腓骨神経麻痺
疾患概要
膝下の神経が圧迫されるなどによって、起こる神経障害。
足首が上に曲げられなくなり、足が垂れ下がったままになってしまいます。
膝の外側(腓骨頭)を巻くようにして皮膚の下にあるため、同部位での長時間の圧迫により麻痺を起こしやすくなります。
誘因・臨床所見
腓骨頭部(膝外側)の外部からの圧迫により生じるものが多く、牽引などで長期のベッド生活が続いたり、固定や手術中・手術後で生じることがあり、注意を要します。
症状・臨床所見
総腓骨神経は、感覚(下腿外側、足背)や運動(足関節および足趾の背屈)を支配しています。
下腿の外側から足背ならびに足趾背側にかけて感覚が障害され、しびれたり、触った感じが鈍くなります。
また、足首と足の指が背屈(上に反る)できなくなり、下垂足となります。
検査・診断・分類
問診による病状の進行状態を把握し、神経伝達速度、超音波検査、MRI、筋電図検査により、腓骨神経麻痺を診断します。
神経伝導速度により、膝の外側で神経の電気が流れるスピードが遅くなっていることが確認できます。
超音波検査やMRIでは圧迫の原因となるような皮下腫瘍やガングリオンを認める場合があります。
筋電図検査では総腓骨神経が支配している部位の筋肉にしっかり電気刺激が伝わっているか調べます。
治療
一時的な圧迫であれば、数ヶ月程度で症状が改善する場合が多いです。
圧迫の回避・除去、局所の安静、薬物療法、運動療法などの保存的療法と手術療法があります。
神経損傷がある場合は、神経剥離、神経縫合、神経移植などの手術が行われることがあります。