膝関節への再生医療|症状や治療法の種類を解説
※本記事は、整形外科専門医・イノルト整形外科 統括院長 渡邉順哉医師の監修のもと執筆しています。

膝関節の痛みや機能障害は、日常生活の質を大きく低下させてしまいますが、従来の治療法ではなかなか改善できないとお悩みの方は少なくありません。
このようなお悩みのある方に近年注目されているのが「再生医療」です。
本記事では、膝の再生医療に関して豊富な症例のあるイノルト整形外科が、再生医療が適用される症状や特徴などを詳しく解説します。
Contents
再生医療が適用される可能性がある代表的な膝関節の症状
再生医療は、膝関節の損傷した軟骨・半月板・靭帯などの組織を修復したり、再生を促したりすることを目的としています。
変形性膝関節症(軟骨損傷)
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨組織が変性して関節面の変形や炎症が起こる疾患です。
主な原因として、加齢や関節への過度な負荷が挙げられ、前立腺や卵巣の手術といった他の疾患が関連することもあります。
症状としては膝関節の痛みや腫れ、硬直感が見られるほか、進行すると膝の可動域が制限されたり、O脚やX脚といった関節の変形や歪みが現れるようになります。
半月板損傷
半月板損傷は、膝関節にあるC字型の「半月板」が損傷した状態です。
スポーツ中の転倒や急な方向転換、車の事故、肥満による長年の負荷などさまざまな原因が考えられます。
起こりうるトラブルとしては、膝の痛みや腫れ、膝関節の運動制限、不安定感などが挙げられます。
膝の動きが急に止まってしまう「ロック現象」も症状の一つです。
靭帯損傷
靭帯損傷は、膝の安定性を保つ役割のある靭帯が強い力によって損傷した状態で、部分的に傷つく場合もあれば、完全に損傷してしまうこともあります。
主な原因として、交通事故による衝撃やスポーツ中の急な方向転換・転倒など、膝に大きな負担がかかる動作が挙げられます。
症状は損傷部位によって異なりますが、急激な膝の腫れ・強い痛み・膝の不安定性・歩行や運動時のぐらつきなどが多く見られます。
関連記事:再生医療とは?適応となる整形適応の疾患や費用について
膝関節の症状に適応となる可能性がある再生医療および再生医療類似治療
膝関節の損傷に対し適応される可能性のある再生医療、また類似治療法をご紹介します。
これらの治療は損傷した組織の修復を促したり、炎症を抑えたりすることを目的としています。
幹細胞治療
幹細胞治療(かんさいぼうちりょう)は、患者様ご自身の脂肪などから採取した幹細胞を培養し、高濃度にして関節内に注入する治療です。
幹細胞には損傷した軟骨・組織の修復を促すシグナルを出す働きや、組織に分化する働きが備わっており、痛みの軽減や変形の進行抑制が期待されます。
費用は1回あたり数百万円程度と高額になる傾向がありますが、個人の状態や投与回数などによって費用は変動します。
PRP療法(多血小板血漿療法)
PRP療法は「多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう)療法」とも呼ばれ、患者様ご自身の血液から採取した血小板を濃縮してPRPを抽出し、損傷した組織に注射して修復力を高める治療法です。
血小板に含まれる成長因子が組織の再生や修復を促し、炎症を抑える効果が期待されます。
入院の必要がなく、3日~1ヶ月程度で効果を実感するケースが多く見られます。
費用は複数回にわたって打つ場合は1回数万円程度、1~2回で効果を得られるような高濃度のものは数十万円程度かかるのが一般的です。
成長因子療法
成長因子療法は、再生医療類似治療に位置づけられる治療法です。
患者様ご自身の血液から成長因子のみを高濃度に抽出してフリーズドライ化し、関節に投与することで炎症の抑制や組織の修復をサポートします。
初期から中期の変形性膝関節症に適しており、自身の血液を使うため副作用が少ないのもメリットです。
費用は1回あたり数十万円程度で、患者さんによっては複数回にわたって投与しなければならないケースもあります。
幹細胞上清液療法(エクソソーム)
幹細胞上清液療法(かんさいぼうじょうせいえきりょうほう)も、再生医療類似治療に分類されます。
他人の臍帯血などから得られた成長因子やエクソソームを活用し、関節内の炎症抑制や痛みの緩和を目指します。
ご自身の細胞を採取・培養する必要がないため、比較的安全性も高いとされています。
費用は1回あたり10万円程度ですが、複数回治療を受ける場合は総額が50万円以上になることもあります。
関連記事:膝の再生医療にかかる費用や名医の探し方|保険適用はされる?
膝関節の症状を再生医療で治したいとお考えの方はイノルト整形外科まで
膝関節の痛みや症状にお悩みの方で、「手術は避けたい」「最新の治療を試したい」とお考えの場合は、ぜひイノルト整形外科へご相談ください。
当院では関節専門外来を設置しており、変形性膝関節症や半月板損傷などさまざまな膝関節疾患の治療を行っています。
一般的な保存療法や理学療法だけでなく、本記事でご紹介した幹細胞治療やPRP療法、成長因子療法などの再生医療にも幅広く対応しています。
再生医療専門の医師が、患者様一人ひとりの症状やご希望を丁寧にお伺いし、最適な治療計画をご提案します。
ご相談は公式サイトやお電話のほか、LINEからも受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
関連記事:年代別に膝の痛みの症状をチェック|考えられる疾患や受診の目安は?
まとめ
膝関節の痛みや機能障害の原因となる症状は、再生医療の適応となる可能性があります。
再生医療にはさまざまな方法があり、それぞれ効果や費用が異なるため、症状の進行度・費用・効果の持続性などによって選ぶことが大切です。
膝関節の痛みに悩み、再生医療をご検討されている方は、まずはお気軽にイノルト整形外科までご相談ください。
再生医療の専門医が丁寧に診察させていただき、患者様一人ひとりのお悩みを解決できる治療法をご提案させていただきます。
この記事の監修医師
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
渡邉 順哉
経歴
- 平成16年 鎌倉学園高等学校卒
- 平成23年 東邦大学 医学部卒
- 平成23年 横浜医療センター 初期臨床研修
- 平成25年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
- 平成26年 神奈川県立汐見台病院 整形外科
- 平成28年 平成横浜病院 整形外科医長
- 平成30年 渡辺整形外科 副院長
- 令和元年 藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
- 令和6年 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 統括院長
