変形性股関節症でやってはいけないこと|家事や入浴で気をつけたい動作を解説
※本記事は、整形外科専門医・イノルト整形外科 統括院長 渡邉順哉医師の監修のもと執筆しています。

家事や入浴のたびに股関節が痛み、「この動作を続けて大丈夫だろうか」と不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
変形性股関節症は、日常の何気ない動作で股関節に負担がかかり、痛みや進行につながることがあります。
特に家事や入浴には、股関節に負担をかけやすい動作が多く含まれているため、より一層注意が必要です。
この記事では、変形性股関節症の方が家事や入浴で気をつけたい動作と、その負担を減らす工夫を解説します。
なお症状や負担の感じ方には個人差があるため、つらい動作が続く場合は医師へご相談ください。
Contents
変形性股関節症で日常の家事や入浴がつらくなるメカニズム
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り、関節が変形していく病気です。
軟骨には神経が通っていないため、痛みを感じ始めたときはすでに周囲の組織まで負担が及んでいることも多々あります。
初期では、立ち上がりや歩き始めといった動作の開始時に、足の付け根に痛みを感じるようになります。
さらに症状が進行すると、関節の動く範囲が狭くなり、しゃがむ・またぐといった動作がしづらくなっていきます。
こうした可動域の制限が強まると、家事や入浴時の動きにくさにつながり、ふとした拍子に転倒したり、骨折してしまったりするケースも少なくありません。
関連記事:変形性股関節症の原因と治し方|初期症状や日常生活でできる予防策も解説
変形性股関節症で日常の家事や入浴がつらくなる理由
家事や入浴時につらさを感じる動作には、大きく分けて3つの共通点があります。
- 股関節を深く曲げる動作
- 股関節をひねる動作
- 片側に負担が偏る動作
家事や入浴の場面では、これらのいずれか、あるいは複数が組み合わさっているため、股関節に負担がかかりやすくなります。
どの動作がつらく感じるかは状態によって異なるため、痛みが強いときは専門医へご相談ください。
変形性股関節症の方が家事でやってはいけないこと
毎日の家事には、股関節へ負担をかけやすい動作がいくつも含まれています。
場面ごとに、気をつけたい動作と負担を減らす工夫について見ていきましょう。
なお、痛みの出方には個人差があるため、つらい作業は無理をせず、医師や作業療法士へご相談ください。
調理中の前かがみや長時間の立ち仕事
調理では、長時間の立位や低い位置での前かがみ姿勢が続きやすく、股関節に体重の負荷がかかり続けます。
負担を減らすには、調理台や作業台の高さを見直すことが有効です。
座ってできる作業は椅子を使い、こまめに休憩を挟みながら、無理をしない程度に行いましょう。
立つときはどちらか片方に体重を偏らせず、両足に均等に体重をかけるよう意識してみてください。
掃除中の深い前かがみやしゃがみ込み
掃除では、床の拭き掃除や低い場所での深い前かがみ、しゃがみ込みが股関節の負担になりやすい動作です。
こうした負担を避けるには、柄の長いモップやフローリングワイパー、ロボット掃除機など、立ったまま作業できる道具を活用するのがおすすめです。
浴室や窓の掃除にも、柄の長いブラシを使うと無理な姿勢を避けやすくなります。
洗濯物や重い荷物を片手で持つ
洗濯では、水を含んだ重い洗濯物を片手で持つ動作が、片側への負担につながります。
加えて、低い位置に置いた洗濯かごへかがみ込む動作も、股関節の負担になるでしょう。
対策として、荷物は両手に分けて持ち、片側だけに重さが偏らないようにすることが大切です。
洗濯かごは台の上に置き、物干し竿の高さを調節することで、かがむ動作や伸び上がる動作を減らせます。
こうした家事の工夫を取り入れても痛みが続く場合は、自己判断せず医師や理学療法士へご相談ください。
関連記事:変形性股関節症を悪化させないためにやってはいけないこととは?
