膝の痛みで病院に行くタイミングとは?治療と再発予防のポイントを解説

膝の痛みは、加齢や運動のしすぎ、体重の増加などが原因で発症することが多く、重症化すると日常生活にさまざまな支障をきたします。
痛みの程度は人によっても異なるため、病院を受診すべきなのか迷ってしまう方も多いでしょう。
そこで本記事では、膝に痛みがある場合に病院を受診すべきタイミングや、どういった治療法があるのか、再発を防ぐためのポイントもあわせてご紹介します。
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膝の痛みで整形外科を受診すべきタイミング

膝の痛みは整骨院(接骨院)で施術を受けたり、整形外科で治療をすることで緩和できる可能性があります。
整骨院は柔道整復師が手技やマッサージを行うのに対し、整形外科では医学的見地に基づき診察や検査、治療を行います。
特に、以下の症状が見られる場合には重症化のおそれがあるため、整形外科の受診が推奨されます。
痛みが数日続く・改善しないとき
運動のしすぎや膝に負担がかかる姿勢を取り続けたとき、一時的に痛みを感じることがあります。
このような場合は整骨院でマッサージを受けることで症状が緩和されることが多いですが、数日経っても痛みが引かず悪化しているようであれば整形外科を受診しましょう。
骨や軟骨、靭帯が損傷している可能性もあり、医師の判断のもとで適切な治療を受けないと重症化するおそれがあります。
腫れや熱感・引っかかるような違和感があるとき
膝の痛みだけでなく腫れや熱感が現れたり、曲げ伸ばしをしたときに引っかかるような違和感があるときも整形外科の受診が推奨されます。
これらの症状は関節部の損傷や変形の初期症状として現れることが多く、治療をせずに放置しておくと重症化し日常生活にも支障をきたすおそれがあります。
整形外科ではレントゲンやMRIなどの検査を行い、膝関節に異常がないかを正確に調べられます。
歩行がつらい・階段の昇降が難しいとき
歩行や階段の昇り降りが辛く日常生活に支障をきたしている場合、膝関節の疾患が進行している可能性が考えられます。
治療をせず放置しておくとさらに重症化し、膝関節の可動域が狭くなり曲げ伸ばしが困難になるおそれもあるため、早めに整形外科を受診しましょう。
整形外科では薬物療法で痛みを緩和しながら、理学療法士の指導のもと正しいストレッチやリハビリテーションを行ったり、物理療法や手術療法などさまざまな治療が受けられます。
関連記事:膝関節の痛みの原因|痛みを和らげるセルフケアや病院の受診目安
膝の痛みの主な原因

膝の痛みが強かったり、慢性的に痛みが続いている場合、関節に何らかの疾患を発症している可能性も考えられます。
主な原因となる疾患を4つご紹介しましょう。
変形性膝関節症
変形性膝関節症とは、関節の軟骨がすり減り骨同士が直接こすれ合うことで痛みを引き起こす病気です。
初期段階では膝の違和感や軽い痛みを感じる程度ですが、進行していくと歩き始めや階段の昇り降りで痛みが現れ、やがて膝関節そのものが変形し曲げ伸ばしも困難になっていきます。
加齢や膝の酷使、肥満、O脚などが原因で発症することが多く、重症化すると日常生活にもさまざまな支障をきたすことから早めの治療が不可欠です。
半月板損傷
半月板損傷は、膝関節のクッションの役割を果たす半月板とよばれる組織が損傷することで痛みを引き起こす疾患です。
主にスポーツ中の急な方向転換やジャンプの着地時に強いねじれや衝撃が加わることで発症しますが、中高年では加齢にともない半月板の強度が低下し損傷することもあります。
軽度の損傷であれば、膝が引っかかるようなロッキング現象が見られますが、治療をせず放置しておくと損傷の度合いが大きくなり膝の痛みや腫れ、熱感なども見られるようになります。
靭帯損傷
靭帯損傷とは、膝関節の靭帯が強い力で引っ張られることで一部が損傷したり、断裂したりする疾患です。
靭帯は関節を安定的に保つために重要な役割を果たしていますが、これが損傷することで強い痛みを引き起こし、関節のぐらつきや歩行が困難になることもあります。
半月板損傷と同様、急な方向転換やジャンプからの着地などが原因で発症しやすいですが、転倒や事故などの外傷が起因することもあります。
関節リウマチ
関節リウマチとは、免疫機能の異常により関節に炎症や痛みを引き起こす疾患です。
体内に侵入してきた異物を排除する機能を免疫機能とよびますが、何らかの理由によって免疫機能に異常を引き起こすと、正常な組織や細胞までもが攻撃され炎症を引き起こします。
主な症状としては、関節の痛みや腫れ、こわばりなどが見られ、治療をせず放置しておくと関節が大きく変形し曲げ伸ばしが困難になることもあります。
膝の痛みの診察・検査の内容

