膝の裏が痛い!「ピキッ」という鋭い痛みの原因や治し方を解説
スポーツや日常生活の何気ない動作をしているときに、膝の裏に「ピキッ」とした鋭い痛みや違和感を覚えた経験はないでしょうか。
このような症状は関節に何らかの異常や疾患が生じているサインの可能性もあり、早期の検査・治療が必要となるケースがあります。
本記事では、膝の裏に痛みが走る原因や治療法について詳しく解説します。
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膝の裏を構成する組織
膝の裏にはさまざまな組織があり、これらによって膝関節のスムーズな動きと安定性を実現しています。
半月板
半月板は膝関節の内部にあるC字型の軟骨で、内側半月板と外側半月板がそれぞれ存在します。
膝にかかる衝撃を吸収し、負荷を均等に分散させる役割を果たしているほか、膝関節のスムーズな動きと安定を保つためにも欠かせない組織です。
滑膜
滑膜は関節を覆う薄い膜で、滑液とよばれる潤滑油のような体液を分泌し関節の滑らかな動きを保っています。
軟骨組織の摩擦を軽減する働きもある一方で、滑膜に炎症を引き起こすと滑液が異常分泌され、痛みや腫れの原因となります。
ハムストリングスの腱
ハムストリングスは大ももの裏に位置する筋肉群ですが、腱は膝の裏を通り、脛骨や腓骨につながっています。
ハムストリングスの腱は膝をスムーズに曲げる役割を持ち、歩行や走行時にも欠かせない組織のひとつです。
腓腹筋の腱
腓腹筋はふくらはぎの筋肉で、腱は膝の裏を通って大腿骨につながっています。
腓腹筋の腱は膝の曲げ伸ばしや、踵を上げる動作などに欠かせない組織です。
関連記事:変形性膝関節症の治し方とは|痛いのに放っておくとどうなる?
膝の裏の「ピキッ」とした痛みの原因
日常生活や運動をしていると、膝の裏に「ピキッ」とした感覚とともに痛みが現れることがあります。
このような場合、以下の疾患を発症している可能性が考えられます。
半月板損傷
膝をねじったり強い衝撃が加わった際に「ピキッ」とした痛みが走った場合には、半月板損傷の可能性が考えられます。
特に損傷部位が半月板の後方にある場合、膝の裏に鋭い痛みを感じることがあります。
半月板を損傷すると膝の痛みや腫れのほかにも、曲げ伸ばしの際に関節が引っかかるような感覚や可動域が狭くなるといった症状も現れる場合があります。
ベーカー嚢腫
ベーカー嚢腫とは、膝関節にある滑膜嚢が腫れて嚢腫を形成する疾患です。
主に膝の関節炎や半月板損傷などの疾患に伴って現れることが多く、特に膝の裏に痛みだけでなく大きな腫れが現れている場合にはベーカー嚢腫の疑いがあります。
ガングリオン
膝の関節を包んでいる関節包という袋の内圧が上がると関節包の弱い部分が膨らみ関節外にはみ出してできたものです。痛みを伴わない場合も少なくありません。
深部静脈血栓症
深部静脈血栓症とは、血管の内部に血栓とよばれる血の塊が形成される疾患です。
血栓が膝の裏の血管にできた場合、血流が阻害され「ピキッ」とした鋭い痛みや腫れが生じます。
血栓が臓器や脳にまで移動すると命に関わる危険もあるため、早急な治療が必要です。
腱の損傷
ハムストリングスや腓腹筋などの腱に大きな力や過度のストレスが加わると、腱が損傷し「ピキッ」とした鋭い痛みを感じることがあります。
運動のしすぎや急な方向転換、膝のねじれなどが原因で発症することが多く、特に強烈な痛みをもたらすことがあります。
膝の裏が「ピキッ」と痛くなった時の対処法
膝の裏に痛みを感じた場合、無理に運動を続けたり動かしてしまうと症状を悪化させる危険があるため、正しい対処法を覚えておきましょう。
安静にする
膝に鋭い痛みを感じたときには、無理をせず安静にすることが大切です。
たとえば、腱を損傷している状態で膝を無理に動かしてしまうと、腱の断裂を引き起こし歩行が困難になる可能性もあります。
膝に負担をかけないよう心がけ、検査や治療が終わるまでは安静な状態を保ちましょう。
アイシング
急性の痛みや腫れが見られる場合にはアイシングが効果的です。
アイシングは氷嚢やタオルで包んだ保冷剤を患部に当てる方法がおすすめです。
患部を冷やすことで血管が収縮し、炎症の悪化を抑え痛みを軽減できる可能性があります。
ストレッチ
軽いストレッチで筋肉を伸ばし、緊張を和らげることで痛みを緩和できる可能性もあります。
ただし、ストレッチが有効なのは筋肉や腱の緊張が原因の場合のみのため注意しましょう。
たとえば、筋肉や腱の損傷が原因の場合、ストレッチを行うことで血行が活発化し痛みや腫れが悪化するおそれもあります。
マッサージ
ストレッチと同様、筋肉や腱の緊張が原因で痛みが現れている場合には軽いマッサージも効果的です。
血行を改善することで筋肉の緊張をほぐし、痛みを軽減できる可能性があります。
テーピング・サポーターの使用
膝関節が不安定な状態で無理に動かしてしまうと、靭帯や腱の損傷が悪化するおそれがあります。
