BLOGブログ

検査・治療

股関節が硬くなる原因とは?セルフチェック方法や自宅でできるストレッチを紹介

椅子から立ち上がったときや階段の上り下り、ウォーキングなどの際に股関節が痛むことはないでしょうか。

痛みの原因は多岐にわたりますが、股関節の柔軟性が失われ硬くなっていることが影響しているケースが少なくありません。

なぜ股関節は硬くなるのか、股関節の状態を確認するためのセルフチェックの方法やストレッチの一例をご紹介します。

◆イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックの関節専門外来はこちら◆

股関節が硬くなる原因

股関節とは、大腿骨頭(太ももの骨の上端部)と寛骨臼(大腿骨頭を支える骨盤の窪み)から構成される関節です。

股関節は主に上半身の体重を支えたり、下半身を動かすための重要な役割を果たしています。

股関節が硬くなる主な原因は以下の4つが考えられます。

運動不足

運動不足が続くと股関節周辺の筋肉や靭帯が硬くなります。

特にデスクワークが多い方や、自動車での移動がメインで歩く習慣がない方は、股関節が固くなり徐々に可動域が狭くなっていきます。

また、階段を上るのが面倒でエスカレーターやエレベーターを使用していると、運動不足に陥り股関節の柔軟性が失われる可能性もあります。

姿勢が悪い

直立や座ったとき、歩いている時の姿勢も股関節に大きな影響を及ぼします。

たとえば、猫背や前傾の姿勢、片足に重心をかけるなどの姿勢が癖になっていると、股関節に偏った負担がかかり周囲の筋肉が緊張します。

また、歩行時にも猫背や前傾姿勢、太ももの前側の大腿四頭筋や腸腰筋が固くなりやすくなります。

加齢の影響

生活習慣だけでなく、加齢が原因で股関節が硬直することもあります。

年齢を重ねると関節の軟骨がすり減っていき、動かすたびに痛みを生じることがあります。

痛みを避けるために運動量が低下していくと、股関節周辺の筋肉や靭帯の柔軟性が徐々に失われ硬くなっていきます。

関連記事:股関節の痛みの原因は?女性特有の痛みについても解説

股関節が硬いとどんな影響が出る?

股関節の柔軟性が失われると日常生活にさまざまな影響が出てくることがあります。特に多く見られる症状や影響は以下の3点です。

歩幅が狭くなる

日常生活への影響として多く見られるのが、歩幅が狭くなる症状です。

そもそも、歩いたり走ったりする際には、股関節を動かして足を前に踏み出すのと同時に後ろの足を後ろに伸ばして蹴り出していく動作が繰り返されています。

股関節が硬くなると可動域が狭くなり、後ろの足を大きく伸ばして蹴り出しにくくなるため自然と歩幅も狭くなってしまうのです。

その結果、歩行のスピードが落ちたり、ヒヨコのような小刻みな歩き方になるケースが少なくありません。

運動パフォーマンスの低下

股関節が硬くなると可動域が狭くなり、特に下半身を使うスポーツにおいて十分なパフォーマンスが発揮できなくなることもあります。

具体的には、ランニング時の推進力が低下したり、ジャンプ力の低下、方向転換やダッシュの動作が鈍くなるなどの影響が考えられます。

また、日常生活においては、歩行が遅くなったり、坂道や階段の上り下りがしにくくなることもあります。

怪我をしやすくなる

股関節の柔軟性が失われた状態で、それまで当たり前に行っていた感覚のまま動作をしようとすると、体が思うように動かずケガをすることもあります。

たとえば、段差や障害物のない平坦な道でつまづいたり、階段を踏み外し転倒することも考えられます。

関連記事:変形性股関節症の治し方はある?やってはいけないことや負担をかけない寝方を紹介

股関節が硬いかを確かめるセルフチェック方法

股関節の状態は日常生活の中で意識することが少なく、硬くなっていても気づきにくいものです。

そこで、自宅で簡単に股関節の状態を確認できるセルフチェックの方法をご紹介しましょう。

  1. 壁から35cm程度離れた場所に両足のつま先を置く
  2. 左右いずれかの足を上げ、膝を壁につける(太ももが地面を水平になるように)
  3. 膝から先の足を内側に向ける、次は外側に向ける
  4. それぞれ内側・外側のくるぶしに手が触れられるかをチェック

 上記のセルフチェックのポイントは、足を内側・外側にする際に体を傾けないことです。

地面から直立の姿勢を維持したまま、両手はそのまま下げた状態で内側・外側のくるぶしに触れられるかを確認しましょう。

肩や体を傾けないと手が触れられない場合には、股関節が硬くなり可動域が制限されている可能性があります。

なお、このセルフチェックの方法はスポーツ庁の公式YouTubeでも紹介されているため、こちらも参考にしてみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=2fAcERo4nlQ

