膝の痛みで病院に行くタイミングとは?治療と再発予防のポイントを解説

膝の痛みは、加齢や運動のしすぎ、体重の増加などが原因で発症することが多く、重症化すると日常生活にさまざまな支障をきたします。
痛みの程度は人によっても異なるため、病院を受診すべきなのか迷ってしまう方も多いでしょう。
そこで本記事では、膝に痛みがある場合に病院を受診すべきタイミングや、どういった治療法があるのか、再発を防ぐためのポイントもあわせてご紹介します。
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膝の痛みで整形外科を受診すべきタイミング

膝の痛みは整骨院(接骨院)で施術を受けたり、整形外科で治療をすることで緩和できる可能性があります。
整骨院は柔道整復師が手技やマッサージを行うのに対し、整形外科では医学的見地に基づき診察や検査、治療を行います。
特に、以下の症状が見られる場合には重症化のおそれがあるため、整形外科の受診が推奨されます。
痛みが数日続く・改善しないとき
運動のしすぎや膝に負担がかかる姿勢を取り続けたとき、一時的に痛みを感じることがあります。
このような場合は整骨院でマッサージを受けることで症状が緩和されることが多いですが、数日経っても痛みが引かず悪化しているようであれば整形外科を受診しましょう。
骨や軟骨、靭帯が損傷している可能性もあり、医師の判断のもとで適切な治療を受けないと重症化するおそれがあります。
腫れや熱感・引っかかるような違和感があるとき
膝の痛みだけでなく腫れや熱感が現れたり、曲げ伸ばしをしたときに引っかかるような違和感があるときも整形外科の受診が推奨されます。
これらの症状は関節部の損傷や変形の初期症状として現れることが多く、治療をせずに放置しておくと重症化し日常生活にも支障をきたすおそれがあります。
整形外科ではレントゲンやMRIなどの検査を行い、膝関節に異常がないかを正確に調べられます。
歩行がつらい・階段の昇降が難しいとき
歩行や階段の昇り降りが辛く日常生活に支障をきたしている場合、膝関節の疾患が進行している可能性が考えられます。
治療をせず放置しておくとさらに重症化し、膝関節の可動域が狭くなり曲げ伸ばしが困難になるおそれもあるため、早めに整形外科を受診しましょう。
整形外科では薬物療法で痛みを緩和しながら、理学療法士の指導のもと正しいストレッチやリハビリテーションを行ったり、物理療法や手術療法などさまざまな治療が受けられます。
関連記事:膝関節の痛みの原因|痛みを和らげるセルフケアや病院の受診目安
膝の痛みの主な原因

膝の痛みが強かったり、慢性的に痛みが続いている場合、関節に何らかの疾患を発症している可能性も考えられます。
主な原因となる疾患を4つご紹介しましょう。
変形性膝関節症
変形性膝関節症とは、関節の軟骨がすり減り骨同士が直接こすれ合うことで痛みを引き起こす病気です。
初期段階では膝の違和感や軽い痛みを感じる程度ですが、進行していくと歩き始めや階段の昇り降りで痛みが現れ、やがて膝関節そのものが変形し曲げ伸ばしも困難になっていきます。
加齢や膝の酷使、肥満、O脚などが原因で発症することが多く、重症化すると日常生活にもさまざまな支障をきたすことから早めの治療が不可欠です。
半月板損傷
半月板損傷は、膝関節のクッションの役割を果たす半月板とよばれる組織が損傷することで痛みを引き起こす疾患です。
主にスポーツ中の急な方向転換やジャンプの着地時に強いねじれや衝撃が加わることで発症しますが、中高年では加齢にともない半月板の強度が低下し損傷することもあります。
軽度の損傷であれば、膝が引っかかるようなロッキング現象が見られますが、治療をせず放置しておくと損傷の度合いが大きくなり膝の痛みや腫れ、熱感なども見られるようになります。
靭帯損傷
靭帯損傷とは、膝関節の靭帯が強い力で引っ張られることで一部が損傷したり、断裂したりする疾患です。
靭帯は関節を安定的に保つために重要な役割を果たしていますが、これが損傷することで強い痛みを引き起こし、関節のぐらつきや歩行が困難になることもあります。
半月板損傷と同様、急な方向転換やジャンプからの着地などが原因で発症しやすいですが、転倒や事故などの外傷が起因することもあります。
関節リウマチ
関節リウマチとは、免疫機能の異常により関節に炎症や痛みを引き起こす疾患です。
体内に侵入してきた異物を排除する機能を免疫機能とよびますが、何らかの理由によって免疫機能に異常を引き起こすと、正常な組織や細胞までもが攻撃され炎症を引き起こします。
主な症状としては、関節の痛みや腫れ、こわばりなどが見られ、治療をせず放置しておくと関節が大きく変形し曲げ伸ばしが困難になることもあります。
膝の痛みの診察・検査の内容

膝の痛みの治療にあたっては、まずは検査を行い原因を特定する必要があります。病院ではどのような検査を行うのでしょうか。
問診・診察
病院で必ず行われるのが、問診と診察です。
問診では、痛む場所や痛みの強さ、現れ方、いつ頃から痛むようになったのかなどをヒアリングします。
そのうえで、視診によって膝の腫れや変形、可動域を確認したり、触診で熱感の有無なども調べます。
また、靭帯や半月板の異常を探るための特殊なテストを行うこともあります。
レントゲン検査
骨に異常がないかを調べるために用いられるのがレントゲン検査です。
痛みのある部位にX線を照射することで、骨の変形や骨折の有無、軟骨のすり減り、関節の隙間の幅などを確認できます。
特に変形性膝関節症の診断には欠かせない検査であり、進行度の把握にも役立ちます。
エコー検査
エコー検査とは特殊な超音波を照射することで、膝の内部をリアルタイムで観察する検査方法です。
レントゲンには写らない靭帯や腱といった軟部組織の状態を確認できるほか、膝関節に水(関節液)が溜まっていないかも検査できます。
エコー検査は大規模な設備も必要なく、診察室内で素早く検査ができるため多くの病院に導入されています。
MRI検査
MRI検査とは、強力な磁場を作り出し体の内部を撮影する検査方法です。
骨や軟骨はもちろんのこと、レントゲンには写らない半月板や靭帯、さらには骨の中の微細な異常まで映し出すことができるため、膝の痛みの原因を精密に調べる際に有効です。
ただし、MRI装置は非常に高額で大掛かりな設備であるため、導入している病院は限られているほか検査にかかる費用も高額です。
関連記事:膝の裏が痛い!「ピキッ」という鋭い痛みの原因や治し方を解説
膝の痛みに対する治療法

検査によって膝の痛みの原因が判明したら、それぞれに対応した適切な治療法を検討していきます。
病院で受けられる主な治療法を6つご紹介しましょう。
保存療法
保存療法とは、手術を行わずに膝の痛みを軽減し機能回復を目指す治療法です。
鎮痛薬や湿布を処方し痛みを抑えながら、サポーターや装具の着用で膝への負担を軽減し、継続的なリハビリテーションを行うパターンが一般的です。
特に、初期の変形性膝関節症や軽度の靭帯損傷など、比較的軽症なケースに多く用いられます。
状態を悪化させないために安静にすることも大切ですが、長期間にわたって関節を動かさないでいると筋肉量が減り、膝関節を支えきれなくなってしまいます。
そのため、患者様の膝の状態に合わせて無理のない治療計画を立てていきます。
注射療法
特に膝の痛みが強く、日常生活に支障をきたしている場合に用いられるのが注射療法です。
膝関節内に薬剤を注入し痛みや炎症を抑えるケースが一般的ですが、これ以外にもヒアルロン酸を注射し、関節のクッション作用を高めることで痛みの緩和を図る方法もあります。
変形性膝関節症の治療に用いられることが多く、膝の状態にもよりますが複数回にわたって注射をするケースが多いです。
ただし、注射療法は即効性が期待できる一方で根本治療ではないため、並行してリハビリを行うことも重要です。
ハイドロリリース
ハイドロリリースとは、筋膜や腱の周囲に生理食塩水を注入し、痛みの原因となっている癒着した筋膜を剥がす治療法です。
エコー検査機器で膝の内部を確認しながら注射を行うため、ピンポイントで痛みの原因となる部位にアプローチが可能で即効性も期待できます。
比較的新しい治療法であることと、注射部位の見極めには高度な知見と技術も要するため、ハイドロリリースに対応できる病院は限られています。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療は、膝に医療用の特殊な衝撃波を当て、損傷した組織の修復や血流改善を促す治療法です。
慢性的な膝の痛みや腱損傷などに対して効果が期待されているほか、手術の必要がないため体への負担が少なくて済みます。
ただし、効果には個人差があるほか、ほとんどのケースにおいて体外衝撃波治療は保険適用外となるため治療にかかる経済的負担も大きいです。
再生医療
再生医療とは、患者様自身から採取し培養した細胞を再び体内に注入し、損傷した組織の修復を図る最先端の治療法です。
膝関節の痛みに対しては幹細胞治療やPRP療法(多血小板血漿療法)などが用いられており、手術に比べて患者様への負担が少なく入院の必要もないことから、次世代の治療法として注目を集めています。
ただし、再生医療は保険適用外のため治療費が高額になりがちで、対応できる病院も限られています。
また、膝関節の状態によっては再生・修復が見込めないケースもあることから、専門医と相談のうえ慎重に検討する必要があります。
手術療法
保存療法をはじめとした治療法では改善の見込みがなく、膝関節の損傷度合いが進行している場合には手術療法が検討されます。
たとえば、半月板損傷や靭帯損傷は小型の内視鏡を使った関節鏡視下手術が用いられたり、重度の変形性膝関節症に対しては人工膝関節置換術が用いられることもあります。
手術療法は痛みの根本原因に直接的にアプローチする効果的な治療法ですが、入院とリハビリも不可欠であるため、患者様の年齢や膝の状態、生活スタイルなども考慮して検討されます。
膝の痛みを再発させないためにできること

