骨粗鬆症の検査方法|検査できる場所や費用を解説
※本記事は、整形外科専門医・イノルト整形外科 統括院長 渡邉順哉医師の監修のもと執筆しています。

骨粗鬆症は早期に発見して治療を始めることで、進行を防ぎ、日常生活での骨折リスクを減らすことが期待できます。
特に大腿骨骨折・胸椎・腰椎など背骨の圧迫骨折は健康寿命が大幅に短縮するという研究結果があるほか、大腿骨骨折に関してはガンよりも死亡率は高く、骨折後5年以内の死亡率は50%というデータもあります。
日本国民の多くが骨粗鬆症に関しては知識不足のため、骨粗鬆症に伴う骨折をして初めて骨粗鬆症の検査を受け、ようやく治療を開始する方がまだまだ多いのが現状です。
骨粗鬆症は、高齢者や閉経後の女性に特に多く見られ、一人ひとりの状態に合わせて適切な治療を選択し、将来の大腿骨骨折や背骨の圧迫骨折を未然に防ぐ必要があります。
そのためにはまず、自分の骨の状態を正しく知ることが大切です。
本記事では骨粗鬆症の代表的な検査方法や、検査を受けられる場所、費用の目安について詳しく解説します。
Contents
骨粗鬆症の検査方法
骨粗鬆症の検査にはいくつかの方法がありますが、それぞれ特徴やメリットが異なるため、目的に応じて適切な検査方法を選ぶことが大切です。
以下の代表的な3つの検査について詳しくご紹介します。
- 二重エネルギーX線吸収法(DXA)
- 超音波法
- MD法
二重エネルギーX線吸収法(DXA)
DXA(デキサ)法は、骨粗鬆症の診断や治療経過の観察において、現在、骨粗鬆症の診断基準としてもっとも信頼性が高いとされている検査方法です。
微量のX線を用いて骨密度を測定し、数値として結果を確認できます。
また、被ばく量がごく少なく、安全に実施できるとされています。
DXA検査は、大きく2種類に分けられます。
- 腰椎・大腿骨で測定する方法:
骨粗鬆症の診断基準として正式に採用されている部位で、もっとも精度が高い検査です。腰椎と大腿骨は骨折リスクが高い部位でもあり、全身の骨の状態を反映しやすいのもメリットです。 - 前腕骨で測定する方法:
手首の骨密度を測定する方法で、腰椎や大腿骨の検査が難しい場合、代替的に行われます。寝たきりの方などが該当しますが、腰椎や大腿骨での骨粗鬆症の見逃しや治療効果判定が難しいという欠点があるため、基本的には推奨されていません。
超音波法
超音波法は、かかとの骨に超音波を当てて骨密度を測定する簡易的な方法です。
放射線を使用しないため、短時間で安全に実施でき、健康診断や自治体の検診などで広く活用されています。
ただし、測定する部位がかかとであるため、骨全体の状態を正確には把握することができません。
そのため診断や治療方針の決定には不向きであり、あくまでも「スクリーニング(予備的検査)」としての位置づけです。
MD法
MD法は、手のひらの骨をレントゲンで撮影し、画像から骨密度を推定する検査です。
放射線量は少なく、検査時間も短いため、自治体の健康診断などで利用されます。
こちらもDXA法と比べると精度が劣り、骨折リスクの正確な評価には限界があります。
唯一推奨されるのは、大腿骨および腰椎のDEXA法であり、それ以外の検査については見逃しや治療効果が反映されにくいことから、原則として推奨しにくい検査になります。
骨粗鬆症の有無や治療効果を正しく評価することは治療の第一歩としてもっとも重要となるため、大腿骨および腰椎のDEXA検査のできる医療機関で検査するようにしましょう。
関連記事:骨粗鬆症の治療は何をする?注射や薬の種類や治療期間を解説
骨粗鬆症の検査ができる場所
骨粗鬆症の検査は、医療機関や自治体などさまざまな場所で受けられますが、施設によって検査機器の種類や対応できる検査内容が異なるため注意が必要です。
整形外科
整形外科ではDXA法による腰椎・大腿骨の検査機器を備えている医療機関が比較的増えてきており、より精度の高い診断を受けやすい傾向があります。
しかし、昔からある整形外科クリニックや総合病院では大腿骨および腰椎のDEXA検査設備が無い医療機関も少なくないため、事前に検査が可能か調べた上で検査を受けることがとても大事です。
また、骨粗鬆症に詳しい整形外科専門医は骨の代謝や骨折予防に関する知識が豊富なため、結果に基づいた適切な治療方針を立てられます。
