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変形性股関節症の原因と治し方|初期症状や日常生活でできる予防策も解説

※本記事は、整形外科専門医・イノルト整形外科 統括院長 渡邉順哉医師の監修のもと執筆しています。

変形性股関節症の原因と治し方|初期症状や日常生活でできる予防策も解説

足の付け根に違和感があったり、以前よりも足が開きにくくなったりしていませんか?

それは、「変形性股関節症」の初期サインかもしれません。

変形性股関節症は、一度進行すると自然と元の状態に戻ることはありませんが、早期に治療を始めることで痛みの緩和や進行を緩やかにすることが期待できます。

この記事では、変形性股関節症が起こるメカニズムや日本人に多い原因、日常生活での注意点を分かりやすく解説します。

変形性股関節症で痛みや違和感が生じるメカニズム

股関節は、大腿骨(太ももの骨)の先端にある球状の「大腿骨頭」と、骨盤側の受け皿である「寛骨臼(かんこつきゅう)」で構成されています。

正常な状態では、数ミリの厚さの軟骨がクッションの役割を果たしていますが、これがすり減ることでさまざまな連鎖反応が起こります。

軟骨の摩耗とクッション機能の低下

加齢や骨格の影響で軟骨がすり減ると、関節の隙間が狭くなります。

クッション性が失われることで、歩行時などの衝撃が直接「骨」や関節を包む膜である「関節包」に伝わるようになります

関節内の炎症(滑膜炎)と痛みの発生

軟骨が摩耗する際に出る「削れカス」が、関節の内側にある滑膜(かつまく)を刺激します。

これによって関節内で炎症が起き、ヒリヒリとした痛みを生じたり、関節液が「水」として溜まったりする原因になります。

骨の変形と「骨棘(こつきょく)」の形成

軟骨が消失して骨同士が直接ぶつかるようになると、歩行時や階段の上り下りで強い痛みを生じるようになります。

また、刺激を受けた骨が反応し、トゲのような突起(骨棘)を作ります。

これがストッパーとなり、可動域が狭まって「足の爪切りがしにくい」「靴下が履きにくい」といった制限につながります。

周辺筋肉への負担と「連動する痛み」

股関節がスムーズに動かなくなると、お尻や太ももの筋肉が関節を支えようとして過度に緊張します。

その結果、お尻や膝などに「放散痛(ほうさんつう)」を引き起こし、歩き方が崩れることでさらに症状が悪化するという悪循環に陥ることもあります。

変形性股関節症の原因

変形性股関節症の発症には、生まれつきの骨の形状である「構造的要因」と、生活習慣による「環境的要因」が複雑に関係しています。

日本人に多い股関節の受け皿が浅い骨格(寛骨臼形成不全)

日本人の変形性股関節症の多く(約8割以上といわれています)は、股関節の受け皿が浅い「寛骨臼形成不全(かんこつきゅうがいけいせいふぜん)」が背景にあるとされています。

受け皿が浅いと、軟骨の狭い範囲に体重が集中しやすく、摩耗が進みやすい構造になっています。

肥満と加齢

構造的なリスクがある場合、以下の要因が加わることで、病状の進行を早める可能性があります。

  • 肥満:
    歩行時には、股関節に体重の3~4倍の負荷がかかります。数キロの体重増加であっても、構造的に弱い股関節にとっては大きな負担となります。
  • 加齢:
    年齢を重ねることで軟骨の弾力性が低下し、微細な損傷の修復が追いつかなくなることがあります。

筋力の低下

股関節を正しい位置で安定させるには、中殿筋(ちゅうでんきん)などのお尻の筋肉が重要です。

運動不足や加齢でこれらの筋肉が衰えると、関節の安定性が失われ、軟骨の摩耗を加速させる原因になります。

関連記事:股関節の付け根が痛む原因は?対処方法とおすすめストレッチを紹介

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変形性股関節症の「初期症状」とセルフチェック

軟骨自体には神経が通っていないため、痛みを感じ始めたときには、すでに周囲の組織に影響が出ている可能性があります。

以下のような症状が出ているときは、なるべく早めに整形外科を受診してください。

動き始めの違和感(スターティング・ペイン)

動作の開始時に鼠径部(足の付け根)に感じる「重だるさ」や「こわばり」は、変形性股関節症の典型的なサインです。

  • 朝、布団から起き上がるとき
  • 椅子から立ち上がって歩き出す瞬間
  • 長時間座った後に動こうとしたとき

日常動作のしにくさ(可動域の制限)

これまでは問題なくできていた動作が、徐々にできなくなっていくこともあります。

  • 靴下を履く
  • 爪を切る
  • 階段の上り下り
  • 和式トイレへの抵抗感

痛みの場所の変化

股関節そのものだけでなく、周囲に痛みが出ることもあります。

  • お尻や太ももの痛み:
    股関節を支える筋肉が過剰に緊張し、坐骨神経痛に似た痛みが出ることがあります。
  • 膝の痛み(放散痛):
    実は股関節が原因なのに、脳が「膝の痛み」として認識してしまうケースもあります。

