膝の痛みにヒアルロン酸注射は効果がある?副作用や打つ回数・費用を解説
※本記事は、整形外科専門医・イノルト整形外科 統括院長 渡邉順哉医師の監修のもと執筆しています。
日本整形外科学会(日整会)の変形性膝関節症診療ガイドライン(※)によると、変形性膝関節症がある患者に対してヒアルロン酸の関節内注射を行うことは「推奨度B」とされており、「行うように推奨される」となっています。
膝関節にヒアルロン酸を注射することで、膝関節の痛みを軽減することが可能です。
膝の痛みがある変形性膝関節症(OA)の患者によく用いられる治療法、ヒアルロン酸注射について徹底解説します。
Contents
ヒアルロン酸注射とは?

変形性膝関節症の膝の痛みに処方されるヒアルロン酸注射について説明します。
ヒアルロン酸注射の作用と効果
ヒアルロン酸注射は、もともと体内に存在する成分と同じであるヒアルロン酸を関節内に注射することにより、関節痛の緩和や関節の滑らかな動きを取り戻すことを目指す治療です。
主に変形性膝関節症による膝痛に対し用いられます。
ヒアルロン酸とは、人体の関節内に存在する成分で、関節が滑らかに動くための潤滑油と、衝撃を和らげるクッション材としての役割を果たしています。
しかし、加齢によって関節内のヒアルロン酸は徐々に減少していき、関節にとっての潤滑油やクッション材が減ることを意味し、膝の痛みなどの関節痛に繋がるのです。
変形性膝関節症に対してヒアルロン酸注射で関節内のヒアルロン酸を補うことで膝痛の緩和が期待できます。
効果持続期間
関節内に注射したヒアルロン酸は徐々に体内に吸収されていくため、痛みが軽減されているように感じる効果の持続期間は1〜2週間程度とされています。
ヒアルロン酸注射の治療が向いている人
- 変形性膝関節症 初期と診断された方
- 膝が痛くなり始めた方
- 動き始めに膝が痛む方
- 素早く痛みを抑えたい方(短期間の注射で治療)
臨床的には変形性膝関節症初期の方、つまりは最近膝の痛みが気になり始めた方で、素早く治療を終えて一時的に痛みの症状を緩和させたい方が対象となります。
ヒアルロン酸注射を打つ回数は?頻度は?
初めの1ヶ月ほどは、週に1回注射を行います。
痛みが緩和していれば、引き続き2週間に1回、ヒアルロン酸注射を継続します。
変形性膝関節症による軟骨の摩耗や骨の変形が進行すると、ヒアルロン酸注射の効果を感じにくくなる場合があります。
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ヒアルロン酸注射の費用・価格は?
ヒアルロン酸注射の費用は、75歳以上で1割負担の保険診療で行う場合、両膝への注射1回当たりで1000円程度になります。
関連記事:膝へのヒアルロン酸注射の料金目安は?保険適用の費用・効果・回数も解説
ヒアルロン酸注射の副作用

膝へのヒアルロン酸注射によって局所の痛みや腫れなどが起こることがありますが、これは経過とともに治まっていくものです。
ヒアルロン酸注射は、注意が必要なものの、副作用はほとんど報告されていません。
重大な副作用は、以下などが挙げられます。
- 過敏症
- 蕁麻疹
- 発疹
- そう痒感
- 浮腫
その他、関節内に細菌が入って化膿性膝関節炎になる可能性も0ではありません。
関連記事:膝の上が痛い人必見!原因や対処法・効果的なストレッチ方法を解説
ヒアルロン酸注射とステロイド注射の違い
ヒアルロン酸注射に並び、膝の痛みを緩和する保存療法としてステロイド注射があります。
どちらも注射による治療法ですが、効果は大きく異なります。
ステロイド注射は、抗炎症と鎮痛作用に優れた治療法です。
炎症が原因で膝に強い痛みがある場合に有効な手段です。
ただし、ステロイド注射は、軟骨の新陳代謝を悪化させる可能性もあります。
このような副作用を防ぐためにも、本当に必要な時だけ行い、避けられれば避ける方が良いと考えておくとよいでしょう。
一方、ヒアルロン酸注射は上述のように関節の動きをよくすることで痛みを緩和する治療法です。
変形性膝関節症の症状が軽度の場合に適応されるため、膝の炎症や痛みが強い場合は抗炎症作用・鎮痛作用のあるステロイド注射の方が有効とされています。
どちらの治療が適用となるかは、膝の状態によって異なります。
関連記事:【膝の違和感】膝を伸ばしたときに出る痛み以外の症状と原因について解説
ヒアルロン酸注射が効かなくなってきたらどうしたらいい?