そこで、テーピングやサポーターを使って膝を固定し関節の安定性を保つことで、痛みの軽減と再発を防止できます。
整形外科の受診
膝の痛みの原因に心当たりがない場合や、適切な対処法が分からない場合、あるいは膝の痛みが長引いて症状が改善しない場合には整形外科を受診しましょう。
専門医に診てもらうことで膝の状態を正確に診断でき、適切な治療法を選択できます。
膝の裏の「ピキッ」とした痛みの治療法
膝の裏に「ピキッ」とした痛みが現れた場合、整形外科ではどういった治療法が選択されるのでしょうか。
代表的な治療法の一例をご紹介します。
保存療法
保存療法とは外科手術を行わない治療法で、主に軽度から中程度の痛みや炎症を抑えるために選択されます。
検査の結果、骨や関節、腱などの組織に大きな損傷が見られず、日常生活に支障をきたすほどの痛みではない場合の基本的な治療法といえるでしょう。
保存療法にはさまざまな治療法がありますが、鎮痛剤の処方やヒアルロン酸の関節内注射、テーピングによる関節の固定などが代表的です。
筋肉の強化や柔軟性の向上を目的とした治療法にリハビリや理学療法があります。
膝関節周りの筋肉量が落ちていると関節を支えきれず不安定になり、日常生活を送る中で再発のリスクが高まります。
リハビリと理学療法を行うことで関節を安定化させ、痛みの軽減と症状の再発を防ぎます。
具体的には理学療法士の指導を受けながらの筋力トレーニングや軽い運動、マッサージなどが代表的ですが、それ以外にも水を使ったハイドロリリース注射のほか、体外衝撃波治療や超音波治療、低周波治療などを用いた治療法があります。
外科的治療
保存療法やリハビリテーションで効果が見られない場合や、疾患がある程度進行し重症化している場合には、外科的治療が選択肢のひとつとなります。
外科手術によって損傷した組織の修復をしたり、人工関節を傷んだ自分の関節を取り替えることで、本来の機能を取り戻します。
外科的治療は優れた効果が期待できる一方で、保存療法やリハビリ、理学療法に比べると患者様にかかる身体的負担が大きく入院期間も長期にわたることが多いため、慎重に判断しなければなりません。
再生医療
再生医療とは、患者様本人から取り出した幹細胞を培養したり、あるいは血液中の血小板を、再び体内に注入し損傷した組織を再生させる治療法です。
手術を必要とせず注射のみで組織の再生が期待できることから、近年大いに注目されています。
ただし、すべてのケースにおいて再生医療が適応となるわけではなく、損傷部位の状態によっては外科手術以外に選択肢がなかったり、逆に保存療法や理学療法でも十分対応できる場合もあります。
また、再生医療は基本的に自由診療のため治療費が高額であり、最新の治療法のため対応できる整形外科も限られています。
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膝の裏の「ピキッ」という痛みはイノルト整形外科まで!
スポーツを楽しんでいるときや、日常生活の何気ない動作の中で「ピキッ」という鋭い痛みを感じると、不安に感じてしまうものです。
このような症状が現れたら早めに整形外科を受診することがおすすめですが、信頼できる整形外科で診てもらいたい、あるいは幅広い治療法に対応した整形外科を受診したいとお考えの方も多いでしょう。
そのような場合には、ぜひイノルト整形外科へご相談ください。
イノルト整形外科では関節専門外来のほかに、スポーツ整形外科や再生医療専門外来を設置しており、一般の患者様はもちろんのことプロのアスリートからもご支持いただいています。
鋭い強烈な痛みが続いて症状が良くならない方はもちろん、一瞬「ピキッ」とした痛みを感じ、その後痛みは引いたものの、関節に異常がないか検査をしてほしい方もお気軽にイノルト整形外科へご相談ください。
まとめ
膝の裏に「ピキッ」とした鋭い痛みが走った場合、靭帯や半月板、腱の損傷をはじめとしてさまざまな原因が考えられます。
一時的に症状が改善したとしても、関節に何らかの異常が発生していると再発したり、さらに重篤な症状を引き起こす可能性も考えられます。
そのため、できるだけ早めに整形外科を受診し詳しい検査と適切な治療を受けることが大切です。
膝関節の治療にはさまざまな方法がありますが、イノルト整形外科では保存療法のほか、外科手術や最新の再生医療まで幅広く対応しています。
膝関節に不安を抱えている方は、ぜひお気軽にイノルト整形外科までご相談ください。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ
藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長 渡邉 順哉
経歴
●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長