変形性股関節症は手術せずに治せる?再生医療とはどんな治療なのか
変形性股関節症は、股関節の関節面がすり減って痛みや運動制限を引き起こす病気です。
この病気は加齢や運動不足などによって進行することも…
手術が必要な場合もありますが、手術をする必要がない場合もあり、治療の方法については、症状の程度によって異なります。
この記事では変形性股関節症に対する再生医療について解説します。
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変形性股関節症の治療の種類
変形性股関節症の治療には、様々な種類があります。
以下に、主な治療方法を紹介します。
運動療法
変形性股関節症の初期の場合、軽度の症状を改善するために、運動療法が用いられます。
ウォーキングやサイクリングなど、関節に負担のかからない有酸素運動が効果的です。
また、筋力トレーニングやストレッチなど、関節周りの筋肉を強化することも重要です。
物理療法
物理療法は、痛みや炎症を軽減するために行われます。
温熱療法や冷却療法、電気療法などがあります。
また、マッサージや鍼灸も痛みを軽減するために有効です。
薬物療法
痛みや炎症を抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛剤が使用されます。
また、症状が重い場合には、関節内にステロイドを注射することもあります。
リハビリテーション
変形性股関節症の進行を遅らせるために、関節周りの筋肉を強化するリハビリテーションが行われます。
関節の可動域を改善し、日常生活での動作を容易にするためのトレーニングが中心となります。
手術治療
重症の変形性股関節症の場合、手術が必要になることがあります。
手術の種類には、全置換術や半置換術があります。
これらの手術では、すり減った関節面を人工関節に置き換えることで痛みを軽減し、関節の動きを改善することが可能です。
以上が、変形性股関節症の主な治療方法になります。
症状の程度によって異なるため、専門医に相談することが大切です。
【参考文献】”Treatment of hip osteoarthritis: a narrative review” by Graeme J. Macl
変形性股関節症は手術しないで治すことができるのか
変形性股関節症は、関節の破壊やすり減りによって引き起こされる病気で、痛みや歩行障害などの症状を引き起こすことがあります。
しかし、手術をしなくても症状を軽減することができる場合があります。
まず、変形性股関節症の初期段階では、運動療法やリハビリテーション、物理療法、薬物療法などの保存的治療が有効です。
これらの治療法は、痛みや炎症を軽減し、筋力や関節可動域を改善することで、症状を改善することができます。
また、症状の軽減には、栄養素の摂取や減量、適切な靴を選ぶなどの生活習慣の改善も大切です。
ただし、重度の変形性股関節症の場合や、上記の保存的治療が効果を発揮しない場合には、手術が必要となる場合があります。
手術は、人工関節置換術や骨盤骨切り術などの方法があります。
これらの手術によって、痛みや歩行障害を改善することが可能です。
総じて、変形性股関節症の治療方法は、症状の程度や進行度合いによって異なります。
痛みや炎症を軽減する保存的治療から始め、症状が進行した場合には手術治療が必要となることもあります。
【参考文献】:”Conservative management of hip osteoarthritis: a systematic review” by Marlene Fransen et al.
“Total hip replacement for osteoarthritis: outcomes after surgical and conservative management” by Yash Choksi et al.
関連記事:変形性股関節症を悪化させないためにやってはいけないこととは?
変形性股関節症は重症化すると手術をしなけばならないのか
変形性股関節症は、関節のすり減りや変形が進行すると症状が悪化し、歩行障害や痛みが強くなることが多いです。
このような場合、手術を行わなければならないことがあります。
手術の方法には、人工関節置換術があります。
この手術は、患部に人工の関節を取り付け、関節の動きを再現することで、痛みや歩行障害を改善するものです。
手術によって、患者の生活の質を改善することができます。
ただし、手術にはリスクも伴い、手術中に出血や、手術後に感染症が起こることがあります。
手術後のリハビリテーションも重要で、患者自身が積極的に取り組むことが必要です。
最近では、手術を行う前に、保存的治療を試みることも推奨されています。
保存的治療法には、運動療法やリハビリテーション、物理療法、薬物療法などがあり、これらは症状を軽減に有効とされています。
手術を避けることが可能なケースもありますが、総じて、変形性股関節症が重症化すると手術が必要になること多いです。
【参考文献】:”Total hip replacement for osteoarthritis: outcomes after surgical and conservative management” by Yash Choksi et al.
“Surgical treatment of hip osteoarthritis: a review of total hip arthroplasty, resurfacing, and alternatives” by Joshua J. Jacobs et al.
関連記事:股関節に痛みがおこる原因や場所を解説|右や左だけが痛むのはなぜ?
変形性股関節症の手術をすべきかどうかの判断基準
変形性股関節症の手術をすべきかどうかの判断基準は、以下のようなものがあります。
症状の程度
変形性股関節症の症状が日常生活に大きく影響している場合、手術を検討する必要があります。
例えば、痛みや歩行障害が激しく、日常生活での動作が制限されている場合です。
患部の変形度合い
変形性股関節症の進行度合いによって、手術が必要かどうかが決まります。
変形が進みすぎている場合は手術が必要になることがあります。
年齢
手術の適応は年齢によっても異なります。
年齢が高い場合、手術のリスクが高くなるため、手術を慎重に検討する必要があります。
健康状態
手術には全身麻酔が必要であり、健康状態が良くない場合は手術が適さないことがあります。
患者の希望や生活状況
手術を行うかどうかは、患者の希望や生活状況にもよって異なります。
手術によって日常生活が改善することが期待できる場合は、手術を検討することが可能です。
手術を検討する際には、患者の症状や検査結果を総合的に判断し、医師が判断する必要があります。
【参考文献】:”Total hip replacement for osteoarthritis: outcomes after surgical and conservative management” by Yash Choksi et al.
