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歩くと股関節が痛いときの原因は?股関節をほぐすストレッチを紹介

椅子に座っているときや安静にしている状態では痛みを感じないものの、通勤・通学や散歩、ウォーキングなど、歩いたときに股関節が痛く感じることはないでしょうか。

股関節に痛みを生じさせる疾患はさまざまなものがあり、原因も一つではありません。

今回は、歩くと股関節が痛む場合に考えられる原因と、痛みを緩和するためのストレッチなどもご紹介します。

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股関節の痛みの基礎知識

はじめに、股関節の痛みはどういったメカニズムで生じるのか簡単に解説します。

股関節とは、太ももを支える大腿骨と、胴体を支えている骨盤の接続部分のことを指します。

大腿骨の先端部分は球体のように丸みを帯びており、骨盤にはそれを受け止める窪みがあり、すっぽりとはまるような構造になっています。

骨盤の窪みには大腿骨をスムーズに動かしたり、クッションの役割を果たす軟骨があります。

しかし、股関節に過度な負担や大きな力が加わると徐々に軟骨がすり減っていき、骨同士が擦れ合うようになり炎症を引き起こし、これが股関節の痛みの原因となるのです。

軟骨が摩耗する主な要因としては、加齢や体重増加、ハードな運動の繰り返しなどが挙げられます。

歩くと股関節が痛い原因

股関節の痛みはさまざまなタイミングで現れることがありますが、なかでも多いのが歩いたり走ったりと股関節を動かしたときに現れる痛みです。

このような症状が現れる場合、以下の疾患を発症している可能性が考えられます。

股関節唇損傷

股関節唇損傷とは、上記で紹介した股関節のパッキンの役割を果たす軟骨組織「股関節唇(こかんせつしん)」が傷む疾患です。

主に急な方向転換を繰り返す動作や、事故などが直接的な引き金となって発症することがあります。

股関節の痛みは代表的な症状のひとつですが、それ以外にも初期症状としては股関節の不安定感や歩くたびにカクつき感なども見られることがあります。

違和感はあるものの痛みを感じない、あるいは痛みが軽度であるからといって治療をせず放置しておくと、変形性股関節症などを発症し、重症化するケースも少なくありません。

変形性股関節症

変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、形状そのものが変化する疾患です。

長年にわたって股関節に負荷がかかり続け、加齢に伴って発症するケースが多いですが、肥満や運動のしすぎによっても引き起こされます。

軽度の変形性股関節症は歩行の際に軽い痛みを感じる程度ですが、悪化すると激痛によって自力での歩行が困難になり、人工関節置換術しか治療の術がなくなることもあります。

大腿骨頭壊死

大腿骨頭壊死とは、骨盤との接続部分にあたる大腿骨頭部への血流不足により、骨そのものが壊死する疾患です。

正確な発症原因は明らかになっていませんが、アルコールの摂取やステロイドの使用などが発症リスクを高めると考えられています。

初期段階では歩く際に股関節の不安定感を覚えたり、軽い痛みが現れるケースが多いですが、人によっては痛みを感じないこともあります。

単純性股関節炎

単純性股関節炎は、何らかの理由によって股関節が炎症し関節液が溜まることにより、股関節や太もも、膝にかけて痛みを発症する疾患です。

また、関節の可動域も制限されるため片足を引きずったり、歩行そのものが困難になることもあります。

主に10歳以下の子どもに発症しやすい疾患です。

鼠径部痛症候群(グロインペイン)

鼠径部痛症候群はグロインペインともよばれ、鼠径部(太ももの付け根部分)から下腹部にかけて痛みを伴う疾患です。

安静時には症状が見られなくても、ランニングやキックなど特定の動作を行った際に痛みが強く現れます。

体育や部活動など日頃から体を動かすことの多い中高生や、ケガをした後に治りきっていない状態で無理にトレーニングをした場合などに発症することが多いといわれています。

関連記事:股関節が痛いのは何が原因?痛い時にやってはいけないこととは

歩くと股関節が痛いのは運動不足が原因?

ウォーキングや通勤・通学など、歩行をしているときだけ股関節が痛むという場合にはさまざまな原因が考えられますが、普段から運動の習慣がない場合には運動不足が影響している可能性は高いでしょう。

股関節に限らず、私たちの関節は骨や軟骨、腱、筋肉などが複雑に作用しながら動いています。

しかし、体を動かす頻度が少ないと関節の組織そのものが凝り固まってしまい、歩いたり走ったりしたときに過度な負担がかかり痛みを発症します。

運動不足を自覚している方は、まずは少しずつでも良いのでウォーキングや筋力トレーニングを継続していきましょう。

関連記事:変形性股関節症の治し方はある?やってはいけないことや負担をかけない寝方を紹介

20代なのに歩くと股関節が痛いのは危険?

