変形性膝関節症の原因とは?初期症状や進行度についても解説
立ち上がったときや歩行時に足の付け根が痛む場合、変形性股関節症を発症している可能性が考えられます。
痛みの程度や現れる症状によっても変形性股関節症の進行度合いは異なり、気付いたときには重症化しているケースも少なくありません。
そこで本記事では、変形性股関節症の典型的な初期症状や進行度の違い、治療法の一例を詳しくご紹介します。
変形性股関節症の原因
変形性股関節症はさまざまな理由で発症しますが、主な原因として挙げられるのは以下の4点です。
先天性疾患
臼蓋形成不全や先天性股関節脱臼といった先天性の疾患が直接的な原因となり変形性股関節症につながることがあります。
股関節は通常、大腿骨の球状の先端部分が骨盤(臼蓋)に覆われることで安定性を保っています。しかし、生まれつき骨盤の形が不十分だと安定性が失われ、股関節に過度な負担がかかり変形性股関節症の発症リスクが高まります。
また、先天性股関節脱臼は生まれつき股関節が脱臼の状態にある疾患のことで、幼少期に正しく治療が行われていない場合、これも変形性股関節症の原因になることがあります。
股関節疾患の後遺症
大腿骨骨頭壊死では、骨の強度が失われ大腿骨の股関節の部分にあたる骨頭が潰れ股関節の適合性が崩れ変形性股関節症へと進行しやすくなります。治療によって痛みがなくなった場合も長期的に、後遺症として変形性股関節症を発症するケースも少なくありません。
また、大腿骨頚部には股関節唇とよばれる軟骨があり、股関節の安定性を保つ役割を果たしています。繰り返す衝撃や圧力が加わると軟骨が損傷し、変形性股関節症の引き金になることもあります。
加齢
年齢を重ねると関節内にある軟骨が劣化し徐々にすり減っていったり、骨の強度が低下してくることもあります。
関節をスムーズに動かすことができなくなったり、関節の本来の機能を果たせなくなることで変形性股関節症につながる危険性もあります。
肥満
過度に体重が増加すると、物理的に股関節にかかる負担も増大し、体重を支えきれなくなることもあります。
その結果、股関節内の軟骨が徐々にすり減っていき、やがて変形性股関節症を発症するケースも少なくありません。
変形性股関節症の初期症状
変形性股関節症を発症した場合、どのような症状が現れることが多いのでしょうか。初期症状の典型例をご紹介します。
股関節の違和感
変形性股関節症の初期段階では、さまざまな違和感を覚えるケースが多くあります。
たとえば、股関節を動かしたときにポキポキ・ゴリゴリといった音や感覚があったり、突っ張ったような感覚を覚えることもあるようです。
股関節の軟骨が徐々にすり減っていくことで、このような違和感を覚えるようになります。
特徴的な痛み
違和感を放置したまま症状が進行していくと、股関節を動かしたときに痛みを感じるようになります。また、人によっては違和感に気づかないまま痛みが現れるようになったというケースも少なくありません。
直立の姿勢や歩行時、あるいは立ち上がったときや歩き始めの段階に痛みを感じるものの、安静にすると痛みが和らぐという場合には変形性股関節症が疑われます。
日常生活に支障が出る
違和感や強い痛みなどの自覚症状に気づかないまま変形性股関節症が進行していくと、股関節の機能が低下し日常生活にさまざまな支障をきたす可能性もあります。
たとえば、股関節を動かしたときに痛みを感じるようになり、ズボンや靴下を履けなくなったり、正座や椅子に深く腰掛けることが難しくなることもあるようです。
変形性股関節症の症状セルフチェック
変形性股関節症は初期症状に気づかないうちに進行することも多いため、少しでも異変を感じたら早めに診察を受ける必要があります。
そこで、手軽にできるセルフチェック項目を作成してみました。
- 家族に変形性股関節症の既往歴がある
- 子どもの頃に股関節の異常を診断された
- 原因不明の腰痛や膝の痛みに悩まされている
- 足の付け根が痛み、あぐらや正座ができない
- 歩く際に体が左右に揺れる
- 左右の足の長さが違う
- 左右の靴底の減り違う
- ガニ股またはO脚になった
上記8項目のうち、1つでも当てはまる項目がある場合には変形性股関節症の発症リスクが高まっている可能性があるため、できるだけ早めに病院を受診しましょう。
変形性股関節症の病気の進行
変形性股関節症は大きく4つのフェーズに分けられます。どのように進行していくのか、それぞれのフェーズの特徴をご紹介します。
前股関節症
初期段階では臼蓋形成不全や先天性股関節脱臼、股関節唇損傷などによって関節の異常が見られますが、軟骨は損傷していない状態です。
長時間の運動や直立姿勢によって関節に負荷がかかると足がだるくなったり、疲れやすいといった症状が現れますが、安静時には症状が収まるため日常生活への支障も少ないでしょう。
