偽痛風
疾患概要
要因・原因
ピロリン酸カルシウム結晶の沈着は遺伝的素因によって起こるほか、加齢や副甲状腺機能亢進症、ヘモクロマトーシス(先天的鉄代謝異常により起こる)、甲状腺機能低下症、痛風、低マグネシウム血症、低リン血症などの代謝性疾患に合併します。ピロリン酸結晶が関節炎を起こす機序については、痛風同様に結晶滑膜炎によるという説と、結晶が直接軟骨を破壊するという説とがあります。
症状・臨床所見
激烈な疼痛で発症する単関節炎であることが多いです。局所の発赤、腫脹、熱感、圧痛が発症24時間以内にピークに達し、1週間程度で消失します。好発部位は膝が多いですが、手首や足首や肩にも生じます。
検査・診断・分類
CRP(C反応性タンパク)陽性、白血球増多を認めることが多いです。関節穿刺液は黄白色の混濁液であり、化膿性関節炎との鑑別を要します。
偽痛風の診断基準(McCarty DJによる)
- 生検や関節液採取とX線回析によるピロリン酸カルシウム結晶の存在の証明
- (a)補正偏光顕微鏡を用いた関節液中の弱い複屈折性を示す単斜性または三斜性結晶の存在の証明(b)典型的石灰化のX線所見
- (a)膝関節または大関節に存在する急性関節炎(高尿酸血症の合併は無関係)(b)膝関節、股関節に存在する急性憎悪を伴う慢性関節炎
確定(definite):1または2(a)+2(b)
疑いあり(probable):2(a)または2(b)
可能性あり(possible):3(a)または3(b)
治療
まず急性炎症に対する治療(局所の安静・冷却・非ステロイド性抗炎症薬の投与)を行います。関節液排除および関節内洗浄が効果的です。