肩腱板断裂の症状とは?原因や痛みを和らげる方法についても解説!
肩に違和感や痛みがある場合、四十肩や五十肩を連想しがちです。
しかし、必ずしもそれだけが原因ではなく、関節組織の一部が断裂しているケースもあります。
本記事では、特に40代以上の方が発症しやすい「肩腱板断裂」の症状と、発症する原因や痛みを和らげる方法などを詳しく解説します。
肩腱板断裂とは?
肩腱板断裂とは、肩を挙げる腱が切れることにより痛みを伴う病気、腱板損傷ともいいます。
肩には肩甲骨から上腕骨に繋がる筋肉と腱がありますが、何らかの理由で腱が上腕骨にくっつく近くで断裂することがあります。
肩の痛みと聞くと、真っ先に五十肩(四十肩)などを連想する方も多いと思いますが、整形外科で検査を受けてみると肩腱板断裂であったことが発覚するパターンは少なくありません。
五十肩は肩を上部に痛みで途中までしか挙げられないのが特徴です。
しかし、肩腱板断裂は肩に力が入りづらくなったり、どちらかというと肩を上げたり下げる途中や就寝後の夜間の痛みを訴える方が多いものです。
また、肩腱板断裂では肩の痛みが数週間以上経過しても引かず、時間の経過とともに断裂が悪化し痛みしていく場合もあります。
そのため、肩腱板断裂と診断された場合には適切な治療に取り組むことが大切です。
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肩腱板断裂になる原因
肩腱板断裂はさまざまな要因によって腱が切れることで発症します。
具体的にはどういった原因が考えられるのでしょうか。
急性断裂
急性断裂とは、瞬間的に大きな負荷や衝撃が加わったときに腱が断裂することをいいます。
たとえば、重いものを持ち上げたときや、肩をぶつけたとき、転倒して肩を強く打ったときなどに腱が断裂することが多いです。
変性断裂
変性断裂とは、加齢に伴い、腱が脆くなってくることに加え、肩を使い続けてきた事で腱が損傷を起こすことです。
脆くなっているため、わずかな衝撃や圧力などによって部分的または完全に断裂することもあります。
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肩腱板断裂の症状
肩腱板断裂を発症すると、どのような症状が見られるのでしょうか。
人によっても症状の内容や程度はさまざまですが、多くの方に見られるのは以下の症状です。
- 肩を動かしたときに引っ掛かり感やゴリゴリとした音がする
- 肩を動かしたりしたときや夜間に痛みが強く現れる
- 自力で腕を上げようとすると痛む(反対に、痛い方の腕を反対の手で掴んで強制的に持ち上げたりすると痛みがない)
- 転んで手をつくなど腕に強い衝撃や圧力が加わった(急性断裂の場合)
- 破裂音のような音がして強い痛みを感じた(急性断裂の場合)
変性断裂の場合は徐々に症状が悪化していく傾向にありますが、急性断裂の場合は強い破裂音がして激痛が走ります。
上記のような症状が現れた場合は肩腱板断裂の疑いがあるため、できるだけ早めに整形外科を受診しましょう。
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肩腱板断裂になりやすい人の特徴
肩腱板断裂を発症しやすいのはどのような人なのでしょうか。
50歳以上の中高年世代
加齢によって組織の老化は進んでいき、肩の腱も切れやすくなります。
特に40代以上の中高年はリスクが高まり、変形断裂を引き起こすケースが珍しくありません。
スポーツ選手・アスリート
冒頭でも紹介した通り、肩腱板断裂は肩を酷使する人ほど発症リスクが高まります。
特に肩を酷使する激しい運動を日常的に行っている人は、長年の疲労が蓄積され変性断裂を引き起こす可能性があるでしょう。
また、激しい動きをしていると転倒や強い衝撃が加わることもあり、それが原因で急性断裂を引き起こすリスクもあります。
現場作業者
肩を酷使するという意味では、スポーツ選手だけでなく現場作業に従事する大工さんや塗装工、引越し作業員なども同じことがいえます。
特に高い位置から低い位置へと腕を上下する動きが多い場合、肩にかかる負担も増えて変性断裂につながるリスクがあります。
肩腱板断裂の痛みを和らげる方法
肩腱板断裂を発症すると強烈な痛みを伴います。
症状を緩和するにはどういった方法が効果的なのでしょうか。
肩甲骨・胸郭のトレーニング
肩甲骨の周辺にはさまざまな筋肉が集中しており、年齢とともに固くなってきやすいため、これらの筋肉をほぐすことで痛みの緩和につながることがあります。
これらは正しいトレーニングが必要になるため、理学療法士のリハビリを受けることがとても大事です。
- 肩の上下運動
肩の力を抜いてリラックスした状態から、両肩を上げてすくめるような姿勢を作った後、ゆっくりと肩を下ろします。
