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病気

膝の皿の上が痛い場合の原因となる疾患や治し方について解説

膝の皿の上に痛みを感じる場合、さまざまな疾患が考えられます。

なぜ痛みが発症するのか、その原因を解説するとともに、痛みを感じた時に自分自身でできるセルフケアの方法、医療機関で受けられる主な治療法、治し方などを解説します。

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膝の皿の上が痛い場合に考えられる原因・疾患とは?

膝の皿の上に痛みがある場合、どのような疾患が考えられるのでしょうか。また、その原因として考えられる点もあわせて解説します。

大腿四頭筋腱炎

大腿四頭筋は大腿に位置する4つの筋肉群であり、膝の曲げ伸ばしをサポートする重要な役割を果たしています。

これらの筋肉は骨盤から膝にわたって伸びていますが、膝の頻繁な曲げ伸ばしや日常的な酷使、過度の負荷がかかることで筋肉の接続部分である腱に炎症が生じることがあります。

特にスポーツ選手が発症するケースが多く、主な症状としては膝の上部に痛みや腫れが現れます。

膝蓋腱炎(ジャンパー膝)

膝蓋腱は膝蓋骨(膝の皿)と脛骨をつなぐ腱であり、歩行やジャンプ、膝の屈伸運動に欠かせない組織のひとつです。

膝蓋腱炎とは膝蓋腱に炎症が起こる疾患で、別名「ジャンパー膝」とよばれることもあります。

その名の通り、バスケットボールやバレーボールなど頻繁にジャンプを繰り返すスポーツで発生しやすく、膝の前部に鋭い痛みが生じることが特徴です。

膝蓋大腿関節の変形性関節症

膝蓋大腿関節における変形性関節症とは、膝蓋骨と大腿骨の接触部分である関節内部の軟骨が摩耗し、痛みや硬直といった症状を引き起こす疾患です。

加齢や急激な体重の増加、膝の酷使、関節への過度な負荷などが原因で発症することが多く、症状が悪化すると関節そのものが変形することもあります。

膝蓋下脂肪体炎

膝蓋下脂肪体は膝蓋骨のそばに位置する脂肪組織であり、膝関節の動きを滑らかにする役割を果たしています。

膝への負荷がかかりすぎると膝蓋下脂肪体に炎症を引き起こすケースがあり、膝の皿の上のあたりに痛みや腫れが現れます。

膝蓋前滑液包炎

膝蓋前滑液包とは、膝蓋骨の上部に位置する小さな液体で満たされた袋状の組織で、関節の摩擦を低減する役割を果たしています。

膝蓋上滑液包炎は膝蓋前滑液包が炎症を起こす疾患であり、いわゆる「膝に水が溜まった状態」のことです。

初期症状としては膝の圧迫感や違和感、軽い痛みなどが現れますが、症状が進行していくと膝の上部に激しい痛みや腫れ、熱感などが生じることもあります。

こちらも膝の酷使や大きな負荷、あるいは外傷などが原因となることが多く、膝の曲げ伸ばしを繰り返していくうちに徐々に痛みが悪化しやすくなります。

関節リウマチ

関節リウマチとは、免疫の異常が原因で体のさまざまな関節に痛みや腫れなどが現れる疾患です。

本来、免疫は細菌やウイルスから守り私たちの健康を維持する役割を果たしていますが、何らかの異常によって免疫機能が正常に機能しなくなり、関節の一部を攻撃・破壊してしまうことで関節リウマチは発症します。

関節リウマチは一般的に30〜50代の女性が発症するケースが多いですが、明確な原因は分かっていません。

関連記事:膝に水が溜まるとはどういう状態?原因や症状について解説

膝の皿の上が痛い時の対処法

膝の皿の上に痛みがあるとき、セルフケアを行うことで一時的に症状を緩和できる可能性があります。

状況に合わせた適切なセルフケアの方法を解説しましょう。

安静と活動の制限

スポーツや仕事など膝の酷使によって膝の痛みが現れた場合には、一時的に活動を制限し安静を心がけましょう。

無理に膝を動かすと症状を悪化させ、歩行が困難になったり長期の治療を要する可能性もあります。

アイシング

スポーツは怪我によって膝に無理な力が加わって強烈な痛みが生じたり、熱感や腫れなどが現れた場合には患部を氷嚢などでアイシングしましょう。

コールドスプレーや絞ったタオルなどは冷却効果が限られるため、氷または保冷剤によるアイシングが効果的です。

サポーターやテーピングによる圧迫と固定

患部の痛みが持続し症状が緩和されないときには、サポーターやテーピングによって患部を固定することが有効です。

膝の関節を固定することでそれ以上の症状悪化を防ぎ、日常生活における動作も楽になります。

痛みが出ない範囲でのストレッチ

適切な方法でストレッチを行うことも痛みの緩和に役立つことがあります。

本来ストレッチは理学療法士の指導のもとで行うのが理想的ですが、通院まで時間がかかる場合などは痛みを感じない程度の範囲でストレッチを行うのがおすすめです。

膝のストレッチでは、深い屈伸や曲げ伸ばしを行うと痛みを悪化させる危険もあるため、くれぐれも無理をしないよう心がけましょう。

クッション性のあるソールの使用

ジャンプやランニングなどの際に痛みがある場合には、靴やソールを見直すことで緩和できる可能性があります。

適度な厚みがありクッション性に優れたソールがおすすめです。

膝の皿の上が痛い時の治し方

上記でご紹介した内容はあくまでも一時的に症状を緩和する方法に過ぎません。痛みの原因を根本から解消するためには医療機関での治療が必要です。

理学療法士のリハビリテーション

痛みの根本原因を解消し再発を防止するためには、膝関節周辺の筋力をアップしたり、柔軟性や姿勢を改善したりすることで、痛みのなかった頃の状態を取り戻す必要があります。