治療によって膝の痛みを緩和できたとしても、日常生活の些細な動作が原因で再発することもあります。
これを防ぐためには、どういった点に注意すれば良いのでしょうか。
日常生活で膝に負担をかけないコツ
普段の生活の中で気をつけたいポイントは以下の通りです。
- 適切な高さの椅子を使用する
- 洋式トイレを使用する
- 膝を冷やさない
- 適正体重を維持する
- 階段の昇り降りの際には手すりをつかむ
畳の上に正座やあぐらで座ったり、和式トイレを使用するなどの行為は膝に負担がかかりやすく、痛みの再発を招くことがあります。
また、肥満も膝への負担を増大させる要因となるため、食生活に気をつけながら適正体重の維持を心がけましょう。
再発予防として効果的な運動・ストレッチ
膝の筋力を強化するためには適度な運動が欠かせませんが、長時間のウォーキングやランニングは膝の負担が大きく、逆に症状を悪化させるおそれもあります。
そこでおすすめなのが、エアロバイクや水中ウォーキングといった膝への負担が少ないトレーニングです。
エアロバイクを使用する際には、ペダルを漕いだときに膝がまっすぐになるようサドルの位置を調整してください。
サドルが低すぎると膝を深く曲げることになり、負担がかかってしまいます。
また、これらの運動と合わせて、お風呂上がりや就寝前にはストレッチを行うこともおすすめです。
- 仰向けの状態で両膝を立てる
- 右足を曲げ、足首を両手で持つ
- 右太ももの筋肉を伸ばすことを意識しながら、足首を手前にゆっくりと引き寄せる
- 3の姿勢を20秒程度キープ
- 左右の足を交代し2〜4を繰り返す
強い力を入れると痛みを感じることもあるため、心地よいと感じる程度を心がけましょう。
整形外科で受けられる予防的なリハビリ
病院では理学療法士の指導のもと、痛みの再発を防ぐためのリハビリも受けられます。
基本的なストレッチや装具を装着した状態での運動などが一般的ですが、病院によっては特殊な装置を用いながら関節や筋肉の動きを観察し、膝への負担をかけない歩行のコツなども提案できます。
関連記事:膝に水が溜まるとはどういう状態?原因や症状について解説
膝の痛みでお悩みの方はイノルト整形外科まで
膝の痛みを緩和する治療法はさまざまで、病院によっては手術など高度な治療が難しいというケースもあります。
そのため、膝の痛みにお悩みの方は、多様な治療法に対応できる信頼性の高い病院を選ぶことが大切です。
イノルト整形外科では関節専門外来とスポーツ整形外科専門外来を設置しており、膝や肘、股関節などさまざまな部位に特化した治療を行っています。
レントゲンやエコー、MRIで精度の高い検査を行った後は、患者様の膝の状態や生活様式なども考慮しながらオーダーメイドの治療プランを策定します。
たとえば、加齢に伴う膝の痛みに対しては保存療法を中心のプランを提案したり、スポーツ中のケガが原因の場合には体外衝撃波治療やハイドロリリース、手術療法なども含め早期回復を最優先とした治療プランも選択できます。
ストレッチや定期的な運動、適正体重を維持しているのに膝の痛みが続いている方や、他の病院で診てもらったものの改善しないという方は、お気軽にイノルト整形外科へご相談ください。
まとめ
膝の痛みの原因はさまざまで、一時的に症状が緩和したとしても日常生活の些細な行動が原因で再発・悪化することもあります。
治療が遅れると膝関節の損傷が深刻化し、日常生活にも大きな支障をきたす可能性も少なくありません。
重症化を防ぎ、一日でも早くもとの日常生活を取り戻すためにも、早めに病院を受診し適切な治療を受けるようにしましょう。
イノルト整形外科では高度な検査機器を備え最新の治療法にも対応しているため、一般の患者様はもちろんのこと現役のアスリートからも選ばれています。
首筋が痛いときはどうする?自分でできる対策と整形外科での治療方法を解説
スポーツや事故によるケガや寝違えなどにより、首筋に痛みを感じることがあります。
数日程度で症状が収まるケースも多いですが、痛みが慢性化したり、腕から手にかけてしびれを感じる場合には何らかの疾患のサインかもしれません。
そこで本記事では、首筋が痛いときの正しい対処法や病院を受診すべき目安、主な治療法について詳しく解説します。
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首筋が痛いときに考えられる主な原因
首筋の痛みはさまざまな原因によって起こり、何気ない生活習慣が起因していることも珍しくありません。
代表的な原因として考えられるものを4つご紹介しましょう。
寝違えや筋肉の炎症
朝起きたときに首筋が痛む場合には、寝違えの可能性が考えられます。
寝違えは睡眠時に無理な姿勢をとることで筋肉や靭帯が無理に引き伸ばされることで発症します。
窮屈な場所で寝ていたり、身体に合わないサイズの枕やクッションを使用したりすることも寝違えの原因になります。
また、日常生活での無理な動作やスポーツも首筋から肩にかけての筋肉に負担をかけ、痛みや炎症を起こすことがあります。
寝違えや筋肉の炎症は、軽度であれば数日で自然に回復するケースが多いです。
神経の圧迫や牽引
首筋の痛みが強く、肩から腕、手にかけてしびれを感じたり、力が入りにくい場合には頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症や胸郭出口症候群など神経の圧迫や牽引が関係している可能性があります。
頚椎椎間板ヘルニアでは、加齢や外傷などによって椎間板が変形すると、突出した頚椎の神経が圧迫されやすくなり、頚椎症性神経根症では加齢に伴い変形した頚椎が神経根という部分で神経を圧迫し、胸郭出口症候群では突っ張った斜角筋という頚部の筋肉の緊張によって神経が牽引されることで、腕や手の痺れや痛みが生じ、放置すると症状が悪化し日常生活に支障をきたすこともあるため、早期発見と適切な治療が不可欠です。
姿勢不良や負荷の蓄積
本来、頚椎は前に凸のゆるやかな弓状のカーブになっていますが、まっすぐに伸び切ったストレートネックになってしまい前傾姿勢になってしまうと首筋から肩にかけてストレスが次第に溜まり痛みを感じたり、肩こりや頭痛の原因になることもあります。
ストレートネックは前かがみの姿勢を長時間維持することで発症しやすく、特に昨今ではスマートフォンやパソコンの長時間使用が原因で起こるケースが珍しくありません。
猫背やうつむき姿勢が長時間続くと、首の後ろ側の筋肉が常に緊張した状態となり血流が悪化していきます。
首への負荷が少しずつ蓄積していくと、炎症や肩こりを引き起こし、徐々に首筋の痛みも強くなっていきます。
デスクワークが中心の方や、体を動かす機会が極端に少なく猫背の姿勢が癖になっている方は負荷が蓄積しやすいため、こまめにストレッチを行うなど健康管理を心がけましょう。
現代病のひとつともいえ、重症化を防ぐためにも早めの対策が求められます。
関連記事:ロキソプロフェンが効かない?痛み止めで腰痛や首の痛みが取れない原因
首筋の痛みを和らげるストレッチ方法
首筋に慢性的な痛みがある場合、日頃からストレッチを行うことで症状を緩和できるかもしれません。効果的なストレッチの方法をご紹介しましょう。
首筋の血行を改善するストレッチ
首筋から肩にかけてのこわばりやコリ、痛みが気になる場合には、首筋の血行を改善するストレッチがおすすめです。
強い痛みがある場合は無理をせず、心地よいと感じる程度で動かしてください。
- 頭を前方に倒し、ゆっくりと首を右方向に回す
- 1周回したら同様に左方向に回す
- 左右を交互に1〜2を10回繰り返す
デスクワーカーにおすすめのストレッチ
パソコンの前で長時間作業をしていたり、スマートフォンの操作に集中することが多い方は、ストレートネック対策として以下のストレッチがおすすめです。
- 立った状態で、左右に軽く足を開き、両手を後ろに回して組む
- 胸を前方に突き出し、両肘を伸ばしながら手を下げる
- 両手を後ろで組んだまま、できるだけ上に挙げる
- 3の姿勢を30秒程度キープする
首筋の痛みをセルフチェックで確認
頚椎には太い神経が通っており、万が一これらを損傷すると重症な症状を引き起こします。
そのような意味でも首筋の痛みを放置しておくことは危険であり、原因の特定と適切な治療が求められます。
首筋の痛みは専門医の検査によって正確な原因や状態を把握できますが、まずは自宅でも手軽にできるセルフチェックをしてみるのもおすすめです。
【頚椎の神経の損傷を簡易的に確認するチェック項目】
- 首を前後左右に倒したときに、腕や手、肩甲骨周囲に痛みやしびれを感じる
- 最近に手に力が入らない
上記いずれかに該当する場合、頚椎の内外の神経が圧迫されている可能性があります。
首筋の痛みは一時的に現れた後に症状が緩和されていくこともあるため、病院を受診すべきか迷ってしまうことも多いものです。
そこで、以下に示すいずれかの項目に該当する場合には受診を検討してみましょう。
【病院を受診すべき目安】
- 痛みが数日続く
- 安静にしても痛みが引かない
- 首から肩、腕、手のしびれ・脱力感がある
関連記事:ぎっくり腰になる原因とは?症状のチェック項目と合わせて解説!
首筋が痛いときに行われる検査の内容
首筋に痛みがあり病院を受診した場合、どのような検査が行われるのでしょうか。
症状や医療機関の設備によっても異なりますが、代表的な検査方法を5つご紹介します。
問診・触診
必ず行われる基本的な検査方法として問診と触診があります。
問診では、痛みが出始めた時期や痛みの性質(鋭い痛み、鈍い痛みなど)、しびれの有無などを患者様から直接ヒアリングします。
触診では、医師が首筋や肩周辺に直接触れて、腫れや熱感、圧痛点(押して痛みを感じる部分)などをチェックします。
その他、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症かどうかをチェックするために、首を後ろや斜め後ろに倒すことで神経痛を誘発させるジャクソンテストやスパーリングテストを行う場合もあります。
これらの情報をもとに、痛みの原因が筋肉、骨、神経のどれに関係しているかを見極め、必要な追加検査を判断していきます。
レントゲン検査
頚椎の変形や曲がり方、前傾姿勢など、頚椎に異常がないかを調べるために行われるのがレントゲン検査です。
首を痛みが出た場合、まずは骨の状態を正確に把握する必要があるためレントゲン検査は欠かせません。
逆にレントゲンでは骨の状態のみの把握になるために、骨以外の状態の確認には別の検査が必要になります。
MRI検査
レントゲン検査では骨の異常を見分けられますが、神経や椎間板など骨以外の部位については詳細を分析できません。
そこで、より詳細な検査を行うための手段としてMRIが用いられることもあります。
MRI検査では椎間板ヘルニア、それに伴う神経の圧迫、さらには炎症や腫瘍の有無なども確認できるため、原因の早期発見と適切な治療プランの策定に大いに役立ちます。
ただし、MRI検査が置いていないクリニックが多いため、検査を行う場合は、近隣の対応できる医療機関で受けることになります。
エコー検査
エコー検査は医療用の特殊な超音波を照射する検査方法で、筋肉や靭帯などの軟部組織の状態をリアルタイムで観察できます。
また、胸郭出口症候群の場合はエコーで前斜角筋と中斜角筋の間の神経叢を確認し、神経の圧痛や放散痛を確認することで簡易的な診断を付けることができ、さらにはそのままハイドロリリースを神経周囲に行うことで即座に症状を改善することもできる場合が多いです。
エコー検査は短時間で検査を受けることが可能ですが、検査する医師の技術による差は大きくなります。
首筋が痛いときに行われる治療の種類
検査によって首筋の痛みの原因が判明したら、それぞれに合わせた適切な治療を行っていきます。代表的な5つの治療法をご紹介しましょう。
理学療法士による施術・リハビリテーション
理学療法士による施術やリハビリテーションは、多くの整形外科のクリニックで用いられる最も重要なな治療法です。
具体的には動かすことにより痛みを改善させる治療法で、マッサージやストレッチの他、筋力トレーニングを行うことで、少しずつ筋肉をほぐしながら可動域を広げていきます。
また、首筋の痛みは日頃の生活習慣や姿勢が根本的な原因となっていることも多いため、正しい姿勢の指導や継続的なリハビリテーションも欠かせません。
物理療法
よくある整形外科クリニックで行われている、牽引やホットパック、マイクロ波といった機械を使った物理療法の多くはほとんど効果がないことが研究の結果報告されています。
その機械の治療法の中でも、低周波治療に関して一定の効果を期待することが可能です。
薬物療法
痛みが強く日常生活にも支障をきたしている場合には、症状を緩和するために薬物療法が用いられます。
痛み止めの飲み薬や湿布や塗り薬といった外用薬が処方されることが多いですが、首筋周辺の筋肉の緊張やこりが見られる場合には、筋弛緩薬の内服により症状が緩和するケースもあります。
ハイドロリリース治療
ハイドロリリース治療とは、患部に生理食塩水を注入し、癒着した筋膜や神経を剥がす治療法です。
超音波検査で筋膜などを確認しながらで治療は短時間で完了します。
即効性が高く、痛みの緩和だけでなく可動域の改善効果も期待できることから、最新の治療法として注目を集めています。
ただし、ハイドロリリース治療は専門的な施術のノウハウと経験が要求されるため、対応できる医療機関も限られています。
期待通りの効果を得るためには、信頼性が高く施術実績も豊富な医療機関を選ぶことが大切です。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療とは、医療用の特殊な衝撃波を患部に照射し、痛みの緩和や組織の修復再生を促す治療法です。
もともとは尿路結石の破砕に使われていましたが、整形外科領域でも応用されるようになりました。
首筋に限らず、肩や膝、肘などさまざまな部位の炎症・痛みを緩和する新たな治療法として注目されており、治療中は痛みがほとんどありません。
ただし、日本において体外衝撃波治療は特殊な疾患を除き健康保険の適用外となっており治療費がかかります。
場合によっては複数回の施術が必要なため、専門医と相談しながら検討してみましょう。
手術療法
手術療法は、保存療法では効果が期待できない重度の症状に対して行われます。
たとえば、重度の椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症などで神経の圧迫が強く、痛みやしびれの他、筋力低下が進行している場合には手術が必要になる場合があります。
入院はもちろん、退院後も継続的なリハビリが必要になります。
関連記事:関節痛の治し方|主な原因や自宅でできる対処方法とは?
首筋の痛みでお悩みの方はイノルト整形外科まで
首筋の痛みの治療法はさまざまで、今回ご紹介したハイドロリリース治療や体外衝撃波治療や理学療法士の施術が対応できる医療機関も限られています。
また、痛みの根本原因を解消し期待通りの結果を得るためにも、信頼性が高く治療実績が豊富なクリニックを選ぶことが大切です。
しかし、はじめて治療を受ける方にとって、そのようなクリニックを見極めることは簡単ではありません。
クリニック選びに迷ったら、まずはイノルト整形外科へお気軽にご相談ください。
イノルト整形外科では脊椎専門外来を設置しており、頚椎関係の痛みについて専門的な治療を行っています。
レントゲンや超音波といった検査機器を導入済みで、近隣でもMRI検査を最短即日で検査が受けられるほか、今回ご紹介したさまざまな治療法にも対応しています。
患者様の状態や希望に合わせて最適な治療法を提案させていただきます。
まとめ
首筋の痛みは数日程度で収まることもありますが、時間が経過しても症状が続いたり、腕や手のしびれを感じたりする場合には神経が圧迫されている可能性も考えられます。
治療をせず放置しておくと頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症神経根症といった神経性の疾患になってしまっていることもあるため、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。
クリニックによってはMRI検査に対応できなかったり、治療方法も限られているケースもあるため、多様な治療法に対応できる信頼性の高い医療機関を選ぶことも大切です。
クリニック選びに迷ったら、脊椎専門外来を設置しているイノルト整形外科までお気軽にご相談ください。
腰が痛い女性に多い病気とは?整形外科で診るべき症状と治療法を解説
腰痛は加齢とともに現れることの多い症状ですが、「昼夜を問わず腰が痛い」「腰の痛みだけでなくしびれや熱感もある」という場合、何らかの疾患のサインかもしれません。
特に女性の場合、婦人科系の疾患の症状として腰痛が現れるケースも多いため注意が必要です。
本記事では、腰が痛い女性に多く見られる疾患や整形外科を受診したほうが良い症状、主な治療法について詳しく解説します。
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腰が痛い女性に多い原因と整形外科で扱う病気
腰痛は性別を問わず多くの人にみられる症状ですが、その原因はさまざまです。
特に女性の場合、仕事や家事、生活習慣が原因となって一時的に痛みを発症するケースもあれば、深刻な疾患が隠されているケースも少なくありません。
筋肉疲労や姿勢不良による一時的な腰痛
比較的軽度な症状として多いのが、筋肉疲労や無理な姿勢によって起こる一時的な腰痛です。
たとえば、長時間同じ姿勢でのデスクワークや、子育て・家事での中腰の作業、運動不足による筋力低下などが主な要因となり、腰に負担がかかって痛みが生じることがあります。
このタイプの腰痛は、こまめなストレッチや休息、姿勢改善などを心がけることで症状が改善することが多いのが特徴です。
整形外科で診るべき腰痛の種類
時間が経過しても症状が改善せず、慢性的な腰痛に悩んでいる場合、何らかの疾患が隠されているケースもあります。
特に代表的なのが腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症です。
腰椎椎間板ヘルニアは、背骨の間にある椎間板という軟骨組織が飛び出し、神経を圧迫する病気です。
腰の痛みに加えて、お尻や足にかけてのしびれや、歩行時の違和感が現れることもあります。
腰部脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る脊柱管とよばれる神経の通り道が狭くなり、神経が圧迫されることで腰の痛みや下半身のしびれが生じる病気です。
中高年女性に発症しやすく、長時間歩くと足がしびれたり、激しい痛みによって歩行そのものが困難になることもあります。
このように、慢性的な痛みに加えてしびれや何らかの違和感も現れた場合には、医療機関を受診し検査を受けることが大切です。
関連記事:膝が痛い時の対処法は?やってはいけないことや受診のポイントを解説
婦人科の病気と整形外科で扱う腰の痛みの違い
女性の場合、腰の周辺に痛みを感じると婦人科の病気なのではないかと不安に感じ、整形外科と産婦人科のどちらを受診すべきか悩むことも多いでしょう。
たとえば、腰痛を引き起こす婦人科の病気には子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮がんなどがありますが、これらは痛みが現れる位置や症状もわずかに異なります。
以下の表を参考に、整形外科と産婦人科のどちらを受診すべきかを見極めましょう。
【整形外科で扱う疾患と腰痛の特徴】
痛みの現れる位置 | 腰の痛み方 | 腰痛以外の症状 | |
腰椎椎間板ヘルニア | 腰・尻・太ももの裏・足 | 時間の経過とともに痛みが強くなり慢性化
背中を伸ばしたときや横になったときに痛みが緩和する |
下半身のしびれ |
腰部脊柱管狭窄症 | 腰・尻・足 | 歩行時に痛みが現れ、安静時に緩和する | 下半身のしびれ・熱感・つっぱり感
排泄の異常(残尿感・頻尿・失禁) |
【産婦人科で扱う疾患と腰痛の特徴】
痛みの現れる位置 | 腰の痛み方 | 腰痛以外の症状 | |
子宮内膜症 | 腰・下腹部 | 排便・性交時の痛み
重症化すると痛みが慢性化 |
激しい月経痛・不妊 |
子宮筋腫 | 腰・下腹部 | 個人差があり痛みを感じないこともある | 月経血の量が多い
長期にわたって月経が続く 貧血 排泄の異常(残尿感・頻尿・失禁) |
卵巣嚢腫 | 腰・下腹部 | 初期段階は無症状
進行すると鈍い痛みを発症 |
下腹部の膨張感
便秘・頻尿 |
子宮がん | 腰・下腹部 | 初期段階は無症状
進行すると鈍い痛みを発症 |
月経時以外の出血
性交痛 血便・血尿 |
腰が痛いときに行われる診察・検査
腰に痛みがある場合、適切な治療を行うためには検査によって状態や原因を明確にすることが重要です。
医療機関ではどのような診察・検査が行われるのかを詳しく解説しましょう。
問診・診察
腰の痛みで医療機関を訪れた際、必ず行われるのが医師による問診と診察です。
痛みを感じる部位や痛みの現れ方、症状が現れた時期や心当たりのある原因やきっかけなどを詳しくヒアリングします。
また、ほかの疾患との関連性を考えるうえで、発熱の有無や下痢・便秘、足のしびれなど、腰痛以外に症状がないかも患者様から聞き出します。
その後、痛みを訴える部位を医師が確認し、腫れや熱感の有無、特定の動作の際に腰に痛みが現れないかも確認します。
レントゲン検査
骨盤の骨折など、骨の損傷が腰痛の原因となっている可能性も考えられるため、問診と診察が終わったらレントゲン検査で骨の状態を確認します。
レントゲン検査は骨折だけでなく、骨盤の変形や歪みなどの異常も確認できます。
エコー検査
整形外科においてレントゲン検査と合わせて用いられることの多いのがエコー検査です。
エコー検査は筋肉などの柔らかい組織の状態を確認できるため、筋肉疲労や無理な姿勢によって起こる一時的な腰痛の診断に役立ちます。
MRI検査
レントゲン検査やエコー検査で異常が確認できなかったり、痛みとともにしびれの症状も見られる場合には、MRI検査が行われることもあります。
MRIでは脊髄や神経、関節などの状態を詳細に可視化でき、さまざまな疾患の早期発見に役立てられています。
関連記事:ぎっくり腰になる原因とは?症状のチェック項目と合わせて解説!
整形外科で受けられる腰痛治療
整形外科では、腰痛の原因や症状に応じてさまざまな治療法を検討し、患者様へ説明を行ったうえで治療方針を決定しています。
クリニックによっても対応できる治療法は異なりますが、代表的な腰痛の治療法を6つご紹介しましょう。
保存療法
軽度の腰痛や、一時的な腰痛に対し選択されることが多いのが保存療法です。
痛み止めや炎症を抑える薬で症状を緩和しながら、理学療法士の指導のもとストレッチや筋力トレーニングを組み合わせたリハビリテーションと日常生活指導(姿勢改善や体の使い方の指導)などを組み合わせ、手術をせずに症状の改善を目指します。
注射療法
特に強い痛みが現れている場合には、注射療法が行われることもあります。
代表的なのは神経ブロック注射とよばれる治療法で、痛みの原因となっている神経周辺に麻酔薬や抗炎症薬を注入することで炎症や痛みを抑えられます。
物理療法
物理療法とは、熱や電気、超音波などを患部に照射する治療法です。
温熱療法、電気刺激療法、超音波療法ともよばれ、血流を改善し痛みや筋肉のこわばりを緩和します。
物理療法は理学療法士の指導のもと、リハビリテーションと合わせて施術されることも多く、特に慢性的な腰痛に効果が期待できます。
ハイドロリリース
ハイドロリリースは近年注目されている新たな治療法です。
エコーを照射しながら患部の状態を確認し、筋膜や神経周囲に生理食塩水を注射することで癒着した筋膜を剥がしていきます。
慢性的な腰の痛みや可動域制限の改善に役立つとされており、即効性も期待できますが、対応できるクリニックは限られています。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療もハイドロリリースと同様、近年注目されている治療法です。
音速以上の速さで伝わる衝撃波を患部に照射し、組織の修復を促すことで痛みの緩和が期待できます。
もともとは尿路結石の破砕に用いられてきた治療法ですが、関節部をはじめとした痛みの緩和にも効果があることが分かり、近年では整形外科領域でも続々と導入されています。
慢性的な腰痛に対して使用されることが多いですが、対応できるクリニックは限られていたり、ほとんどのケースが保険適用外のため高額な治療費を要します。
手術療法
手術療法は保存的な治療で効果が得られない重度の症状・疾患に対して行われることが多くあります。
たとえば、腰椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などで強く神経が圧迫され、痛みやしびれ、運動障害が進行している場合には手術以外の選択肢がないケースも少なくありません。
入院はもちろんのこと、退院後も長期間にわたるリハビリが必要になるケースがほとんどですが、腰の痛みを根本から改善できる可能性は高いでしょう。
当然のことながら、保存療法に比べると手術はリスクも高いため、専門医との十分な相談が不可欠です。
腰が痛い女性が整形外科を受診すべきタイミング
腰痛は多くの人が悩む症状であるため、病院を受診すべきか悩むこともあるでしょう。
一方で、適切な処置が遅れてしまうと重症化し危険な状態に陥るリスクもあります。
以下の項目に該当する場合には、早めに整形外科を受診しましょう。
- 痛みが強く日常生活に支障をきたしている
- 痛みが慢性的に続いている
- 痛み以外の症状も見られる(しびれ、腫れ、熱感、腹痛、発熱 など)
軽度の腰痛であったとしても痛みが慢性的に続いたり、痛みが緩和したり悪化したりを繰り返している場合には、何らかの疾患が隠されているかもしれません。
また、腰の痛み以外にもしびれや腫れ、熱感などの症状が見られる場合、内臓疾患のサインである可能性も考えられます。
整形外科を受診することでレントゲンやMRIによって詳しい検査ができ、必要に応じてほかの診療科を紹介してもらえます。
関連記事:ロキソプロフェンが効かない?痛み止めで腰痛や首の痛みが取れない原因
腰痛でお悩みの方はイノルト整形外科まで
整形外科によっても対応できる検査や治療法は異なり、MRI検査や体外衝撃波治療、手術療法などは対応できるクリニックが限られています。
また、最新の治療法には高度な知見と技術も求められるため、信頼性が高く治療実績も豊富なクリニックを選ぶことが重要です。
特に体外衝撃波治療は健康保険の適用外で高額な治療費がかかるため、本当に治療効果が見込めるかを医師と相談しながら慎重に見極めなければなりません。
信頼できるクリニックが近所に見つからなかったり、どのクリニックを選べばよいかわからないという方は、イノルト整形外科へご相談ください。
イノルト整形外科では脊椎専門外来を設置しており、腰椎間板ヘルニアや脊柱菅狭窄症などの治療実績が豊富です。
また、患者様の状態に合わせたオーダーメイドの治療を提案しており、体外衝撃波治療やハイドロリリースなど多様な治療法にも対応しています。
「慢性的な腰痛に悩んでいる」「他のクリニックで治療を受けたものの、痛みが改善しなかった」という女性の方は、まずは一度イノルト整形外科を受診ください。
まとめ
腰痛は加齢や運動のしすぎなどによって起こる一般的な症状であるため、「わざわざ病院で診てもらうほどではない」と軽く考えがちです。
しかし、痛みが慢性化していたり、しびれや腫れ、熱感なども見られる場合、何らかの疾患を抱えている可能性もあります。
治療が遅れると重篤化し、日常生活に支障をきたすケースもあることから、気になる症状があれば早めに病院を受診しましょう。
女性の場合、子宮内膜症や子宮筋腫など婦人科系の疾患の症状として腰痛が見られることも多いため、今回ご紹介したポイントを参考に自覚症状があれば整形外科とあわせて産婦人科でも検査を受けてみることが大切です。
半月板損傷でやってはいけないこととは?注意点や放置した場合のリスクについて解説

