変形性股関節症の治し方|進行度別の治療法とやってはいけないことを解説
※本記事は、整形外科専門医・イノルト整形外科 統括院長 渡邉順哉医師の監修のもと執筆しています。
立ち上がるときや歩き始めに股関節が痛む、整形外科で変形性股関節症と診断されて手術の話も出たという状況に、不安を感じている方は少なくありません。
手術以外に方法はないのか、自分の状態ではどの治療を選べばよいのかと迷う方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、進行度別の治療法、手術をしない方法と手術の違い、悪化を防ぐために避けたいことを順に解説します。
Contents
変形性股関節症とは?治し方を考える前に知りたい病気の仕組み
変形性股関節症の治し方を選ぶには、まず病気の仕組みと原因を知っておくことが役立ちます。はじめに、病気の特徴と3つの原因から、治療の目的までを順に解説します。
変形性股関節症は股関節の軟骨がすり減り変形する病気
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ることで炎症や痛みが起こり、関節が少しずつ変形していく病気です。
股関節は、骨盤側の受け皿である臼蓋(きゅうがい)に、太ももの骨の先端にある丸い大腿骨頭がはまり込む構造になっています。臼蓋と大腿骨頭の表面はどちらも軟骨で覆われており、関節がなめらかに動くためのクッションの役割を担っています。
- 臼蓋(きゅうがい)骨盤側の受け皿
- 大腿骨頭太ももの骨の先端にある丸い部分。臼蓋にはまり込む
- 軟骨臼蓋と大腿骨頭の表面を覆い、関節がなめらかに動くためのクッションになる
初期は、椅子から立ち上がるときや歩き始めに脚の付け根が痛むことが多いとされます。進行すると、安静にしていても痛む、夜間に痛みで目が覚める、靴下を履きにくいといった動きの制限が現れる場合があります。
ただし、症状だけで病気を判断することはできず、確定には医師の診察と画像検査が必要です。
変形性股関節症が起こる3つの原因
変形性股関節症の原因は1つではなく、主に次の3つが重なって発症・進行すると考えられています。
- 骨の形臼蓋形成不全など、生まれつきや成長の過程でみられる骨の形の特徴
- 軟骨の変性加齢や長年の負荷による軟骨の変性
- 日常の負担体重の増加や日常の動作による股関節への負担
日本では、臼蓋のかぶりが浅い臼蓋形成不全などを背景に発症するケースが多いとされており、受け皿が浅いと体重を支える面積が狭くなり、軟骨の一部に負担が集中しやすい構造になっています。
また、女性に多い傾向があることも知られています。生活習慣だけが原因とは限らないため、骨の形を含めて医師に確認してもらうことが、治療法を選ぶうえでの出発点になります。
変形性股関節症の治療の目的と「治る」の考え方
すり減った軟骨は自然には元に戻りにくいとされており、治療の目的は痛みをやわらげること、進行を抑えること、関節の機能を保つことにあります。
そのため変形性股関節症の治し方は、一般的にまず手術以外の保存療法から始め、それでも痛みや生活への支障が続く場合に手術を検討する流れになります。
- STEP 1保存療法から始める生活指導・運動療法・薬物療法などを、症状や生活状況に合わせて組み合わせる
- STEP 2経過をみて見直す痛みや生活への支障の変化をみながら、医師と治療方針を見直す
- STEP 3手術を検討する痛みや生活への支障が続く場合に、関節を温存する手術や人工股関節置換術を検討
手術にも自分の関節を残す方法と人工関節に置き換える方法があり、どれが適しているかは進行度や年齢、活動量、患者様ご自身の希望によって異なります。
