股関節の付け根が痛む原因は?対処方法とおすすめストレッチを紹介

加齢やスポーツによるケガなどが原因で、股関節の付け根に痛みを伴うことがあります。
一時的に痛みが引くこともあれば、数週間以上にわたって痛みが持続し、やがて激しい痛みへと悪化していくケースも少なくありません。
股関節の付け根が痛む主な原因と、痛みを軽減するための対処法やストレッチなども詳しく解説します。
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股関節の付け根が痛い原因

股関節の付け根に痛みを感じる場合、さまざまな疾患が関係している可能性があります。考えられる代表的な疾患をご紹介しましょう。
変形性股関節症
変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ることで骨同士が接触し、痛みを引き起こす疾患です。
加齢や体重過多などにより股関節の負担が増大し、軟骨がすり減ることで発症します。
また、生まれつき臼蓋形成不全などで股関節の形状に異常がある場合、関節内の一部分に荷重が集中したり、股関節唇損傷に引き続き発症することもあります。
変形性股関節症は歩き始めや立ち上がったとき、あるいは長時間の歩行や運動でも痛みが強く現れることが特徴です。
股関節唇損傷
股関節唇損傷とは、股関節唇(股関節の縁に付いている軟部組織)が損傷することで痛みが現れる疾患です。
股関節唇は大腿骨と骨盤の間でパッキンのような役割を担っており、この部分が損傷すると股関節の付け根に痛みが生じます。
股関節唇損傷が重症化すると軟骨が摩耗していき、変形性股関節症へと進行していきます。
鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)
鼠径部痛症候群はグロインペイン症候群ともよばれ、股関節の付け根から下腹部にかけて痛みが生じる疾患です。
サッカーなど股関節を酷使するスポーツ選手に多く発症し、痛み以外にも股関節の不快感や違和感など症状はさまざまです。
痛みを我慢しながら運動を続けることで悪化するため、運動制限が必要です。
大腿骨頭壊死
大腿骨頭壊死は、股関節の部分、大腿骨の先端部分に当たる大腿骨頭(こっとう)への血流障害によって、骨が壊死する疾患です。
初期の時点では自覚症状がありませんが、徐々に進行していくと体重をかけたときに股関節の付け根に痛みを感じるようになります。
やがて痛みが強くなり、大腿骨頭が潰れていき、末期になると歩行困難に陥ることもあります。
先天性股関節脱臼
先天性股関節脱臼とは、生まれつき股関節の形状に異常があることが原因で関節がずれたり、脱臼したりする疾患です。
乳児期は股関節が十分に開きにくく、成長するにつれて痛みや歩行困難といった症状が現れます。
生後間もないの段階で発見できれば装具の装着で回復することがありますが、成人期では手術が必要になるケースも少なくありません。
関連記事:股関節回りの筋肉が痛む原因と治し方|考えられる疾患や病院に行くべき目安を解説
股関節の付け根が痛むのはなぜ?

股関節の付け根が痛む原因として考えられることと、治療が必要な場合の目安についても解説しましょう。
痛みが出る原因
股関節の付け根が痛む原因は、主に冒頭でご紹介したさまざまな疾患が関係している可能性が考えられます。
加齢や運動のしすぎ、仕事での股関節の酷使、先天性の異常などその原因はさまざまですが、骨や軟骨が摩耗・変形することが直接的な引き金となります。
痛みを軽減する姿勢
股関節の付け根に痛みがあるときには、関節に負担をかけないことが大前提となります。
特に、深くしゃがみ込む姿勢や猫背、足を組んで座るといった姿勢は股関節への負担が大きいため避けましょう。
また、デスクワークでは長時間座りっぱなしの姿勢が続きがちですが、30分に1回程度立ち上がるだけでも股関節への負担が減り、痛みを軽減できる可能性もあります。
痛みが続く場合の受診の目安
股関節の付け根の痛みは一時的な症状の場合も多く、時間の経過とともに回復することもあります。そのため、病院を受診すべきか迷う方も多いでしょう。
整形外科を受診する目安としては、以下を参考にしてください。
- 痛みが原因で日常生活に支障が出ている
- 痛みが2週間以上続いている
- 痛みが改善したり再発したりを繰り返している
股関節の付け根が痛いときの対処法
股関節の付け根が強く痛む、あるいは慢性的な痛みがとれない場合、一時的に痛みを軽減するためにはどういった対処法が効果的なのでしょうか。
ストレッチ・マッサージ
股関節の痛みが強い場合には、後述するストレッチを試すことで症状を軽減できるかもしれません。
また、股関節周囲の筋肉のマッサージも即効性があり、一時的に痛みを軽減したい場合におすすめです。
外用薬・安静
痛みがあるにもかかわらず股関節を動かしていると、炎症がさらに悪化し痛みが強くなっていくため、まずは安静を心がけましょう。
そのうえで、痛みを抑える塗り薬や貼り薬(湿布)などを使用することで一時的に痛みを軽減できます。特に痛みが強い場合には坐薬も効果的です。
整形外科の受診
ストレッチやマッサージ、外用薬はあくまでも一時的に痛みを軽減するための手段であり、根本的な解決にはつながりません。
痛みが強く数週間以上続く場合には、早めに整形外科を受診し適切な治療を受けましょう。
関連記事:股関節の痛みに効くストレッチ|片方だけ痛い場合はどうする?
股関節の付け根の痛みにおすすめのストレッチ

