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半月板損傷とはどんな状態?原因や症状、治療について詳しく解説!

スポーツのしすぎや加齢などによって、膝の曲げ伸ばし時に痛みが生じることがあります。

痛みが発生するメカニズムはさまざまなパターンが考えられますが、なかでも多いのが半月板損傷です。

半月板損傷とはどういった状態を指すのか、その原因や主な症状、有効な治療法なども詳しく解説します。

半月板損傷とはどんな状態?

半月板損傷とは、膝関節にある半月板とよばれる部位が損傷した状態を指します。

半月板は、一言でいえば膝関節にかかる衝撃を緩和するクッションのような役割を果たしており、アルファベットの「C」のような形をしています。

膝関節には内側と外側のそれぞれに半月板が存在し、2つの半月板があることで関節が安定化します。

しかし、激しい運動や肥満による過体重による負荷、長年にわたる膝の酷使などによって半月板が切れてしまうことが珍しくありません。

このような状態を半月板損傷とよびます。

関連記事:膝を曲げると突然痛い!原因と治し方を外側・内側別に徹底解説

半月板損傷になる原因

半月板は中高年になると加齢に伴い脆くなるために立ち上がり動作など軽い外力でも損傷してしまう場合もあります。

一方で、スポーツ競技などで膝へ大きな負荷がかかることが原因で生じることも少なくありません。

具体的にはどういったことが挙げられるのでしょうか。

上記でも簡単に紹介した3つの原因を詳しく解説しましょう。

加齢

年齢を重ねると身体のさまざまな組織も衰えていきますが、膝関節も例外ではありません。

長年にわたって酷使し続けてきた膝関節の中にある半月板は劣化して脆くなっていくため、わずかな衝撃や圧力によっても損傷しやすくなっており、わずかに膝を捻っただけで半月板損傷を起こすことがあります。

激しいスポーツ

膝を深く曲げ伸ばしたり、ジャンプや捻りなどの動作が頻繁に行うスポーツで膝を酷使すると、膝関節に強い衝撃がかかり半月板損傷に至るケースがあります。

また、ウォーキングやランニングのように負荷はそれほど大きくなくても、加齢に伴う半月板の劣化により軽度の負荷だけで半月板が損傷することも少なくありません。

太り過ぎによる膝への圧迫

直立した状態や歩行時、階段の登り降りなどの際に、膝関節には体重の数倍の負荷が加わります。

当然のことながら、急激に体重が増加すると体重に見合った筋力がついてこないため、膝関節を筋力で支えきれず、強い負荷が半月板には加わりやすくなります。

結果として激しい運動をし続けた場合と同等の負荷がかかり、半月板損傷に至るケースも少なくありません。

特に、体重がかかった状態で無理に膝を捻ると半月板損傷を起こしやすくなります。

関連記事:半月板損傷でやってはいけないこととは?早く治す方法も解説!

半月板損傷の主な症状

半月板損傷に陥った場合、どのような症状が現れるのでしょうか。

代表的な症状のパターンは以下の通りです。

  • 膝の屈伸動作や階段の上り下りなど体重が掛かった際に痛みを感じる
  • 膝の曲げ伸ばし時に、関節が引っ掛かって曲げ伸ばししにく状態になることがある
  • 強烈な膝の痛みによって膝のほとんど曲げ伸ばしができない
  • 歩行中に膝に力が入らず崩れ落ちてしまう
  • 膝の曲げ伸ばし時にパキっとするような音が鳴る
  • 膝に水がたまり、腫れる