変形性膝関節症のステージがある程度進行すると、ヒアルロン酸注射が効かなくなってくることがあります。
このような時、保険診療で次に検討するのは、骨切り術や人工関節に代表される手術療法です。
しかし、手術は体への負担も高く、入院やリハビリなど様々な不安から手術を決断できない人は少なくありません。
さらに、年齢や既往歴のためにそもそも手術が適応ではない方もいます。
これまでは、こういった患者に対して、運動療法や継続した薬物療法で保存的に対処するしかありませんでした。
しかし、近年、再生医療と呼ばれるものが出現し、自身の細胞や組織を活用して、損傷した組織や臓器の修復を試みることができるようになりました。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでも、再生医療であるAPS、APS-FSWを行っています。
ヒアルロン酸注射が効かなくなってきたなと感じたら、医師に相談し、患者様の症状・状態に合わせた治療法を継続して受けることをおすすめします。
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膝の痛みに対する主な治療方法

ヒアルロン酸注射以外の膝の痛みに対する治療法は、以下などがあります。
- 運動療法(膝周りの筋肉を鍛えたりストレッチをする)
- 物理療法(超音波・低周波療法など)
- 薬物療法(鎮痛剤など)
- 体外衝撃波治療(集束型、拡散型)
- 再生医療(APS・APS-FD療法など)
- 手術療法(骨切り術や人工関節置換術)
単純に生活習慣を改善し、減量することで膝への負担が軽減し、痛みが緩和するため、生活指導も同時に行われます。
変形性膝関節症の初期〜中期では、手術療法以外の保存療法を行い、重度になると手術療法を検討されます。
手術以外では、再生医療が検討されることがありますが、現在は保険適用とならず、自費診療となります。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックはオーダーメイド治療の提供が可能

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、「関節専門外来」や「再生医療専門外来」を設け、膝の状態に応じた治療選択肢をご提案しています。
そもそも「膝の痛み」と言っても、患者様の生活環境やお仕事によって治療法は異なります。
当院では、患者様のお話を丁寧にお聞きし、患者様の症状や生活背景を踏まえ、治療方針をご提案しています。
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まとめ
ヒアルロン酸とは、人体の関節内に存在する成分で、関節が滑らかに動くための潤滑油と、衝撃を和らげるクッション材としての役割を果たしており、変形性膝関節症に対してヒアルロン酸注射で関節内のヒアルロン酸を補うことで膝痛の緩和が期待できます。
1〜2週間に1回関節内に注射を行い、料金は保険適用の1割負担で1回1000円程度です。
徐々に体内に吸収され、やがて体内で分解・吸収されるため効果は限定的です。
しかし、
- 比較的少ない負担で受けられる場合がある
- 効果が出るのが比較的早い
- 副作用の頻度は高くないとされている
- 日本整形外科学会ガイドラインでも推奨されている
ため、変形性膝関節症の初期の治療として頻繁に用いられています。
しかし、変形性膝関節症による関節や軟骨の変形に対応するわけではなく、あくまで疼痛を緩和する対処療法です。そのため、運動療法やストレッチ、体重のコントロール、体外衝撃波治療、再生医療など、痛みや進行予防を考慮しながら、複数の治療を組み合わせることが大切です。
ヒアルロン酸注射以外にも多くの治療法があり、患者様のお体の状態によって適切な治療法は異なるため、まずは病院を受診し、医師と相談しながら治療方針を決めていくことが非常に大切になります。

この記事の監修医師
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
渡邉 順哉
経歴
- 平成16年 鎌倉学園高等学校卒
- 平成23年 東邦大学 医学部卒
- 平成23年 横浜医療センター 初期臨床研修
- 平成25年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
- 平成26年 神奈川県立汐見台病院 整形外科
- 平成28年 平成横浜病院 整形外科医長
- 平成30年 渡辺整形外科 副院長
- 令和元年 藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
- 令和6年 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 統括院長