膝の痛みを伴う疾患にはさまざまなものがありますが、半月板損傷もそのうちのひとつです。
膝に違和感や痛みがある場合、日常生活の些細な動作が原因で症状を悪化させるおそれもあります。
本記事では、半月板損傷が疑われる場合、やってはいけないことや治療をせず放置しておいた場合のリスクについて詳しく解説します。
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半月板損傷でやってはいけないこととは?

半月板損傷によって膝に痛みがある場合、状況を悪化させないためにも日常生活のさまざまな動作に注意する必要があります。
半月板損傷のときにやってはいけないことをいくつかご紹介しましょう。
膝に負荷のかかる体勢
半月板損傷では、膝に強い負荷がかかる体勢を避けることが重要です。
特に、しゃがみ込む姿勢や正座は膝関節に大きな圧力がかかり、損傷の悪化を招くおそれがあります。
また、急な方向転換やひねる動作、内股での歩行も半月板に大きな負担をかけるため、日常のさまざまな場面において膝の動きに注意しながら生活することが大切です。
階段の上り下り体勢
階段の上り下りは、膝関節に繰り返し衝撃を与えるため、痛みや炎症の悪化を引き起こす可能性が高まります。
特に、階段を下る際は膝への負荷が大きくなるため、できるだけエレベーターやエスカレーターを利用するようにしましょう。
どうしても階段を利用せざるを得ないときには、手すりを使って体重を分散させたり、できるだけ膝を伸ばした状態で動くようにすると負担を軽減できます。
体重過多
膝が痛いからといって極端に運動量が減ると、体重が増え膝関節への負荷も増していきます。
特に歩行や階段の上り下りをする時には、体重の数倍の負荷が膝にかかるため、適正体重を維持することが大切です。
無理のない範囲で食事管理や運動を取り入れ、膝への負担を減らしましょう。
運動は軽めのウォーキングや水泳、サイクリング、上半身の筋力トレーニングなど、膝への負担が少ないメニューを取り入れると良いでしょう。
激しい運動
ランニングやジャンプを伴うスポーツは、半月板へのダメージを悪化させる原因になります。
特に、バスケットボールやサッカーなどの急激な動きが必要なスポーツは避けるべきです。
代わりに、負担の少ない水中ウォーキングやエルゴメーターなどの運動を取り入れることで、膝の負担を抑えつつ筋力を維持できます。
不適切な靴の着用
サイズが合わないブカブカの靴や、クッション性のない硬い靴、ヒールの高い靴などを履くと膝に余計な負担がかかり半月板損傷を悪化させる可能性があります。
特にハイヒールは膝の関節に負担をかけるため、半月板損傷がある場合は避けた方がよいでしょう。
衝撃を吸収できるスニーカーや、ビジネスシューズの場合には膝に優しいインソールを使用するのがおすすめです。
関連記事:半月板損傷の症状チェック|初期症状や変形性膝関節症との違いは?
半月板損傷の主な症状

膝に違和感や痛みがあったとしても、それが半月板損傷なのか判断が難しいものです。
正確な診断には検査が必要ですが、半月板を損傷した際に現れる代表的な症状をいくつかご紹介しましょう。
ロッキングや膝の引っかかり感
半月板を損傷すると、スムーズに膝が動かず引っかかるような感覚が生じることがあります。
はじめのうちは膝に軽い膝の痛み程度の症状の場合も多いですが、やがて膝を曲げたり伸ばしたりする際に、途中で動かなくなる「ロッキング」とよばれる症状を引き起こすことがあります。
ロッキングは損傷した半月板の一部が関節内で引っかかることが原因で起こり、膝に激痛が走る場合も少なくありません。
ロッキングが頻繁に起こる場合、日常生活に大きな支障をきたすため早めの治療が必要です。
階段や下り坂で強まる痛みと腫れ
膝関節は階段を下りるときや、下り坂を歩く際に大きな負荷がかかるため、半月板を損傷すると強い痛みを伴います。
膝を曲げた時と伸ばす時のどちらでも痛みは出る場合がありますが、半月板損傷の部位によってどのような動作で痛みが出るかは変わってきます。
また、半月板損傷による炎症が進行すると慢性的に膝に水がたまり、腫れやすくなり、動かすたびに痛みを伴うこともあります。
歩行時の痛み
半月板の損傷度合いが大きい場合、階段や坂道だけでなく平坦な道の歩行時にも痛みを感じることが多くなります。
特に、長時間歩いた後や、凸凹のある道を歩いた際に痛みが増すことが珍しくありません。
初期の段階では軽い違和感程度であったとしても、症状が進行すると普通の歩行が難しくなることもあります。
膝に水が溜まる
半月板損傷によって関節内で炎症が起こると、過剰に分泌された関節液が関節内に溜まることがあります。
いわゆる「膝に水が溜まった」状態のことで、初期の段階では圧迫感や違和感を覚える程度ですが、やがて膝が腫れて動かしにくくなります。
さらに病状が進行していくと、強い痛みとともに関節の可動域が制限され、日常生活にもさまざまな支障をきたすおそれがあります。
熱感やこわばり
炎症が強い場合、膝に熱を持つため触ると温かく感じることがあります。
また、朝起きたときや長時間同じ姿勢を続けた際に膝のこわばりを感じ、動かしづらくなることもあります。
半月板損傷の治療・理学療法士のリハビリにおける注意点
半月板は自然治癒が難しい部位とされており、適切な治療を行わずにいると重症化するおそれがあります。
一般的な治療法としては保存療法と手術療法がありますが、このうち保存療法は長期間にわたる理学療法士のリハビリが必須です。
膝の治療は非常にデリケートであり、負荷のかけ方や無理な動作をすると損傷が悪化する可能性もあり、膝の治療に慣れた理学療法士の施術を受ける必要があります。
一方、手術療法には部分切除と縫合術があり、縫合術のほうが半月板を温存できるため将来的に変形性膝関節症になりにくいというメリットがあります。
そのため、縫合術の選択が理想的といえますが、中年以降の場合は半月板を縫合しても損傷部位がくっつきにくく、思うような成果が得られないこともありますが、その場合は再生医療や集束型体外衝撃波などの治療法があります。
このように、損傷の程度や年齢などによっても最適な治療法は異なるため、まずは医師や理学療法士などの専門医に相談することが大切です。
半月板損傷を放置した場合のリスク