膝の痛みの治療にあたっては、まずは検査を行い原因を特定する必要があります。病院ではどのような検査を行うのでしょうか。
問診・診察
病院で必ず行われるのが、問診と診察です。
問診では、痛む場所や痛みの強さ、現れ方、いつ頃から痛むようになったのかなどをヒアリングします。
そのうえで、視診によって膝の腫れや変形、可動域を確認したり、触診で熱感の有無なども調べます。
また、靭帯や半月板の異常を探るための特殊なテストを行うこともあります。
レントゲン検査
骨に異常がないかを調べるために用いられるのがレントゲン検査です。
痛みのある部位にX線を照射することで、骨の変形や骨折の有無、軟骨のすり減り、関節の隙間の幅などを確認できます。
特に変形性膝関節症の診断には欠かせない検査であり、進行度の把握にも役立ちます。
エコー検査
エコー検査とは特殊な超音波を照射することで、膝の内部をリアルタイムで観察する検査方法です。
レントゲンには写らない靭帯や腱といった軟部組織の状態を確認できるほか、膝関節に水(関節液)が溜まっていないかも検査できます。
エコー検査は大規模な設備も必要なく、診察室内で素早く検査ができるため多くの病院に導入されています。
MRI検査
MRI検査とは、強力な磁場を作り出し体の内部を撮影する検査方法です。
骨や軟骨はもちろんのこと、レントゲンには写らない半月板や靭帯、さらには骨の中の微細な異常まで映し出すことができるため、膝の痛みの原因を精密に調べる際に有効です。
ただし、MRI装置は非常に高額で大掛かりな設備であるため、導入している病院は限られているほか検査にかかる費用も高額です。
関連記事:膝の裏が痛い!「ピキッ」という鋭い痛みの原因や治し方を解説
膝の痛みに対する治療法

検査によって膝の痛みの原因が判明したら、それぞれに対応した適切な治療法を検討していきます。
病院で受けられる主な治療法を6つご紹介しましょう。
保存療法
保存療法とは、手術を行わずに膝の痛みを軽減し機能回復を目指す治療法です。
鎮痛薬や湿布を処方し痛みを抑えながら、サポーターや装具の着用で膝への負担を軽減し、継続的なリハビリテーションを行うパターンが一般的です。
特に、初期の変形性膝関節症や軽度の靭帯損傷など、比較的軽症なケースに多く用いられます。
状態を悪化させないために安静にすることも大切ですが、長期間にわたって関節を動かさないでいると筋肉量が減り、膝関節を支えきれなくなってしまいます。
そのため、患者様の膝の状態に合わせて無理のない治療計画を立てていきます。
注射療法
特に膝の痛みが強く、日常生活に支障をきたしている場合に用いられるのが注射療法です。
膝関節内に薬剤を注入し痛みや炎症を抑えるケースが一般的ですが、これ以外にもヒアルロン酸を注射し、関節のクッション作用を高めることで痛みの緩和を図る方法もあります。
変形性膝関節症の治療に用いられることが多く、膝の状態にもよりますが複数回にわたって注射をするケースが多いです。
ただし、注射療法は即効性が期待できる一方で根本治療ではないため、並行してリハビリを行うことも重要です。
ハイドロリリース
ハイドロリリースとは、筋膜や腱の周囲に生理食塩水を注入し、痛みの原因となっている癒着した筋膜を剥がす治療法です。
エコー検査機器で膝の内部を確認しながら注射を行うため、ピンポイントで痛みの原因となる部位にアプローチが可能で即効性も期待できます。
比較的新しい治療法であることと、注射部位の見極めには高度な知見と技術も要するため、ハイドロリリースに対応できる病院は限られています。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療は、膝に医療用の特殊な衝撃波を当て、損傷した組織の修復や血流改善を促す治療法です。
慢性的な膝の痛みや腱損傷などに対して効果が期待されているほか、手術の必要がないため体への負担が少なくて済みます。
ただし、効果には個人差があるほか、ほとんどのケースにおいて体外衝撃波治療は保険適用外となるため治療にかかる経済的負担も大きいです。
再生医療
再生医療とは、患者様自身から採取し培養した細胞を再び体内に注入し、損傷した組織の修復を図る最先端の治療法です。
膝関節の痛みに対しては幹細胞治療やPRP療法(多血小板血漿療法)などが用いられており、手術に比べて患者様への負担が少なく入院の必要もないことから、次世代の治療法として注目を集めています。
ただし、再生医療は保険適用外のため治療費が高額になりがちで、対応できる病院も限られています。
また、膝関節の状態によっては再生・修復が見込めないケースもあることから、専門医と相談のうえ慎重に検討する必要があります。
手術療法
保存療法をはじめとした治療法では改善の見込みがなく、膝関節の損傷度合いが進行している場合には手術療法が検討されます。
たとえば、半月板損傷や靭帯損傷は小型の内視鏡を使った関節鏡視下手術が用いられたり、重度の変形性膝関節症に対しては人工膝関節置換術が用いられることもあります。
手術療法は痛みの根本原因に直接的にアプローチする効果的な治療法ですが、入院とリハビリも不可欠であるため、患者様の年齢や膝の状態、生活スタイルなども考慮して検討されます。
膝の痛みを再発させないためにできること