また、「治る」という言葉の意味も、痛みが落ち着いて日常生活を送れる状態を目指すのか、関節の形そのものを整えるのかによって変わります。
治療のゴールを医師と共有しておくことが、納得して治療を選ぶためのポイントです。
【進行度別】変形性股関節症の治し方
変形性股関節症は進行度によって関節の状態や症状が異なり、選ばれる治療法も変わります。ここでは、4つの進行度の特徴と治療方針の目安、早めに受診したい症状をご紹介します。
変形性股関節症の4つの進行度
変形性股関節症は、一般的に「前股関節症」「初期」「進行期」「末期」の4つの段階に分けて考えられています。
進行度は、主にX線検査で関節のすき間(関節裂隙)の広さや、骨のとげ(骨棘)の有無、骨の形の変化などを確認して判断されます。
前股関節症の段階では骨の形に特徴があるものの軟骨はほぼ保たれており、段階が進むにつれて関節のすき間が狭くなり、末期では軟骨がほとんど失われた状態になります。
痛みの強さと画像上の進行度が必ずしも一致するとは限らず、症状が軽くても変形が進んでいる場合や、その逆の場合もあります。自分の進行度を正しく知るには、整形外科で診察と画像検査を受けることが必要です。
進行度ごとの治療方針の目安
進行度ごとの状態と治療方針の目安は、以下のとおりです。
| 進行度 | 状態の目安 | 主な症状 | 主な治療方針 |
|---|---|---|---|
| 前股関節症 | 骨の形に特徴があるが軟骨はほぼ保たれている | 長く歩いた後のだるさや違和感 | 生活指導・運動療法 |
| 初期 | 関節のすき間がやや狭くなる | 歩き始めや立ち上がりの痛み | 保存療法、必要に応じて関節を温存する手術 |
| 進行期 | 関節のすき間が狭くなり骨のとげが出てくる | 歩行時の痛みが続く、股関節の動きが制限される | 保存療法、関節を温存する手術または人工股関節置換術の検討 |
| 末期 | 軟骨がほとんど失われ骨同士が接する | 安静時や夜間の痛み、日常生活への支障 | 保存療法で痛みを調整しつつ人工股関節置換術を検討 |
この表はあくまで一般的な目安です。実際の治療方針は、進行度に加えて年齢や活動量、仕事や家庭での生活状況、骨の形、本人の希望などを踏まえて医師が判断します。
また、同じ進行度でも、保存療法を続けながら様子をみる場合もあれば、手術を検討する場合もあります。
早めに整形外科を受診したい症状
次のような症状がある場合は、進行度を確認するためにも早めに整形外科を受診することをおすすめします。
- 安静にしているときや夜間にも股関節が痛む
- 以前より歩ける距離が短くなった
- 靴下を履く、足の爪を切るといった動作がしにくくなった
- 足を引きずるように歩くようになった、脚の長さに左右差を感じる
これらの症状は、股関節の動きが制限されていたり、周囲の筋力が落ちていたりするサインである可能性があります。
早い段階で状態を把握しておくと、保存療法を含めた治療の選択肢を検討しやすくなります。気になる症状が続く場合は、関節の診療に対応している整形外科で一度相談してみてください。
なお、股関節の痛みは変形性股関節症以外の病気が原因で起こることもあります。股関節が痛むさまざまな原因については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:股関節が痛い原因と病気の特徴|悪化を招くやってはいけないことも解説
手術をしない変形性股関節症の治し方
手術をしない治し方には、保険診療で受けられる保存療法と、自由診療で受ける治療があります。それぞれの内容と注意点、選ぶときの判断ポイントを解説します。
保存療法とは?