このとき、呼吸は止めないようにしましょう。
- 胸郭のトレーニング
肩甲骨を後方に、胸を前方に張るようなイメージで、左右の肩を背骨に近づけていきます。
その後、両肩を前方にゆっくり持っていき、背骨を丸くする姿勢を作ります。
肩関節の可動域トレーニング
肩腱板断裂を発症して時間が経過してくると、肩関節が固まって可動域が制限され、上下左右の運動がしづらく感じることがあります。
以下のトレーニングを行うことで、可動域を広げ、肩関節の本来の機能を取り戻せる可能性があります。
- タオルを使用したトレーニング
テーブルの上にタオルを置き、座った状態でトレーニングを行います。
左右いずれかの手をタオルに置き、そのまま前方に滑らすように移動します。
また、前後だけでなく左右に動かすトレーニングも並行して行いましょう。
肩腱板断裂の治し方
肩腱板断裂によって重度の痛みや腫れなどがある場合、どのような治療が効果的なのでしょうか。
代表的な治療法をご紹介します。
保存治療
保存療法とは、一言でいえば手術以外の治療法を指します。
整形外科で行われる保存療法には、理学療法士の指導のもとで行われるリハビリやヒアルロン酸注射、体外衝撃波治療、再生医療などがあります。
特に、体外衝撃波治療は1回あたりの治療時間が数分から10分程度と短く、疼痛緩和に即効性が期待できます。
しかし、集束型体外衝撃波は接骨院や整体院などで治療を受けることはできません。
また、設備の整った整形外科も限られています。
再生医療は患者本人から採取した血液の一部を加工したり、幹細胞を培養して、完成したものを注射する治療法です。
これにより、断裂した腱の機能の回復が期待できます。
そのため、手術に比べて負担が少なく、日帰りでの治療が可能というメリットがあります。
手術
保存療法を行っても痛みがとれなかったり、運動障害が残ったりする場合には手術療法が選択されることがあります。
肩腱板断裂の手術は主に関節鏡視下手術によって行われますが、あまりにも大きな断裂の場合は患部を切開し直視下で行う通常手術が選択されることもあります。
関節鏡視下手術のほうが術後の痛みは少ないですが、どちらの手術も1カ月程度の入院と半年間程度の通院でのリハビリが必要です。
肩腱板断裂はどのくらいで治る?
肩腱板断裂にはさまざまな治療法があり、それぞれ治療期間は異なります。
保存療法の場合、ヒアルロン酸注射や体外衝撃波治療、再生医療や投薬などですぐに痛みを緩和することが期待できます。
一方、手術の場合は術後4〜6週間の装具固定と6カ月程度のリハビリを要するため、トータルで7カ月以上が目安となるでしょう。
肩腱板断裂でお悩みの方はイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックへご相談ください
肩腱板断裂はさまざまな治療法があり、整形外科によっても設備は異なるため、上記で紹介したすべての治療法に対応できるとは限りません。
特に手術の場合は装具固定とリハビリで長い期間の治療が必要となるため、まずは保存療法に取り組み、治療の効果を見極めることが重要です。
多用な保存療法に対応できる整形外科を受診することで、治療法の選択肢が増え、早期に回復できる可能性が高まることも期待できます。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、理学療法士によるリハビリはもちろんのこと、ヒアルロン酸注射や体外衝撃波治療、再生医療、投薬治療などさまざまな保存療法に対応しています。
また、これらの治療法で効果が現れなかった場合には信頼のある肩専門外科医のいる医療機関を紹介してすることが可能です。
肩に痛みがあり、しばらく様子を見ても症状が緩和されない場合には、ぜひ一度イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックへご相談ください。
まとめ
年齢を重ねると体のさまざまな部位に痛みが生じたり、違和感を覚えたりすることも珍しくありません。
特に肩の痛みは「五十肩なのではないか」と考えがちですが、肩腱板断裂を発症しているケースも意外と多いものです。
肩の痛みを和らげる方法としては、今回紹介したトレーニングが有効です。
しかし、それでも症状が緩和しない、慢性的に痛みが続くという場合には、整形外科を受診し治療に専念するようにしましょう。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ
藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長 渡邉 順哉
経歴
●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長