半月板を損傷した際には早い段階で治療を行う必要があり、これを放置していると重症化を招きます。
治療をしないことで具体的にどういったリスクが考えられるのかご紹介しましょう。
痛みや水が溜まる、軟骨損傷など症状悪化
半月板損傷を治療しないまま放置していると、損傷部位が徐々に悪化し痛みや腫れが頻繁に起こるようになります。
炎症が続くことで関節内に水(関節液)が溜まりやすくなり、膝の圧迫感や可動域の制限も強くなっていきます。
半月板は本来、膝関節の衝撃を和らげたり円滑な動きをサポートする役割を担っていますが、損傷によってこれらの役割が果たせなくなると、軟骨への負担が増加し軟骨が損傷していく可能性が高まります。
変形性膝関節症の発症と人工関節の置換リスク
膝関節にある軟骨がすり減っていった場合、変形性膝関節症を発症するリスクが高まります。
変形性膝関節症を発症すると膝に強い痛みを感じるほか、椅子からの立ち上がりや歩行、階段の上り下りが困難になるケースも少なくありません。
初期の変形性膝関節症であれば保存療法で痛みは軽減する可能性もありますが、重症化すると最終的には膝を金属に入れ替える手術(人工関節置換術)が必要になることもあります。
膝がぐらつきやすくなる
半月板損傷によって膝関節の安定性を保てなくなり、治療をしないまま放置した場合、膝のぐらつきや不安定感を覚えるようになります。
歩行や階段の上り下り、椅子から立ち上がる際など、ちょっとした動作で膝のバランスが崩れ、転倒しやすくなります。その結果、さらなる膝の損傷を引き起こす可能性も高まるのです。
関連記事:半月板損傷を早く治す方法や症状が改善するリハビリについて解説
半月板損傷の治療方法

半月板損傷の治療にはどういった方法があるのでしょうか。代表的な治療法を4つご紹介します。
保存療法
軽度の半月板損傷では、手術をせずに保存療法を選択することが一般的です。
具体的には安静にすることはもちろん、痛みと炎症を抑えるための薬物療法、理学療法士の施術、温熱療法や装具の装着などが挙げられます。
また、外傷によって膝を痛めた場合には、急性の炎症を抑えるための応急処置としてアイシングも多少有効です。
特に、膝周りの筋力を強化し関節の安定性を高めるためにも理学療法士の施術は必須ですが、誤った方法で行うと悪化するおそれもあるため、膝に詳しい理学療法士の指導が必須です。
手術療法
損傷の程度が大きく保存療法での改善が見込まれない場合には手術療法が検討されます。
先述の通り、部分切除または縫合の2つの選択肢がありますが、半月板の切除は長期的に関節の負担を増やし、変形性膝関節症のリスクを高めるため推奨されていません。
関節鏡を使い、損傷した部位を縫合する関節鏡下半月板縫合術は患者様への負担も少なく、半月板を温存できるため優先的に検討されます。
ただし縫合術の場合は術後に松葉杖を長期間使用しないといけないことや、中年以降の半月板損傷は変性断裂のため縫合してもくっつきにくい問題があります。
集束型体外衝撃波治療
近年注目されている保存療法のひとつに体外衝撃波治療があります。
特殊な衝撃波を患部に照射し組織の修復を促進する治療法で、集束型と拡散型の2タイプがあります。
半月板損傷の治療ではよりエネルギー波の強力な集束型衝撃波が選択されることが多く、手術をせずに痛みの軽減や回復を目指す方法として薬物療法やリハビリテーションと組み合わせて使用されることがあります。
再生医療
再生医療とは、患者様自身から抽出した幹細胞を培養する幹細胞治療や、血液から血小板を抽出濃縮するPRP療法などは、再び体内に注入することで組織の修復・再生を図る最新の治療法です。
一口に再生医療といってもさまざまな種類があり、保険の適用外となるケースが多いことから、医師と相談しながら慎重に検討する必要があります。
幹細胞治療
多様な細胞に分化し組織の修復・再生を図る幹細胞を培養し、膝関節に注入することで軟骨や半月板の損傷の修復を促します。
PRP(多血小板血漿)療法
PRP(多血小板血漿)療法とは、血液内の成長因子を含む血小板を抽出し、再び関節内に注入する治療法です。
炎症を抑え、損傷した半月板や軟骨の修復を促進する効果が期待できます。
成長因子療法・幹細胞上清液(エクソソーム)
成長因子や幹細胞由来のエクソソーム(細胞間の情報伝達を担う物質)を膝関節に投与することで、損傷した組織の修復を促す再生医療に似た治療法です。
半月板損傷の保存治療で気を付けたい点

半月板損傷の治療において、悪化を防ぐために注意すべきポイントがあります。
適切な理学療法士の施術
半月板損傷に対する理学療法士の施術は手術を要しない場合でも早期から開始する必要があります。
膝の歩行中やスポーツ中の使い方や姿勢に問題があるままだとさらなる損傷も危惧されます。
歩行やスポーツ中の姿勢や筋力、柔軟性を改善することで悪化や再発を防ぎやすくなります。
体重のコントロール
過度な体重は半月板損傷を悪化させる危険性があるため、保存治療の一環として体重を管理し、適正体重まで体重コントロールを行うことが求められます。
運動で基礎代謝を上げる他、食事療法をしっかり行っていく必要があります。
膝周囲の筋力強化
痛みがあり安静にすることで徐々に膝周囲の筋力も低下していきます。
そうすると膝を支えられなくなるため、半月板の損傷が悪化してしまう危険性があります。
大腿四頭筋やハムストリングスなどの膝周囲の筋力を強化するようなトレーニングを理学療法士とともに行っていくことが大事になってきます。
関連記事:半月板損傷の軽度な場合について治療について解説|手術しないで治すことは可能か?
半月板損傷でお悩みの方はイノルト整形外科まで
一口に半月板損傷といってもその程度はさまざまで、特に初期段階では発症に気づかないことも少なくありません。
膝の違和感や軽い痛みを感じた場合には早めに医療機関を受診し、治療をスタートさせることが大切です。
イノルト整形外科では関節専門外来やスポーツ外来を設置しており、保存療法はもちろんのこと終息型体外衝撃波や再生医療、ハイドロリリースといった最新の治療メニューもご用意しています。
半月板損傷以外にも変形性膝関節症など膝関節のさまざまな疾患の治療に対応しています。
さらに、高度な専門知識をもった理学療法士が在籍しており、膝の痛みを再発させないための正しいフォームやトレーニング法もアドバイスさせていただきます。
まとめ
半月板損傷が疑われる場合にやってはいけないことは、膝に大きな負担がかかる姿勢や動作、激しい運動、不適切な靴の着用などが挙げられます。
膝の違和感や階段を下りるときに痛みがある場合、治療をせず放置しておくと重症化するおそれがあるため、まずは整形外科を受診し早めに治療をスタートさせましょう。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ

経歴
●東邦大学 医学部 卒業 ●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科 ●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
股関節の付け根が痛む原因は?対処方法とおすすめストレッチを紹介

加齢やスポーツによるケガなどが原因で、股関節の付け根に痛みを伴うことがあります。
一時的に痛みが引くこともあれば、数週間以上にわたって痛みが持続し、やがて激しい痛みへと悪化していくケースも少なくありません。
股関節の付け根が痛む主な原因と、痛みを軽減するための対処法やストレッチなども詳しく解説します。
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股関節の付け根が痛い原因

股関節の付け根に痛みを感じる場合、さまざまな疾患が関係している可能性があります。考えられる代表的な疾患をご紹介しましょう。
変形性股関節症
変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ることで骨同士が接触し、痛みを引き起こす疾患です。
加齢や体重過多などにより股関節の負担が増大し、軟骨がすり減ることで発症します。
また、生まれつき臼蓋形成不全などで股関節の形状に異常がある場合、関節内の一部分に荷重が集中したり、股関節唇損傷に引き続き発症することもあります。
変形性股関節症は歩き始めや立ち上がったとき、あるいは長時間の歩行や運動でも痛みが強く現れることが特徴です。
股関節唇損傷
股関節唇損傷とは、股関節唇(股関節の縁に付いている軟部組織)が損傷することで痛みが現れる疾患です。
股関節唇は大腿骨と骨盤の間でパッキンのような役割を担っており、この部分が損傷すると股関節の付け根に痛みが生じます。
股関節唇損傷が重症化すると軟骨が摩耗していき、変形性股関節症へと進行していきます。
鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)
鼠径部痛症候群はグロインペイン症候群ともよばれ、股関節の付け根から下腹部にかけて痛みが生じる疾患です。
サッカーなど股関節を酷使するスポーツ選手に多く発症し、痛み以外にも股関節の不快感や違和感など症状はさまざまです。
痛みを我慢しながら運動を続けることで悪化するため、運動制限が必要です。
大腿骨頭壊死
大腿骨頭壊死は、股関節の部分、大腿骨の先端部分に当たる大腿骨頭(こっとう)への血流障害によって、骨が壊死する疾患です。
初期の時点では自覚症状がありませんが、徐々に進行していくと体重をかけたときに股関節の付け根に痛みを感じるようになります。
やがて痛みが強くなり、大腿骨頭が潰れていき、末期になると歩行困難に陥ることもあります。
先天性股関節脱臼
先天性股関節脱臼とは、生まれつき股関節の形状に異常があることが原因で関節がずれたり、脱臼したりする疾患です。
乳児期は股関節が十分に開きにくく、成長するにつれて痛みや歩行困難といった症状が現れます。
生後間もないの段階で発見できれば装具の装着で回復することがありますが、成人期では手術が必要になるケースも少なくありません。
関連記事:股関節回りの筋肉が痛む原因と治し方|考えられる疾患や病院に行くべき目安を解説
股関節の付け根が痛むのはなぜ?

股関節の付け根が痛む原因として考えられることと、治療が必要な場合の目安についても解説しましょう。
痛みが出る原因
股関節の付け根が痛む原因は、主に冒頭でご紹介したさまざまな疾患が関係している可能性が考えられます。
加齢や運動のしすぎ、仕事での股関節の酷使、先天性の異常などその原因はさまざまですが、骨や軟骨が摩耗・変形することが直接的な引き金となります。
痛みを軽減する姿勢
股関節の付け根に痛みがあるときには、関節に負担をかけないことが大前提となります。
特に、深くしゃがみ込む姿勢や猫背、足を組んで座るといった姿勢は股関節への負担が大きいため避けましょう。
また、デスクワークでは長時間座りっぱなしの姿勢が続きがちですが、30分に1回程度立ち上がるだけでも股関節への負担が減り、痛みを軽減できる可能性もあります。
痛みが続く場合の受診の目安
股関節の付け根の痛みは一時的な症状の場合も多く、時間の経過とともに回復することもあります。そのため、病院を受診すべきか迷う方も多いでしょう。
整形外科を受診する目安としては、以下を参考にしてください。
- 痛みが原因で日常生活に支障が出ている
- 痛みが2週間以上続いている
- 痛みが改善したり再発したりを繰り返している
股関節の付け根が痛いときの対処法
股関節の付け根が強く痛む、あるいは慢性的な痛みがとれない場合、一時的に痛みを軽減するためにはどういった対処法が効果的なのでしょうか。
ストレッチ・マッサージ
股関節の痛みが強い場合には、後述するストレッチを試すことで症状を軽減できるかもしれません。
また、股関節周囲の筋肉のマッサージも即効性があり、一時的に痛みを軽減したい場合におすすめです。
外用薬・安静
痛みがあるにもかかわらず股関節を動かしていると、炎症がさらに悪化し痛みが強くなっていくため、まずは安静を心がけましょう。
そのうえで、痛みを抑える塗り薬や貼り薬(湿布)などを使用することで一時的に痛みを軽減できます。特に痛みが強い場合には坐薬も効果的です。
整形外科の受診
ストレッチやマッサージ、外用薬はあくまでも一時的に痛みを軽減するための手段であり、根本的な解決にはつながりません。
痛みが強く数週間以上続く場合には、早めに整形外科を受診し適切な治療を受けましょう。
関連記事:股関節の痛みに効くストレッチ|片方だけ痛い場合はどうする?
股関節の付け根の痛みにおすすめのストレッチ

股関節の付け根の痛みに効くストレッチにはさまざまなものがあります。
自宅はもちろん、職場や通勤時にも実践できるストレッチをいくつかご紹介しましょう。
寝ながらできるストレッチ
お風呂上がりや就寝前などのリラックスタイムでは、横になった状態でのストレッチがおすすめです。
【膝曲げストレッチ】
- 仰向けに寝る
- お尻を床に付けたまま、片膝を曲げて両手で抱え込む
- 息を吐きながら膝を胸に近づける
- 3の姿勢を10秒程度キープ
- 左右の膝を交代し2〜4の動作を行う
【股関節の外側ストレッチ】
- 仰向けに寝る
- お尻を床に付けたまま、両膝を立てる
- 足の裏を床につけた状態で、両膝を左右方向に倒す(上半身は倒さず上を向いたままにする)
立ったまま行うストレッチ
立ったまま行うストレッチは、横になった状態でのストレッチよりも強度があり、運動不足が気になる方におすすめです。
【スクワット】
- 両足を肩幅よりも広めに開き、つま先を前方に向ける
- 両手をそれぞれ左右の膝に置き、ゆっくりとお尻を下ろす
- 顔を前方に向け、上体を左方向にゆっくりとひねる
- 3の姿勢を30秒程度キープ
- ひねる方向を左右変えて3〜4を繰り返す
椅子に座った状態で行うストレッチ
デスクワークの方は、仕事の合間に手軽に実践できる椅子に座った状態でのストレッチがおすすめです。
【内側・後面筋のストレッチ】
- 椅子に座った状態で左足首を右膝の上に乗せる
- 左手で左膝を押し下げる
- 股関節の内側とお尻を伸ばすことを意識しながら、上半身を前に倒す
股関節の付け根の痛みを防ぐために注意したい日常生活のポイント