そこで最も重要な治療法となるのが理学療法士の指導のもとで行われるリハビリテーションです。

専門的な知識をもった理学療法士が指導を行うことで痛みが再発することを予防しやすくなります。

物理療法

物理療法とは、レーザーや温熱、電気といったさまざまなエネルギーを患部に照射し、物理的刺激を与えることで痛みを低減する治療法です。

膝関節の物理療法としては以下の治療法が代表的です。

対して、一部の整形外科で数十年前から行われているマイクロ波やホットパックは治療効果はないと言われており、これらを未だに行っている整形外科は要注意です。

体外衝撃波(集束・拡散)

体外衝撃波とは、高エネルギーの衝撃波を患部に照射することで、炎症を起こした損傷した組織の再生を促す治療法です。

ピンポイントの照射を行う収束型と広範囲の照射が可能な拡散型があります。

整形外科においては比較的新しい治療法であり、対応可能なクリニックも限られています。

超音波・低周波治療

体外衝撃波と比べると治療効果は比較的小さくなりますが、物理療法の中で一般的なのが、超音波や低周波を用いた治療法です。

超音波治療では体内の組織を振動させることで、痛みの緩和や損傷した組織の自己治癒を促進する働きが期待できます。

一方、低周波治療は広範囲にわたる痛みを緩和する効果などが得られます。

いずれも、マイクロ波やホットパックなどの物理療法治療器と比べると疼痛に対する効果は得られやすくなっています。

再生医療

再生医療とは、自己の未熟な細胞を培養したり、血液から一部成分を取り出し、それを体内に膝関節などに注射することで損傷した部位の再生や痛みの改善を促す治療法です。

整形外科の分野において新たな治療法として注目されています。

幹細胞治療

ヒトの体内には神経細胞や筋肉細胞などさまざまな細胞に分化できる幹細胞があります。

脂肪などから採取・培養した幹細胞を患部に注入し、損傷した組織の再生を図るのが幹細胞治療とよばれる方法です。

成長因子療法

PRPの血小板などの細胞成分を除去して成長因子だけを集めたものを患部に注射する成長因子療法も増えてきています。

これを患部に注入することで炎症の治癒や痛みの軽減、関節の機能改善などにつながります。

PRP療法・成長因子療法

患者様本人の血液から多血小板血漿(PRP)とよばれる成分を抽出し、患部に注入する治療法です。

PRPには組織の修復を促進する成長因子を生成する働きがあり、これにより損傷した膝関節の機能を取り戻せる可能性があります。

幹細胞上清液

幹細胞の培養過程において生じる上清液には組織の修復を促進する成長因子が多量に含まれています。

これらの成長因子が働いてくれることで、幹細胞治療に近い効果が期待できます。

こちらは前述の3つとは異なり、他人の胎盤や抜けた歯から取り出した幹細胞が作り出しているもので、他人の細胞を使った治療になります。

ハイドロリリース

ハイドロリリースは筋膜リリース注射ともよばれ、癒着した筋膜に生理食塩水などを注射し患部の痛みを改善する治療法です。

膝の靭帯が伸びにくくなっている場合などに、ハイドロリリースを行うことで動きが改善されることがあります。

動注療法

動注療法とは、「モヤモヤ血管」とよばれる疾患を改善するために行われることの多い治療法です。

モヤモヤ血管とは痛みの原因となる異常な血管のことで、正常な血管とは異なり細くいびつな構造をしているのが特徴です。

モヤモヤ血管の治療にあたっては、体に入れても問題のない抗生物質をそのモヤモヤ血管に注入して詰まらせることで、痛みが緩和されやすくなります。

薬物療法

一時的な膝の痛みや初期段階の疾患など、短期間の痛みや炎症を取り除くために、痛み止めの内服薬や湿布、軟膏などが処方されることが多くあります。

関連記事:関節リウマチの症状は膝に出ることもある?変形性膝関節症との違いとは

イノルト整形外科での膝の痛みに対する治療

一口に膝関節の痛みといってもその症状や程度はさまざまであり、根本から改善するためには医療機関での検査と専門的な治療が不可欠です。

しかし、整形外科クリニックによっても対応できる治療法は限られているほか、信頼できる医療機関を探すのは簡単なことではありません。

膝の痛みを早期に改善し本来の機能を取り戻したいとお考えの方は、イノルト整形外科へご相談ください。

イノルト整形外科では関節専門外来を設置しており、膝はもちろん肩や肘、股関節、手足などさまざまな部位の痛みに特化した診察を行っています。

今回ご紹介した体外衝撃波やハイドロリリース、さらには再生医療といった最新の治療法にも対応しているため、症状や疾患の程度を考慮しながら最適な治療法を選択できます。

今回紹介した治療法は一部を除き自費診療となるため、対応している整形外科クリニックはごく少数に限られていますが、イノルト整形外科では膝に特化して診察が可能な専門外来を設置しております。

関連記事:膝の痛みの場所別原因まとめ|突然ズキズキ痛むのは危険?

まとめ

膝の皿の上が痛い場合には、主に大腿四頭筋腱炎や膝蓋腱炎などの疾患が考えられますが、それ以外にも変形性膝関節性や膝蓋前滑液包炎、関節リウマチなどを発症している可能性もあります。

主にスポーツや体重増加、日常的な膝の酷使などが原因で痛みが現れることが多く、重症化する前に医師の診察と治療を受けることが大切です。

ハイドロリリースや再生医療といった最新の治療法も含めて検討したいという方や、信頼できる整形外科クリニックをお探しの方はイノルト整形外科へお気軽にご相談ください。

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この記事の監修医師


藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック  院長 渡邉 順哉

■詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長