関節リウマチは治るの?検査から診断基準、治療までの流れをご紹介
年齢を重ねていくと身体のさまざまな部位に痛みや異常が見られ、不調を感じることが増えてきます。
なかでも、特に中年期の女性に多いのが「関節リウマチ」という病気です。
本記事では、関節リウマチとはどういった病気なのか、治療によって完治させることは可能なのか、具体的な検査や治療の方法なども含めて詳しく解説します。
関節リウマチってどんな病気?
リウマチの正式な疾患名称は「関節リウマチ」と言います。英語表記ではrheumatoid arthritis、略してRAと表記します。
では関節リウマチはどのような病気なのでしょうか。
関節リウマチをひとことで言うと、主に全身の関節に炎症が起きて痛みや腫れを生じ、進行すると関節の変形や機能障害をきたしうる病気です。
最近までの研究により様々なことが解明されてきました。
しかしながら明確な病因はいまだに不明で、慢性、進行性、全身性の炎症疾患です。
そのため、早期に診断し適切な治療を開始することが大切です。
近年の関節リウマチの治療は飛躍的に進歩し、薬物治療により病気の症状がなくなり治ったような状態、「寛解」を多くの患者さんで目指すことが出来るようになりました。
また、長年の関節リウマチを患っている患者さんにおいても、適切な治療を受けることで、寛解または病気の炎症が低い状態で落ち着く低疾患活動性という状態を維持することが出来るとともに、関節リウマチに伴う合併症を少なくすることが可能です。
関節リウマチの原因
関節リウマチは、何らかの要因で免疫機能に異常をきたし、手や足の関節に痛みや腫れが起こる病気です。
私たちの体内には本来、細菌やウイルスが侵入してきたときに外敵から身を守る免疫とよばれる機能があります。
しかし、免疫機能に異常が発生すると正常な組織まで外敵とみなし、自分で自分の体内組織を破壊してしまうのです。
なぜ免疫機能の異常が発生するのか、明確な理由や原因はわかっていません。
また、関節リウマチは比較的遺伝性は強くなく、家族や親族に病歴のある人がいたとしても必ず発症するものではありません。
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関節リウマチになりやすい人の特徴
詳しい発症原因がわかっていない関節リウマチですが、発症した人の共通項を探ってみると、一定の傾向や特徴が見えてくることがあります。
関節リウマチになりやすい人の特徴として以下などが挙げられます。
- 中年期の女性
- 喫煙者
ここでは、関節リウマチになりやすい人の特徴について詳しく解説します。
中年期の女性
関節リウマチの一番の特徴は、男性よりも女性のほうが圧倒的に発症リスクが高いということです。
日本リウマチ友の会が公開している「2020年リウマチ白書」によると、人口1,000人あたりの発症者は男性が1.1人であったのに対し、女性は5.4人と約5倍の発症率となっています。
また、患者の年代別では30代から50代で発症する割合が高い傾向も見られました。
これはあくまでも統計上のデータであり、10代や20代といった若い世代でも稀に発症するケースがあります。
喫煙者
喫煙も関節リウマチに大きく影響していると考えられます。
喫煙者と非喫煙者を比較した場合、喫煙者のほうが関節リウマチを発症する割合が高いことがさまざまな研究で明らかになっているのです。
さらに、喫煙は関節リウマチ以外にも、間質性肺炎といった深刻な合併症を引き起こすリスクもあります。
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関節リウマチの初期症状から重症化について
関節リウマチは発症初期から重症化に至るまで、主に4つのステージに分けることができます。
ステージⅠ
初期段階のステージⅠでは、レントゲン画像で骨や軟骨の破壊は見られないものの、関節の潤滑油である滑液を作り出す滑膜が増殖している状態です。
ステージⅡ
中等期にあたるステージⅡでは、軟骨組織が徐々に破壊されていき、骨同士の隙間が狭くなってきます。
骨そのものにダメージはなく破壊もされていないため、強烈な痛みを感じることは少ないですが、これを放置しておくと症状の悪化を招きます。
ステージⅢ
高度進行期にあたるステージⅢでは、軟骨組織だけでなく骨も徐々に破壊されていきます。
レントゲン画像でも軟骨や骨の破損がわかるほどで、この頃から強烈な痛みを伴うようになります。
また、日常生活にも徐々に支障をきたすため、外出時などには介助が必要になるでしょう。
ステージⅣ
末期にあたるステージⅣでは、軟骨が完全になくなり、関節としての機能が果たせなくなります。
膝や肘、足首など、関節を動かすことが難しく、外出時はもちろんのこと身の回りのことも一人ではできなくなり、日常生活においてつねに介助が必要になります。
関節リウマチかもしれないチェック項目
関節リウマチを発症すると、初期段階では多少の違和感があるだけで気づかないことも多いです。
早期治療につなげ重症化を防ぐために、以下の項目をチェックしてみましょう。
- 手に”こわばり”が感じられる
- 日常生活に不可欠な動作がスムーズに
- 眠れないほど強い関節が痛みがある
- 関節に突っ張り感や腫れが現れている
- 重いものを持ったときや階段の上り下りで関節が痛む
- 手首を回す動作がつらく感じる
- 全身に倦怠感があり力が入らない
- 強い眠気がある
たとえば「倦怠感」や「眠気」のように、関節とは関係性が低いと思われることも、関節リウマチの初期症状として見られることがあります。
少しでも体調の違和感や異変を感じたら、まずは病院で診察を受けることが大切です。
関節リウマチは治る病気なの?