保存療法とは、手術以外の方法で痛みをやわらげ、進行を抑えることを目指す治療の総称です。生活指導や運動療法、薬物療法、注射などを、症状や生活状況に合わせて組み合わせます。
- 生活指導体重の管理、杖の使用、洋式の生活への切り替え
- 運動療法衝撃の少ない運動と、股関節を支える筋肉の強化
- 薬物療法飲み薬・貼り薬・塗り薬で痛みや炎症を抑える
- 注射痛みが強い時期の関節内へのステロイド注射など
保存療法は初期の方だけでなく、どの進行度でも治療の土台になります。手術を検討している方にとっても、術前に筋力を保っておくことは術後の回復につながります。
一方で、保存療法によって関節の変形そのものが元に戻るわけではありません。
痛みが落ち着いて日常生活を送れている方もいれば、続けても改善が十分でない方もいるため、経過をみながら医師と治療方針を見直していくことが大切です。
生活指導と運動療法
保存療法の中心となるのが、生活指導と運動療法です。
生活指導では、体重の管理、杖の使用、和式から洋式の生活への切り替えなど、股関節にかかる負担を減らす工夫を行います。杖は痛む脚と反対側の手で持つと、股関節への負担を軽くしやすいとされています。
運動療法では、水中歩行や水泳(平泳ぎを除く)など関節への衝撃が少ない運動や、お尻の横の中殿筋(ちゅうでんきん)、太ももの前の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)といった股関節を支える筋肉の強化を行います。運動は痛みを誘発する可能性もあるため、痛みの出ない範囲から始め、少しずつ強度を上げていくことがポイントです。
自己流の運動でかえって痛みが強くなる場合もあるため、理学療法士の指導のもとで、ご自分の状態に合った内容を確認しながら進めることをおすすめします。
薬物療法と注射
痛みが強い場合には、薬物療法が用いられます。主に使われるのは、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬で、飲み薬のほか貼り薬や塗り薬もあります。
これらで痛みが十分に抑えられない場合は、ほかの種類の鎮痛薬が検討されることもあります。
なお、痛みが強い時期には、関節内へのステロイド注射などが行われる場合もあります。
再生医療
再生医療は、患者様ご自身の血液などを活用し、痛みや炎症の軽減を目指す治療です。変形性股関節症に対しては、血液を遠心分離して得られる多血小板血漿(PRP)や、血小板に含まれる成長因子を濃縮したものを関節内に注射する方法があります。
保存療法を続けても痛みが十分に軽減しない初期から進行期の方や、手術以外の方法も検討したい方が対象になることがある一方で、変形が高度で手術が適している方や、感染症・血液の病気がある方などは、適応とならない場合があります。
- 保存療法を続けても痛みが十分に軽減しない初期から進行期の方
- 手術以外の方法も検討したい方
- 変形が高度で手術が適している方
- 感染症・血液の病気がある方など
また、効果の感じ方には個人差があり、痛みの改善が十分に得られない場合もあるほか、すり減った軟骨が元に戻ることを保証する治療ではありません。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療は、皮膚の外から患部に衝撃波を照射し、痛みの軽減を目指す治療です。痛みを伝える神経の働きを抑えたり、組織の修復を促したりする作用があるとされています。
体外衝撃波には拡散型と集束型があり、集束型は体の深い部分まで届きやすいとされています。
また、体外衝撃波治療は注射や手術に抵抗がある方や、保存療法と並行して痛みを調整したい方が対象になることもあります。
一方で、照射する部分に感染や腫瘍がある方、妊娠中の方、血が止まりにくい病気がある方や血液をサラサラにする薬を服用している方などは、適応とならない場合があります。
- 注射や手術に抵抗がある方
- 保存療法と並行して痛みを調整したい方
- 照射する部分に感染や腫瘍がある方
- 妊娠中の方
- 血が止まりにくい病気がある方
- 血液をサラサラにする薬を服用している方など
手術をしない治療を選ぶときの判断ポイント
| 治療法 | 主な目的 | 保険適用 | 通院の目安 | 主なリスク |
|---|---|---|---|---|
| 生活指導・運動療法 | 股関節への負担軽減と筋力の維持 | 保険診療 | リハビリへの通院と自宅での継続 | 自己流で行うと痛みが強くなる場合がある |
| 薬物療法 | 痛みや炎症を抑える | 保険診療 | 症状に応じた定期的な受診 | 胃腸の不調、腎臓への負担など |
