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病気

松本伊代さんの圧迫骨折について整形外科専門医×骨粗鬆症認定医が詳しく解説!

昨年11月24日に行われたTBSのバラエティー「オオカミ少年」の収録で、落とし穴に落下した際に腰を痛め、病院で腰椎圧迫骨折で治癒に3カ月を要すると診断されています。
その後、入院を経て現在は自宅で安静状態と言いつつも、トイレに行くのにも手助けが必要なようで、一部では再入院したとも報道されています。
そこで、院長渡邉順哉の得意分野「骨粗鬆症」を交えてQ&Aでお作りしてみました。

Q.腰椎圧迫骨折の状態とは?どのくらいの年代層に起こりうること?その原因?「全治3か月」というのはどの程度の症状?

A.背骨の腰の部分が潰れる骨折。
無症状のいつの間にか骨折が圧迫骨折の7割を占め、50代でも1割がレントゲンを撮ったさいに偶然見つかり、年代とともに頻度が増えていきます。
ケガによる圧迫骨折は多くの場合、強い痛みを伴い、1~2カ月程度はあまり動けない場合があり、入院を要するケースも少なくありません。
3ヶ月でようやく骨がくっついてくる状況になり、3~4カ月でコルセットが外せるようになります。

Q.「トイレに行くのも手助けが必要な状態」と言われていますが、どのくらい本人の生活や家族の介護には負担があることなの?

A.痛みについては個人差がかなり大きく、痛みを強く訴える場合だと、寝返りさえ困難な場合もあり、自宅での介護は困難で入院を要すことも少なくありません。
一人でトイレにすら行けないと、家族は日中家を長時間留守にすることは難しくなり、夫が1人で介護はかなり大変かと思います。

Q.治療方法や、自宅での過ごし方、また注意するべきことは何?

A.恐らく男性だったら骨折しないような落とし穴の高さとクッションかと思いますので、骨粗鬆症は必ずありますので、こちらの治療も同時進行で行っていく必要があります。
骨折の部位にもよりますが、通常の市販のコルセットではなく、骨盤から首近くまで前後を固定できる前後の丈のある特注のコルセットを寝ているとき以外は常に3~4ヶ月装着し、コルセットを外したまま動く動作ではできるかぎり前鏡になる動作は避けないと、骨折した骨がさらに潰れる可能性が高くなります。
入浴時やベッドからの起床時はコルセットを外している時間は短時間に済ませることが大事です。

Q.11月末に骨折し、2月の段階で「寝たきり」というのは治りが遅い?このペースで本当に3か月で完治するの?

A.入院中のように理学療法士がサポートするリハビリを自宅で受けていない場合、寝たきりのままだと1ケ月で筋力が半分以下になり、さらに骨も弱くなってしまいます。
通常2カ月経過するとスタスタ歩かれているケースがほとんどなので、3カ月経っても寝たきりというのは、圧迫骨折が未だに悪化の一途をたどっている可能性を考えます。
骨粗鬆症の治療で重症な骨粗鬆症の患者様向けの治療薬を使うと短期間で骨が付く可能性のあるので、もし骨粗鬆症の検査・治療を受けていないのであれば早急に開始するべきだと思います。
もちろん筋力低下もあるかと思いますので、理学療法士のリハビリも必須です。
整形外科への通院リハビリが難しい場合、役所に主治医意見書を貰って主治医の先生に記入頂き、申請することで状況によっては、訪問リハビリで理学療法士が自宅に来てリハビリを受けることも可能です。
結論は・・・50代(できたら40代)になったら、女性は骨粗鬆症の精密検査を毎年受けて、悪くなりはじめたら治療を開始するのが何よりも大事だとつくづく思います。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長 渡邉順哉