関節リウマチは基本的に完治が難しい病気とされています。
「完治」とは、病気の治療を終えても症状が完全になくなった状態を指します。
関節リウマチの完治が難しい理由は、冒頭でも紹介した通り発症の原因が完全にわかっていないためです。
原因がわからない以上、治療によって症状が緩和されたとしても再発の可能性があります。
関節リウマチの治療にあたっては、完治ではなく「寛解」を目指すのが一般的です。
すなわち、病気の治療を続け症状を消失・緩和することで、それ以上の進行を抑え重症化を防ぐことができます。
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関節リウマチの検査と診断基準について
関節の痛みや腫れを伴う病気は、関節リウマチ以外にもさまざまなものがあります。
では、関節リウマチであるかを診断するにはどういった検査を行い、どのような基準で判断されるのでしょうか。
関節リウマチの検査方法
関節リウマチの検査は、主に触診や血液検査、急性炎症反応などの方法が用いられます。
関節に痛みや腫れなどの異常が認められる場合、さまざまな病気の可能性を探っても説明がつかない場合、上記の検査結果をもとに診断を行います。
関節リウマチの診断基準
腫れ・押したときに痛みを感じる関節の数(触診)
大きな関節 | 1カ所以下 | 0点 |
大きな関節 | 2〜10カ所 | 1点 |
小さな関節 | 1〜3カ所 | 2点 |
小さな関節 | 4〜10カ所 | 3点 |
1カ所以上の小さな関節を含む関節 | 11カ所以上 | 5点 |
血液検査
リウマトイド因子、抗CCP抗体どちらも陰性 | 0点 |
どちらかが陽性で、基準値の3倍以下 | 2点 |
どちらかが陽性で、基準値の3倍以上 | 3点 |
急性炎症反応
CRPと赤沈がともに正常 | 0点 |
CRPまたは赤沈が異常値 | 2点 |
滑膜炎の期間
6週未満 | 0点 |
6週以上 | 1点 |
関節リウマチの治療方法
関節リウマチの治療には以下などが挙げられます。
- 薬物療法
- リハビリ
- 手術
代表的なものをいくつかご紹介します。
薬物療法
薬物療法は、主に痛みや炎症の軽減を目的に用いられる治療法です。
抗リウマチ薬やステロイド、非ステロイド性抗炎症薬などの内服薬や、生物学的製剤(バイオ医薬品)を注射によって投与するケースもあります。
それぞれの治療薬には腎障害や肝障害、発疹、感染症といった副作用のリスクもつきまとうため、検査を受けながら最適な治療法を選択します。
リハビリ
運動療法や作業療法、理学療法などのリハビリテーションも関節リウマチの効果的な治療法です。
たとえば、手を握ったり開いたりする運動や、手首を上下左右に曲げる運動、膝関節を交互に曲げ伸ばす運動、首や方を上下に伸ばしたり左右に曲げたりする運動もあります。
手術
骨が破壊されるステージⅢ以上の関節リウマチに対しては、関節機能を回復させるために手術療法が用いられることがあります。
専用の特殊な器具を装着する人工関節置換術が代表的ですが、それ以外にも頚椎の変形を防ぐための関節固定術などもあります。
手術療法は長期の入院が必要なほか、リハビリにも長い時間を要するため、主治医と相談のうえ慎重に判断する必要があるでしょう。
関節リウマチでお悩みの方はイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックへご相談ください
生活習慣に気を配っていたとしても、加齢やストレス、ケガなどが原因で関節リウマチを発症するケースは少なくありません。
リウマチという病名はよく耳にする言葉ですが、発症する明確な原因はわかっておらず、完治が難しい病気でもあります。
そのため、関節リウマチが疑われる場合には、治療実績や経験・ノウハウが豊富で信頼できる医療機関を受診することが大切です。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、関節リウマチに悩む多くの患者さんの治療にあたっており、それぞれの症状や進行度に合わせた治療法に対応しています。
特に、高度進行期以上の場合は手術療法が選択されるケースも多いですが、整形外科クリニックによっては手術に対応できず、ほかの医療機関を紹介される場合もあります。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、薬物療法から手術療法まで幅広い治療法に対応できるため安心です。
まとめ
今回紹介してきたように、手足の関節に痛みや腫れ、違和感、全身の倦怠感などがある場合、関節リウマチを発症している可能性があります。
現段階において関節リウマチの完治は難しいですが、初期段階に病気が発見できれば早期の治療によって症状の進行を遅らせ、寛解することも十分可能です。
膝や肘などさまざまな部位の関節に痛みや腫れ、違和感がある場合には、できるだけ早めにイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックまでご来院ください。
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藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長 渡邉 順哉
経歴
●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長