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鼠径部が痛む原因を解説|痛みに左右差が出る理由や対処法は?

※本記事は、整形外科専門医・イノルト整形外科 統括院長 渡邉順哉医師の監修のもと執筆しています。

歩き出したときや立ち上がったときなど、足の付け根がズキッと痛むことはありませんか?

このような「鼠径部(そけいぶ)」の痛みは、加齢や関節疾患・筋肉のバランスなどさまざまな原因によって起こります。

本記事では鼠径部が痛む原因を詳しく探るとともに、左右で差が出る理由や対処法をご紹介します。

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鼠径部の痛みとは?

鼠径部とは、足の付け根にあるV字型の部分を指します。

下腹部と太腿の境界に位置し、股関節・大腿動脈・神経・リンパ節・腸の一部・複数の筋肉などさまざまな組織が通っています。

鼠径部に痛みがある場合、これらの構造のいずれかに炎症・損傷・圧迫が加わったことにより発症することがほとんどです。

皮膚の表面ではなく体内で痛みを感じるため、どこが痛いのか分かりにくいといったケースも見られます。

関連記事:股関節の付け根が痛む原因は?対処方法とおすすめストレッチを紹介

鼠径部が痛む原因

鼠径部の痛みには多くの原因が考えられます。

鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)

スポーツをする人に多く、サッカー・ラグビーなど急な動作が多い競技で発症率が高い疾患です。

股関節周りの筋肉や靭帯・腱の炎症が痛みの原因であり、外傷の有無を問わず発症する点が特徴です。

変形性股関節症

加齢や先天的な関節異常などが原因で軟骨がすり減り、鼠径部に痛みが生じる疾患です。

50代以降の女性に多く、症状が進行するにつれて安静にしていても痛みが生じるようになります。

リウマチ性関節症

関節の内側に存在する「滑膜」に炎症が起き、痛みが生じる自己免疫性疾患です。

股関節にも症状が広がる場合があり、特に起きてすぐのタイミングでこわばりや痛みを感じやすくなります。

単純性股関節炎

小児に多く見られる一過性の関節炎であり、インフルエンザなどウイルスによる感染症の後に発症することがあります。

症状が急激に悪化し歩行が困難になることも多いため、病み上がりには特に注意が必要です。

骨頭壊死

「大腿骨頭」と呼ばれる股関節の骨に十分な血液が届かず、壊死することで激しい痛みが起こる疾患です。

多量の飲酒やステロイドの長期使用が原因といわれています。

関連記事:脚の付け根が痛い!原因は何?おすすめのストレッチや注意点もご紹介

鼠径部の痛みに左右差が出る理由

「右だけが痛い」「左に違和感がある」といった左右差のある痛みは、次のような要因によって起こります。

体のくせや利き足の影響

利き足や日常的な姿勢の癖があると、股関節周りの筋肉や腱の使い方に偏りが出ます。体重を支える方には負担が集中し、痛みを生じやすくなります。

姿勢や動作の偏り

足を組んだり片足重心で立ったりといった姿勢や動作の偏りも、左右どちらかに負担が限定する原因となります。

スポーツなどの反復動作

スポーツにおける片側に限定したキックや投球・踏み込みなどの反復動作は、特定の部位にダメージが蓄積し、片側の痛みにつながります。

鼠径部が痛むときの対処方法

鼠径部が痛むときには、自分でできる対処法を試してみることをおすすめします。

安静にして冷やす

まずは炎症を悪化させないため、安静にしながら患部を冷やします。アイスバッグや保冷剤をタオルで包み、15分~20分ほど冷やして様子を見ます。

湿布を使う

痛みや腫れがある場合は、消炎鎮痛作用のある湿布薬を使うのも効果的です。痛みが続く場合は自己判断での継続を避け、一度医師へ相談しましょう。

負担の少ない動き方を心がける

痛みがあるときは無理な運動や長時間の歩行を避け、姿勢や身体の使い方に注意して過ごすことが大切です。

ストレッチで柔軟性を保つ

股関節周りの筋肉が凝り固まると、痛みや可動域の制限につながります。ストレッチで筋肉の柔軟性を維持し、関節の動きをスムーズに保つことが大切です。

股関節まわりを鍛える

股関節や骨盤周りのきんにくを鍛えることで、負担が分散され、痛みの再発予防につながります。

スクワットやヒップリフトなど、無理のない範囲で続けられるトレーニングを選びましょう。

鼠径部の痛みで病院に行くべきタイミング

最初から強い痛みがある場合や、何日経っても痛みが引かない場合などは、専門の医療機関を受診する必要があります。

受診すべき症状

以下のような症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診してください。

  • 安静にしていても痛みが引かない
  • 痛みが日ごとに悪化する
  • 歩くのが辛いなど日常生活に支障が出ている
  • 足に力が入らない
  • しびれを感じる
  • 発熱や腫れがある

受診する診療科

整形外科、または股関節外来・スポーツ整形外科を標榜するクリニックが適しています。症状の低度や状況に応じて、専門的な検査や治療を受けられます。

診断と検査の流れ

問診や触診に加え、X線・MRI・超音波検査などを行い痛みの原因を特定します。必要に応じて血液検査や関節液検査が行われることもあります。

 治療方法

原因や症状の程度によって、以下のような治療方法が選ばれます。

  • 消炎鎮痛剤の処方
  • 湿布や塗り薬の処方
  • 理学療法(リハビリ)
  • ストレッチ・筋トレの指導
  • 手術

関連記事:股関節回りの筋肉が痛む原因と治し方|考えられる疾患や病院に行くべき目安を解説

鼠径部の痛みでお悩みの方はイノルト整形外科まで

 

痛みの原因が分からないまま放置すると、日常生活の質が低下したり、他の部位に負担がかかり新たな不調を招いたりすることがあります。

イノルト整形外科では、股関節周辺のトラブルに詳しい専門医が在籍しており、的確な診断の元一人ひとりに合った治療プランをご提案します。

再発予防の観点からも、症状が軽いうちに専門医へ相談しておくことが大切です。

まとめ

鼠径部の痛みは、股関節周りの筋肉や腱・関節などさまざまな組織が原因となって起こります。

痛みが続いたり、歩行に支障があったりする場合は、早めに整形外科を受診しましょう。

イノルト整形外科では、全国&海外から5万人以上の患者様が来院し、一人ひとりに合った治療を受けています。

保険診療・自由診療と選択肢も豊富なため、まずはお気軽に最寄りの院へご相談ください。

この記事の監修医師

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
渡邉 順哉

経歴

  • 平成16年 鎌倉学園高等学校卒
  • 平成23年 東邦大学 医学部卒
  • 平成23年 横浜医療センター 初期臨床研修
  • 平成25年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
  • 平成26年 神奈川県立汐見台病院 整形外科
  • 平成28年 平成横浜病院 整形外科医長
  • 平成30年 渡辺整形外科 副院長
  • 令和元年 藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
  • 令和6年  イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 統括院長