変形性股関節症の方が入浴時にやってはいけないこと
入浴は、またぐ・しゃがむ・立ち座りといった、股関節に負担のかかる動作が集まりやすい場面です。
浴槽の出入りや洗い場での姿勢など、気をつけたい動作と工夫についてご紹介します。
なお、痛みの出方や浴室でのリスクには個人差があるため、つらいときは無理をせず、医療機関を受診してください。
浴槽に入るとき足を高く上げてまたぐ
浴槽に入る際、足を高く上げてまたぐ動作や、片足立ちになる姿勢は股関節への負担が大きくなります。
加えて、浴室の床は濡れて滑りやすく、転倒のリスクも高まります。
安全に出入りするには、身体を支えるための手すりを設置したり、浴槽のふちに渡して腰掛けられるバスボードを使ったりといった工夫が必要です。
床には滑り止めマットを敷き、転倒を防ぐ工夫も取り入れてみましょう。
洗い場でのしゃがみ込みや上体をひねる動作
洗い場では、低い風呂椅子へのしゃがみ込みや、身体を大きくひねる動作が股関節への負担になります。
負担を減らすには、座面の高い風呂椅子を使うと、立ち座りが楽になります。
背中や足を洗うときは、上体を無理にひねらず、椅子ごと向きを変えましょう。
柄の長いボディブラシを使うと、手が届きにくい部分も無理な姿勢をとらずに洗えます。
痛みが強いときの入浴
身体を温めることでこわばりが和らぐと感じる方もいらっしゃいますが、感じ方には個人差があります。
痛みが強い日の長湯は、かえって負担になることもあるため、シャワーのみで済ませる日や入浴時間を短めにする日など、その日の体調に合わせて選ぶことが大切です。
また、入浴で痛みが和らぐとはいえ、無理な姿勢で入浴を続けていては、症状の悪化につながりやすくなります。
温熱が症状に合うかどうかは状態によっても異なるため、痛みが続く場合や生活に支障を感じる場合は、我慢せず医師に相談しましょう。
関連記事:変形性股関節症の治し方はある?やってはいけないことや負担をかけない寝方を紹介
変形性股関節症を家事や入浴で悪化させないためのポイント
家事や入浴の工夫に共通するのは、股関節を「深く曲げない」「ひねらない」「片側に偏らせない」という考え方です。
これらの視点を踏まえ、症状の悪化を防ぐためのポイントを整理してみましょう。
痛みを我慢して動作を続けない
痛みを我慢して同じ動作を続けることは、負担の積み重ねとなり、炎症や症状の進行につながる可能性があります。
自己流の対処や、根拠の不確かな情報だけに頼ることは、悪化の兆候を見逃すことにもなりかねません。
また、和式トイレの使用や床に座る生活は、股関節を深く曲げる動作を伴うため、負担が大きくなりやすいという特徴があります。
この場合、洋式トイレや椅子・ベッドへ切り替えることで、立ち座りの負担軽減が期待できます。
医師への相談を検討する目安
工夫を取り入れても痛みが軽くならない場合は、整形外科への受診を検討する段階です。
特に、以下のようなサインがある場合は、症状が進行している可能性があるため、専門医に状態を診てもらいましょう。
- 安静にしていても痛む
- 夜間に痛みで目が覚める
- 関節の動く範囲が狭くなってきている
- 靴下の着脱がしにくくなった
なお、家事・入浴以外の禁忌事項や、寝るときの姿勢の工夫については、以下の記事でもご紹介しています。
日常生活で変形性股関節症を悪化させないためにやってはいけないことを詳しく見てみる
変形性股関節症でお悩みならイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックまでご相談ください
変形性股関節症でお悩みの方は、イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックにご相談ください。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックは、痛みと骨粗鬆症に特化した整形外科クリニックです。
股関節の痛みに対して、一人ひとりの状態や生活スタイルに合わせた治療やアドバイスを行い、日常生活の負担軽減をサポートしております。
痛みの原因や進行の程度は人によって異なるため、まずは状態を丁寧に確認したうえで、無理のない治療方針をご提案いたします。
「この痛みは相談すべきか迷う」という段階でも問題ありません。
気になる症状がある方は、LINEやお問い合わせから、お気軽にご相談ください。
まとめ
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減って変形していく病気で、家事や入浴のなかの「深く曲げる」「ひねる」「片側に偏る」動作が負担になりやすい特徴があります。
大切なのは、痛みを我慢して無理な動作を続けないことです。
道具や生活様式を工夫して股関節への負担を減らしつつ、工夫しても痛みが続く場合や、安静時痛・夜間痛などの変化があるときは、早めに専門医へ相談することが進行予防につながります。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、変形性股関節症の痛みに対して、一人ひとりの状態に合わせた治療とアドバイスを行っております。
股関節の痛みや進行に不安のある方は、まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修医師
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
渡邉 順哉
経歴
- 平成16年 鎌倉学園高等学校卒
- 平成23年 東邦大学 医学部卒
- 平成23年 横浜医療センター 初期臨床研修
- 平成25年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
- 平成26年 神奈川県立汐見台病院 整形外科
- 平成28年 平成横浜病院 整形外科医長
- 平成30年 渡辺整形外科 副院長
- 令和元年 藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
- 令和6年 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 統括院長