関連記事:股関節の不調で膝が痛む?痛みの連動メカニズムとセルフケア

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変形性股関節症の悪化を防ぐ日常生活の注意点

日常生活での動作を見直すことで、股関節への負担を軽減し、進行の予防が期待できます。

股関節への負担を減らす「生活様式」の工夫

床に座る、布団で寝る、和式トイレを使うといった「床に近い生活」は、股関節を深く曲げる必要があり、負担が大きくなります。

椅子、ベッド、洋式トイレといった「欧米式の生活スタイル」を取り入れることが推奨されます。

重いものを持つ・運ぶなどの行為

重い荷物を持って歩くことは、股関節への直接的なダメージになります。

買い物ではカートを利用する、リュックを活用して左右のバランスを整えるなどの工夫が有効です。

股関節に負荷のかかる激しい運動を控える

ジョギングなどの衝撃が強い運動や、急な方向転換が必要なスポーツは、股関節に負荷がかかりやすいため避けましょう。

代わりに、水中ウォーキングなど浮力を利用した運動が適しています

体重の増加に注意する

体重管理は非常に重要なポイントです。

食生活を見直し、股関節にかかる物理的な負荷を減らすよう心掛けましょう。

寝るときの姿勢に注意する

寝ているときに痛みがある場合は、以下のように工夫してみると軽減される場合があります。

  • 仰向けで痛む場合:
    軽く足を曲げることで、痛みが緩和されます。膝裏にクッションを入れるなどして姿勢を維持するのが効果的です。
  • 横向きで痛む場合:
    両膝でクッションを挟んだ状態で寝ることで、股関節が内側に倒れ込むのを防ぎ、痛みを緩和できる場合があります。

関連記事:変形性股関節症の治し方はある?やってはいけないことや負担をかけない寝方を紹介

関連記事:股関節の痛みで悩んでいる人必見|変形性股関節症の注意点を解説

手術による変形性股関節症の治療法

保存療法で改善が見られない場合や、日常生活に著しい支障が出ている場合には、手術が検討されます。

手術には、それぞれ合併症やリハビリ期間、再手術のリスクなどの注意点があるため、医師と十分に相談して決定することが大切です。

  • 股関節唇縫合術+臼蓋形成術
  • 回転骨切り手術
  • 人工関節置換術

股関節唇縫合術+臼蓋形成術

進行期に入る前に、痛みの原因となる骨の出っ張りを整えたり、受け皿を補うために骨を移植したりする手術です。

回転骨切り手術

骨盤の一部を切り、回転させて受け皿の面積を広げる手術です。

骨を温存できる一方で、リハビリ期間が長く、高度な技術が必要です。

人工股関節置換術

変形した関節を人工のものに置き換える手術です。

痛みの軽減効果が高い一方で、インプラントの耐用年数や脱臼、感染症のリスクを伴います。

手術以外の変形性股関節症の治療法

近年では、手術以外の新しい選択肢も増えています。

保存療法

専門的なリハビリにより、筋力の強化や柔軟性の向上を目指します。

また、消炎鎮痛剤による薬物療法で痛みをコントロールします。

再生医療

自身の血液や細胞から抽出した成分を患部に注入し、自己修復力を活用して組織の修復を促したり、炎症を抑えたりする治療法です。

再生医療は、自由診療の範囲で行われます。

体外衝撃波治療

医療用に用いられる低出力の衝撃波を患部に照射し、痛みの伝達を抑えたり、組織の再生を促したりする物理療法です。

適応については診察が必要となるため、ご希望の方は医師へご相談ください。

関連記事:変形性股関節症は手術せずに治せる?再生医療とはどんな治療なのか

変形性股関節症でお悩みならイノルト整形外科痛みと骨粗鬆症クリニックまでご相談ください

「最近、股関節の調子が悪いな」と感じたとき、どこに相談すれば良いか迷うこともあるのではないでしょうか。

足の付け根の違和感や痛みは、放置すると歩行困難につながる恐れがあるため、早期の専門的な診断が欠かせません。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、患者様一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせたきめ細やかな診療を行っております

  • 専門医による精密な診断
  • 幅広い治療の選択肢
  • 「骨」のトータルケア
  • 相談しやすい環境

当院では、お忙しい方でもスムーズにご相談いただけるよう、公式LINEでのお問い合わせやご予約を受け付けております

「階段の上り下りがつらい」「将来、手術をしなければならないかが不安」といったお悩みも、LINEやお電話でお気軽にお寄せください。

まずは具体的な原因を突き止めるところから、二人三脚で治療をスタートしていきましょう。

まとめ

変形性股関節症の原因は、日本人に多い骨格の影響や加齢、体重増加など多岐にわたります。

初期の違和感を見逃さず、日常生活を見直すとともに、適切な治療を選択することが未来の歩行を守ります。

少しでも不安を感じた方、前述のチェックリストに当てはまる項目があった方は、イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックまでご相談ください。

痛みのない健やかな毎日を取り戻せるよう、スタッフ一同全力でサポートさせていただきます。

この記事の監修医師

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
渡邉 順哉

経歴

  • 平成16年 鎌倉学園高等学校卒
  • 平成23年 東邦大学 医学部卒
  • 平成23年 横浜医療センター 初期臨床研修
  • 平成25年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
  • 平成26年 神奈川県立汐見台病院 整形外科
  • 平成28年 平成横浜病院 整形外科医長
  • 平成30年 渡辺整形外科 副院長
  • 令和元年 藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
  • 令和6年  イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 統括院長