股関節の痛みは日々の何気ない生活習慣が原因で悪化することもあります。
症状の悪化を防ぐために、日常生活の中で気をつけたいポイントをご紹介しましょう。
股関節を冷やさない
関節が冷えると血流が悪化し、筋肉の硬直化と関節の柔軟性低下を招き痛みを感じやすくなるため、股関節は冷やさないように注意しましょう。
体が冷えやすい薄着を控えることはもちろん、夏場は空調による冷えにも注意が必要です。
湯船に浸かって体の芯から温めたり、就寝前には軽めのストレッチを行うことも有効な方法といえます。
ただし、外傷やスポーツによるケガなどが原因で股関節に激しい痛みや腫れを伴う場合には、患部を冷やすことが重要です。
股関節の負担を減らす
股関節の痛みがある際には安静を心がけ、負担を減らすことを意識しましょう。
痛みがあるにもかかわらず、重いものを持ち上げたり激しいトレーニングを行ったりすると、さらなる重症化を招く可能性があります。
また、深くしゃがみ込む姿勢も股関節に大きな負担をかけることになるため、和式トイレではなく洋式トイレを使用したり、床に直接座るのではなく椅子に腰掛けるなどの対策も効果的です。
適度な運動
極端な運動不足が続くと筋力が落ちたり股関節の柔軟性が失われることで、痛みが悪化しやすくなります。
そのため、痛みがある程度落ち着いてきたタイミングで軽めのウォーキングやストレッチなどの運動をしましょう。
関節への負担が大きいと感じる場合には、プールでの水中ウォーキングもおすすめです。
体重管理
股関節には上半身の体重が集中的にかかるため、体重過多が痛みの悪化を招くこともあります。
バランスのとれた食生活を心がけ、有酸素運動や筋力トレーニングも取り入れながら適正な体重管理を行いましょう。
股関節の付け根の痛みでお悩みの方はイノルト整形外科まで
股関節の付け根に違和感があったり、痛みが数週間にわたって継続する場合には整形外科を受診することが大切です。
しかし、一口に整形外科といっても治療方法が整っていなかったり、対応できる治療法に限りがあるクリニックも少なくありません。
患者様一人ひとりの状態を正確に見極め、それぞれに適した治療法を提案できるクリニックを選ぶことが大切といえるでしょう。
イノルト整形外科では関節専門外来を設置しており、レントゲンやMRIの検査の他、理学療法士の施術や薬物療法のほか、再生医療や体外衝撃波治療、ハイドロリリースなど多様な治療法を提案させていただきます。
「股関節の付け根が痛む原因が分からない」「治療を受けるべきか迷っている」という方は、まずはお気軽にイノルト整形外科へご相談ください。
関連記事:股関節の痛みの原因は?女性特有の痛みについても解説
まとめ
股関節の付け根が痛む場合、変形性股関節症や股関節唇損傷などさまざまな疾患が原因となっている可能性があります。
これらの疾患は初期段階において自覚症状を伴わないこともあり、気づかないうちに状態が悪化するケースも少なくありません。
重症化を防ぎ、早期の完治を目指すためにもできるだけ早めに治療を受けましょう。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ

経歴
●東邦大学 医学部 卒業 ●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科 ●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
股関節回りの筋肉が痛む原因と治し方|考えられる疾患や病院に行くべき目安を解説

股関節周辺にはさまざまな筋肉があり、痛みを引き起こすことがあります。一口に痛みといっても程度はさまざまで、原因も多岐にわたります。
また、病院で診察を受けるべきか判断に迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、股関節周りの筋肉に痛みを引き起こす主な原因と、痛みを軽減するための方法、病院を受診すべき目安について詳しく解説します。
◆イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックの関節専門外来はこちら◆
股関節周りの筋肉が痛む原因

股関節周辺には腸腰筋や大腿四頭筋、大殿筋などの筋肉が折り重なっており、さまざまな原因によって痛みが生じることがあります。
筋肉の柔軟性の低下
長時間のデスクワークや運動不足が原因で股関節周辺の筋肉が硬くなりやすくなります。
特に腸腰筋や大腿四頭筋の柔軟性が低下すると、股関節の可動域が狭くなり痛みを引き起こすことがあります。
悪い姿勢の維持
長時間にわたって悪い姿勢をキープし続けると、股関節周辺の筋肉に負担が集中しやすくなります。
たとえば、長時間猫背や前傾姿勢での座り仕事をする習慣があると、股関節周りの筋肉が過度に緊張し痛みを生じさせることがあります。
加齢による筋力低下
年齢を重ねると、大殿筋・腸腰筋・内転筋などの股関節周辺の筋肉が衰えやすくなります。
筋力の低下によって股関節を十分に支えられなくなると、歩行時や立ち上がる動作の際に痛みを感じやすくなります。
また、痛みによって運動量が低下するとさらに筋力の低下を招くという悪循環に陥ることも少なくありません。
負荷の高いトレーニングによる筋肉痛
運動の習慣がない方がいきなり長時間のウォーキングやランニングを行ったり、負荷の高い下半身の筋力トレーニングなどを行うと、筋線維が損傷し炎症が起こります。
これが筋肉痛として現れ、特に股関節周辺の筋肉に強い痛みを生じさせることがあります。
関連記事:股関節が硬くなる原因とは?セルフチェック方法や自宅でできるストレッチを紹介
股関節周りの筋肉が痛む場合に考えられる疾患

股関節周りの筋肉の痛みが持続する場合、何らかの疾患を発症している可能性も考えられます。
梨状筋症候群
梨状筋症候群とは、お尻の奥にある梨状筋とよばれる筋肉が坐骨神経を圧迫することで、股関節周辺の痛みを引き起こす疾患です。
また、痛みだけでなく、股関節や太ももの後ろにしびれを感じることもあります。
股関節を外側に広げた際には梨状筋が弛緩するため、坐骨神経を圧迫することはありません。
しかし、内側に曲げると梨状筋の伸張によって神経が圧迫されるため、痛みやしびれを感じることがあります。
グロインペイン症候群
グロインペイン症候群は「鼠径部痛症候群」ともよばれ、主に股関節を動かした際に鼠径部に痛みが生じる疾患です。
痛みの程度や現れ方はさまざまで、重症化すると腹部や太ももにまで痛みが放散されることもあります。
グロインペイン症候群は筋肉の損傷以外にもさまざまな原因が考えられるため、適切な検査を行ったうえで治療法を検討する必要があります。
腸腰筋膿瘍
腸腰筋膿瘍とは、腸腰筋に膿が溜まり痛みや発熱、倦怠感を引き起こす疾患です。
糖尿病の合併症や消化器疾患、感染症から腸腰筋膿瘍を発症することも多く、さまざまな発症原因があります。
主に中高年層が発症しやすく、糖尿病などの基礎疾患を抱えている状態は重症化するケースも少なくありません。
その他の疾患
股関節周囲の筋肉の痛みと思っていたら実は筋肉以外の疾患だったということも少なくありません。
変形性股関節症や股関節唇損傷など股関節自体が損傷していることにより痛みが引き起こされている場合もありますし、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症による神経痛が股関節周囲に及んでいる場合もあり、診断には整形外科専門医の診察を受ける必要があります。
関連記事:歩くと股関節が痛いときの原因は?股関節をほぐすストレッチを紹介
股関節周りの筋肉の痛みを緩和する方法

股関節周辺の筋肉の痛みを少しでも緩和するためにはどういった方法があるのでしょうか。自宅でもできる手軽な方法をいくつかご紹介します。
ストレッチ
一人でもできる手軽な方法としておすすめなのがストレッチです。
股関節にはさまざまな筋肉があるため、それぞれの部位に合わせたストレッチを試してみましょう。
お尻の筋肉に効果的なストレッチ
- 床に座った姿勢で両膝を曲げ、体育座りの状態になる
- 左足を右膝の上に乗せ左脚を右膝の上であぐらをかく状態にし、前傾姿勢を取る
- 2の姿勢のまま30秒程度キープ
- 右と左を交代して同様の動作をもう一度行う
身体が固い方は膝に反対の足が乗せられる範囲で曲げる。
太ももの筋肉に効果的なストレッチ
- 床に座り、左脚を前方に伸ばし、右膝はあぐらの状態にする
- 左足のつま先は天井を向け、膝を伸ばしたまま、前傾姿勢になり左手で左のつま先を掴むように体を倒す
- 2の姿勢のまま30秒程度キープ
- 左右の脚を入れ替えて1〜3の動作を繰り返す
掴む側の膝が曲がらないこと、猫背にできる限りならないように行うのがポイントです。
足を上げたままキープするときには、太ももに力が入っていることを意識しましょう。
マッサージ
ストレッチとあわせてマッサージも習慣づけることで筋肉の痛みを緩和できる可能性もあります。
太ももの内側のマッサージ
- 椅子に座り、両足を軽く開く
- 太ももの付け根の内側部分を軽くつまみ、10秒程度揺らす
- 膝の内側にかけて、つまむ部分を徐々に移動していく
お尻のマッサージ
- 仰向けの状態でお尻の下にテニスボールを置く
- テニスボールに体重をかけ、心地よいと感じる部分で20秒程度キープ
- テニスボールの位置を少しずつ移動する
いずれのマッサージも痛みを感じたら中止し、心地よいと感じる程度を心がけましょう。
理学療法士の施術
運動機能の維持や回復を目的として、理学療法士が施術を行います。
これらは医学的知見をもとにした医療行為であり、痛みの緩和にもつながるだけでなく、痛みの再発防止を行うことも可能です。
自宅でのストレッチやマッサージだけで症状が緩和されない場合には、理学療法士の施術を受けられる整形外科を受診し理学療法士による施術の要否も含めて相談してみましょう。
日常生活で負担を軽減する工夫
日常生活の習慣や癖が痛みの原因となっているケースも少なくありません。
たとえば、運動不足を解消するためにウォーキングやストレッチを習慣づけたり、デスクワークの際には背筋を伸ばし無理な姿勢を維持しないこと、十分な睡眠とバランスのとれた食生活を心がけることも重要です。
股関節周りの筋肉の痛みの治療方法

股関節周辺の筋肉の痛みを緩和するために、医療機関で行われることの多い治療法をご紹介します。
理学療法士の施術
理学療法士の施術は、股関節周辺の筋肉の柔軟性を向上させ、痛みの軽減や再発を防ぐためにも効果的です。
適切なストレッチや正しいフォームでの筋力トレーニング、リハビリを行うことで、体のバランスが整い股関節の可動域も向上します。
ハイドロリリース
ハイドロリリースは筋膜リリース注射ともよばれ、筋膜の癒着を改善するために生理食塩水などを注射する治療法です。
超音波を使用しながら正確に痛みの部位に注射をするため、筋膜などの癒着によって引き起こされる股関節周囲の痛みに効果を発揮します。
理学療法士の施術を合わせて行うことでより痛みを改善したり再発を防止することに対して効果的です。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療とは、特殊な衝撃波を患部に照射することで細胞の修復を促し、痛みを軽減する治療法です。
炎症や痛みを抑えると同時に自然治癒力を促進する効果もあり、損傷した筋肉の回復を早めます。
体外衝撃波治療は慢性的な痛みの治療に効果が期待でき、理学療法士による施術や薬物療法と組み合わせて行うこともハイドロリリースと同じく大事になります。
薬物療法
薬物療法は主に痛みを緩和するために用いられる治療法です。
ロキソニンなどの痛み止めの内服薬などさまざまな痛み止めが使用されますが、股関節周りの筋肉の痛みに対してはロコアテープとよばれる痛み止めの貼り薬が効果的です。
しかし、痛み止めは痛みを隠しているだけで、痛みの出ている原因を絶つという根本的な問題解決に繋がっていないので一時的な対処法と考えて下さい。
股関節周りの筋肉に痛みがある場合に病院へ行くべき目安
股関節周辺の筋肉の痛みは、軽い筋肉痛や一時的な疲労が原因の場合もありますが、何らかの疾患が隠れている可能性もあります。
以下のような症状が見られる場合には、早めに最適な整形外科を受診しましょう。
痛みが長期間続く
2週間以上にわたって痛みが続く場合には、単なる筋肉痛ではなく筋肉および腱の炎症や損傷、股関節疾患などの可能性があるため、早めに病院を受診しましょう。
また、痛みが引いた後で再発を繰り返す場合も慢性的な疾患を抱えている可能性が高いため、早めに受診しましょう。
日常動作に支障が出ている
歩行時に痛みを感じたり、階段の上り下りが辛い、しゃがむ動作が困難など、普段の生活に支障がある場合には放置しておくと重症化するおそれがあります。
痛みによって関節の動きが制限されると筋肉がさらに硬くなり、悪循環に陥ることもあるため、早急に病院を受診しましょう。
他の症状が併発している
股関節周辺の痛み以外にも、腫れや熱感、しびれなどの症状が併発している場合には整形外科を受診してください。
骨や関節の異常が関係している可能性があり、放置しておくと重症化するおそれがあります。
安静にしていても改善しない
通常の筋肉痛であれば、数日間の安静やストレッチで改善に向かうことがほとんどです。
しかし、数日が経過し安静にしていても痛みが引かない、あるいは悪化する場合には早期の診断および治療が必要な可能性もあります。
関連記事:変形性股関節症を悪化させないためにやってはいけないこととは?
股関節の痛みでお悩みの方はイノルト整形外科まで
股関節の痛みにはさまざまな原因があり、医学的な専門知識がない方にとっては判断が難しいものです。
また、医師であっても外見を見ただけで正確な診断ができるわけではなく、まずはレントゲンや超音波、MRIなどによる正確な検査が必要です。
そのため、股関節の痛みにお悩みの方は、検査設備が充実し多様な治療法に対応できる医療機関を選ぶことがおすすめです。
イノルト整形外科ではレントゲンや超音波の検査が可能で、MRI検査も提携の医療機関で最短で当日・翌日以降に検査が可能で、さらには今回ご紹介したハイドロリリースや体外衝撃波治療といった最新の治療法にも対応しています。
検査結果を踏まえ、患者様の状態や要望に合わせた個別の治療プランを提案させていただくことも可能なため、まずはお気軽にイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックに受診の上、ご相談ください。
まとめ
股関節周辺はさまざまな筋肉が折り重なっており、筋肉の炎症や損傷が原因になることはもちろん、その他の変形性股関節症や股関節唇損傷、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などの疾患でも痛みを引き起こすこともあります。
しかし、外見や症状だけでは痛みの原因が筋肉にあるのか関節にあるのか判断することができません。
痛みが続き症状が改善されない場合には、早めに詳しく診断および治療のできる整形外科へのを受診し適切な治療を受けましょう。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ

経歴
●東邦大学 医学部 卒業 ●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科 ●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
股関節が硬くなる原因とは?セルフチェック方法や自宅でできるストレッチを紹介

椅子から立ち上がったときや階段の上り下り、ウォーキングなどの際に股関節が痛むことはないでしょうか。
痛みの原因は多岐にわたりますが、股関節の柔軟性が失われ硬くなっていることが影響しているケースが少なくありません。
なぜ股関節は硬くなるのか、股関節の状態を確認するためのセルフチェックの方法やストレッチの一例をご紹介します。
◆イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックの関節専門外来はこちら◆
股関節が硬くなる原因

股関節とは、大腿骨頭(太ももの骨の上端部)と寛骨臼(大腿骨頭を支える骨盤の窪み)から構成される関節です。
股関節は主に上半身の体重を支えたり、下半身を動かすための重要な役割を果たしています。
股関節が硬くなる主な原因は以下の4つが考えられます。
運動不足
運動不足が続くと股関節周辺の筋肉や靭帯が硬くなります。
特にデスクワークが多い方や、自動車での移動がメインで歩く習慣がない方は、股関節が固くなり徐々に可動域が狭くなっていきます。
また、階段を上るのが面倒でエスカレーターやエレベーターを使用していると、運動不足に陥り股関節の柔軟性が失われる可能性もあります。
姿勢が悪い
直立や座ったとき、歩いている時の姿勢も股関節に大きな影響を及ぼします。
たとえば、猫背や前傾の姿勢、片足に重心をかけるなどの姿勢が癖になっていると、股関節に偏った負担がかかり周囲の筋肉が緊張します。
また、歩行時にも猫背や前傾姿勢、太ももの前側の大腿四頭筋や腸腰筋が固くなりやすくなります。
加齢の影響
生活習慣だけでなく、加齢が原因で股関節が硬直することもあります。
年齢を重ねると関節の軟骨がすり減っていき、動かすたびに痛みを生じることがあります。
痛みを避けるために運動量が低下していくと、股関節周辺の筋肉や靭帯の柔軟性が徐々に失われ硬くなっていきます。
関連記事:股関節の痛みの原因は?女性特有の痛みについても解説
股関節が硬いとどんな影響が出る?

