再生医療で膝の症状は治せる?メリットや治療法の種類と注意点を解説
※本記事は、整形外科専門医・イノルト整形外科 統括院長 渡邉順哉医師の監修のもと執筆しています。

年を重ねるにつれて膝の痛みに悩む方は多く、「痛みをとりたいけれど手術が怖い」「大掛かりな手術になると費用が心配」などと不安を感じる方は少なくありません。
そこで近年注目されているのが、ご自身の細胞や血液が持つ力を活用し、損傷した組織の改善を目指す「再生医療」による膝治療です。
本記事では、膝の痛みを抱える多くの患者様を治療してきたイノルト整形外科が、膝の再生医療の効果やメリット、具体的な治療法、注意点を詳しくご紹介します。
Contents
再生医療で膝の痛みや症状は治せる?
再生医療は、膝の痛みや症状の根本的な完治(完全に元の状態に戻すこと)を保証するものではありません。
しかし、自身の細胞が持つ力で軟骨や組織の修復を促すことで、以下のような改善が期待できます。
- 痛みの緩和:
炎症を抑え、軟骨の摩耗からくる痛みを軽減する - 症状の進行を遅らせる:
変形性膝関節症などの症状の進行を抑制する - 日常生活の質の向上:
歩行時や階段の上り下りなど、日常生活に支障が出ない状態への改善が期待できる
手術を受けるのが心配な方や、初期~中期の変形性膝関節症の方にとって、新たな選択肢となる治療法です。
再生医療で膝を治療するときのメリット
再生医療による治療には、従来の外科手術にはない多くのメリットがあります。
- 拒否反応が起こりにくい:
自身の細胞を利用するため、アレルギーや拒否反応のリスクが低い - 日帰りで治療を受けられる:
入院の必要がなく、ほとんどが日帰りで受けられる(複数回の通院は必要) - 治療直後から普段通り生活できる:
メスを使わないため施術後の安静期間が短く、直後から普段通りの生活が送れる - 治療痕が残りにくい:
小さな注射針の痕が残る程度で済む
再生医療で膝の症状に効果が期待できる治療法
再生医療にはさまざまな種類があり、それぞれにメリットがあります。各治療法の特徴をご紹介します。
幹細胞治療
幹細胞治療(かんさいぼうちりょう)とは、患者様ご自身の脂肪などから幹細胞を採取して培養し、濃度を高めて関節内に注入する治療法です。
幹細胞には軟骨・骨・脂肪などさまざまな組織に分化する働きや、損傷した組織の修復を促すシグナルを出す働きがあります。
これらの働きによって損傷した軟骨や組織の修復を促し、痛みの軽減や変形の進行を遅らせる効果が期待できます。
費用は治療内容や培養する細胞量などによって変動しますが、1回あたり数百万円程度と高額になる場合もあります。
PRP療法(多血小板血漿療法)
PRP療法(多血小板血漿療法(たけっしょうばんけっしょうりょうほう))は、患者様の血液から採取した血小板を濃縮してPRPを抽出し、損傷した組織に注射する治療法です。
血小板には身体の修復力を高める「成長因子」が豊富に含まれており、損傷部に投与することで炎症を抑え組織の修復を促します。
入院の必要がなく、早い方で3日、ゆっくりな方でも1ヶ月程度で効果を実感するケースが多いです。
費用については、複数回打つ場合は1回数万円程度、1~2回で効果の実感を目指す高濃度の治療では1回数十万円程度が目安です。
成長因子療法
成長因子療法は「再生医療類似治療」に位置づけられる治療法です。
患者様の血液から成長因子のみを高濃度に抽出してフリーズドライ化し、関節に投与することで組織の修復をサポートします。
特に初期~中期の変形性膝関節症に適しており、副作用も少ないのが特徴です。
費用は1回あたり数十万円程度で、複数回にわたって打つ必要がある方もいらっしゃいます。
幹細胞上清液療法(エクソソーム)
幹細胞上清液療法(かんさいぼうじょうせいえきりょうほう)も、再生医療類似治療に分類されます。
臍帯血などから採取した幹細胞を培養する際に有用な成長因子やエクソソームを取り出し、関節内に注入することで炎症の抑制や痛みの緩和を目指します。
ご自身以外の細胞由来ではありますが、細胞そのものが含まれていないため拒否反応のリスクも低く抑えられます。