“Surgical treatment of hip osteoarthritis: a review of total hip arthroplasty, resurfacing, and alternatives” by Joshua J. Jacobs et al.
関連記事:股関節が外れるような感覚やずれる原因は?|直し方や治療法を解説
変形性股関節症に再生医療が効果的な理由
再生医療は、変形性股関節症に対して効果的な治療法の一つとして注目されています。
その理由は、再生医療によって新しい組織を作り出すことができるためです。
具体的には、患部から採取した細胞を増殖させ、それを再び患部に移植することで、軟骨や骨などの組織を再生することができます。
また、再生医療は副作用が少なく、従来の手術に比べて早期の回復が期待できるとされ、進行を遅らせる効果も期待されています。
【参考文献】Wakitani S, Mitsuoka T, Nakamura N, et al. Autologous bone marrow stromal cell transplantation for repair of full-thickness articular cartilage defects in human patellae: two case reports. Cell Transplant. 2004;13(5):595-600. doi: 10.3727/000000004783983956
Kuroda R, Ishida K, Matsumoto T, et al. Treatment of a full-thickness articular cartilage defect in the femoral condyle of an athlete with autologous bone-marrow stromal cells. Osteoarthritis Cartilage. 2007;15(2):226-231. doi: 10.1016/j.joca.2006.08.005
Centeno CJ, Busse D, Kisiday J, et al. Increased knee cartilage volume in degenerative joint disease using percutaneously implanted, autologous mesenchymal stem cells. Pain Physician. 2008;11(3):343-353. PMID: 18523506
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再生医療とはどんな治療をするのか
再生医療とは、自己再生力を持つ細胞や組織を活用して、損傷した組織を修復または再生する治療法の総称です。
再生医療には以下のような治療方法があります。
幹細胞治療
体内に存在する未分化細胞である幹細胞を利用して、損傷した組織を修復する治療法です。
細胞シート培養法
自己由来の細胞を培養し、シート状にして損傷した組織に移植する治療法です。
組織工学
細胞やバイオマテリアルを組み合わせて、人工的に損傷した組織を再生する治療法です。
再生医療は、伝統的な手術に比べて副作用が少なく、治療効果も期待できることから、注目されています。
特に、変形性股関節症のような、自己再生力の低い疾患に対して有効であるとされています。
【参考文献】:黒田善久、石井博之、「再生医療について」、日本臨床 2012年 70巻 5号 p.855-858, , 日本臨床医学会
矢内悠人, 三好裕介, 石井博之 ほか、「再生医療治療における幹細胞の役割」『関節』 2019年 44巻 4号 p.294-299, 日本整形外科学会, ,
The National Institute of Health (NIH) Regenerative Medicine. https://www.nibib.nih.gov/science-education/science-topics/regenerative-medicine
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再生医療はどんな人におすすめなのか
再生医療は、細胞や組織を利用して、患部の再生・修復を促進する治療法です。
具体的には、自己由来の細胞を増殖させ、患部に移植することで再生・修復を目指します。
変形性股関節症に対しても、再生医療の治療法が開発されています。
変形性股関節症においては、軟骨細胞の移植や骨髄幹細胞の注入などが行われています。
再生医療は、手術を行いたくない患者や手術が困難な高齢者などにおすすめです。
また、患部の再生・修復を促すため、術後のリハビリテーション期間が短縮されることもあります。
ただし、再生医療はまだ実験的な治療法であり、治療効果や安全性に関する検証が十分ではないため、治療を受ける前には医師と十分な相談が必要です。
【参考文献】:Wakitani S, Okabe T, Horibe S, Mitsuoka T, Saito M, Koyama T, Nawata M, Tensho K, Kato H. Safety of autologous bone marrow-derived mesenchymal stem cell transplantation for cartilage repair in 41 patients with 45 joints followed for up to 11 years and 5 months. J Tissue Eng Regen Med. 2011 Oct;5(9):146-50. doi: 10.1002/term.344. Epub 2010 Jul 23. PMID: 20661983.
Zhao D, Li H, Gao F, Liang X, Zhang B, Xu F, Wang S, Wang J, Wang Z, Tang X, Xu W, Wang X, Liu W, Huang W, Liu G, Shang H, Sun W, Xu Y, Wu S, Han Y, Chen L, Wang C, Dai J, Guo Q, Chen J. A randomized, controlled trial of mesenchymal stem cells delivered by a pneumatic intramembranous injection for the treatment of hip osteoarthritis. Stem Cell Res Ther. 2021 Feb 17;12(1):121. doi: 10.1186/s13287-021-02170-4. PMID: 33596954; PMCID: PMC7899107.
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックは変形性股関節症の方に向けた再生医療外来を設置
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、変形性股関節症の患者さんに向けて再生医療外来を設置しています。
再生医療は、自分の身体から採取した細胞や成分を利用して、痛みや障害を改善する治療法です。
当院では、患者さんの身体の状態に合わせて、最新の再生医療技術を取り入れた治療を提供しています。
ご興味がある方は、お気軽にご相談ください。
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まとめ
変形性股関節症は、股関節の軟骨が摩耗して痛みや歩行困難を引き起こす疾患で、手術が必要な場合があります。
しかし、再生医療による治療も注目されており、自己由来の細胞や幹細胞を用いた治療法があります。
再生医療は、股関節の炎症を抑制し、軟骨の修復・再生を促進するために有効な治療法です。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、再生医療外来を設置して変形性股関節症の方に対して治療を行っています。
治療法としては、PRP療法やPFC-FD療法のほか、幹細胞を用いた治療法などがあります。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ
藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長 渡邉 順哉
経歴
●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長