| 関節内注射 | 痛みや炎症を抑える | 保険診療(薬剤による) | 症状に応じて医師と相談 | 感染、繰り返しによる関節への影響 |
| 再生医療 | 痛みや炎症の軽減を目指す | 自由診療 | 製剤や医療機関により異なる | 注射部位の痛み・腫れ、感染、効果の個人差 |
| 体外衝撃波治療 | 痛みの軽減を目指す | 自由診療(変形性股関節症の場合) | 機器や医療機関により異なる | 照射時の痛み、皮下出血、効果の個人差 |
どの治療が適しているかは、進行度や痛みの程度、生活状況、費用に対する考え方によって異なります。
保険診療の保存療法を土台にしながら、必要に応じて自由診療を組み合わせるという考え方もあります。保存療法を続けても痛みが改善しない場合や、日常生活への支障が大きい場合は、手術も含めて選択肢を検討する時期といえます。
自分に合う治療を見つけるためにも、まずは関節の診療に対応している整形外科で、現在の状態と治療の選択肢について医師に相談してみてください。
手術による変形性股関節症の治し方
保存療法で痛みが改善しない場合や、日常生活への支障が大きい場合には、手術が選択肢になります。ここでは、手術を検討するタイミングと主な術式、手術後のリハビリについて解説します。
手術を検討するタイミング
手術は、保存療法を続けても痛みが改善しない場合や、歩く・立つ・座るといった日常の動作に大きな支障が出ている場合に検討されます。
どの手術が適しているかは、進行度だけでなく、年齢や活動量、仕事の内容、家庭での役割、本人の希望などによって異なります。
たとえば、軟骨が比較的保たれている段階では自分の関節を残す手術が、変形が進んでいる段階では人工股関節置換術が検討されることが多いとされています。
| 術式 | 主な対象 | 特徴 | 主なリスク |
|---|---|---|---|
| 骨切り術関節を温存 | 軟骨が比較的保たれている前股関節症から初期の、比較的若い方 | 骨の向きを変えて受け皿のかぶりを改善する。入院とリハビリの期間は数週間から数か月単位 | 感染、血栓症、切った骨がつきにくい、神経の障害 |
| 関節鏡視下手術関節を温存 | 関節唇の損傷、大腿骨寛骨臼インピンジメントなど | 小さな切開で関節の中を処置する。変形が進んだ段階では適応とならないことが多い | 感染、神経の障害 |
| 人工股関節置換術人工関節に置換 | 軟骨がほとんど失われた末期の方 | 傷んだ股関節を人工の関節に置き換える。公的医療保険が適用される | 感染、脱臼、血栓症、ゆるみや摩耗による再手術 |
手術は時期を急ぐ必要がない場合もあれば、痛みを我慢し続けることで筋力が落ち、術後の回復に影響する場合もあります。手術を受けるかどうか、いつ受けるかは、メリットとリスクを医師から十分に説明を受けたうえで判断することが大切です。
関節を温存する手術
自分の関節を残す手術には、骨の向きを変えて受け皿のかぶりを改善する骨切り術と、小さな切開で関節の中を処置する関節鏡視下手術があります。
いずれも、軟骨がある程度保たれている段階で検討される手術です。
骨切り術
骨切り術は、骨盤側の骨(寛骨臼回転骨切り術など)や太ももの骨を切って向きを変え、受け皿が大腿骨頭を覆う範囲を広げることで、軟骨にかかる負担を分散させる手術です。自分の関節を残せることが特徴です。
主に、軟骨が比較的保たれている前股関節症から初期の、比較的若い方が対象になるとされています。骨がつくまでに時間がかかるため、入院とリハビリの期間は数週間から数か月単位になることがあります。
手術に伴うリスクとして、感染、血栓症、切った骨がつきにくい、神経の障害などが起こる可能性があります。対象となるかどうかや回復までの期間は、骨の形や年齢によって異なるため、医師の判断が必要です。
関節鏡視下手術
関節鏡視下手術は、小さな切開から内視鏡を入れて関節の中を確認し、傷んだ組織の処置などを行う手術です。股関節の縁にある関節唇(かんせつしん)の損傷や、骨の出っ張りによって関節がぶつかり合う状態(大腿骨寛骨臼インピンジメント)などが対象になります。
切開が小さく体への負担を抑えやすい一方で、変形が進んだ段階では適応とならないことが多いとされています。感染や神経の障害などのリスクもあるため、適応の有無は画像検査の結果をもとに医師と相談して判断します。
人工股関節置換術
人工股関節置換術は、傷んだ股関節を、金属やセラミック、ポリエチレンなどでできた人工の関節に置き換える手術です。主に軟骨がほとんど失われた末期の方が対象となり、痛みの軽減と歩く機能の回復が期待できる治療とされています。