費用は1回あたり10万円程度で、複数回行う場合は総額が50万円以上になることもあります。
【番外編】集束型体外衝撃波治療
集束型体外衝撃波治療は再生医療ではないものの、ほかの治療法と併用されることが多い治療法です。
外部から膝の痛む部位に衝撃波を当てることで血管が新しく作られ、血流の改善と組織の修復力を高めます。
再生医療と併用することで相乗効果が期待でき、より短期間で痛みの緩和を目指せます。
費用は1回あたり数万円程度です。
関連記事:変形性股関節症は手術せずに治せる?再生医療とはどんな治療なのか
再生医療の注意点
さまざまなメリットがある再生医療ですが、治療を受ける前に把握しておいていただきたい注意点もあります。
自由診療のため治療費が高め
再生医療の治療はほとんどが保険適用外であり、原則として自費診療になります。
膝の再生医療の費用は治療内容などによって大きく異なりますが、幹細胞治療のような高度な治療では数百万円以上かかることもあります。
そのため、再生医療を検討する際はまず予算も含めて医師へ相談し、無理のない範囲でできる治療法を探すことから始めましょう。
効果の現れ方に個人差がある
再生医療は自身の持つ治癒力を利用するため、効果の現れ方には個人差があります。
症状の進行度や年齢、体質によっては期待したほどの安定した効果が得られない場合もあります。
治療方法によっては長期的な治療が必要
幹細胞治療などは長期間にわたって効果が期待されますが、PRP療法などは効果の持続期間に限りがあります。
症状を維持・改善していくためには継続的な治療が必要となり、結果的に費用が高額になってしまうことがあります。
関連記事:膝の再生医療にかかる費用や名医の探し方|保険適用はされる?
再生医療による治療で膝の痛みを改善したいとお考えの方はイノルト整形外科まで
イノルト整形外科は関節専門外来を設置しており、変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチなどさまざまな膝疾患の治療をさせていただいております。
一般的な保存療法や理学療法はもちろん、本記事でもご紹介した再生医療や体外衝撃波治療、ハイドロリリースなど最新の治療法にも幅広く対応しております。
「痛みをとりたいけれど治療費は安く抑えたい」
「手術や入院をすることなく負担を抑えて治療をしたい」
このようなお悩みのある方は、ぜひイノルト整形外科までご相談ください。
再生医療を専門とする医師が症状を丁寧に診察させていただき、お悩みを解消するための治療法をご提案させていただきます。
お電話やメールフォームはもちろん、LINEからのご相談にも対応しておりますので、ご都合のよい方法でお気軽にお問い合わせください。
まとめ
膝の痛みを改善するための再生医療にはさまざまな種類があり、拒否反応の少なさや日帰り治療が可能といったメリットがあります。
しかし、症状の進行度や予算、求める持続期間などによって治療法は異なるため、専門医による診察と相談が不可欠です。
膝の痛みに悩み、再生医療を検討されている方は、ぜひお気軽にイノルト整形外科までご相談ください。
再生医療の専門医が悩みをお伺いし、患者様一人ひとりに合った治療法のご提案をさせていただきます。
この記事の監修医師
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
渡邉 順哉
経歴
- 平成16年 鎌倉学園高等学校卒
- 平成23年 東邦大学 医学部卒
- 平成23年 横浜医療センター 初期臨床研修
- 平成25年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
- 平成26年 神奈川県立汐見台病院 整形外科
- 平成28年 平成横浜病院 整形外科医長
- 平成30年 渡辺整形外科 副院長
- 令和元年 藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
- 令和6年 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 統括院長