公式サイトなどに「骨粗鬆症外来」「DEXA検査(大腿骨・腰椎)」などの記載がある施設を選ぶことも大切です。
残念ながら整形外科専門医でも骨粗鬆症に詳しい整形外科医が決して多いとはいえません。
骨粗鬆症について、大腿骨・腰椎の骨密度検査や血液検査について説明が書かれている整形外科は比較的詳しい医師に正しく診断してもらえる可能性が高いです。
産婦人科
閉経後の女性を対象に、簡易的な骨密度検査を行う産婦人科もあります。
ただしDEXA法の設備を持つクリニックは少なく、超音波法やMD法を用いた簡易検査が中心です。
整形外科医と比べると骨粗鬆症の診療経験が少ない医師であることが多いため、必要に応じて整形外科と連携すると安心です。
内科
生活習慣病などの定期健診に合わせて、骨密度の簡易検査を実施している内科もあります。
最近の新しい内科クリニックでは、大腿骨・腰椎の骨密度検査装置を置いてあるクリニックも整形外科クリニックほどではないですが、増えてきています。
自治体の保健所や保健センター
自治体によっては、40歳や50歳などの節目となる年齢を対象に、骨粗鬆症健診クーポンを配布している自治体もあります。
費用は無料または数百円程度と手軽ですが、検査法は医療機関によって異なります。
関連記事:骨粗鬆症の予防対策|食べ物・運動・サプリ・薬などにわけて紹介
骨粗鬆症の検査にかかる費用
骨粗鬆症の検査費用は、検査方法や自己負担の割合や自治体のクーポンを配布によって異なります。
- 保険適応の大腿骨・腰椎の骨密度検査(DEXA):無料~約1,500円/回
- 自治体の健診:無料~1100円/回程度
自治体の健診クーポンの場合、腰椎や前腕の検査しか受けられない場合があるため、事前に確認が必要です。
DEXA法による検査は保険が適用されるため、医師に相談して骨粗鬆症が疑わしい場合は、自己負担は比較的軽く抑えられます。
※費用はあくまで目安であり、医療機関や検査部位、保険負担割合によって異なります。
また、医師が必要と判断した場合は、内服薬や注射薬で治療を受けながら4ヶ月ごとなど定期的に検査を行い、治療の効果を確認することが大切です。
骨粗鬆症でお悩みの方はイノルト整形外科痛みと骨粗鬆症クリニックまで
骨粗鬆症の治療は、患者一人ひとりの骨密度や年齢、生活習慣に合わせて行うことが大切です。
イノルト整形外科痛みと骨粗鬆症クリニックでは、DEXA法(骨密度測定装置)による腰椎・大腿骨の測定だけでなく、骨の強度の3を占める骨質を測定する検査や今後の骨密度の低下を予想できる血液検査も行い、その結果をもとに適切な治療方針をご提案しています。
骨の状態に応じて、内服薬・注射・生活指導を組み合わせ、患者様一人ひとりに合わせた治療を行い、骨の健康維持をサポートしています。
また、LINEからの予約にも対応しており、忙しい方でも受診しやすい環境を整えています。
「自分の骨密度などの骨の強度が気になる」「骨折を予防したい」という方は、イノルト整形外科へご相談ください。
まとめ
骨粗鬆症は、骨粗鬆症に詳しい整形外科専門医の在籍する整形外科で大腿骨・腰椎のDEXA法など精密検査を受けることで、骨の状態を詳しく把握することがとても大事です。
自分の状態を正しく知ることにより、治療のスケジュールを組み、無理なく治療を継続することにつながります。
「骨粗鬆症かもしれない」と感じたら、早めに検査を受け、骨粗鬆症に詳しい整形外科専門医に相談することをおすすめします。
この記事の監修医師
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
渡邉 順哉
経歴
- 平成16年 鎌倉学園高等学校卒
- 平成23年 東邦大学 医学部卒
- 平成23年 横浜医療センター 初期臨床研修
- 平成25年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
- 平成26年 神奈川県立汐見台病院 整形外科
- 平成28年 平成横浜病院 整形外科医長
- 平成30年 渡辺整形外科 副院長
- 令和元年 藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
- 令和6年 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 統括院長