股関節の痛みと聞くと、一般的には体力の衰えた高齢者が発症しやすいものというイメージがあります。

そのため、たとえば20代や30代の若い世代の方にとっては、歩いたときに股関節が痛むのは危険なのではないかと捉えがちです。

しかし、上記でご紹介したように、「単純性股関節炎」や「鼠径部痛症候群」など子どもや若い世代でも発症する股関節の疾患は存在するほか、長時間のウォーキングや運動によって股関節が痛むのは当たり前のことでもあります。

また、生まれつきの骨格や肥満傾向にある方など、その人の体格によっては年齢を問わず股関節に痛みが現れるケースがあります。

特に注意すべきなのは、「昨日までは正常だったのに、今日になって突然痛みを感じ始めた」など突発的に現れる痛みです。

このような場合、何らかの疾患を発症したサインである可能性もあるため、早めに整形外科を受診することが大切です。

歩くと股関節が痛い場合に有効なストレッチ

今すぐに股関節の痛みを軽減したい場合には、ストレッチを行うことで一時的に緩和できる可能性があります。

歩いたときに股関節に痛みが現れた場合、おすすめのストレッチを2つご紹介しましょう。

ニーアップストレッチ

ニーアップストレッチは運動が苦手な方や体が固い方でも簡単にできるストレッチです。

  1. 仰向けに寝る
  2. 左右いずれかの膝を両手で持ち上げる
  3. 持ち上げた膝をゆっくりと胸元に近づける
  4. 20秒ほど姿勢をキープする
  5. 片方の膝も2〜4の動作を行う

股関節に痛みを感じたときはもちろん、お風呂上がりや就寝前のタイミングで毎日ストレッチをすることで、股関節の柔軟性が向上し痛みを軽減できます。

ツイストストレッチ

ツイストストレッチも仰向けの状態でできる簡単なストレッチです。

  1. 仰向けに寝る
  2. 両手を左右に真っ直ぐに伸ばす
  3. 左右の膝をくっつけた状態で立てる
  4. 両膝をゆっくりと左右いずれかの方向に倒す
  5. 20秒ほど姿勢をキープする
  6. 両膝を3の状態に戻し、4と反対方向に倒し20秒ほどキープする

ツイストストレッチのコツは、上半身は動かさず固定し下半身のみを捻るイメージで行うことです。

こちらもお風呂上がりや就寝前のタイミングで継続することで、股関節の柔軟性が向上し痛みを軽減できます。

関連記事:PRP療法の注射が膝や股関節に効果的な理由とは?副作用はある?

歩くと股関節が痛い場合はイノルト整形外科痛みと骨粗鬆症クリニックへご相談を

股関節が痛くなるタイミングは人によっても異なり、痛みの程度や範囲も同じではありません。

痛みの程度が軽く我慢できる範囲であったとしても、治療をせず放置しておくと悪化し自力での歩行が困難になることもあります。

このような状態にならないようにするためにも、信頼性の高い整形外科を早めに受診し適切な治療を受けることが大切です。

イノルト整形外科痛みと骨粗鬆症クリニックでは、関節専門外来を設置しており、今回ご紹介した股関節唇損傷や変形性股関節症、大腿骨頭壊死などさまざまな疾患の治療に対応できます。

比較的症状が軽い初期段階の疾患に対しては薬物療法や理学療法士によるリハビリテーション治療、重度の疾患を抱える患者様に対しては外科手術など幅広い治療法をご用意しています。

「歩くと股関節が痛い」という症状を放置しておくと、やがては日常生活にも支障をきたすリスクも考えられるため、できるだけ早めにご相談ください。

歩くと股関節が痛い場合のまとめ

股関節の痛みは高齢者はもちろんのこと、10歳以下の子どもや中高生、さらには20代、30代といった若い世代でも発症することがあります。

特に「歩くと股関節が痛い」という症状は、今回ご紹介したさまざまな疾患を発症している可能性もあるため、若いからといってリスクがゼロというわけではありません。

他の疾患を併発したり、重症化によって日常生活へ支障をきたすことを防ぐためにも、できるだけ早めに整形外科を受診し検査・治療を行いましょう。

藤沢駅前順リハビリ整形外科のアクセスマップ

この記事の監修医師


藤沢駅前 順リハビリ整形外科  院長 渡邉 順哉

■詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長