股関節の柔軟性が失われると日常生活にさまざまな影響が出てくることがあります。特に多く見られる症状や影響は以下の3点です。
歩幅が狭くなる
日常生活への影響として多く見られるのが、歩幅が狭くなる症状です。
そもそも、歩いたり走ったりする際には、股関節を動かして足を前に踏み出すのと同時に後ろの足を後ろに伸ばして蹴り出していく動作が繰り返されています。
股関節が硬くなると可動域が狭くなり、後ろの足を大きく伸ばして蹴り出しにくくなるため自然と歩幅も狭くなってしまうのです。
その結果、歩行のスピードが落ちたり、ヒヨコのような小刻みな歩き方になるケースが少なくありません。
運動パフォーマンスの低下
股関節が硬くなると可動域が狭くなり、特に下半身を使うスポーツにおいて十分なパフォーマンスが発揮できなくなることもあります。
具体的には、ランニング時の推進力が低下したり、ジャンプ力の低下、方向転換やダッシュの動作が鈍くなるなどの影響が考えられます。
また、日常生活においては、歩行が遅くなったり、坂道や階段の上り下りがしにくくなることもあります。
怪我をしやすくなる
股関節の柔軟性が失われた状態で、それまで当たり前に行っていた感覚のまま動作をしようとすると、体が思うように動かずケガをすることもあります。
たとえば、段差や障害物のない平坦な道でつまづいたり、階段を踏み外し転倒することも考えられます。
関連記事:変形性股関節症の治し方はある?やってはいけないことや負担をかけない寝方を紹介
股関節が硬いかを確かめるセルフチェック方法
股関節の状態は日常生活の中で意識することが少なく、硬くなっていても気づきにくいものです。
そこで、自宅で簡単に股関節の状態を確認できるセルフチェックの方法をご紹介しましょう。
- 壁から35cm程度離れた場所に両足のつま先を置く
- 左右いずれかの足を上げ、膝を壁につける(太ももが地面を水平になるように)
- 膝から先の足を内側に向ける、次は外側に向ける
- それぞれ内側・外側のくるぶしに手が触れられるかをチェック
上記のセルフチェックのポイントは、足を内側・外側にする際に体を傾けないことです。
地面から直立の姿勢を維持したまま、両手はそのまま下げた状態で内側・外側のくるぶしに触れられるかを確認しましょう。
肩や体を傾けないと手が触れられない場合には、股関節が硬くなり可動域が制限されている可能性があります。
なお、このセルフチェックの方法はスポーツ庁の公式YouTubeでも紹介されているため、こちらも参考にしてみてください。
股関節が硬いときに自宅でできるストレッチ

股関節が硬くなったとしても、ストレッチを習慣づけることで徐々に柔軟性が増し関節機能を取り戻せる可能性もあります。
自宅でも手軽にできる股関節に効くストレッチをいくつかご紹介しましょう。
立ったままできるストレッチ
家事の合間や運動前のウォームアップでは、立った状態でできるストレッチを試してみましょう。
四股ストレッチ
- 両足を肩幅よりやや広めに開く
- 左右のつま先を外側に45°程度広げる
- 左右の太ももが地面と平行になるまで、ゆっくりと腰を落とす
- 3の姿勢を20秒程度キープした後、ゆっくりと上体を起こす
- 3〜4の動きを3セット繰り返す
相撲でおなじみの四股をベースとした股関節のストレッチです。
痛みを感じるようであれば無理をせず、少しずつ腰を落とせるようにストレッチを習慣づけましょう。
また、体のバランスをとるのが難しい場合には、両手を膝の上に置いて支えます。
座ったままできるストレッチ
テレビや映画を観ながら手軽にできるストレッチもあります。
股割りストレッチ
- 左右の足裏を合わせた状態で床に座る
- 背筋を伸ばし、両手で左右の足先を持つ
- 左右の膝の外側が床につくように広げる
股関節が硬い状態だと左右の膝を床につけることが難しいため、痛みがある場合は無理をせず、できる範囲で行います。
開脚ストレッチ
- 床に座った状態で右脚を斜め前方向に伸ばし、左膝を曲げる
- 左手を上げた状態で右脚方向に上体を倒し、30秒程度キープする
- 上半身を右足に正対させ、ゆっくり息を吐きながら前傾姿勢をとる
- 左右の足を交代し1〜3の動作を繰り返す
上体を伸ばす際にはお尻が浮かないように意識しましょう。
横になってできるストレッチ
就寝前やお昼寝などのタイミングで、横になった上体で手軽にできるストレッチも紹介します。
お尻のストレッチ
- 仰向けの姿勢から左膝を曲げ外側に倒し、左足を手で保持する
- 左足を右の太ももに乗せる
- 左足を手前に引き寄せた状態で30秒程度キープする
- 左右の足を交代し1〜3の動作を繰り返す
足を手前に引き寄せる動作が苦しかったり、痛みがある場合には無理をせず、痛みの無理のない範囲の姿勢をキープしてください。
股関節のストレッチを行うときの注意点

股関節の柔軟性を高めるためにストレッチは効果的ですが、やり方を間違えるとケガの原因になることもあります。
ストレッチにあたって注意しておきたいのは以下の点です。
無理はしない
ストレッチの基本は無理をしない範囲内で行うことです。
曲げ伸ばしの際に痛みを感じたら無理をせず、気持ちよく伸びていると感じる程度で止めておきましょう。
無理に可動域を広げようとせず、少しずつ柔軟性を高めることが大切です。
正しい姿勢で行う
ストレッチは正しい姿勢で行うことで効果が高まり、ケガの予防にもつながります。
猫背や腰を反りすぎた無理な姿勢は、股関節以外にもさまざまな部位へ過度な負担をかけてしまうため、背筋を伸ばし骨盤を正しい位置に保つことを意識しましょう。
反動をつけずに行う
ストレッチはじっくりと呼吸をしながら静かに伸ばすことで、筋肉や靭帯の柔軟性を高める効果が期待できます。
勢いをつけてストレッチをすると筋肉を傷めるリスクが高まるため避けるようにしましょう。
股関節の痛みがある場合は医師に相談する
股関節を軽く動かすだけで痛みを感じたり、歩行時や座っている時にも痛みがある場合には、関節の一部が損傷していたり炎症を引き起こしている可能性があります。
このような症状が見られる場合に自己判断でストレッチを行ってしまうと、症状が悪化するおそれもあるため、早急に医師の診察を受けましょう。
関連記事:歩くと股関節が痛いときの原因は?股関節をほぐすストレッチを紹介
股関節の痛みでお悩みの方はイノルト整形外科まで
股関節の痛みの原因はさまざまで、関節の状態や痛みの程度によっても適切な治療法は異なります。
自覚症状や外見だけでは股関節の状態を見極めることが難しく、まずは超音波やレントゲン、MRIなどの検査を行ったうえで正確な診断が求められます。
イノルト整形外科ではさまざまな検査を導入しているほか、理学療法士による施術や薬物療法、装具療法、さらには体外衝撃波治療、再生医療といった最先端の治療法にも対応しています。
患者様一人ひとりの状態を見極め、その人に合ったオーダーメイドの治療プランをご提案しているため、股関節の痛みにお悩みの方はお気軽にご相談ください。
まとめ
股関節は加齢や運動不足、日頃の生活習慣などが影響し柔軟性が失われ、硬くなっていくことがあります。
運動やストレッチをしないまま放置しておくと、関節本来の機能が低下し可動域が狭くなっていきます。
ストレッチを習慣づけることで徐々に股関節の柔軟性を取り戻せる可能性はありますが、すでに痛みがある場合には速やかに医師の診察を受け適切な治療を受けることが大切です。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ

経歴
●東邦大学 医学部 卒業 ●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科 ●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
関節痛の治し方|主な原因や自宅でできる対処方法とは?
膝や股関節、肘など、日常生活において動かす頻度が高い関節には痛みが現れることも多く、慢性的な関節痛に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
関節痛にはさまざまな原因が考えられ、場合によっては何らかの疾患を発症している可能性もあります。
本記事では、関節痛にはどういった治し方があるのか、痛みを緩和するために自宅でできる対処法の一例も合わせて解説します。
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関節痛の治し方
関節痛は痛みの程度や状態に応じてさまざまな治し方がありますが、代表的なものをいくつかご紹介しましょう。
薬物療法
関節痛の強い痛みや炎症を抑えるために用いられるのが薬物療法です。
飲み薬や注射などさまざまな薬剤が使用されますが、貼り薬のひとつである「ロコアテープ」は長時間にわたって効果が持続するため多くのクリニックで処方されています。
理学療法士の施術
理学療法士はリハビリテーションやストレッチ、温熱療法や電気療法といった施術を行い、関節の動きを改善し痛みを軽減します。
関節に負担のかかるフォームや運動が関節痛を引き起こすことも多いため、負担の少ない正しいフォームや運動の仕方を指導することで再発を防ぎます。
装具療法
装具療法とは、サポーターやインソールなどの関節の動きをサポートする治療用装具を装着し、関節痛を緩和する治療法です。
サポーターは膝や腕、手首などに装着するものが多く、関節を安定化させることで炎症の悪化を防ぎます。
また、インソールは靴の中敷きのことで、足のアライメント(太ももから踵にかけてのライン)を真っすぐになるように調整することで、膝や股関節にかかる負担を適正化し痛みを軽減します。
手術療法
理学療法士の施施術や装具療法だけでは効果が不十分な場合、以下の手術療法が選択されることもあります。
- 関節鏡手術:患部に小さな穴を開け、小型カメラ付きの内視鏡を挿入し患部を修復する手術法
- 骨切り術:骨の一部を切除し関節のバランスを整える手術法
- 人工関節置換術:人工関節に置き換える手術法
たとえば、関節の損傷が比較的軽度な場合は関節鏡手術や骨切り術が、重度の変形性膝関節症には人工関節置換術が用いられることが多くあります。
膝もしくは股関節が圧倒的に多く、肩や足首、手首、指の人工関節置換術はとても珍しいです。
再生医療
再生医療は患者様から取り出した細胞を培養し、それを再び体内に戻すことで損傷した部位や組織を再生する治療法です。
- 幹細胞治療:さまざまな組織の生成にかかわる幹細胞を培養し関節内に注入する治療法
- 成長因子療法:血小板に含まれる成長因子により、損傷した組織の修復を促す治療法
- 幹細胞上清液:幹細胞の培養時に生じる成長因子やエクソソームを多量に含んだ上澄み液を関節内に注入する治療法
再生医療は新しい治療法であり、一部を除き自由診療となるため対応できる医療機関も限られています。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療は、特殊な衝撃波を患部に照射することで、血流の改善を促し損傷した組織の修復を図る治療法です。
より強いエネルギー波で治療を行う集束型体外衝撃波と、やや弱い拡散型体外衝撃波とがあります。
慢性的な関節痛にも有効とされており、リハビリテーションや物理療法、薬物療法などと組み合わせて行われます。
ハイドロリリース
ハイドロリリースは癒着した筋膜や神経の周辺に生理食塩水を注入し、痛みや突っ張りを緩和する治療法です。
筋膜の癒着が関節痛の原因となっている場合に有効な治療法であり、関節の可動域を広げる効果も期待できます。
関連記事:膝関節の痛みの原因|痛みを和らげるセルフケアや病院の受診目安
関節痛が起こる主な原因
関節痛は日常生活の習慣によって起こることもあれば、さまざまな疾患によって引き起こされることもあります。
主な原因をご紹介しましょう。
日常で考えられる原因
日々の生活習慣で考えられる原因としては、長時間の立ち仕事や運動のしすぎ、仕事で重いものを持つことが多い場合などが挙げられます。
関節を酷使するハードな運動やトレーニングは大きな負荷がかかり、関節の軟骨が徐々にすり減っていき痛みを生じさせます。
反対に、運動の習慣が一切ない方がトレーニングを行った場合も、関節に大きな負荷がかかり痛みを発症することがあります。
関節痛を伴う疾患
特定の疾患によって関節痛が引き起こされることもあります。
たとえば、加齢や体重の増加、運動のしすぎによって関節軟骨がすり減る変形性関節症や、免疫機能の異常によって関節の炎症を引き起こす関節リウマチ、尿酸が関節内で結晶化し痛みを引き起こす痛風などが代表的です。
肥満
体重が増えてくると、増えた体重の何倍も膝や股関節に負担が掛かり、軟骨が損傷したりすることで痛みが悪化しやすくなります。
日頃から体重管理を徹底し、体重過多にならないように気を付けることも大事です。
変形性関節症の症状と特徴
関節痛を引き起こしやすい代表的な疾患として変形性関節症があります。
初期段階から末期に至るまで、どのような症状が見られるのかを詳しく解説します。
初期症状
変形性関節症の初期段階では、関節の軟骨がわずかに摩耗し始めます。
外見上は大きな変形は見られず、日常生活においても目立った影響はありませんが、関節部のこわばりや突っ張り感、動かした際に引っかかるような違和感が出始めます。
また、安静時から関節を動かし始めたときや、歩き始めた際に軽い痛みを感じることもあります。
中期症状
中期段階では軟骨の摩耗が進行していくことで炎症や痛みが徐々に強くなっていきます。
また、炎症が悪化し関節部が熱をもったり、水が溜まって腫れてくることもあります。
関節の可動域も少しずつ狭まっていくため、日常生活にも影響が出るようになります。
たとえば、特に症状が現れることの多い膝関節は、しゃがむ姿勢や正座が困難になることも多いです。
末期症状
末期の段階では関節の軟骨がかなり摩耗し、つねに骨同士が擦れ合っている状態になります。
安静時にも激しい痛みを感じるようになるほか、歩行や階段の上り下りといった日常生活のさまざまな動作が困難になっていきます。
また、関節の可動域が極端に制限されることで本来の機能が失われ、関節そのものが硬直し曲げ伸ばしができなくなることもあります。
関連記事:膝を曲げると突然痛い!原因と治し方を外側・内側別に徹底解説
関節痛の正しい対処法
関節痛を発症した際、対処法を誤ってしまうと重症化を招くこともあります。正しい対処法と病院を受診すべきタイミングについて解説しましょう。
安静にする
関節に痛みがある場合には、無理をせず安静にすることが重要です。特に、患部を動かしたときに痛みが増す場合は負担をかけないように配慮しましょう。
ただし、長期間にわたって関節を動かさないと周辺の筋力が低下したり、関節そのものが硬直し逆効果となることもあります。
そのため、痛みが引いてきたら様子を見ながらストレッチや筋力トレーニングを行い、少しずつ関節を動かすことも大切です。
アイシング・温める
関節に痛みが現れたタイミングや状態に応じて、患部の冷却と保温を使い分ける必要があります。
たとえば、ケガやスポーツのしすぎによって急性の痛み・腫れが見られる場合には、患部を冷やし炎症を鎮める必要があります。
反対に、慢性的な痛みが続いていたり、体の冷えと血行不良によって痛みが現れた場合には、患部を温め血流を改善することで症状を緩和できる場合があります。
ストレッチ
適度なストレッチを行うことで関節の可動域が広がり、筋肉をほぐすことで痛みの緩和にもつながります。
ストレッチの基本は心地よいと感じる範囲内で動かすことです。
強い痛みがあるにもかかわらず、無理に動かすと筋肉や腱を痛める原因にもなるため、可能な範囲内でのストレッチを続けていきましょう。
市販薬を服用
痛みが強く日常生活に支障をきたしている場合には、ロキソニンやロコアテープなど市販の鎮痛薬を服用し痛みを軽減することも有効です。
ただし、体質や服用中の薬がある場合には副作用のリスクもあるため、医師や薬剤師に相談したうえでの服用が望ましいでしょう。
病院受診のタイミング
関節痛を発症した場合、いつ病院を受診すべきか迷うことも多いでしょう。
以下のような症状が見られる場合には重症化する可能性もあるため、早めに病院を受診することがおすすめです。
- 2週間以上の痛みが続いている
- 夜間や安静時にも痛む
- 患部の腫れや熱感がある
- 関節の可動域が狭くなってきた
- 日常生活に支障をきたしている
- 市販薬を服用しても痛みが緩和されない
関節痛の整形外科での検査・診察方法
関節痛の疑いがある場合、病院ではどのような検査・診察を行うのでしょうか。
問診
まずは患者様本人から問診を行います。問診では主に以下の項目をヒアリングします。
- 痛みがある部位
- いつから痛みがあるか
- 痛みが現れるタイミング
- 痛み以外の症状
- 既往歴
- 現在治療中の疾患の有無 など
診察
問診が終わったら、患部の状態を医師が観察します。
視診では患部の腫れや変形、赤みなどを確認することはもちろん、関節を動かした際に不自然な点がないかなども含めて細かくチェックします。
また、触診では患部に触れて圧痛や熱感がないかを確認します。
レントゲン検査
骨によって痛みを引き起こすこともあるため、レントゲン検査で状態を確認します。折や関節の変形など、骨の異常
レントゲン検査では骨と骨の間の関節にどの程度の隙間が空いているのかが可視化されるため、変形性関節症を発症していた場合には進行度を判定することもできます。
ただし、レントゲン検査では骨の異常を確認できますが、腱や靭帯、軟骨といった軟部組織そのものの状態は判別できません。
エコー検査
腱や靭帯など軟部組織の状態を知るためには、エコー検査が用いられます。
エコー検査では患部に超音波を照射することで、関節内にある滑膜の炎症を調べられます。
レントゲンとは異なり放射線被曝なく、あらゆる関節部位の異常を調べることができます。
MRI検査
MRI検査では骨だけでなく筋肉や神経といった組織の状態をより詳しく調べることができます。
検査に使用されるMRI装置は強力な磁場を作り出し体内の状態を可視化するというものですが、非常に高価で装置自体も大型のため、限られた医療機関でしか検査することができません。
血液検査
関節リウマチなどの膠原病や痛風、細菌感染などの疾患が疑われる場合には、血液検査が行われることもあります。
血液検査では関節リウマチや痛風、細菌感染を発症するさまざまな項目(抗CCP抗体、リウマチ因子、CRP、白血球)を調べることができます。
関節リウマチは血液検査だけでなく痛みの関節数など診断基準に応じて診断します。
痛風や細菌感染も関節の状態と血液検査の状況に応じて、総合的に診断します。
関連記事:膝の上が痛い人必見!原因や対処法・効果的なストレッチ方法を解説
関節の痛みでお悩みの方はイノルト整形外科まで
関節痛にはさまざまな原因があり、痛みの程度や状態にも差があります。
そのため、まずは検査を行い、痛みの原因と疾患の有無を調べる必要があります。
イノルト整形外科では関節専門外来を設置しており、関節痛に悩む多くの患者様の治療を手掛けてきました。
触診の他、レントゲン検査、エコー検査の他、必要に応じてMRI検査も近隣の医療機関で検査を行います。
理学療法士の施術の他、体外衝撃波治療やハイドロリリース、再生医療といった最新の治療法にも対応しています。
できる限り手術以外の治療法を優先的に提案しておりますが、難しい場合は近隣の医療機関での手術もご提案可能です。
関節痛でお悩みの方、慢性的な痛みによって日常生活に支障をきたしている方は、ぜひ一度イノルト整形外科へご相談ください。
まとめ
関節痛は薬物療法による痛みの緩和だけでなく理学療法士による施術、体外衝撃波治療やハイドロリリース治療、再生医療や手術療法などさまざまな治療法があります。
一時的な痛みであれば数日から1週間程度で回復することが多いですが、痛みが長く続いたり安静時にも痛みが現れる場合には、何らかの疾患を発症している可能性も考えられるため早めに医療機関を受診しましょう。
イノルト整形外科では高度な検査機器を導入しており、再生医療や体外衝撃波治療などの最新の治療法にも対応しているため、関節痛にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ

経歴
●東邦大学 医学部 卒業 ●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科 ●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
変形性膝関節症の原因とは?初期症状や進行度についても解説
立ち上がったときや歩行時に足の付け根が痛む場合、変形性股関節症を発症している可能性が考えられます。
痛みの程度や現れる症状によっても変形性股関節症の進行度合いは異なり、気付いたときには重症化しているケースも少なくありません。
そこで本記事では、変形性股関節症の典型的な初期症状や進行度の違い、治療法の一例を詳しくご紹介します。
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変形性股関節症の原因
変形性股関節症はさまざまな理由で発症しますが、主な原因として挙げられるのは以下の4点です。
先天性疾患
臼蓋形成不全や先天性股関節脱臼といった先天性の疾患が直接的な原因となり変形性股関節症につながることがあります。
股関節は通常、大腿骨の球状の先端部分が骨盤(臼蓋)に覆われることで安定性を保っています。
しかし、生まれつき骨盤の形成が不十分だと安定性が失われ、股関節に過度な負担がかかり変形性股関節症の発症リスクが高まります。
また、先天性股関節脱臼は生まれつき股関節が脱臼の状態にある疾患のことで、これも変形性股関節症の原因になることがあります。
股関節疾患の後遺症
骨頭壊死では、骨の強度が失われ股関節の機能が低下します。
治療によって痛みがなくなったとしても股関節のバランスが崩れる可能性もあり、後遺症が原因で変形性股関節症を発症するケースも少なくありません。
また、大腿骨の頸部には股関節唇とよばれる軟骨があり、股関節の安定性を保つ役割を果たしています。
強い衝撃や圧力が加わると軟骨が損傷し、変形性股関節症の引き金になることもあります。
加齢
年齢を重ねると関節内にある軟骨が徐々にすり減っていったり、骨の強度が低下してくることもあります。
関節をスムーズに動かすことができなくなったり、関節の本来の機能を果たせなくなることで変形性股関節症につながる危険性もあります。
肥満
過度に体重が増加すると、物理的に股関節にかかる負担も増大し、体重を支えきれなくなることもあります。
その結果、股関節内の軟骨がどんどんすり減っていき、やがて変形性股関節症を発症するケースも少なくありません。
関連記事:膝が痛い時の対処法は?やってはいけないことや受診のポイントを解説
変形性股関節症の初期症状
変形性股関節症を発症した場合、どのような症状が現れることが多いのでしょうか。初期症状の典型例をご紹介します。
股関節の違和感
変形性股関節症の初期段階では、さまざまな違和感を覚えるケースが多くあります。
たとえば、股関節を動かしたときにポキポキ・ゴリゴリといった音や感覚があったり、突っ張ったような感覚を覚えることもあるようです。
股関節の軟骨が徐々にすり減っていくことで骨同士が接触し、このような違和感を覚えるようになります。
特徴的な痛み
違和感を放置したまま症状が進行していくと、股関節を動かしたときに痛みを感じるようになります。
また、人によっては違和感に気づかないまま痛みが現れるようになったというケースも少なくありません。
直立の姿勢や歩行時、あるいは立ち上がったときや歩き始めの段階に痛みを感じるものの、安静にすると痛みが和らぐという場合には変形性股関節症が疑われます。
日常生活に支障が出る
違和感や強い痛みなどの自覚症状に気づかないまま変形性股関節症が進行していくと、股関節の機能が低下し日常生活にさまざまな支障をきたす可能性もあります。
たとえば、股関節を動かしたときに痛みを感じるようになり、ズボンや靴下を履けなくなったり、正座や椅子に深く腰掛けることが難しくなることもあるようです。
変形性股関節症の症状セルフチェック
変形性股関節症は初期症状に気づかないうちに進行することも多いため、少しでも異変を感じたら早めに診察を受ける必要があります。
そこで、手軽にできるセルフチェック項目を作成してみました。
- 家族に変形性股関節症の既往歴がある
- 子どもの頃に股関節の異常を診断された
- 原因不明の腰痛や膝の痛みに悩まされている
- 足の付け根が痛み、あぐらや正座ができない
- 歩く際に体が左右に揺れる
- 左右の足の長さが違う
- 左右の靴底の減り違う
- ガニ股またはO脚になった
上記8項目のうち、1つでも当てはまる項目がある場合には変形性股関節症の発症リスクが高まっている可能性があるため、できるだけ早めに病院を受診しましょう。
関連記事:変形性膝関節症を放っておくとどうなる?治し方や痛い時にやってはいけない事とは?
変形性股関節症の病気の進行
変形性股関節症は大きく4つのフェーズに分けられます。どのように進行していくのか、それぞれのフェーズの特徴をご紹介します。
前股関節症
初期段階では臼蓋形成不全や先天性股関節脱臼、股関節唇損傷などによって関節の異常が見られますが、軟骨は損傷していない状態です。
長時間の運動や直立姿勢によって関節に負荷がかかると足がだるくなったり、疲れやすいといった症状が現れますが、安静時には症状が収まるため日常生活への支障も少ないでしょう。
初期股関節症
前股関節症が進行すると初期股関節症へ移行し、軟骨が徐々に摩耗していきます。
レントゲン画像では臼蓋の輪郭に沿って白い変色が見られ、大腿骨頭と臼蓋の隙間がわずかに狭くなっている様子が確認できます。
重症化を防ぐためにも、この段階でリハビリや保存療法を行う必要があります。
進行期股関節症
初期股関節症が進行すると、大腿骨頭と臼蓋の隙間がほとんどなくなり、骨同士が接触するようになります。
その結果、骨の一部がトゲのようになったり、骨の中に空洞が生じたりして関節の変形が進んでいきます。
進行期では股関節の可動域が大幅に減少し、歩行時に強い痛みを感じたり、しゃがみ込む姿勢がとれなくなることもあります。
末期股関節症
末期になると大腿骨頭と臼蓋の軟骨が完全に失われ、つねに骨同士が接触した状態となります。
歩行の強烈な痛みはもちろん、安静時にも痛みを感じるようになり、日常生活に困難をきたすことも出てくるでしょう。
リハビリや保存療法では治療の見込みがなくなるため、人工股関節置換術が適用されるケースが多いです。
変形性股関節症の治療方法
変形性股関節症を改善するためには、進行度合いに応じた治療法を選択しなければなりません。
具体的にどういった選択肢があるのか、代表的な治療法をご紹介しましょう。
運動療法
前股関節症や初期股関節症の基本的な治療法として用いられるのが運動療法です。
股関節周辺の筋力トレーニングやストレッチなどを継続的に行い、関節の安定性と柔軟性を保つことで進行を抑えたり、痛みの軽減にもつながります。
ただし、誤った方法で行うと股関節を痛める原因にもなるため、理学療法士の指導のもとで正しい運動・リハビリを行うことが大切です。
薬物療法
進行期股関節症または末期股関節症で痛みが強い場合には、痛み止めが処方されます。
また、ヒアルロン酸などを股関節内に注射することで関節の動きをスムーズにし、痛みを軽減するといった方法もあります。
ただし、変形性股関節症における薬物療法は対症療法がメインで、あくまでも一時的に痛みを緩和するために用いられます。
再生医療
変形性股関節症の新たな治療法として近年注目されているのが再生医療です。
脂肪などの体内組織から幹細胞を抽出・培養し、それを再び関節内に注入する「幹細胞治療」や、血液の成分である血小板から成長因子を抽出し再び関節内に注入する「成長因子療法」などがあります。
体にメスを入れることなく、長期間の入院やリハビリも不要のため日常生活への影響を最小限に抑えながら治療を行えます。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療とは、高エネルギーの衝撃波を患部に照射することで組織に刺激を与え、損傷した関節の修復を促す治療法です。
捻挫や靭帯損傷などのほか、比較的初期段階の変形性股関節症にも効果が期待でき、慢性的な痛みを軽減できる可能性もあります。
ハイドロリリース
ハイドロリリースとは、患部に専用の薬剤を注射し癒着した筋膜(ファシア)を剥がす治療法です。
変形性股関節症によって股関節の柔軟性が失われると、筋膜が癒着し痛みの原因になったり、可動域が狭くなったりすることもあります。
ハイドロリリースを行うことで筋肉および股関節周辺の柔軟性が高まり、痛みの軽減にもつながります。
関連記事:変形性膝関節症の主な原因は?女性に多い理由や若年層の発症についても解説
変形性股関節症のでお悩みの方はイノルト整形外科まで
変形性股関節症は整形外科で治療を受ける必要がありますが、上記でご紹介した再生医療や体外衝撃波治療、ハイドロリリースといった治療法は対応できるクリニックが限られています。
運動療法や薬物療法といった一般的な治療法だけでなく、幅広い選択肢の中から自分に合った治療法を検討したいという方は、イノルト整形外科へご相談ください。
イノルト整形外科では関節専門外来を設置しており、レントゲンや超音波、MRIといった高度な検査機器を完備。
正確な検査を行ったうえで患者様の状態や要望に合わせた治療法を提案させていただきます。
また、理学療法士による専門的なリハビリテーションプログラムも提供しているため、痛みを取り除くだけでなく再発予防に向けたアプローチも可能です。
まとめ
変形性股関節症は初期段階のうちに治療をスタートさせることが重要ですが、違和感や痛みがあっても深刻に捉えず治療を後回しにする方も少なくありません。
その結果、徐々に軟骨がすり減っていき日常生活にさまざまな支障をきたすこともあります。
今回ご紹介した初期症状の例やセルフチェックも参考にしながら、変形性股関節症が疑われる場合には早めに整形外科を受診しましょう。
正確な検査と多様な治療法に対応できるクリニックをお探しの方は、イノルト整形外科までお気軽にご相談ください。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ
藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長 渡邉 順哉
経歴
●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
膝の水を抜く方法は?効果のあるストレッチや予防方法を紹介
加齢やケガ、激しい運動、体重増加などが原因で膝に水が溜まることがあります。
このような場合、膝の水を抜く治療が行われますが、再発を防ぐためにもさまざまな治療法が検討されます。
本記事では、膝に水が溜まった際の治療法や予防法の一例、日常生活でも実践できるストレッチやトレーニングの方法なども詳しくご紹介します。
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膝に水が溜まる原因は?
そもそも膝の水の正体は、関節内に存在する「関節液」のことです。
関節液は本来、関節のスムーズな動きをサポートする重要な役割を担っていますが、何らかの原因によって分泌量が異常に増えることがあるのです。
では、主にどのような原因で膝に水が溜まるのでしょうか。代表的な疾患をいくつかご紹介します。
変形性膝関節症
運動のしすぎや加齢、体重増加などによって膝関節に大きな負担がかかり、軟骨などの関節組織が摩耗することで炎症や痛みを引き起こすのが変形性膝関節症です。
特に変形性膝関節症の炎症で関節液が溜まったり改善したりを繰り返し、これを放置しておくとさらに症状が悪化し、最悪の場合関節そのものが変形したり歩行やしゃがみ動作が困難になるケースもあります。
なお、膝関節内から抜いた関節液が透明な黄色をしている場合、変形性膝関節症の可能性が考えられます。
半月板損傷
ジャンプや急な方向転換などを伴う激しい運動をしていると、関節内の半月板という組織が損傷し炎症や痛みを伴うことがあります。
また、加齢に伴い、立ち上がり動作など日常生活動作だけでも損傷を起こす場合もあります。
関節内に炎症が生じると関節液が過剰に分泌され、結果として膝に水が溜まりやすくなります。
変形性膝関節症は中年から高齢者が発症するケースが多いですが、半月板損傷は激しいスポーツをする若年層にも多いのが特徴です。
前十字靱帯損傷・後十字靱帯損傷
半月板損傷と同様に、激しいスポーツによって発症しやすいのが前十字靱帯損傷・後十字靱帯損傷です。
膝関節に強い力が加わると、前十字靭帯と後十字靭帯という組織が断裂し激しい痛みや腫れ、炎症が現れます。
なお、膝から抜いた関節液が怪我した直後だと赤色もしくは褐色の場合があります。
その場合は前十字靱帯損傷や後十字靱帯損傷、半月板損傷の可能性が考えられます。
関節リウマチ
リウマチとは免疫疾患のひとつで、膝関節以外にも体のさまざまな部位に発症するケースが見られます。
免疫機能に異常が発生し、本来正常であるはずの関節組織を破壊し重度の炎症や痛みを引き起こします。
関節リウマチは左右の関節に症状が現れるケースが多く、治療をしないまま放置しておくと日常生活にも支障をきたすほど重症化するおそれがあるため早期の治療が必要です。
なお、関節リウマチが原因で膝に水が溜まっている場合、関節液は濁った黄色になることがあります。
膝に水が溜まった時に受診すべきタイミング
膝に水が溜まっている場合、膝を曲げたときに突っ張っているような感覚を覚えたり、曲げ伸ばしがしにくくなったりすることがあります。
激しいスポーツをしたり、膝に大きな力や衝撃が加わったという覚えがなくても膝関節内部に異常が発生している可能性もあることから、上記のような症状が見られる場合には早めに医療機関を受診し必要な処置をしてもらうことが大切です。
受診するタイミングが遅くなるとさらに炎症が悪化していき、歩行が困難になるほど重症化する可能性もあるため注意しましょう。
膝に水が溜まったときに有効な治療方法

