膝が痛い時の対処法は?やってはいけないことや受診のポイントを解説
膝の痛みは多くの人が抱える悩みであり、年齢や生活習慣、疾患などさまざまな原因が考えられます。
痛みがあるのに治療をせず放置しておくと重症化し、日常生活にさまざまな支障をきたす可能性も出てきます。
そこで本記事では、膝が痛い時にどういった対処をすれば良いのか、日常生活で注意すべき動作やセルフケア方法について詳しく解説します。
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膝が痛い時の対処法
膝に痛みがある場合、症状や膝の状態に合わせて正しい対処をとらないと悪化するおそれがあります。
対処法の見極めにあたって重要なのが、膝が熱をもっていたり腫れていないかという点です。
膝が熱を持っている・腫れている場合
スポーツや事故などによってケガをすると、膝の周辺を触ったときに熱っぽく感じたり、腫れたりすることがあります。
このような症状が見られる場合、炎症を起こしている可能性が高いため、まずは患部を安静にして冷やして炎症を鎮めることが重要です。
氷のうやアイスパックなどをタオルで包み、患部に当てて熱や腫れが引くまで様子を見ましょう。
ちなみに、氷のうやアイスパックを患部に直接長時間当ててしまうと凍傷の危険性があるため、必ずタオルなどに包んで使用してください。
膝に熱も腫れもない場合
膝に熱や腫れが見られず、慢性的な痛みが現れることもあります。このような場合には、膝の血行を高める必要があるため、患部を温めることが大切です。
膝を温めるためにはさまざまな方法がありますが、中でも効果的なのが入浴です。
局所的に膝を温めるよりも全身の血行が良くなり、痛みを緩和しやすくなります。
また、入浴しながら患部をマッサージすることで、筋肉がほぐれ、さらなる血行改善効果が期待できます。
関連記事:膝の痛みは自分で治せる?膝が痛む原因とセルフケア方法を解説
膝が痛む原因となる疾患
膝に激しい痛みが現れたり、慢性的な痛みが続く場合には、以下のような疾患の可能性も考えられます。
変形性膝関節症
変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減り、末期になると骨同士が直接接触するようになることで痛みや腫れが生じる疾患です。
加齢とともに膝関節への負担が徐々に蓄積していくことで発症するケースもあれば、運動のしすぎや体重の増加が原因で発症するケースもあります。
初期の段階では膝の違和感や軽い痛みが現れ、安静時には症状が収まることが多いですが、進行すると安静時にも痛みを感じるようになり、日常生活にも支障をきたすリスクがあります。
半月板損傷
半月板損傷とは、膝関節のクッションの役割を果たしている半月板という組織が損傷する疾患のことです。
スポーツや激しい動作によって、急な方向転換や転倒の際に発症することもありますが、中高年ではしゃがんだ立ったりくらいこ軽微な動作でも簡単に損傷してしまうことが多く、強い痛みを生じます。
軽度の半月板損傷であれば膝の軽い痛みや引っかかる感じやわずかな腫れを伴うことが多いですが、治療をせず放置しておくと重症化し激しい痛みを伴うこともあります。
関節リウマチ
関節リウマチとは、原因不明の免疫系の異常により関節の炎症が慢性的に続く自己免疫疾患です。
膝に限らず全身のさまざまな関節が炎症を起こしますが多くは手の指や手首に痛みや腫れ、こわばりなどの症状が見られます。
関節リウマチが発症する明確な原因は分かっていませんが、男性よりも女性の発症リスクが高いほか、遺伝的要因や喫煙や飲酒などの生活習慣も可能性のひとつとして考えられます。
なお、関節リウマチは進行すると関節が変形するリスクもあるため、早期の治療が大切です。
鵞足炎
鵞足炎(がそくえん)とは、膝の内側にある「鵞足」という組織に炎症が生じる疾患です。
ランニングやジャンプなど過度に負荷がかかることで発症することが多く、膝の内側に痛みや腫れが生じます。
また、安静時には痛みを感じなくても、歩行や膝の曲げ伸ばしなどの際に痛みが強くなるのも特徴です。
半月板損傷や変形性関節症と症状が似ているのでしばしば間違って診断されていることもあります。
その他の疾患
上記以外にも、外傷や膝の酷使によって滑液包が炎症を起こす滑液包炎や、尿酸値が高まることで発症する痛風、ピロリン酸カルシウムなどの結晶が原因で発症する偽痛風などの疾患も可能性として考えられます。
膝が痛い時にやってはいけないこと
膝に痛みが現れたとき、何気ない日常生活の動作が原因で重症化する可能性があります。どういったことに注意すべきなのでしょうか。
激しい運動・トレーニング
膝が痛い時に激しい運動やハードなトレーニングを行うと、症状が悪化する恐れがあるため安静を心がけることが大切です。
たとえば、長距離のジョギングやスクワットなど、ジャンプ動作の多いバスケットボールやバレーボールなどは膝への負担が大きいため避けましょう。