人工股関節置換術は公的医療保険が適用される手術で、医療費が高額になった場合は高額療養費制度の対象になります。自己負担額は所得や年齢によって異なるため、事前に医療機関や加入している保険の窓口で確認しておくと安心です。
一方で、手術には感染、脱臼、血栓症などのリスクがあります。また、人工関節は長期間使用できる例が増えていますが、年数の経過とともにゆるみや摩耗が生じ、再手術が必要になる場合もあります。
期待できる効果とリスクの両方を理解したうえで検討することが大切です。
手術後のリハビリと生活
手術の後は、理学療法士とともにリハビリを行い、股関節周囲の筋力や歩く力の回復を目指します。手術がうまくいっても、リハビリを続けなければ筋力が戻りにくく、歩き方が安定しないことがあるため、退院後も継続することが回復につながります。
人工股関節置換術の後は、股関節を深く曲げて内側にひねる動作など、脱臼しやすい姿勢に注意が必要になる場合があります。注意すべき姿勢は手術の方法や医師の方針によって異なるため、術後の生活については主治医やリハビリ担当者の指示に従ってください。
なお、手術を受ける病院と、術後のリハビリを続ける医療機関が異なる場合もあります。手術を検討している方は、術後のリハビリをどこで受けられるかも含めて、早めに整形外科で相談しておくと準備を進めやすくなります。
変形性股関節症でやってはいけないこと
変形性股関節症の治療を進めるうえでは、日常生活で股関節にかかる負担を減らすことも欠かせません。悪化を防ぐために避けたい動作や習慣と、股関節に負担をかけにくい寝方をご紹介します。
- 股関節に強い負担をかける動作と運動重い物の持ち運びや、ジャンプ・急な方向転換を伴うスポーツ
- 痛みを恐れて動かなさすぎること筋力が落ち、さらに動きにくくなる悪循環につながる
- 股関節を深く曲げる生活習慣正座やあぐら、しゃがみ込む姿勢、低い椅子・ソファ
- 体重の増加歩いたり立ち上がったりするたびの負担が大きくなる
- 股関節に負担がかかる寝方横になっている間も、姿勢によって股関節が引き伸ばされる
股関節に強い負担をかける動作と運動
重い物を持ち上げたり運んだりする動作は、股関節にかかる負担を大きくし、痛みや炎症を悪化させる原因になることがあります。買い物の荷物はカートを使う、何回かに分けて運ぶといった工夫がおすすめです。
運動では、走ったり止まったりを繰り返す動きや急な方向転換、ジャンプを伴うスポーツは、股関節に強い衝撃が加わりやすいです。また、痛みを我慢しながら重い負荷で筋力トレーニングを行うことも、症状を悪化させるおそれがあります。
運動そのものを控える必要はなく、水中歩行など関節への衝撃が少ない運動を選ぶことがポイントです。なお、どの程度の運動なら問題ないかは状態によって異なるため、医師や理学療法士に確認しておくと安心です。
痛みを恐れて動かなさすぎること
痛みがあると体を動かすことを避けがちですが、安静にしすぎることも股関節にとってよい状態とはいえません。
股関節を動かさない時間が長くなると、周囲の筋力が落ちて関節が不安定になり、動かせる範囲も徐々に狭くなります。その結果、さらに動きにくくなり、痛みが出やすくなるという悪循環につながる可能性があります。
- 1股関節を動かさない時間が長くなる
- 2周囲の筋力が落ちて関節が不安定になる
- 3動かせる範囲が徐々に狭くなる
- 4さらに動きにくくなり、痛みが出やすくなる
痛みが強い時期は無理をせず休むことも必要ですが、痛みの出ない範囲で体を動かすことは治療の一部です。どの程度動かしてよいか迷う場合は、医師や理学療法士に相談しながら進めてください。
股関節を深く曲げる生活習慣
正座やあぐら、しゃがみ込む姿勢は、股関節を深く曲げたりひねったりするため、負担がかかりやすいとされています。床から立ち上がる動作や、低い椅子・ソファに座る動作も同様です。
股関節への負担を減らすには、生活の場を洋式に切り替える工夫が役立ちます。たとえば、床に座る代わりに椅子を使う、布団からベッドに変える、和式トイレを避けて洋式トイレを使うといった方法があります。
- 床に座る椅子を使う
- 布団ベッド
- 和式トイレ洋式トイレ
すべての動作を一度に変えるのが難しい場合は、毎日繰り返す動作から見直していくと続けやすくなります。
体重の増加
体重が増えると、歩いたり立ち上がったりするたびに股関節にかかる負担も大きくなります。股関節は体重を支える関節であるため、体重の管理は症状の悪化を防ぐうえで大切なポイントです。
体重を管理するには、食事の内容や量を見直すことに加え、関節への衝撃が少ない運動を組み合わせる方法がおすすめです。