股関節の付け根の痛みに効くストレッチにはさまざまなものがあります。
自宅はもちろん、職場や通勤時にも実践できるストレッチをいくつかご紹介しましょう。
寝ながらできるストレッチ
お風呂上がりや就寝前などのリラックスタイムでは、横になった状態でのストレッチがおすすめです。
【膝曲げストレッチ】
- 仰向けに寝る
- お尻を床に付けたまま、片膝を曲げて両手で抱え込む
- 息を吐きながら膝を胸に近づける
- 3の姿勢を10秒程度キープ
- 左右の膝を交代し2〜4の動作を行う
【股関節の外側ストレッチ】
- 仰向けに寝る
- お尻を床に付けたまま、両膝を立てる
- 足の裏を床につけた状態で、両膝を左右方向に倒す(上半身は倒さず上を向いたままにする)
立ったまま行うストレッチ
立ったまま行うストレッチは、横になった状態でのストレッチよりも強度があり、運動不足が気になる方におすすめです。
【スクワット】
- 両足を肩幅よりも広めに開き、つま先を前方に向ける
- 両手をそれぞれ左右の膝に置き、ゆっくりとお尻を下ろす
- 顔を前方に向け、上体を左方向にゆっくりとひねる
- 3の姿勢を30秒程度キープ
- ひねる方向を左右変えて3〜4を繰り返す
椅子に座った状態で行うストレッチ
デスクワークの方は、仕事の合間に手軽に実践できる椅子に座った状態でのストレッチがおすすめです。
【内側・後面筋のストレッチ】
- 椅子に座った状態で左足首を右膝の上に乗せる
- 左手で左膝を押し下げる
- 股関節の内側とお尻を伸ばすことを意識しながら、上半身を前に倒す
股関節の付け根の痛みを防ぐために注意したい日常生活のポイント

股関節の痛みは日々の何気ない生活習慣が原因で悪化することもあります。
症状の悪化を防ぐために、日常生活の中で気をつけたいポイントをご紹介しましょう。
股関節を冷やさない
関節が冷えると血流が悪化し、筋肉の硬直化と関節の柔軟性低下を招き痛みを感じやすくなるため、股関節は冷やさないように注意しましょう。
体が冷えやすい薄着を控えることはもちろん、夏場は空調による冷えにも注意が必要です。
湯船に浸かって体の芯から温めたり、就寝前には軽めのストレッチを行うことも有効な方法といえます。
ただし、外傷やスポーツによるケガなどが原因で股関節に激しい痛みや腫れを伴う場合には、患部を冷やすことが重要です。
股関節の負担を減らす
股関節の痛みがある際には安静を心がけ、負担を減らすことを意識しましょう。
痛みがあるにもかかわらず、重いものを持ち上げたり激しいトレーニングを行ったりすると、さらなる重症化を招く可能性があります。
また、深くしゃがみ込む姿勢も股関節に大きな負担をかけることになるため、和式トイレではなく洋式トイレを使用したり、床に直接座るのではなく椅子に腰掛けるなどの対策も効果的です。
適度な運動
極端な運動不足が続くと筋力が落ちたり股関節の柔軟性が失われることで、痛みが悪化しやすくなります。
そのため、痛みがある程度落ち着いてきたタイミングで軽めのウォーキングやストレッチなどの運動をしましょう。
関節への負担が大きいと感じる場合には、プールでの水中ウォーキングもおすすめです。
体重管理
股関節には上半身の体重が集中的にかかるため、体重過多が痛みの悪化を招くこともあります。
バランスのとれた食生活を心がけ、有酸素運動や筋力トレーニングも取り入れながら適正な体重管理を行いましょう。
股関節の付け根の痛みでお悩みの方はイノルト整形外科まで
股関節の付け根に違和感があったり、痛みが数週間にわたって継続する場合には整形外科を受診することが大切です。
しかし、一口に整形外科といっても治療方法が整っていなかったり、対応できる治療法に限りがあるクリニックも少なくありません。
患者様一人ひとりの状態を正確に見極め、それぞれに適した治療法を提案できるクリニックを選ぶことが大切といえるでしょう。
イノルト整形外科では関節専門外来を設置しており、レントゲンやMRIの検査の他、理学療法士の施術や薬物療法のほか、再生医療や体外衝撃波治療、ハイドロリリースなど多様な治療法を提案させていただきます。
「股関節の付け根が痛む原因が分からない」「治療を受けるべきか迷っている」という方は、まずはお気軽にイノルト整形外科へご相談ください。
関連記事:股関節の痛みの原因は?女性特有の痛みについても解説
まとめ
股関節の付け根が痛む場合、変形性股関節症や股関節唇損傷などさまざまな疾患が原因となっている可能性があります。
これらの疾患は初期段階において自覚症状を伴わないこともあり、気づかないうちに状態が悪化するケースも少なくありません。
重症化を防ぎ、早期の完治を目指すためにもできるだけ早めに治療を受けましょう。
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経歴
●東邦大学 医学部 卒業 ●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科 ●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長