骨粗鬆症の代表的な治療薬一覧|効果や副作用も解説
※本記事は、整形外科専門医・イノルト整形外科 統括院長 渡邉順哉医師の監修のもと執筆しています。

骨粗鬆症は、骨の強度が低下し、骨折しやすくなる疾患です。
特に大腿骨骨折や胸椎や腰椎などの背骨の圧迫骨折は健康寿命が大幅に短縮するという研究結果があるほか、大腿骨骨折に関してはガンよりも死亡率は高く、骨折後5年以内の死亡率は50%というデータもあります。
日本国民の多くが骨粗鬆症に関して知識不足のため、骨粗鬆症に伴う骨折をして初めて骨粗鬆症の検査を受け、ようやく治療を開始する方がまだまだ多いのが現状です。
骨粗鬆症は、高齢者や閉経後の女性に特に多く見られ、一人ひとりの状態に合わせて適切な治療を選択し、将来の大腿骨骨折や背骨の圧迫骨折を未然に防ぐ必要があります。
本記事では骨粗鬆症の代表的な治療薬と、その効果・副作用を詳しく解説します。
関連記事:骨粗鬆症の予防対策|食べ物・運動・サプリ・薬などにわけて紹介
骨粗鬆症の代表的な治療薬一覧
骨粗鬆症の治療薬には、注射薬と内服薬があります。
いずれも効果や副作用が異なるため、医師と相談しながら選択します。
【注射の一覧】
| 薬名 | 効果 | 副作用 |
| ビスホスホネート製剤 | 骨吸収を抑え、骨密度の上昇が期待できる。 | 骨痛、顎骨壊死 ※ごくまれに顎骨壊死などの副作用が報告されている。 |
| デノスマブ製剤 | RANKLを抑えて骨吸収を抑制し、骨密度の上昇が期待できる。 | 低カルシウム血症、顎骨壊死 ※ごくまれに顎骨壊死などの副作用が報告されている。 |
| テリパラチド製剤 | 骨形成を促し、骨密度上昇や骨折予防が報告されている。(重症例に使用) | 高カルシウム血症、嘔気 ※まれに吐き気、倦怠感、血中カルシウム値の上昇などが報告されている。 |
| ロモソズマブ製剤 | 骨形成促進と骨吸収抑制の両作用により、骨密度上昇や骨折予防が期待できる。(重症例に使用) | 注射部位の痛み ※薬代が特に高い。 |
【内服薬の一覧】
| 薬名 | 効果 | 副作用 |
| 活性型ビタミンD | カルシウム吸収を助け、骨密度の維持・上昇が期待できる。 | 高カルシウム血症、腎機能への影響など |
| SERM(サーム)製剤 | 骨吸収を抑え、骨密度低下の抑制が期待できる。(閉経後女性に使用) | 静脈血栓塞栓症(まれ)、ほてりなどの症状。 |
| ビスホスホネート製剤 | 骨吸収を抑え、骨密度の上昇が期待できる。 | 逆流性食道炎、消化器症状、骨痛、まれに顎骨壊死。 服用時は多めの水で内服し、30分程度は横にならないなどの指示があ |
骨粗鬆症の薬が必要になる骨密度は何パーセント?
骨粗鬆症の診断は、骨密度の値によって区分されます。
一般的には、若年成人平均に対する骨密度(YAM)の70%未満であれば骨粗鬆症と診断されます。
これは骨がもろくなり、骨折リスクが高くなる傾向にあります。
それ以外にも、骨折の経験がある場合や胸椎や腰椎の無症状の圧迫骨折が見つかった場合など、骨密度が正常であっても骨粗鬆症の診断となる場合があります。
骨粗鬆症と診断された場合、骨折のリスクを下げるために薬物療法による治療開始が必要になります。
骨粗鬆症に携わる医師は、骨密度だけでなく、胸椎や腰椎の圧迫骨折や大腿骨骨折の有無によって薬を選択し、患者さんに提案します。
関連記事:骨粗鬆症で食べてはいけないものとは?骨を強くする食べ物や飲み物を紹介
骨粗鬆症の薬や注射が月1回である理由
骨粗鬆症の治療には、毎日から年に1回まで薬によって投与頻度が全く変わります。
例えば、月1回投与の薬(例:一部のビスホスホネートなど)は骨に強く結合し作用が持続するため、飲み忘れによる効果低下を防ぎやすくなります。
一方、内服薬は「服薬後30分は横にならない」、「コップ1杯程度の水分と一緒に服用する」などの注意が必要です。
定期的な骨密度検査を行い、薬が十分に効果を発揮しているか確認することも大切です。
注射治療の場合、内服薬と比べて骨密度が短期間で上昇するため、より骨折の危険性の高い方は、テリパラチド製剤やロモソズマブ製剤の注射が推奨されます。
関連記事:骨粗鬆症の治療は何をする?注射や薬の種類や治療期間を解説
骨粗鬆症でお悩みの方はイノルト整形外科まで
骨粗鬆症の治療は、患者さんの状態によって異なります。
骨密度や骨折の既往歴やいつの間にか骨折の有無、骨質劣化などから、最適な治療法を選ぶことが大切です。
イノルト整形外科痛みと骨粗鬆症クリニックでは、以下のような治療を提供しています。
- 薬物治療の最適化:
注射や内服薬の種類や組み合わせを患者さんの骨粗鬆症の状態に合わせて調整 - 栄養指導・運動指導:
栄養状態の管理と指導、骨密度上昇のための運動の提案 - 定期検診・フォローアップ:
骨密度測定、血液検査、生活習慣チェックを通して継続的に管理
さらに、オンライン予約やLINEでの受診相談にも対応しております。
骨粗鬆症が疑われている方、自身の骨粗鬆症の有無が気になる方、40代以上の女性・50代以上の男性は、骨粗鬆症についてイノルト整形外科痛みと骨粗鬆症クリニックまでご相談ください。
まとめ
骨粗鬆症は、完治が難しい病気ですが、早期に診断・治療を始めることで、多くのケースで将来の骨折リスクは大幅に低減が可能です。
骨粗鬆症に詳しい整形外科専門医のアドバイスのもと、生活習慣の改善と薬物治療を組み合わせ、継続的に治療と生活改善を組み合わせることが重要です。
この記事の監修医師
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
渡邉 順哉
経歴
- 平成16年 鎌倉学園高等学校卒
- 平成23年 東邦大学 医学部卒
- 平成23年 横浜医療センター 初期臨床研修
- 平成25年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
- 平成26年 神奈川県立汐見台病院 整形外科
- 平成28年 平成横浜病院 整形外科医長
- 平成30年 渡辺整形外科 副院長
- 令和元年 藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
- 令和6年 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 統括院長
