膝に水がたまったら自然治癒するの?放置するリスクや対処法を解説
太り過ぎや激しいスポーツなどが原因で、膝に水がたまり激しい痛みをともなうことがあります。このような症状は珍しいものではなく、一度は耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
膝に水がたまった場合、放置せずに医療機関で診察を受けることが基本といえますが、なかには自然治癒するケースも存在します。
どのような場合に自然治癒するのか、治療をせずに放置しておくことでリスクはないのか、正しい対処法なども含めて詳しく解説します。
膝に水がたまる身体の仕組み
太り過ぎや激しいスポーツなどは膝の関節に大きな負担を与え、激しい痛みを伴うことがあります。また、加齢によって長年膝を酷使し続けていると、徐々に負担が蓄積していき膝の痛みを生じさせるケースも少なくありません。
膝関節に激しい痛みを伴う場合、関節液とよばれる液体がたまっていることが多くあります。関節液とは、関節部分がスムーズに動くよう潤滑油のような役割を果たしており、滑膜とよばれる薄い膜から少量分泌されています。
しかし、関節に大きな負担が生じ軟骨や半月板などが炎症を起こすと、滑膜から関節液が過剰に分泌されることがあります。通常、関節液の分泌量は3ml程度ですが、炎症を起こすと最大60ml以上まで増加します。
これがいわゆる「膝に水がたまった」状態であり、膝の突っ張り感や痛みを感じる原因に直結するのです。
関連記事:膝を曲げると突然痛い!原因と治し方を外側・内側別に徹底解説
膝に水がたまったら自然治癒する?
膝に水がたまった場合、整形外科を受診し注射器で水を抜いてもらうことで痛みや腫れぼったさが大幅に緩和されます。
しかし、膝関節の状態によっては自然治癒するケースがありますが、ある期間放置したからといって治るとも限りません。
上記でも紹介したように、膝に水がたまるのは炎症によって関節液が過剰に分泌されることが原因になります。そのため、膝関節の炎症が鎮火すれば、自然と関節液の過剰分泌は治まり、徐々に関節液は関節外へ移動するため、関節液の減っていきます。
反対に考えれば、根本原因である炎症を抑えない限りは自然治癒が見込めないほか、水を抜いて一時的に症状が緩和されたとしても、再び関節液が過剰に分泌されることになります。
たとえば、ダイエットをして体重が減ったものの、膝の痛みが治らないという場合には、自然治癒が見込めない可能性もあるため整形外科を受診し炎症を抑える治療が必要です。
膝に水がたまった時に放置するリスクについて
膝に水がたまったとしても、自然治癒する可能性があるということは、しばらく様子を見ておいても良いのではないか?と考える人もいるかもしれません。
しかし、1週間以上にわたって長引いていると、炎症が慢性化し、その炎症により炎症性サイトカインとよばれる物質が大量に関節内に放出され、それに伴い関節内の軟骨や半月板を傷めていきやすくなります。
このように、膝に水がたまった場合には治るか治らないのか分からない状態で、自然治癒に任せるのではなく、まずは整形外科を受診し水を抜いてもらったり、炎症を改善することが理想的な治療法といえます。
関連記事:膝の上が痛い人必見!原因や対処法・効果的なストレッチ方法を解説
膝に水がたまっているかもしれないサイン
日常生活で膝を酷使したり、激しい運動をしたりする機会が多かったり、膝に水が溜まったことが多い方にとっては、膝に水が溜まっていないか不安に感じることもあるでしょう。
膝に水が溜まっているかどうかは医療機関で検査を受けなければ正確な診断はできませんが、膝に水がたまっている可能性がある兆候や症状などをセルフチェックすることは可能です。
- 膝が腫れているような感覚がある
- 膝に圧迫感があり曲げづらい
- 正座ができない・しづらい
上記の自覚症状がある場合には、膝に水がたまっている可能性が高いため、医療機関を受診し検査を受けてみましょう。
膝に水がたまっているときはどんな検査・治療をするべき?