筋力を維持するためには適度な運動も必要ですが、医師や理学療法士の指導のもと安全にリハビリを行うことが重要です。
サイズの合わない靴を履く
サイズの合わない靴は無意識のうちに不自然な姿勢になり、膝に過度な負担がかかり痛みを悪化させる要因となります。
また、クッション性がない靴やヒールの高い靴も膝に衝撃がかかりやすいため、できるだけ避けましょう。
和式での生活環境
和式トイレの使用や正座など、和式の生活環境は膝にかかる負担が大きくなりがちで、痛みを悪化させる原因になります。
外出先では洋式トイレを使用したり、自宅の中では畳の上に正座ではなくテーブルと椅子を使用するなど、膝に無理な負担をかけない生活を心がけましょう。
重い物の上げ下げ
過度な負荷をかけた筋力トレーニングや力仕事など、重い物を持ち上げる動作は膝にかかる負担も大きく、無理をすると痛みが増すことがあります。
膝の痛みが落ち着くまではこのような動作は避け、トレーニングや仕事を再開する際においても、膝に負担をかけずに持ち上げるフォームを意識することが重要です。
具体的には、重量物を持ち上げる際には膝ではなく腰を中心に動かすよう意識し、無理な姿勢は避けるようにしましょう。
体を冷やす
慢性的な膝の痛みがある場合には、体を冷やすことで血行が悪くなり、症状が悪化することがあります。
そのため、できるだけ毎日湯船につかって体を温め、膝を重点的にマッサージして血行を改善するように心がけましょう。
関連記事:膝の皿の上が痛い原因とは?突然の痛みや、疾患や治し方について解説
膝が痛い時に病院受診は必要?受診の目安とは
膝が痛いといっても症状には個人差があり、病院を受診すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
入浴で体を温めたり、マッサージをすることで一時的に症状を緩和することもできますが、根本的な治療をせずに放置しておくと状態が悪化し、変形性膝関節症などの疾患につながる可能性もあります。
このようなリスクを低減するためにも、以下のような症状・状態の方は早めに病院を受診することがおすすめです。
膝に熱や腫れが見られる
スポーツや事故な怪我によって膝を負傷し、熱や腫れが見られる場合、まずは応急処置として患部を冷やすことが大切です。
ただし、一時的に炎症は収まったとしても靭帯や骨などを負傷している可能性もあるため、できるだけ早めに病院を受診し精密検査を受ける必要があります。
慢性的に膝が痛い
慢性的な膝の痛みが現れる場合、変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチ、痛風といった疾患の可能性もあります。
痛みの原因をはっきりさせないと治療法も疾患ごとに全く異なるため、まずは病院を受診し検査を受けることが大切です。
立ち上がるときや歩行時に膝が痛い
安静時には痛みを感じないものの、椅子から立ち上がるときや歩いているときに膝が痛い場合には、変形性膝関節症や滑液包炎などの初期症状が疑われます。
特に変形性膝関節症の場合、治療を放置しておくと関節そのものが変形し本来の機能を果たせなくなる可能性もあるため、早めに病院を受診し検査と治療をスタートする必要があるでしょう。
膝の痛みでお悩みの方はイノルト整形外科まで
上記の「膝が痛む原因となる疾患」でご紹介した疾患はあくまでも一例であり、これ以外にもさまざまな疾患が存在します。
膝の痛みを根本から解決するためには、精度の高い検査と専門医による正確な診断が不可欠です。
また、膝の状態や疾患によっても治療法は異なり、近年では痛みの少ない新たな治療法も確立されていますが、全ての整形外科クリニックが対応できるとは限りません。
イノルト整形外科では関節専門外来を設置しており、レントゲンや超音波、MRIといった高度な機器による精密検査が可能です。
また、多くの整形外科クリニックで用いられている薬物療法や装具療法のほか、理学療法士のリハビリ、再生医療や体外衝撃波治療といった最新の治療法にも対応。
患者様の状態や要望に応じて最適な治療方針を提案させていただきます。
まとめ
膝の痛みはさまざまな原因が考えられ、治療をせずに放置すると症状が悪化し日常生活にも支障をきたす可能性があります。
そのため、膝が痛い時には過度な負担をかける動作を避け、正しいケアや生活習慣の改善が必要です。
セルフケアとしては入浴やマッサージなどが効果的ですが、痛みが続く場合には早めに病院を受診し適切な治療を受けることも大切です。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックのアクセスマップ
藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長 渡邉 順哉
経歴
●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長