ただし、急激な減量は筋力の低下につながる場合もあるため、無理のない範囲で取り組むようにしてください。また、持病がある方や減量の進め方に迷う方は、医師に相談してください。
股関節に負担がかかる寝方
横になって休んでいるときでも、寝る姿勢によっては股関節に負担がかかり、痛みを感じることがあります。仰向けと横向き、それぞれの場合で負担をかけにくい寝方の工夫をご紹介します。
仰向けで寝る場合
仰向けで脚をまっすぐ伸ばして寝ると、股関節の前側が引き伸ばされ、痛みを感じやすくなる場合があります。
膝の下にクッションや丸めたタオルを入れて軽く膝を曲げると、股関節の前側の緊張がゆるみ、楽に感じる方もいます。クッションを入れておくことで、眠っている間も姿勢を保ちやすくなります。
横向きで寝る場合
横向きで寝ると、上側の脚が下に落ち込み、股関節の外側が引き伸ばされて痛みを感じることがあります。
痛みのない側を下にして、両膝の間にクッションを挟むと、上側の脚の位置が安定し、股関節の外側への負担を減らしやすくなります。
- 膝の下にクッションや丸めたタオルを入れて、軽く膝を曲げる
- 痛みのない側を下にして、両膝の間にクッションを挟む
寝方を工夫しても夜間の痛みが続く場合は、進行度が変化している可能性もあるため、早めに医師へ相談してください。
日常生活で気をつけたいことについては、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:股関節の痛みで悩んでいる人必見|変形性股関節症の注意点を解説
変形性股関節症の相談はイノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックへ
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、関節専門外来で変形性股関節症の診療を行っています。当院での診療の流れと、提案できる治療の選択肢をご紹介します。
関節専門外来で進行度と痛みの原因を確認
当院の関節専門外来では、膝や肩、股関節などのさまざまな関節の痛みに対応しています。
変形性股関節症が疑われる場合は、診察と画像検査で股関節の状態や進行度を確認し、痛みの原因を整理します。そのうえで、症状の程度や仕事・家庭での生活状況、治療に対するご希望を伺いながら、治療方針を一緒に検討します。
- 1診察と画像検査で、股関節の状態や進行度を確認
- 2痛みの原因を整理
- 3症状の程度や生活状況、治療に対するご希望を伺う
- 4治療方針を一緒に検討
股関節の痛みは変形性股関節症以外の原因で起こることもあるため、「どこが原因で痛むのか分からない」という段階でもご相談いただけます。
保険診療のリハビリから自由診療まで選択肢をご提案
当院では、理学療法士によるリハビリテーションや薬物療法など、保険診療で受けられる保存療法を治療の土台としています。
保存療法を続けても痛みが十分に軽減しない場合などには、状態に応じて、自由診療である再生医療や体外衝撃波治療を選択肢としてご提案することがあります。
自由診療を検討する際は、費用や回数、期待できることと限界、リスクや副作用について事前にご説明し、納得していただいたうえで選んでいただけるようにしています。
手術が必要な場合も連携病院と術後リハビリで支援
診察の結果、手術が適していると考えられる場合や、手術をご希望の場合は、連携病院での手術をご案内しています。また、手術後のリハビリは当院で継続して受けていただくことも可能です。
- 保険診療保存療法理学療法士によるリハビリテーションや薬物療法を、治療の土台に
- 自由診療再生医療・体外衝撃波治療保存療法を続けても痛みが十分に軽減しない場合などに、状態に応じてご提案
- 連携病院手術のご案内手術が適していると考えられる場合や、手術をご希望の場合
- 当院術後のリハビリ手術後のリハビリを、当院で継続して受けていただけます
変形性股関節症は、保存療法から手術、術後のリハビリまで、段階に応じて治療の選択肢が変わる病気です。
当院では、手術以外の方法も含めてどの治療が自分に合うのかを一緒に考え、それぞれのメリットとリスクを踏まえて選んでいただけるよう診療を行っています。
股関節の痛みが続き、治療の選択肢を模索している方は、まずはお気軽に当院までご相談ください。
【FAQ】変形性股関節症の治し方に関するよくある質問
最後に、変形性股関節症の治療を考えるときに、多くの方が抱く疑問をまとめました。受診や治療を検討する際の参考にしてください。
Q:変形性股関節症は自然に治りますか?
