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斜頸

疾患概念

斜頸とは頭部が斜めに傾いた形をとるものをいいます。筋性、骨性、外傷性、炎症性、眼性、痙性など種々の原因があります。乳児に発症する筋性斜頸が最も多く、小児では頸部炎症性疾患です。

 

誘因・原因

先天性筋性斜頸は原因不明だが、胎児期の逆子に関連があると考えられています。出生後まもなく、一側の胸鎖乳突筋に筋肉の動かしづらさが起こり生じます。先天性骨性斜頸(congenital osseous torticollis)は頸椎部での癒合椎などの骨性奇形によります。環軸椎回旋位固定(AARF)は小児に発症します。頸部炎症や外傷、首をひねる動作などが誘因となり、環軸関節の回旋性の転位、亜脱臼が生じます。痙性斜頸(spasmodic torticollis)は頸部筋群の異常な筋緊張により生じる斜頸です。中枢神経障害によるもの、心因性のものなどがあり、ほとんどが成人に起こります。眼性斜頸(ocular torticollis)は斜視(strabismus)に伴い頭位傾斜をとります。

 

症状・臨床所見

先天性筋性斜頸は生後1~3週間ごろに胸鎖乳突筋に腫れたコブを生じ、頸部は患側に傾き、健側に回旋します。6か月ほどで自然治癒することが多いが、胸鎖乳突筋の線維化を生じ難治となることもあります。先天性骨性斜頸は加齢とともに変形が進行する場合もあります。環軸椎回旋位固定は頸椎の炎症性疾患のあとや、振り向く動作などで首をひねったときなどに、強い痛みとともに首が動かせなくなります。痙性斜頸はほとんどが成人に起こります。精神的緊張で憎悪し、安静や臥位で軽減します。眼性斜頸は乳児期からみられます。対象を注視すると斜頸が強くなります。

 

検査・診断・分類

筋性斜頸は頸部の触診、骨性斜頸はレントゲン検査で診断します。乳児期で筋性斜頸、骨性斜頸でなければ眼性斜頸を考え、頭傾斜試験(chead tilt test)を行います。環軸椎回旋位固定は口を開け正面からのレントゲン検査、CT、3D-CTなどで診断、分類します。フィールディング(Fielding)分類が用いられます。

 

タイプⅠ

環椎の前方転位がなく、歯突起が回転軸となっており。最多です。

 

タイプⅡ

前方転位3~5mm。一側の環軸関節が回転軸となり、横靭帯損傷があります。

 

タイプⅢ

前方転位>5mm。横靱帯と翼状靭帯の損傷があります。

 

タイプⅣ

後方転位(歯突起の形成不全に伴います)。

 

治療

筋性斜頸は難治例は顔面非対称の原因となるため、3歳ごろに手術治療(切腱術など)を行います。痙性斜頸は脳神経外科、神経内科、診療内科的な治療を行います。眼性斜頸は眼科での斜視手術を行います。環軸椎回旋位固定では軽症例は消炎鎮痛薬や頸椎カラーで治療し、改善がみられなければ持続牽引を行います。関節の変形を伴う難治例や再発例では環軸椎固定術も行われます。

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