初期股関節症
前股関節症が進行すると初期股関節症へ移行し、軟骨が徐々に摩耗していきます。
レントゲン画像では臼蓋の輪郭に沿って白色に変化が見られ、股関節の隙間がわずかに狭くなっている様子が確認できます。
重症化を防ぐためにも、できる限りこの段階までに治療を開始する必要があります。
進行期股関節症
初期股関節症が進行すると、股関節の隙間がほとんどなくなり、骨同士が接触するようになります。その結果、骨の一部がトゲのようになったり、骨の中に空洞が生じたりして関節の変形が進んでいきます。
進行期では股関節の可動域が大幅に減少し、歩行時に強い痛みを感じたり、しゃがみ込む姿勢がとれなくなることもあります。
末期股関節症
末期になると股関節の軟骨が完全に失われ、つねに骨同士が接触した状態となります。
歩行の強烈な痛みはもちろん、安静時にも痛みを感じるようになり、日常生活に困難をきたすことも出てくるでしょう。
リハビリや様々な保存療法で痛みが改善しない場合、人工股関節置換術が適用されるケースが多いです。
変形性股関節症の治療方法
変形性股関節症を改善するためには、進行度合いに応じた治療法を選択しなければなりません。具体的にどういった選択肢があるのか、代表的な治療法をご紹介しましょう。
理学療法士による施術
前股関節症や初期股関節症の基本的な治療法として用いられるのが理学療法士の施術です。
股関節周辺の筋力トレーニングやストレッチなどを継続的に行い、関節の安定性と柔軟性を保つことで進行を抑えたり、痛みの軽減にもつながります。
ただし、誤った方法で行うと股関節を痛める原因にもなるため、理学療法士の指導のもとで正しく治療を行うことが大切です。
薬物療法
変形性股関節症で痛みが強い場合には、痛み止めが処方されます。また、ヒアルロン酸などを股関節内に注射することで関節の動きをスムーズにし、痛みを軽減するといった方法もあります。
ただし、変形性股関節症における薬物療法は対症療法がメインで、あくまでも一時的に痛みを緩和するために用いられます。
再生医療
変形性股関節症の新たな治療法として近年注目されているのが再生医療です。
患者本人の組織から幹細胞を抽出・培養し、それを再び関節内に注入する「幹細胞治療」という再生医療や、血液の成分である血小板から成長因子を抽出し再び関節内に注入する「成長因子療法」、幹細胞を培養した際に作られる上澄み液の幹細胞由来の成長因子の治療などがあります。
体にメスを入れることなく、入院治療も不要のため日常生活への影響を最小限に抑えながら治療を行えます。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療とは、高エネルギーの衝撃波を患部に照射することで組織に刺激を与え、痛みを改善したり損傷した関節の修復を促す治療法です。
捻挫や靭帯損傷などのほか、比較的初期段階の変形性股関節症にも効果が期待でき、慢性的な痛みを軽減できる可能性もあります。
ハイドロリリース
ハイドロリリースとは、患部に専用の薬剤を注射し癒着した筋膜(ファシア)を剥がす治療法です。
変形性股関節症によって股関節の柔軟性が失われると、股関節周りの腸腰筋や大腿四頭筋などの筋膜が癒着し痛みの原因になったり、可動域が狭くなったりすることもあります。
ハイドロリリースを行うことで筋肉および股関節周辺の柔軟性が高まり、痛みの軽減にもつながります。
変形性股関節症のでお悩みの方はイノルト整形外科まで
変形性股関節症は整形外科で治療を受ける必要がありますが、上記でご紹介した再生医療や体外衝撃波治療、ハイドロリリースといった治療法は対応できるクリニックが限られています。
運動療法や薬物療法といった一般的な治療法だけでなく、幅広い選択肢の中から自分に合った治療法を検討したいという方は、イノルト整形外科へご相談ください。
イノルト整形外科では関節専門外来を設置しており、レントゲンや超音波、MRIなど正確な検査および診断を行ったうえで患者様の状態や要望に合わせた治療法を提案させていただきます。
また、理学療法士による専門的な施術治療も提供しているため、痛みを取り除くだけでなく再発予防に向けたアプローチも可能です。
まとめ
変形性股関節症は初期段階のうちに治療をスタートさせることが重要ですが、違和感や痛みがあっても深刻に捉えず治療を後回しにする方も少なくありません。
その結果、徐々に軟骨がすり減っていき日常生活にさまざまな支障をきたすこともあります。
今回ご紹介した初期症状の例やセルフチェックも参考にしながら、変形性股関節症が疑われる場合には早めに整形外科を受診しましょう。
正確な検査と多様な治療法に対応できるクリニックをお探しの方は、イノルト整形外科までお気軽にご相談ください。