半月板損傷は人によって症状の程度はさまざまで、初期段階では膝関節の違和感や音が鳴る程度で痛みとして出ない場合もあります。

しかし、損傷の範囲が徐々に広がり症状が悪化していくと、強烈な痛みによって膝の曲げ伸ばしができなくなり、歩行そのものが困難になることもあります。

また、半月板損傷に伴い慢性的な膝関節の炎症が起こり、膝に水(関節液)がたまりやすくなり、定期的に水を抜かなければならない場合もあります。

関連記事:膝の裏が歩くと痛いのはなぜ?痛みの目安やストレッチ方法も紹介

半月板損傷になりやすい人の特徴

半月板損傷はどのような人に発症しやすいのでしょうか。

特に発症しやすい人の特徴を4つご紹介します。

体重が重い方

身長に対して、標準体重という適切な体重があります。

そこからもっと体重が増えれば増えるほど、関節の面積あたりに掛かる負荷は増えていきます。

負荷が増えるとより半月板損傷を起こしやすくなってきます。

40歳以上の人

加齢とともに体内の組織は徐々に老化していき、わずかな衝撃や圧力がくわわっただけでもケガをしやすくなります。

特に40代以降は30代までと比べても半月板が徐々に脆くなっていき、軽い外力でも損傷しやすくなってきます。

激しいスポーツをする機会が多い人

ジャンプや急な方向転換、ダッシュとストップなど膝の半月板損傷を起こしやすい繰り返す激しいスポーツをする人も半月板損傷になりやすいです。

具体的にはバスケットボールやサッカー、テニス、バドミントンなどさまざまな競技が該当します。

趣味程度にスポーツを楽しんでいる人であっても、準備運動を怠ってしまうと半月板を損傷する危険もあります。

膝を酷使する仕事に従事している人

重い荷物を運んだり、階段の登り降りを頻繁に行ったりと、日常的に膝を酷使する仕事に従事している人は、膝関節に大きな負担がかかるため半月板損傷に陥りやすいと言えます。

特に、中腰のまま荷物を運ぶなど無理な姿勢を強いられる肉体労働では、腰や膝への負担が大きいため注意が必要です。

半月板損傷の主な検査と治療の方法

半月板損傷は自然治癒が難しいため、発症した場合には各種検査と適切な治療を受ける必要があります。

具体的にどういった検査や治療法があるのか、代表的なものを4つ紹介しましょう。

半月板損傷の検査方法

問診・徒手検査

最も大事な検査の一つです。

膝と言っても細かくは様々な部位による違いがあります。

患者様のお話を十分に聞き、痛みの部位を触ったり、徒手検査をすることで、大まかにどこに痛みがどう起きているかは膝に詳しい整形外科専門医であれば容易に判断でき、いくつかの病気に絞り込むことができます。

この病気の絞り込みがその後の画像検査においてとても重要になってきます。

というのも、画像検査は無症状の方でも異常を認める場合があるのは日常茶飯事でして、異常が出た場合でも症状と一致しない部位だった場合誤診に繋がります。

実は、レントゲンだけで膝の状態を診断をしようとする整形外科医の多くは誤診している現状があるからです。

レントゲン検査

立った状態で検査ができるのがレントゲンの特徴です。

直接半月板を評価することはできませんが、膝周囲の大腿骨や脛骨がO脚あるいはX脚になっているのかを判別したり、膝関節の隙間を調べることができるため、より詳しい検査であるMRI検査を受けるべきかの判断材料にもなります。

超音波検査

すぐにMRI検査ができないことが多い整形外科外来でも、骨の状態しか判別することしかできないレントゲン検査にこの超音波検査を加えることで、膝に水が溜まっているのかどうかや、どこに炎症が起きているのかがMRI検査を行わずとも判別できるのが強みです。

弱点としては超音波が届く表層部分しか評価ができず、半月板損傷を正確に診断することはほぼ困難といってよいかと思います。

MRI検査

半月板損傷を診断する上で必須な検査となります。

MRI検査は、巨大な検査機でトンネルのような所に全身が丸ごと入り30分くらい掛けて行います。

横になってじっとしていれば終わる検査で、半月板損傷の他、靭帯損傷やヘルニア、脊柱菅狭窄症などを画像診断する上で無くてはならない検査になっています。

ただし難点としては、とても大きな音がしてうるさいこと、狭いトンネルに長時間いるため閉所恐怖症の方には難しいこと、強い磁力を発生する装置のためペースメーカーや数十年前に脳クリップなど金属を入れる一部の手術を受けられた方は検査が受けられない場合があります。

閉所恐怖症については、脳外科クリニックなどでしばしば導入されているトンネル型になっていないオープン型のMRIなら大丈夫という方もいらっしゃいますので、検査前にこれらの相談を主治医に予めしておきましょう。