A:すり減った軟骨は自然には元に戻りにくいとされています。ただし、保存療法によって痛みが落ち着き、日常生活を問題なく送れている方もいます。
痛みが一時的に軽くなっても、関節の状態が改善したとは限りません。症状が落ち着いている時期も、運動療法や体重管理を続けながら、定期的に医師に状態を確認してもらうことをおすすめします。
Q:痛くても歩いたほうがよいですか?
A:痛みの出ない範囲で歩くことや、水中歩行などの関節への負担が少ない運動は、股関節周囲の筋力を保つことにつながります。
一方で、強い痛みを我慢して長い距離を歩くと、症状が悪化する場合があります。痛みが強い日は無理をせず、杖を使って負担を減らすなどの工夫をしてください。
どの程度歩いてよいかは状態によって異なるため、医師や理学療法士に確認しておくと安心です。
Q:手術をせずに過ごすことはできますか?
A:保存療法で痛みをコントロールでき、日常生活に大きな支障がない場合は、手術を急ぐ必要がない場合もあります。
ただし、保存療法を続けても痛みが改善しない場合や、歩くことや身の回りの動作が難しくなっている場合は、手術を含めて治療方針を見直す時期といえます。
手術をするかどうかは、進行度や生活状況、本人の希望を踏まえて医師と相談しながら決めてください。
Q:再生医療や体外衝撃波治療は保険が使えますか?
A:変形性股関節症に対する再生医療や体外衝撃波治療は、公的医療保険が適用されない自由診療です。
費用や必要な回数は、使用する製剤や機器、医療機関によって異なります。治療を受ける前に、総額でどのくらいかかるのか、追加費用が発生する場合があるのかを確認し、期待できることとリスクについても医師から説明を受けたうえで検討してください。
Q:人工股関節はどのくらいもちますか?
A:人工関節の素材や手術技術の進歩により、長期間使用できる例が増えているとされています。
ただし、使用年数の経過とともに人工関節のゆるみや摩耗が起こり、再手術が必要になる場合もあります。どのくらい使用できるかは、年齢や活動量、体重などによっても異なるため、手術を検討する際に医師へ確認してください。
Q:何科を受診すればよいですか?
A:股関節の痛みがある場合は、整形外科を受診してください。
変形性股関節症の進行度を確認するにはX線などの画像検査が必要になるため、検査設備があり、股関節を含む関節の診療に対応している医療機関を選ぶと相談しやすくなります。
痛みの原因や今後の治療の選択肢を知るためにも、まずは整形外科で現在の股関節の状態を確認してもらうところから始めてみてください。
まとめ
変形性股関節症の治し方は、進行度によって異なります。一般的には、生活指導や運動療法、薬物療法などの保存療法から始め、それでも痛みや日常生活への支障が続く場合に手術を検討する流れになります。
どの治療が適しているかは、進行度や年齢、生活状況、ご本人の希望によって変わります。
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニックでは、関節専門外来で股関節の状態を確認したうえで、保存療法から自由診療、手術が必要な場合の連携病院のご案内と術後リハビリまで、状態に合わせた選択肢をご提案しています。
股関節の痛みが続いている方、自分に合う治し方を知りたい方は、まずはお気軽に当院までご相談ください。
この記事の監修医師
イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 院長
渡邉 順哉
経歴
- 平成16年 鎌倉学園高等学校卒
- 平成23年 東邦大学 医学部卒
- 平成23年 横浜医療センター 初期臨床研修
- 平成25年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
- 平成26年 神奈川県立汐見台病院 整形外科
- 平成28年 平成横浜病院 整形外科医長
- 平成30年 渡辺整形外科 副院長
- 令和元年 藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
- 令和6年 イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック 統括院長


