しびれなど新たな症状が出たりした場合には、無理をせず早めに医師へ相談してください。
こうした変化は、状態が変わっているサインの可能性があります。
普段から、気になる変化を感じたときにすぐ相談できる体制を整えておくことが大切です。
圧迫骨折でお悩みならイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックまでご相談ください
圧迫骨折でお悩みの方は、イノルト整形外科痛みと骨粗鬆症クリニックにご相談ください。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックは、その名のとおり痛みと骨粗鬆症に特化した整形外科クリニックです。
骨密度をはじめとする骨の状態の検査を行い、圧迫骨折の治療とあわせて、背景にある骨粗鬆症への対策や再骨折の予防、リハビリまでを一人ひとりの状態に合わせてサポートしております。
保存療法を重視しながら、状態に応じた治療方針をご提案いたしますので、治療に不安のある方もお気軽にお問い合わせください。
お電話のほか、LINEや公式サイトのお問い合わせフォームからもご相談いただけます。
まとめ
圧迫骨折は、背骨の椎体が押しつぶされるように変形する骨折で、多くは骨粗鬆症を背景に起こります。
治療せずに放置すると、偽関節や骨折の連鎖、円背や身長の低下につながることがあるため、早めの対応が大切です。
治療は、保存療法・手術療法・骨粗鬆症治療の3つに整理でき、コルセットや鎮痛薬による保存療法がまず検討されます。
どの治療が適しているかは骨折の状態や全身状態によって異なり、背景にある骨粗鬆症への対策も含めて、医師と相談しながら進めることが再骨折の予防につながります。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、圧迫骨折の治療と骨粗鬆症対策、リハビリを一人ひとりの状態に合わせて行っております。
痛みや治療に不安のある方は、まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修医師
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
渡邉 順哉
経歴
- 平成16年 鎌倉学園高等学校卒
- 平成23年 東邦大学 医学部卒
- 平成23年 横浜医療センター 初期臨床研修
- 平成25年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
- 平成26年 神奈川県立汐見台病院 整形外科
- 平成28年 平成横浜病院 整形外科医長
- 平成30年 渡辺整形外科 副院長
- 令和元年 藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
- 令和6年 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 統括院長