治療によって膝の痛みを緩和できたとしても、日常生活の些細な動作が原因で再発することもあります。
これを防ぐためには、どういった点に注意すれば良いのでしょうか。
日常生活で膝に負担をかけないコツ
普段の生活の中で気をつけたいポイントは以下の通りです。
- 適切な高さの椅子を使用する
- 洋式トイレを使用する
- 膝を冷やさない
- 適正体重を維持する
- 階段の昇り降りの際には手すりをつかむ
畳の上に正座やあぐらで座ったり、和式トイレを使用するなどの行為は膝に負担がかかりやすく、痛みの再発を招くことがあります。
また、肥満も膝への負担を増大させる要因となるため、食生活に気をつけながら適正体重の維持を心がけましょう。
再発予防として効果的な運動・ストレッチ
膝の筋力を強化するためには適度な運動が欠かせませんが、長時間のウォーキングやランニングは膝の負担が大きく、逆に症状を悪化させるおそれもあります。
そこでおすすめなのが、エアロバイクや水中ウォーキングといった膝への負担が少ないトレーニングです。
エアロバイクを使用する際には、ペダルを漕いだときに膝がまっすぐになるようサドルの位置を調整してください。
サドルが低すぎると膝を深く曲げることになり、負担がかかってしまいます。
また、これらの運動と合わせて、お風呂上がりや就寝前にはストレッチを行うこともおすすめです。
- 仰向けの状態で両膝を立てる
- 右足を曲げ、足首を両手で持つ
- 右太ももの筋肉を伸ばすことを意識しながら、足首を手前にゆっくりと引き寄せる
- 3の姿勢を20秒程度キープ
- 左右の足を交代し2〜4を繰り返す
強い力を入れると痛みを感じることもあるため、心地よいと感じる程度を心がけましょう。
整形外科で受けられる予防的なリハビリ
病院では理学療法士の指導のもと、痛みの再発を防ぐためのリハビリも受けられます。
基本的なストレッチや装具を装着した状態での運動などが一般的ですが、病院によっては特殊な装置を用いながら関節や筋肉の動きを観察し、膝への負担をかけない歩行のコツなども提案できます。
関連記事:膝に水が溜まるとはどういう状態?原因や症状について解説
膝の痛みでお悩みの方はイノルト整形外科まで
膝の痛みを緩和する治療法はさまざまで、病院によっては手術など高度な治療が難しいというケースもあります。
そのため、膝の痛みにお悩みの方は、多様な治療法に対応できる信頼性の高い病院を選ぶことが大切です。
イノルト整形外科では関節専門外来とスポーツ整形外科専門外来を設置しており、膝や肘、股関節などさまざまな部位に特化した治療を行っています。
レントゲンやエコー、MRIで精度の高い検査を行った後は、患者様の膝の状態や生活様式なども考慮しながらオーダーメイドの治療プランを策定します。
たとえば、加齢に伴う膝の痛みに対しては保存療法を中心のプランを提案したり、スポーツ中のケガが原因の場合には体外衝撃波治療やハイドロリリース、手術療法なども含め早期回復を最優先とした治療プランも選択できます。
ストレッチや定期的な運動、適正体重を維持しているのに膝の痛みが続いている方や、他の病院で診てもらったものの改善しないという方は、お気軽にイノルト整形外科へご相談ください。
まとめ
膝の痛みの原因はさまざまで、一時的に症状が緩和したとしても日常生活の些細な行動が原因で再発・悪化することもあります。
治療が遅れると膝関節の損傷が深刻化し、日常生活にも大きな支障をきたす可能性も少なくありません。
重症化を防ぎ、一日でも早くもとの日常生活を取り戻すためにも、早めに病院を受診し適切な治療を受けるようにしましょう。
イノルト整形外科では高度な検査機器を備え最新の治療法にも対応しているため、一般の患者様はもちろんのこと現役のアスリートからも選ばれています。