半月板損傷の治療法

半月板損傷の治療方法には主に手術以外の保存療法と手術療法の2つに分かれます。

保存療法

保存療法とは、手術以外で痛みを取っていく治療法でいくつか治療法があります。

物理療法

治療機を当てることによって痛みを取っていく治療法です。

超音波治療や低周波治療、マイクロ波治療、ホットパック治療などがありますが、超音波治療や低周波治療を除き気休めの効果しか得られにくい昭和の時代から未だに多くの整形外科や整骨院で続けられている維持療法です。

超音波治療や低周波治療は正しい箇所に当てられていれば、一回の効果は弱いものの繰り返し継続することである程度の除痛効果を得ることが可能です。

理学療法士のリハビリテーション

理学療法士とのマンツーマンのリハビリは半月板損傷に限らず、変形性関節症、腰痛、五十肩、肩こりなど、日本人が最も困っている人が多い痛みの原因ランキング上位すべてに必要となる治療法です。

半月板損傷においても最も大事な治療法の一つであり、半月板損傷にとってほぼ必須の治療法と思って頂いて間違いない治療法です。

半月板損傷において、痛みでかばうことにより半月板損傷を起こした側の膝周囲の筋肉が衰えたり、そもそも半月板損傷を起こしやすい無意識の悪い癖が原因としてあり、その習慣をリハビリで改善しないとなかなか痛みが良くならないどころか再発したりより痛みが悪化する場合も少なくありません。

未だに理学療法士とのマンツーマンのリハビリを十分に受けることができる整形外科がまだまだ少ないのが現状ですが、まずは大前提としてこれが受けることができない整形外科は半月板損傷など理学療法士のリハビリが必須の病気を本気で治したいと思っていないと思って間違いないと確信します。

基本的には保険適応になる治療法のため、どなたでも受けやすい治療になるかと思いますが、当院では保険適応のリハビリよりも、さらに効果的な自費のオリジナルリハビリもご用意しています。

薬物療法

症状に応じて内服薬や外用薬なども用いられます。

昔は内服の痛み止めといえばロキソニンボルタレンといった非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)が主流でしたが、長期使用で胃潰瘍や腎機能障害の副作用の問題が指摘されてきました。

しかし、最近ではデュロキセチンやトラマドールなど新しい長期安全性も除痛効果の高い痛み止めが次々と開発されて薬物療法の選択肢の幅もとても広くなっています。

外用薬は、昔から湿布や塗り薬もたくさん種類がありますが、痛みや炎症が強いときはどれも気休め程度の効果しかありませんでした。

ただ、外用薬も最近は内服のNSAIDsと同等の効果を得ることができるロコアテープという製剤も出てきており、当院では積極的な使用を推奨していますが、かぶれやすいのとたまに胃が痛くなる副作用があるのが難点です。

また、関節内へのヒアルロン酸注射も昔からありますが、最近では1か月に1回で十分除痛が得られるというNSAIDsが含まれているヒアルロン酸注射も発売されていますが、発売後調査でアナフィラキシーショックで死亡例も出ていて安全性が担保できないため当院では未だに採用しておりません。

昔ながらの安全性の高いヒアルロン酸注射も繰り返し注射することで痛みが徐々に楽になってくるケースは珍しくないので受けてみる価値はあります。

再生医療

再生医療とは、人間にもともと備わっている組織の修復機能をサポートし、自己修復を促す治療法のことです。

再生医療にもさまざまな方法がありますが、たとえば多血小板血漿治療では、患者自身の血液から血小板という組織を抽出し、半月板損傷のあたりへ注射することにより痛みが緩和されます。

血液には炎症を抑えるタンパク質と、軟骨組織を守る成長因子が含まれており、これらを抽出することによって症状の悪化を防ぎ、損傷した半月板の修復にも効果が期待できます。

さらに強力な再生医療として、幹細胞治療がありますが、こちらは皮下脂肪などを一部採取してそこにわずかに存在する幹細胞を体外で数千万倍まで培養して増やして膝関節に注入することで関節内の半月板損傷の修復を強力にサポートしてくれます。