股関節が硬いときに自宅でできるストレッチ

股関節が硬くなったとしても、ストレッチを習慣づけることで徐々に柔軟性が増し関節機能を取り戻せる可能性もあります。

自宅でも手軽にできる股関節に効くストレッチをいくつかご紹介しましょう。

立ったままできるストレッチ

家事の合間や運動前のウォームアップでは、立った状態でできるストレッチを試してみましょう。

四股ストレッチ

  1. 両足を肩幅よりやや広めに開く
  2. 左右のつま先を外側に45°程度広げる
  3. 左右の太ももが地面と平行になるまで、ゆっくりと腰を落とす
  4. 3の姿勢を20秒程度キープした後、ゆっくりと上体を起こす
  5. 3〜4の動きを3セット繰り返す

 

相撲でおなじみの四股をベースとした股関節のストレッチです。

痛みを感じるようであれば無理をせず、少しずつ腰を落とせるようにストレッチを習慣づけましょう。

また、体のバランスをとるのが難しい場合には、両手を膝の上に置いて支えます。

座ったままできるストレッチ

テレビや映画を観ながら手軽にできるストレッチもあります。

股割りストレッチ

  1. 左右の足裏を合わせた状態で床に座る
  2. 背筋を伸ばし、両手で左右の足先を持つ
  3. 左右の膝の外側が床につくように広げる

 股関節が硬い状態だと左右の膝を床につけることが難しいため、痛みがある場合は無理をせず、できる範囲で行います。

開脚ストレッチ

  1. 床に座った状態で右脚を斜め前方向に伸ばし、左膝を曲げる
  2. 左手を上げた状態で右脚方向に上体を倒し、30秒程度キープする
  3. 上半身を右足に正対させ、ゆっくり息を吐きながら前傾姿勢をとる
  4. 左右の足を交代し1〜3の動作を繰り返す

 

上体を伸ばす際にはお尻が浮かないように意識しましょう。

横になってできるストレッチ

就寝前やお昼寝などのタイミングで、横になった上体で手軽にできるストレッチも紹介します。

お尻のストレッチ

  1. 仰向けの姿勢から左膝を曲げ外側に倒し、左足を手で保持する
  2. 左足を右の太ももに乗せる
  3. 左足を手前に引き寄せた状態で30秒程度キープする
  4. 左右の足を交代し1〜3の動作を繰り返す

 

足を手前に引き寄せる動作が苦しかったり、痛みがある場合には無理をせず、痛みの無理のない範囲の姿勢をキープしてください。

股関節のストレッチを行うときの注意点

股関節の柔軟性を高めるためにストレッチは効果的ですが、やり方を間違えるとケガの原因になることもあります。

ストレッチにあたって注意しておきたいのは以下の点です。

無理はしない

ストレッチの基本は無理をしない範囲内で行うことです。

曲げ伸ばしの際に痛みを感じたら無理をせず、気持ちよく伸びていると感じる程度で止めておきましょう。

無理に可動域を広げようとせず、少しずつ柔軟性を高めることが大切です。

正しい姿勢で行う

ストレッチは正しい姿勢で行うことで効果が高まり、ケガの予防にもつながります。

猫背や腰を反りすぎた無理な姿勢は、股関節以外にもさまざまな部位へ過度な負担をかけてしまうため、背筋を伸ばし骨盤を正しい位置に保つことを意識しましょう。

反動をつけずに行う

ストレッチはじっくりと呼吸をしながら静かに伸ばすことで、筋肉や靭帯の柔軟性を高める効果が期待できます。

勢いをつけてストレッチをすると筋肉を傷めるリスクが高まるため避けるようにしましょう。

股関節の痛みがある場合は医師に相談する

股関節を軽く動かすだけで痛みを感じたり、歩行時や座っている時にも痛みがある場合には、関節の一部が損傷していたり炎症を引き起こしている可能性があります。

このような症状が見られる場合に自己判断でストレッチを行ってしまうと、症状が悪化するおそれもあるため、早急に医師の診察を受けましょう。

関連記事:歩くと股関節が痛いときの原因は?股関節をほぐすストレッチを紹介

股関節の痛みでお悩みの方はイノルト整形外科まで

股関節の痛みの原因はさまざまで、関節の状態や痛みの程度によっても適切な治療法は異なります。

自覚症状や外見だけでは股関節の状態を見極めることが難しく、まずは超音波やレントゲン、MRIなどの検査を行ったうえで正確な診断が求められます。

イノルト整形外科ではさまざまな検査を導入しているほか、理学療法士による施術や薬物療法、装具療法、さらには体外衝撃波治療、再生医療といった最先端の治療法にも対応しています。

患者様一人ひとりの状態を見極め、その人に合ったオーダーメイドの治療プランをご提案しているため、股関節の痛みにお悩みの方はお気軽にご相談ください。

まとめ

股関節は加齢や運動不足、日頃の生活習慣などが影響し柔軟性が失われ、硬くなっていくことがあります。

運動やストレッチをしないまま放置しておくと、関節本来の機能が低下し可動域が狭くなっていきます。

ストレッチを習慣づけることで徐々に股関節の柔軟性を取り戻せる可能性はありますが、すでに痛みがある場合には速やかに医師の診察を受け適切な治療を受けることが大切です。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ

この記事の監修医師
藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック  院長 渡邉 順哉 ■詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●東邦大学 医学部 卒業 ●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科 ●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長