膝に水がたまった場合、まずは水を抜くことで膝関節の痛みや違和感が軽減され、楽になります。しかし、単に水を抜いただけでは症状が繰り返されてしまうため、根本原因である関節の炎症を治療し改善することが何よりも重要です。
膝に水がたまっている場合、どのような検査・治療法が有効なのでしょうか。
検査
レントゲン検査
レントゲン検査は整形外科で一般的にほぼ必ず行われている検査で、関節液が溜まる原因となるような変形性関節症がある程度進行している場合はレントゲン検査でも分かる場合があります。かなり関節液が溜まっているケースではレントゲンでも分かる場合がありますが、基本的には関節液の溜まりを判断するための情報は少ないのが弱点です。
エコー検査
最近普及してきた検査で、レントゲン検査に続いて行われることが増えてきました。MRIを取らずとも関節液の溜まりを明確に判断することができます。さらに注射器で抜くときにもできる限りエコー検査機を用いて抜くと確実に抜くことができます。欠点としては、膝の深い内部の状態を検査することができません。
MRI検査
膝の深部まで鮮明に診断することができる検査であり、関節液の溜まる原因となる変形性膝関節症や半月板損傷、靭帯損傷などの診断をするために必須の検査となります。
治療
リハビリ
膝に水がたまり痛みや違和感を覚えるようになると、自然と膝に負担がかからないような姿勢・動きになり、結果として膝の筋力が低下していくことがあります。
筋力が低下すると膝関節を支える力も弱くなり、安定して支えることが難しくなるケースもあるでしょう。
そこで、リハビリによって適切な負荷をかけ、膝関節を支える力を取り戻すことが大切です。正しい姿勢によって膝にかかる負担を均一化できれば、炎症が再発するリスクもなく本来の日常生活を取り戻すことができます。
ロコアテープ
ロコアテープとは消炎鎮痛剤であり、特に炎症によって関節の痛みを伴う場合に用いられます。湿布の一種で、内服薬や注射とは異なり、皮膚の上から貼ることで鎮痛成分が膝関節内部にまで浸透し、痛みを和らげてくれます。通常の湿布よりも炎症を強く抑える効果を持っています。
集束型体外衝撃波治療
集束型体外衝撃波治療とは、超音波の10倍以上にあたる強力な振動エネルギーを当てることにより、痛みの伝達物質を減少させるとともに、組織修復作用も得られる治療法です。
体外衝撃波治療は特殊な医療機器が用いられ、専門の医療機関でしか治療を受けることができません。
1回あたりの治療時間はわずか数分から10分程度と短く、3〜5回程度の通院で1クールの治療が完了します。
体外衝撃波治療には集束型と拡散型がありますが、集束型は痛みの原因となっている患部にピンポイントで精密に照射できより、膝の関節内の治療には高い効果が期待できます。
再生医療
再生医療とは、人が本来もっている修復機能に着目し、自己修復によって細胞や組織の再生を促す治療法を指します。
膝に水がたまっている場合に有効な再生医療としては、血液から血小板とよばれる組織を抽出し、患部へ注入することで組織の再生を促すPRP治療や、培養した幹細胞を使った幹細胞治療など、さまざまな治療法があります。
膝関節の状態や患者本人の希望なども考慮したうえで、複数の選択肢のなかから最適な治療法が検討されます。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックは膝の痛みに特化した治療が可能
膝に水がたまり激しい痛みがあるとき、単に水を抜くだけではなく根本原因である炎症の治療が求められます。その際に重要なのは、信頼性が高く治療実績が豊富な整形外科を選ぶことです。
膝の痛みを緩和するための治療法は、ダイエットやリハビリなどが基本となることが多いですが、症状が進行している場合には上記で紹介した再生医療や集束型体外衝撃波治療なども検討する必要があります。
対応できる治療法が豊富な整形外科は、さまざまな患者のニーズや要望に応えることができます。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、膝の痛みに特化したさまざまな治療法が選択でき、再生医療や集束型体外衝撃波治療といった最新の治療にも対応しています。
また、理学療法士によるリハビリ指導や生活習慣の改善指導・アドバイスなども行っており、症状の再発を防ぐための対策も可能です。
まとめ
膝に水がたまるという症状は決して珍しいものではなく、特に太り過ぎや激しいスポーツ、加齢などによって起こるケースが典型的です。
自然治癒をするケースもありますが、長期間にわたって放置しておくと症状が悪化していくリスクもあります。
そのため、膝が腫れた感覚や圧迫感がある、膝の曲げ伸ばしが窮屈に感じるようになってきた場合には、一度膝に詳しい整形外科で検査を受け、必要に応じて水を抜いてもらうことで症状が緩和されるはずです。
ただし、膝関節の炎症を防ぐための対策や治療を行っていないと、一定期間が経過した後に再発する可能性もあるため、適切な治療をしてくれる信頼性の高い整形外科を受診しましょう。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ
藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長 渡邉 順哉
経歴
●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長