集束型体外衝撃波治療

集束型体外衝撃波治療とは、超音波よりもはるかに強力な振動エネルギーを患部に当てる治療法です。

振動エネルギーを照射することにより痛みの原因となる神経を破壊してくれるため施術中から痛みが現象することに加え、再生医療でも活用されている組織を修復するための物質を体外衝撃波を当てた部位に呼び寄せることで損傷して治りにくかった部位が長期的に修復効果も十分期待することができます。

体外衝撃波治療はもともとは尿結石を体外から破砕するために用いられてきた治療法ですが、衝撃波の出力をある程度抑えることで疼痛や骨折などに効果が認められるようになりました。

1回あたりの治療時間は数分から10分程度で、1クール3〜5回程度の治療で完了します。

治療中の痛みは炎症の起きている患部を狙って当てるので、痛みを多少伴いますが、より出力を上げた方が1回での治療効果が高く望めるため、痛みが我慢できる範囲で最大出力で治療を行うことを勧めております。

手術

保存療法や再生医療、集束型体外衝撃波治療では改善効果が見込めない場合には、手術が行われる場合もあります。

特に、膝の痛みが強烈で曲げ伸ばしが不能な状態の場合には、膝関節に細い関節鏡と言われる細い内視鏡のカメラを挿入する手術で切れてしまった半月板の一部切除したり縫合する必要が出てきます。

半月板損傷のリハビリ方法

半月板損傷の治療や外科手術後はリハビリが必要です。

損傷を悪化させないためにもリハビリは専門の理学療法士の指導のもとで行われますが、具体的にどのような内容なのでしょうか。

関節可動域訓練

関節可動域訓練とは、関節の可動域を広げていくための訓練です。

膝関節のリハビリにおいては、膝の曲げ伸ばし角度を徐々に拡大していき、正常化することが目的となります。

ふくらはぎを伸ばすストレッチや、太ももの前後の筋肉を伸ばすストレッチなどが行われます。

筋力トレーニング

膝関節を支える周辺の筋力をアップさせるためのトレーニングです。

関節可動域訓練と同時または後に行われることが多く、仰向けの状態で膝を立て、そこから膝を伸ばすトレーニングや、膝関節の状態に応じてスクワットなどのトレーニングも取り入れられます。

バランストレーニング

バランストレーニングとは、その名の通りバランス感覚を鍛えるためのトレーニングです。

不安定なバランスパッドなどの上に立って行われることが多いですが、危険を伴うため理学療法士のサポートしながら転倒防止などの対策が不可欠です。

アスレチックリハビリテーション

アスレチックリハビリテーションとは、リハビリの仕上げ段階ともいえる実践的なトレーニングでスポーツへの復帰が目的となります。

軽いジョギングをしながら膝の状態を確認したり、ジャンプやラダートレーニングの他、その患者様それぞれの競技に合わせた動作のトレーニングを実践していきます。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックは膝の痛みに特化した治療が可能

半月板損傷の治療にあたっては、信頼性が高い専門のクリニックを受診することが何よりも大切です。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックは、膝の痛みに特化した高度な検査・治療が可能であり、今回紹介した保存療法や再生医療、集束型体外衝撃波治療のほか、ハイドロリリースや薬物療法などに対応しています。

また、いずれの治療法でも十分な効果が現れなかった場合には、外科手術による治療も可能です。

特に外科手術は身体的・心理的負担も大きく、リハビリにも多くの時間を要することから、なるべくそれ以外の治療法を選択したいという人がほとんどでしょう。

イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、最新の治療法を含むさまざまなプランが選択できるため、治療にあたっての不安や悩みの解消にも役立ちます。

まとめ

半月板損傷は激しいスポーツによる怪我や体重増加、加齢などさまざまな理由によって発症することが多く、症状が悪化すると激しい痛みによって歩行が不能になったり、膝の曲げ伸ばしが困難になったりすることもあります。

このような状態に陥らないようにするためにも、膝に痛みや違和感がある場合にはなるべく早めに専門のクリニックを受診しましょう。

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この記事の監修医師


藤沢駅前 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック  院長 渡邉 順哉

■詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長