膝に水が溜まった場合、医療機関ではどのような治療法を行うのでしょうか。代表的な治療法をいくつかご紹介します。
関節穿刺(膝の水を抜く)
関節穿刺とは、いわゆる膝に溜まった水を抜く治療法です。
膝関節を伸ばした状態で関節内に注射針を刺し、過剰に分泌された関節液を抜きます。
特に関節液が過剰に分泌され、膝の曲げ伸ばしがしにくかったり、痛みや違和感を感じる場合に注射をして関節液を取り出すことで症状を緩和できます。
膝関節内部にはさまざまな神経や血管があるため、注射をする際にはこれらを避けて慎重に行う必要があります。
保存療法
症状が比較的軽度で、痛みや炎症を抑えたい場合には関節穿刺と併せて保存療法が用いられます。
主に痛み止めの飲み薬や湿布などの外用薬などが処方され、これらを用いることで炎症が緩和され関節液の過剰分泌も抑えられる可能性があります。
変形性膝関節症や半月板損傷の場合は、再生医療の治療法が有効になりやすいです。
注射療法
症状が比較的軽度の場合、保存療法と同様に用いられることの多いのが注射療法です。
変形性膝関節症や半月板損傷の場合は、ヒアルロン酸などを関節内部に注射することにより、損傷した部位のスムーズな動きをサポートし痛みや炎症を緩和できる可能性があります。
理学療法士によるリハビリテーション
膝関節の負担を減らそうとするあまり運動量が減ってしまうと、関節周辺の筋肉量が低下し関節を安定的に支えることができなくなります。
その結果、膝関節に無理な力が加わるようになり、一時的に症状が緩和できたとしても再発する可能性があるのです。
理学療法士の指導の下、適切なリハビリテーションを行うことで筋力がアップし、膝関節の安定性が確保され症状の再発を防げます。
手術療法
変形性膝関節症や半月板損傷、前十字靱帯損傷・後十字靱帯損傷、リウマチなどが原因で特に症状が進行している場合には、手術療法が用いられることがあります。
ほかの治療法に比べて入院期間やリハビリ期間が長く費用もかかりますが、高い治療効果が見込めることが多いです。
再生医療
新たな治療法として近年注目されているのが再生医療です。
患者様から取り出した細胞を培養、もしくは血液中の組織を修復する細胞を抽出し、それを膝関節に注射することで損傷した軟骨や腱の組織が再生されやすくなり、本来の機能を取り戻します。
ただし、すべてのケースにおいて再生医療が適用されるとは限らず、基本的には自由診療となるため高額な治療費が発生します。
膝の水を抜いた後の注意したい合併症
膝に水が溜まった際には、水を抜くことである程度の症状を緩和できます。
ただし、治療をきっかけにさまざまな合併症を引き起こすリスクもあるため注意が必要です。
感染症
関節穿刺を行った際、膝関節内に細菌が侵入し感染症を引き起こす可能性があるため、穿刺前の消毒は入念に行なう必要があります。
通常、関節穿刺の直後は一時的な痛みや腫れが起こりますが、数日経っても痛みが引かず、腫れや炎症、熱を持っている場合には感染症を引き起こしている可能性が考えられます。
出血
関節穿刺は神経や血管を避けて施術を行いますが、施術ミスによって太い血管を傷つけてしまうと出血を伴うことがあります。
一時的に出血が見られる場合でも患部を圧迫すれば自然と血が止まりますが、数時間経っても血が止まらない場合には再度医療機関を受診してください。
関連記事:膝に水が溜まるとはどういう状態?原因や症状について解説
膝の水を抜く前に試しておきたいストレッチ
膝に水が溜まったような症状を感じるものの、すぐに医療機関の診察を受けられないときもあるでしょう。
そのような場合に、ストレッチをお試しいただくことで症状が緩和される可能性があります。
お尻のストレッチ
- 床に座り、左右の足を前方に伸ばす
- 両手をやや後方につき、左右の足を90度程度に曲げる
- 右足首を左膝の上に乗せる
- 上半身をゆっくり起こし、10秒程度姿勢をキープする
- 左右の足を替えて同じ動きをする
上記のストレッチのポイントは、上半身をゆっくり起こしたときにお尻の筋肉が引っ張られるような感覚を意識することです。
前もものストレッチ
- 右方向に体を倒し横になる
- 右腕を立てるようにして上半身を支える
- 左膝を曲げ、左手で左足首を掴む
- 左手で掴んだ足首をゆっくり後方に引っ張り、10秒程度姿勢をキープする
- 左右を替えて同じ動きをする
4の足首を後方に引っ張った際に、太ももの前部分の筋肉が引っ張られるような感覚を覚えるはずです。心地よいと感じる範囲内で、無理をせずストレッチを行ってください。
もも裏のストレッチ
- ベッドに座る
- 右足は床に下ろし、左足はベッドの上に伸ばした状態で置く
- 上半身をゆっくりと左足の方に倒し、10秒程度姿勢をキープする
- 左右の足を替えて同じ動きをする
ベッドの上に伸ばす足は、つま先と膝が上方向を向くようにします。
上半身をゆっくり倒していくと、太ももの内側の筋肉が引っ張られるような感覚を覚えます。
日常生活でできる膝に水が溜まるのを予防する方法
日々の生活習慣や行動を見直すことも膝に水が溜まる症状の改善・予防につながります。
筋トレ・ストレッチ
筋力トレーニングやストレッチは、膝に水が溜まるのを予防するために効果的な方法です。
上記でご紹介した通り、お尻や太ももの筋肉は膝関節を安定的に支える役割を担っていることから、これらの筋力をアップすることで膝に無理な負担がかかりにくくなります。
また、ストレッチを行うことで関節周辺の柔軟性も高まり、腱や軟骨の損傷も予防できます。
ウォーキング
適度なウォーキングは膝関節のスムーズな動きと血行を改善する効果があるため、膝に水が溜まるのを予防する効果があります。
膝関節に過度な負担がかかると症状を悪化させる危険もあるため、痛みや腫れが出るほど長時間歩き続けることは控え、正しい姿勢も意識しましょう。
サポーター・テーピング
膝関節のぐらつきや不安定感を感じる場合には、サポーターやテーピングを使用することで関節が安定し、負担を軽減することができます。
特に運動時などに使用することで、膝への過剰な負荷を防ぎ、炎症を予防できるでしょう。
サポーターやテーピングにはさまざまな製品があるほか、固定の仕方によっても効果は変わってくるため、医師や理学療法士の指導のもと正しい固定方法を取り入れましょう。
アイシング・湿布
外傷や怪我などによって膝関節に炎症・痛みが現れた場合には、早めにアイシングや湿布を行うことが効果的です。
炎症を放置しておくと関節液が過剰に分泌され、膝に水が溜まりやすくなるためです。
アイシングはコールドスプレーではなく、タオルに包んだ”氷のう”や保冷剤などを使用するのがおすすめです。
関連記事:膝の再生医療にかかる費用や名医の探し方|保険適用はされる?
膝に水が溜まってしまった時はイノルト整形外科までご相談ください
膝に水が溜まる原因や疾患はさまざまで、それぞれに合わせた治療法を行わなくてはなりません。
「膝関節に圧迫感がある」、「曲げ伸ばしがしにくい」といった症状を感じた場合には、できるだけ早めにイノルト整形外科へご相談ください。
膝の水を抜く「関節穿刺」はもちろんのこと、保存療法や運動療法、再生医療、手術療法まで幅広い治療法に対応しています。
特に再生医療や体外衝撃波治療、ハイドロリリースなどの最新の医療が対応できる医療機関も限られており、治らなくても様子をみるように言われる整形外科も少なくありません。
詳しい検査を受けたうえで、様々な治療の選択肢から自分にとって最適な治療法を専門医と相談しながら選択できるのがイノルト整形外科の大きな強みです。
もちろん、保険適用を前提とした治療にも対応しているため、まずはお気軽に受診ください。
まとめ
「膝に水が溜まる」という症状はよく耳にしますが、具体的にどういった感覚・症状が現れるのか分からず、放置している患者様も少なくありません。
しかし、治療が遅れると膝関節の状態がどんどん悪化していき、日常生活が困難になるほど重症化するおそれもあります。
今回ご紹介した内容を参考に、膝に水が溜まっているかもしれないと感じた方は、まずは早めにイノルト整形外科へご相談ください。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ
藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長 渡邉 順哉
経歴
●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長